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本編
革命の手引き
しおりを挟む「ふんふんふふーん♪ 」
受け取った書類に目を通し、私は鼻歌混じりにステップを刻む。
リンツァー国が一番乗りで名乗りを上げてくれたのだ。
昨日のお客様の中で国の用心と思しき相手にそれっぽく唆す手紙を送ったが、一番早い反応をくれたのがリンツァーだ。
どうやらあのお客のうち、誰かが権力者に近しい者だった様だ。
「随分とご機嫌ですね、茉莉さん」
「そうねー、さっきお手紙でうちの国に来てエステサロン開きませんかー? って誘致のお誘い来ちゃったのよねー。お受けしようか迷ってる」
「え、すごいじゃないですか。じゃあここの土地からは離れちゃうんですか?」
勇者として召喚されてここにいるけど、ぶっちゃけこの国に対して恩義もなんもないからねー。
王様もブラックな仕事押し付けてくるし、あの三人組とは仲良くできる気がしない。
「でもお得意様とかいるしどうしようかなーって」
「ですよねー、サザーランさんや串肉屋さんにはお世話になりましたし」
「うん、うん」
「そうなのよー」
わざとっぽく話をふれば、キサラちゃんも凛ちゃんもそのことを気にかけてる様だった。今でこそお金に困らない生活を送れていたが、その二名からの親切があるからこそ。
「でも最近治安も悪いしねー」
「確かに城下町に粗暴な人増えましたよねー」
「うん、うん」
そうなのだ。
増税した日を皮切りにまともに商売している人が国を離れ、裏稼業の人がのさばった。国の騎士団は機能しておらず、きっと足並みも揃ってない。
あの三人組が自分より弱い相手に給料をまともに払う筈がない。
騎士崩れが街に流れ込んだという情報もある。
私が思った以上に崩壊は目に見えていた。
反乱軍の設立は噂で聞く程度。
そこへ私は仲介人を買って出た。
「そこのあなた!」
「ああ、先日の」
「持ってきたわよ、例のブツ!」
先日つっかかってきた面倒な客が、笑顔で手を振りながら問題発言をした。
「茉莉さん、ブツってなんですか?」
「あはははははー、なんだろうねー?」
私はすっとぼけ、キサラちゃんから熱視線を浴びた。
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