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20、side新・魔王軍対国家殲滅部隊総隊長2
しおりを挟む「よし、崩れた!!」
敵軍の壁を貫き、中へ潜入する事に成功、そのせいで相手の隊列は崩れ、後ろと前から挟み撃ちが可能になった。
もうここからは油断もクソもない、何をしようがここからひっくり返す神業はこの世のどこにも存在しない。
「いけぇーー!叩き潰せ!!」
兵の士気を最大限高める為、大音量で俺は叫ぶ。
ーーー刹那、何かが上から降ってきて、此方の兵を貫く。
「なっーー?!、なんだ今のは」
流星の様に降り注ぐ魔法弾は次々と兵士達を貫き、亡き者としていく。
「い、一体何が起きている」
『ヘ、ヘクター様!!』
「む、なんだ!、北門を攻め落とせたのか?!!?なら此方へ助けに来い!、正体不明の攻撃が降り注いでいる!」
北門を攻めている我が軍の兵士達の指揮権を渡した部下から通信魔法で呼びかけられる。
俺は不幸中の幸いというふうに部下に応援を頼む…………がしかし、それは絶望の知らせでしかなかった。
『え?、ーーヘクター様の所でもそうなってあるのですか!!?』
「な、何??!、ま、まさか、そちらでも?」
『え、ええ、何処からともなく魔法弾が降ってきて、味方を貫いていきます、一体私はどうすれば良いのでしょうか!!』
『ヘクター様、南の方も………』
『東の方も………同じく』
「ぐぬぬぬ………原因がわからん怪奇現象が起きている為撤退だ!!、全軍撤退せよ!!」
今こうして通信中にも味方は色とりどりの魔法弾で命を絶っていく。
一番最初に飛んできた魔法弾は風の魔法だったが、それだけでなく、色とりどりの魔法弾が落ちてくる、自分の位置から見ると非常に幻想的な光景で心を奪われそうになるが着弾時の爆音に顔しかめ耳を塞ぐ。
そこまで威力が高いわけではない、無駄なく確実に命を奪える一撃を加えていく、こちらの兵士達は火で焼かれ、雷に打たれ、風で切られ、土に押しつぶされ、水に流され、闇に侵され、光に浄化され、この世のありとあらゆる力にどんどん殺されていく。
これ以上、無駄に兵を失うわけにはいかず、撤退指示をする俺。
ーーーーーーーーーーー
クソ、一体何が起きている、俺たちは一体どこから狙撃されている…… ?ーーー何だ?、よく見ると……敵国から降っている気がする。
「………遠視の水晶玉!!!」
俺は遠くを見る為の魔導具を取り出し、相手の国を注意深く観察。
するとやはり相手の国の方から魔法弾の軌跡が伸びてくる。
「ふふふ、馬鹿め……おいお前ら!これは敵国の国内部からの狙撃だ!!、あっちから届くということは此方からも届く距離にある距離だ!、何処から撃ってるか見つけ出し撃ち返せ!!」
『さ、流石ヘクター様!おい、貴様ら遠視の水晶玉で狙撃兵を探せ!!…………なに?!!?、ば、馬鹿な………』
「ど、どうした?!」
『…………ヘクター様撃ち返すのは不可能です』
「な、なんだと、何故だ!!」
『………どうやら宮廷の高台から狙撃している様です!』
「ば、馬鹿な、そんなところから狙撃だと?有り得ん!!、そこから魔法弾を此処に届かせるなど、冗談にしても出来が悪いぞ!!」
『……な、ならば、ヘクター様自身で確認なさってください、私たちの言葉が信じられずとも、ご自身の眼なら信じられるでしょう?』
「ーーーーッ!」
俺は仕方なく国の最奥、宮廷の方を注視する、すると背の高い建物から魔法弾が発射される、有り得ない………あそこから何キロ離れていると思っている、ここまで魔法弾を届かせるなど、悪夢以外の何者でもない、万が一ここまで届いたとしてもそれは人を殺すことなど不可能だ、だが俺の考えを否定するかのように後続の魔法弾が飛んでくる。
何とか撤退しようと我が軍の兵士が下がろうとするも、近くにいる敵国の兵士に斬られてしまう、当たり前だ、背を向ける敵を逃す通りはない。
「くっーーーよ、よくも俺の仲間をーー!!!!」
「よっーーーよせ!!!!」
味方がやられた事により、こちらの兵士は逆上してしまい、敵へと斬りかかる、しかしそれはあまりに愚行にすぎた、俺は咄嗟に静止を促すが、激昂した相手には効果がない、愚直に斬りかかっていく、相手の兵士は明らかにただ時間稼ぎに徹する動きをしている、案の定、敵兵と此方の兵が少し離れた瞬間ーー上から魔法弾が飛んできてこちらの兵士のみを撃ち抜いてしまう。
…………相手はあの狙撃手どもだけではない、目の前にいる敵兵士もいるのだ、尻尾撒いて逃げたところでさっきのように撃ち抜かれるだけだ、一体どうすればいいのかわからない。
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