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本編

本音と建前

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「ぶはぁ、緊張したぁ」

 毎度のことながらお偉いさん相手のプレゼンは緊張する。
 顔中にはブワッと玉のような汗が吹き出した。
 あのたぬき親父。一瞬落ちたようなそぶりを見せながら最後まで隙を見せなかった。名前を聞いてようやく威圧感がおさまったもの。
 本当、毎度毎度綱渡りである。

「お疲れ様です茉莉さん」
「タオル、どうぞ」
「ありがとう、二人とも。でも忙しいのはこれからよ? これからは丘の上に新しい街を作る勢いで人を呼ぶんだから」
「新しい街を作っちゃうんですか?」
「うん、今の国がもうダメになっちゃってるからねー」
「でもどうやって? 国のトップがすげ変わらない限り攻め落とせないんですよね?」
「うん、それは国が真っ当に機能してたらの話だねー」

 大きな葉っぱで仰がれながら、果実を絞ったジュースで喉を潤す。

「今の国は真っ当に機能してないんですか?」
「そりゃしてないわよー。国民に頼ってる時点で先は知れてるわ。だってつい先日までは課税制度すら無かったのよ? それがいきなり追加なんて、中央で何かあったに決まってるじゃない」
「心当たりがありすぎますねー」
「まず間違いなくあの三人が加担してるでしょうね。どうやってのっとったかは分からないけど、むしろ地獄はこれからよ? あの手の輩は際限なく弱者を嬲るもの」
「どう、するの?」
「ちょっとお城の中央に風穴開けちゃおっかなーって」
「そんなことができるんです?」
「その為の布石が開発計画なの」
「ここに街を作ると、そんなことができるんですか?」
「それを導くのが私たちの仕事よ。この国は百戦錬磨、鉄壁の異名を持つ王国。つまりそれだけ敵が多いのよ」
「それがここを賑わせることとどう関係して……あ、つまりそういうことですか?」
「? ??」

 キサラちゃんは気が付いたようだ。凛ちゃんはそのままの君でいて。

 敵の多い国が、新しい開発計画を立てる。
 それはつまり新しい国防のお披露目となりうる。
 別にそんな思惑はなくとも、そう思ってしまう国もあるってことだ。

 現実世界とか殆ど足の引っ張り合いで自滅してる企業が多いからねー。
 祖国を滅ぼされた恨みなんてそれこそ強いだろう。
 何か思惑があると勝手に勘違いしてくれるのだ。
 そこで私達はサロン業で女性を虜にする。美容にうるさいお貴族様はここに別荘地を作ろうと言い出すだろう。
 トップがまだあのおじさんにしろ、3人組にしろお金が入ってくるならその事業にストップをかけたりはしないだろう。追加徴税でさらに絞る。
 私達はタダ働きになるけど、逆にそこで油断してくれれば攻め入る隙を見せることになる。

 そうだ、望遠鏡も設置してみよう。
 流石にお城の中までは見せないけど、軍事施設は丸見えにしちゃう。
 そこで軍の動きに妙な気配を感じてくれたら勝手に他国が介入してくれるはず。
 まぁそれとは別に私の方も仕掛けるけどね。
 後処理は他国に押し付けちゃえばいいし。
 うひょー、楽しくなってきたぁ!
 
「茉莉さん、楽しそう」
「わかるー?」

 その日は女子三人で安らかな午後を過ごした。
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