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エピローグ・3

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日々虐待をしていた俺達にもついに天罰が降る日が来た……空は晴れ渡っており、絶好の死刑執行日和だ、断頭台の近くには国民達が大挙して押し寄せてきており、国の英雄たるイヴを慕うものばかり、野次と一緒にゴミが降ってくる。


「まず一人目、コブリー・サーペントの罪状、救国の英雄たるイヴ・サーペントの婚約者をたぶらかし、不倫した、彼女の心を深く傷つけ、日常的に虐げていた」

「ま、待ちなさいよ!!、私は悪くない!!、アダムから言い寄ってきて!!」

「やれ」

「まッッッッッーー………」

……救国の英雄とまでなったイヴ、彼女の妹でありながら、姉の婚約者を取った彼女は今ギロチンの台に拘束されている、裁判官が罪状を読み上げた後、処刑人に合図を送ると、コブリーの頭と両手は宙を舞う。

……同じように拘束されている俺は呆然と眺める。

「イヤァッッッッッ!!!」

「二人目、ルフ・サーペントの罪状を読み上げる、彼女はコブリー・サーペントを可愛がり、イヴ・サーペントに日常的に虐待をしていた、例を挙げるならば三日間食事を抜いたり、本邸には住まわせず、離れの小屋へと押し込め、あまつさえ高熱にうなされていても無視を決め込んだ………やれ」

「やだ!!死にたくなッッッッッーーーー」

次はイヴの義母にあたるルフ・サーペントの罪状が読まれ、断罪される。

「三人目、グリッド・サーペント、先の二人同様にイヴ・サーペントを虐待し、あまつさえ若い女と肉体関係を結び、遊び歩いていた、有罪」

「ま、待ってーーー」

その次にイヴの義父にあたるグリッド・サーペントの罪状が読まれ、断罪される。

「四人目、フェイト・アダマー……お前が一番の罪人だ、日々彼女に数々の嫌がらせをして、戦場送りを手引き、イヴ・サーペントに愛されながらも他の女にうつつを抜かしーーーー」

「ーーーー長い」

「「「「は?」」」」

裁判官が俺の罪状を読み始めたが……被せるように俺は一言呟く、俺の言葉に民衆も、裁判官も、その場にいる全員は硬直する。

「長過ぎるっつうの、どうせ殺すならスパッと殺してくれよ面倒臭い」

続く俺の言葉に民衆の、裁判官の、死刑執行人の怒りは爆発した、怒声が飛び交い、何百のゴミが頭に投げつけられる。

「ーーーー死刑を執行しろ!!」

裁判官も憤怒の感情の赴くまま、俺の死刑執行を処刑人に命じる………彼女を虐げる両親、妹を処理できた、俺の当初の目的はもう果たされた……今更死ぬことに未練なんてない、それにどんな言い訳をしようと、どんな目的があろうと、俺は彼女に酷い仕打ちをしてきたのは事実なのだ、俺は死ぬ事でしか罪を償えないだろう………。

……長い旅路の果てに、漸く愛する人を守れたのだ………もう俺に憂いはない……死刑執行直前だというのに、自然笑みが溢れる………。

………死ぬ瞬間に人には走馬灯が見えるというが………全くの出鱈目というわけでもないらしい、事実…………一番最初の人生の記憶が俺の頭に自然と浮かびあがる。






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