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19、side新・魔王軍対国家殲滅部隊総隊長1
しおりを挟む「進軍せよ!」
俺は『魔界七将』………いや、今は一人魔王になった為、『魔界六将直属部隊、魔界七雄』の一人、ヘクターだ、敵は愚か味方にすら恐れられ、『骸のヘクター』と呼ばれている。
そんな俺だからこそ、対国家殲滅部隊の総隊長を任されたのかも知れん。
部隊の兵士達に命令を飛ばし、目的の国へと進む。
早ければ一週間程度で到着するはずだ、フフフ、『骸のヘクター』にかかれば人間の国一つを滅ぼすなど容易い、ここで手柄を立てれば『魔界七将』の空いた枠に私が入れるかもしれない、なので今回失敗は万に一つも許されない。
急いては事を仕損じるというし、余裕を持って二、三週間くらい遅れて行こう、兵士達が到着したが今までの行軍で疲れました、なんてことになったら大変。
休息を充分に取り、万全をきして事に取り掛かろう。
新人だったら早く手柄を立てようと焦るかもしれない、だが俺は『魔界六将直属部隊魔界六雄、骸のヘクター』だ、常に余裕を失わない、余裕ない奴が指揮する軍隊ほど脆いものはないからな、大将はドンと構えていなければならない。
ふっ、寧ろ行軍が遅くなる事は悪いことでは無い、相手からすれば大国一つすら堕とせる戦力が徐々に、だが確実に近づいていくという絶望、相手の戦意を削ぎ、俺でもそんな状況に陥ったら白旗をあげるかもしれない。
そうなったら双方に損害なく国のすべてが魔王軍の物になる、これ以上ないほどの戦果。
一日中歩いて山の天辺に着く。
「よーし、貴様ら!、今日は此処らで野宿だ!!、各自テントを張れ!!」
「え?良いのですか?ヘクター様、こんな早く休んでしまって、行軍が遅れてしまいますよ?」
「ふふふ、馬鹿め、急いては事を仕損じるということわざを知らんのか?、兵達の体力が削れてしまっては元も子もない」
「で、ですが、ゆっくりいけばその分相手に戦闘準備をさせてしまうのでは?」
「大丈夫だ、10キロ近くまで行軍したら近くの俺たちの拠点から目的の国近くの拠点へと転移する、これによって相手にとっては正しく魔法の様に突然姿を現したようにしか見えん、流石に魔族領から転移するのはこの人数では不可能………というか一人での転移すらほぼ実現不可能レベルの魔力が必要だからな、それに万が一気づかれたところでこの戦力を相手に少し準備したところで戦局は覆すことは不可能だ」
「なるほど……流石ヘクター様!、軽率な事を言ってしまい申し訳ございません」
「よい、寧ろ気づいた事があれば次も遠慮なく言え、俺では気づかん事にお前が気づくかもしれんからな…………」
「ヘクター様は思慮深いですな」
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「よーーし、目的の国へはもう目の前だ、同胞諸君、働いてもらう時が来たぞ」
「オオオオオオーーーー!!!!」
英気を養いながら進軍したおかげで兵の士気は万全、今の我らに敵はない。
「皆の者、無用な心配だと思うが一応忠告する、あの国には潜入した優秀な暗殺者四人が全員返り討ちにあったらしい、倒した男の名前はカイ・ドラゴン、こいつは要注意だ、他にも厄介な奴らがいる」
「はは、ヘクター殿、いくら腕が立つ暗殺者四人を倒したからといって、我らが十万の戦力に太刀打ちはできませんよ」
「無用な心配だと前置きしておろうが、大丈夫だと思うが、仕事は完璧にやらんと落ち着かないタチでな」
「ヘクター様は完璧主義がすぎる」
「フッーー、さぁ無駄話は終わりだ、奴らを蹂躙し尽くすぞ」
兵を四つに分けて東西南北から侵攻を開始する。
相手国の兵が出てきて戦闘が開始した。
やはり此方の方が圧倒的に有利。
あちらはいきなり襲撃してきた敵に対して浮き足立っている状態、対してこちらは体力も気力も万全の奇襲する側、こちら有利に事が運ぶのは当然の帰結。
だが、それでも俺は油断はしない、強引に攻め込むことはせず、致命的、破滅的、壊滅的な隙ができるまで冷静に相手の戦力を削っていく。
別にこっちは無理に攻め込むことはない、最初の有利を無くさず、相手を休ませず、手堅く攻めていれば相手はジリ貧だ。
逆に相手の方が一発逆転を狙って攻め込んできてくれれば思う壺、神風特攻を仕掛けてくる軍隊ほどねじ伏せやすい物はない。
どう転んだところで此方の勝ちが濃厚だ。
徐々に、しかし確実に戦線を押し込み、敵軍はどんどん後退していく。
我らの勝利が見えてきた。
しかしまだまだ油断はできない、せめて俺達が国内に攻め込むまでは油断は禁物。
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