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序章 兄弟
コモーノ、魔剣を手懐ける
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「どうだ、美味いかアスティ」
【アスティ、誰?】
ティータイム中魔剣の意志は、最初こそおぼつかない感じで言われるがまま命令通りにそれを口にした。
以降はパメロやアレサと同様に気がつけば目の前から食べ物が消えていた。
「お前だ、魔剣の意志。いつまでも魔剣の意志だなんて呼んでられないだろう? ジャスティスから文字を取ってアスティとした。問題はあるか?」
【ない。と言うか、これは何? 初めて食べる】
もぐもぐと食べ進めるアスティににっこりしながらコモーノは紅茶を飲み進める。しかしものは有限だ。
どれほどお腹をしかせていようとも、胃袋に限界があるように用意された菓子が尽きれば食べたくても食べられないのだ。
「オレの言うことを聞けばいっぱい食わせてやるぞ」
【ほんと!? いっぱい聞く。だからもっとちょうだい】
随分と懐かれたものだ。ちょろすぎるとすら思っていた。
コモーノは考えながら、話を打ち出した。
「さて、アスティ。最初の殺しをする前にいくつか前提条件を確認しておきたい」
【なんでー?】
「大事なことだからだ。それとオレの言うことを聞けば食える菓子の種類が増えるぞ」
【まだあるの!?】
あんなに絶望から濁っていた瞳が、晴れ渡った青空に差し込む星々のように輝く。甘いもので釣れるとかチョロすぎんだろ、呪縛。
だが、気持ちを急くようではダメだとコモーノは意識を改める。
「そうだ欲しくないか? さらなる甘味が」
【欲しい!】
「オレもだ欲しいものがたくさんある。だが邪魔なやつも多くてな。その為にもアスティ、お前の力が必要だ」
【わかった! 何をすればいいの?】
「そうだな、今までの魔剣士のお約束を少し改訂するだけだ。殺す相手がオレが決める。お前はのぞみの菓子が食える。それでどうだ?」
【王様を裏切るの? それはダメだよ?】
アスティの星空のような瞳がどんよりと曇る。
形骸化した王国の神聖化。呪縛の根底にある全ての払拭は無理か。
「裏切るわけあるか。オレは王国貴族だぞ? 忠実なる臣下がなぜ王を裏切る?」
【なら大丈夫。王様は殺しちゃダメなんだよ?】
「殺さないよ。殺したら国家反逆罪で追われる身だ。そうしたらアスティはもう二度とさっきの菓子を食えなくなるからな」
【え?】
キョトンとするアスティ。コモーノが用意させたものが、どうしてコモーノが国家反逆罪になると食べられなくなるのか考えが及ばない、そんな顔をする。
喉が渇いたと言ってお茶を用意した従者が居たように、菓子も専門の従者が居るのではないか? そう思ったのだ。
【もう食べれないの? やだ!】
すっかりさっきの菓子を食べれる前提で話が進む。
「オレだって死ぬのは嫌だよ。だが残念なことに、これらはオレがこの手で生み出した。レシピはオレの頭の中にある。共有する気は今のところない。いいか、アスティ。今ここでこの菓子を口に入れたのはこの世界でオレとお前、そしてそこにいるパメロのたった三人だけなんだ」
【他の人、知らない?】
「ああ、もしお前がうっかり口をこぼそうものなら、オレは大ピンチだ。それで国から嫌疑をかけられ、拘束されたらお前は俺の菓子が食えないまま次の主人の手に渡る。もちろん次の主人が菓子の知識に詳しくない場合、もう二度とこれらは口にできない。お前にそれが耐えられるか? アスティ」
【それは、困る……】
すっかり菓子に味を占めた魔剣ジャスティスは、逡巡の後強い意思を宿した瞳でコモーノを見返した。
【わかった、条件飲む。でも、王様は裏切れない。それでいい?】
「もちろんだ。アスティでは早速細かい交渉に移ろう」
コモーノが柏手を打つと、いつの間にか室内から消えていたパメロが一礼をしてから茶器と新たな菓子を持ち込んだ。
「さて、楽しい取り決めだ。アスティ、この中から一種類だけ好きなものを選んでいいぞ」
【一種類だけなの?】
「もちろんだ。どれもオレの傑作だが、楽しみはあとにとっておけ。しかし交渉が進めばもう一種類選んでいいぞ。最終的には食べられるんだ。そう急くこともないだろう」
全部で10種類の焼き菓子が並ぶ。
一口サイズのから、フォークで口に運ぶものまで色とりどりだ。用意された数こそ多くはないが、数を限定されると思わず手を伸ばしたくなる欲望が勝る。
それを見ていたコモーノがクスリと笑う。
「さっきの生キャラメルは随分と気に入ったようだな」
【あれ、すごかった!】
口の中で溶けるを初めて口にした魔剣ジャスティス。
高カロリーがすぎるので過剰に摂取しすぎると口の中の皮が剥ける非常に危険な代物なのだが、魔剣はそう言うのとは無縁らしい。さっきのはもうないのかと催促がすごい。
「あれはただ固形化させた物だが、いろんな用法があるんだ。例えばこれとか……」
コモーノは注釈を垂れながら手に取った菓子(アスティが手にしたものとは別)をひと齧りする。
【あ、ズルい!】
「ズルいとは? これはオレが用意し、オレに所有権がある。お前が食う為にはオレのお願いを聞く必要があるとさっき言ったろう? それにそのうちの一つは口にできているじゃないか。何を悔しがる必要がある。オレのお願いを聞くだけで口にできるのだぞ? ただお願いを聞くだけだ。簡単じゃないか」
【それも、そうだね】
コモーノは虎の尾を踏まないように自分の領域に相手を誘い込ませることに成功した。
「これで、おおよその約束事はおしまいだ。好きに食べていいよ」
【やった! やっぱり思った通りこれも美味しい!】
先ほどコモーノが口にしたカラメルがけのムースを頬張った。
本来頬張るものではないが、そこは魔剣。マナーなんてあってないものだ。
「では約束通り、君はオレの魔剣としてこれからよろしく頼むよ」
【いいよ、その代わりお菓子は絶対に用意。自分によっては働かないよ?】
「それでいい。それと菓子の提供者、およびその素材の生産者には刃を向けない。これに相違ないな?」
【だってこのお菓子食べられなくなっちゃうんでしょ? そんなの嫌だもん。それは絶対だよ】
ヨシ、言質をとったぞ。
これでスグエンキルの呪縛は大きく緩和される。
ただこの食いしん坊な魔剣がどこで裏切るともわからないな。
自分が子供を作ったら一番に菓子を習わせようと決意する。
そしてこの言質を最大限に生かす場面は、アルフレッドとの面会の前にしておきたいことだった。
「ならば良い、パメロ。先方からはなんと?」
「顔を突き合わせての面会を申し込んでおります。いかがなさいますか?」
「あともう少し引き延ばせぬか?」
「如何程でしょうか?」
コモーノはアスティを見下ろし、この菓子なしでは生きていけないくらいにしてからの目標を定めた。
「二週間後、面会に臨む。それまでは上手く引き伸ばせ」
「了解しました。あとで僕にも味見させてくださいね?」
パメロが指を差した先には、既に空になった器があるのみだった。どうやら食べさせてもらえると思っていたらしい。
食の恨みは怖いと言うからな。コモーノは肩をすくめて厨房へと向かった。
相変わらず母アレサが出待ちしていたが、侯爵家では見慣れた風景でもあった。
【アスティ、誰?】
ティータイム中魔剣の意志は、最初こそおぼつかない感じで言われるがまま命令通りにそれを口にした。
以降はパメロやアレサと同様に気がつけば目の前から食べ物が消えていた。
「お前だ、魔剣の意志。いつまでも魔剣の意志だなんて呼んでられないだろう? ジャスティスから文字を取ってアスティとした。問題はあるか?」
【ない。と言うか、これは何? 初めて食べる】
もぐもぐと食べ進めるアスティににっこりしながらコモーノは紅茶を飲み進める。しかしものは有限だ。
どれほどお腹をしかせていようとも、胃袋に限界があるように用意された菓子が尽きれば食べたくても食べられないのだ。
「オレの言うことを聞けばいっぱい食わせてやるぞ」
【ほんと!? いっぱい聞く。だからもっとちょうだい】
随分と懐かれたものだ。ちょろすぎるとすら思っていた。
コモーノは考えながら、話を打ち出した。
「さて、アスティ。最初の殺しをする前にいくつか前提条件を確認しておきたい」
【なんでー?】
「大事なことだからだ。それとオレの言うことを聞けば食える菓子の種類が増えるぞ」
【まだあるの!?】
あんなに絶望から濁っていた瞳が、晴れ渡った青空に差し込む星々のように輝く。甘いもので釣れるとかチョロすぎんだろ、呪縛。
だが、気持ちを急くようではダメだとコモーノは意識を改める。
「そうだ欲しくないか? さらなる甘味が」
【欲しい!】
「オレもだ欲しいものがたくさんある。だが邪魔なやつも多くてな。その為にもアスティ、お前の力が必要だ」
【わかった! 何をすればいいの?】
「そうだな、今までの魔剣士のお約束を少し改訂するだけだ。殺す相手がオレが決める。お前はのぞみの菓子が食える。それでどうだ?」
【王様を裏切るの? それはダメだよ?】
アスティの星空のような瞳がどんよりと曇る。
形骸化した王国の神聖化。呪縛の根底にある全ての払拭は無理か。
「裏切るわけあるか。オレは王国貴族だぞ? 忠実なる臣下がなぜ王を裏切る?」
【なら大丈夫。王様は殺しちゃダメなんだよ?】
「殺さないよ。殺したら国家反逆罪で追われる身だ。そうしたらアスティはもう二度とさっきの菓子を食えなくなるからな」
【え?】
キョトンとするアスティ。コモーノが用意させたものが、どうしてコモーノが国家反逆罪になると食べられなくなるのか考えが及ばない、そんな顔をする。
喉が渇いたと言ってお茶を用意した従者が居たように、菓子も専門の従者が居るのではないか? そう思ったのだ。
【もう食べれないの? やだ!】
すっかりさっきの菓子を食べれる前提で話が進む。
「オレだって死ぬのは嫌だよ。だが残念なことに、これらはオレがこの手で生み出した。レシピはオレの頭の中にある。共有する気は今のところない。いいか、アスティ。今ここでこの菓子を口に入れたのはこの世界でオレとお前、そしてそこにいるパメロのたった三人だけなんだ」
【他の人、知らない?】
「ああ、もしお前がうっかり口をこぼそうものなら、オレは大ピンチだ。それで国から嫌疑をかけられ、拘束されたらお前は俺の菓子が食えないまま次の主人の手に渡る。もちろん次の主人が菓子の知識に詳しくない場合、もう二度とこれらは口にできない。お前にそれが耐えられるか? アスティ」
【それは、困る……】
すっかり菓子に味を占めた魔剣ジャスティスは、逡巡の後強い意思を宿した瞳でコモーノを見返した。
【わかった、条件飲む。でも、王様は裏切れない。それでいい?】
「もちろんだ。アスティでは早速細かい交渉に移ろう」
コモーノが柏手を打つと、いつの間にか室内から消えていたパメロが一礼をしてから茶器と新たな菓子を持ち込んだ。
「さて、楽しい取り決めだ。アスティ、この中から一種類だけ好きなものを選んでいいぞ」
【一種類だけなの?】
「もちろんだ。どれもオレの傑作だが、楽しみはあとにとっておけ。しかし交渉が進めばもう一種類選んでいいぞ。最終的には食べられるんだ。そう急くこともないだろう」
全部で10種類の焼き菓子が並ぶ。
一口サイズのから、フォークで口に運ぶものまで色とりどりだ。用意された数こそ多くはないが、数を限定されると思わず手を伸ばしたくなる欲望が勝る。
それを見ていたコモーノがクスリと笑う。
「さっきの生キャラメルは随分と気に入ったようだな」
【あれ、すごかった!】
口の中で溶けるを初めて口にした魔剣ジャスティス。
高カロリーがすぎるので過剰に摂取しすぎると口の中の皮が剥ける非常に危険な代物なのだが、魔剣はそう言うのとは無縁らしい。さっきのはもうないのかと催促がすごい。
「あれはただ固形化させた物だが、いろんな用法があるんだ。例えばこれとか……」
コモーノは注釈を垂れながら手に取った菓子(アスティが手にしたものとは別)をひと齧りする。
【あ、ズルい!】
「ズルいとは? これはオレが用意し、オレに所有権がある。お前が食う為にはオレのお願いを聞く必要があるとさっき言ったろう? それにそのうちの一つは口にできているじゃないか。何を悔しがる必要がある。オレのお願いを聞くだけで口にできるのだぞ? ただお願いを聞くだけだ。簡単じゃないか」
【それも、そうだね】
コモーノは虎の尾を踏まないように自分の領域に相手を誘い込ませることに成功した。
「これで、おおよその約束事はおしまいだ。好きに食べていいよ」
【やった! やっぱり思った通りこれも美味しい!】
先ほどコモーノが口にしたカラメルがけのムースを頬張った。
本来頬張るものではないが、そこは魔剣。マナーなんてあってないものだ。
「では約束通り、君はオレの魔剣としてこれからよろしく頼むよ」
【いいよ、その代わりお菓子は絶対に用意。自分によっては働かないよ?】
「それでいい。それと菓子の提供者、およびその素材の生産者には刃を向けない。これに相違ないな?」
【だってこのお菓子食べられなくなっちゃうんでしょ? そんなの嫌だもん。それは絶対だよ】
ヨシ、言質をとったぞ。
これでスグエンキルの呪縛は大きく緩和される。
ただこの食いしん坊な魔剣がどこで裏切るともわからないな。
自分が子供を作ったら一番に菓子を習わせようと決意する。
そしてこの言質を最大限に生かす場面は、アルフレッドとの面会の前にしておきたいことだった。
「ならば良い、パメロ。先方からはなんと?」
「顔を突き合わせての面会を申し込んでおります。いかがなさいますか?」
「あともう少し引き延ばせぬか?」
「如何程でしょうか?」
コモーノはアスティを見下ろし、この菓子なしでは生きていけないくらいにしてからの目標を定めた。
「二週間後、面会に臨む。それまでは上手く引き伸ばせ」
「了解しました。あとで僕にも味見させてくださいね?」
パメロが指を差した先には、既に空になった器があるのみだった。どうやら食べさせてもらえると思っていたらしい。
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