ダンジョンブレイクお爺ちゃんズ★

双葉 鳴

文字の大きさ
4 / 45
ダンジョン

アップデート

しおりを挟む
 あれから、洞窟のあちらこちらでスライムと遭遇した。
 スライム、と言っても色が違えば攻撃方法も多彩。
 青いスライムはブルージェル。赤いスライムはレッドゼリー。
 黄色いスライムはゴールドボール。黒いスライムはダークジュレ。
 緑のスライムがグリーンポッド。

 名前も似てるようでみんな違う。
 一つ名前的に危ないものもあるが、なぜイエローボールにしとかなかったのか疑問である。


「緑の奴は魔法を使ってきますので気をつけて!」


 スライムの中でも1番厄介なのがこのグリーンポッドだ。
 自身を中心に円を広げ、その中に入った対象の足元に根を広げて縛り付けてくる恐ろしい拘束魔法。
 拘束時間は10秒と短いが、その間無防備にならざるを得ないので特に注意が必要だった。

 なんせこのグリーンポッド、やたら群れて現れる。
 なんだったら複数のスライムと混ざってくるものだから、どうしたって混戦になった。
 だが、こういう時にこそ役に立つのが我らが欽治さん。
 振り回すは【殴】効果だが、範囲攻撃なので魔法の拘束を解くことが可能なのだ。
 そして私のコアクラッシュはスライム特攻。
 態勢を崩したグリーンポッドを一匹づつ始末した。
 あとは金塊を落とすゴールドボールを倒せば一件落着。

 しかしこのゴールドボール、倒されそうになると即座に逃げ出す特性を持っていた。運良く倒して得た金塊は、スキルのグレードを上げるための素材。
 これによって私はコアクラッシュのグレードをⅢまで上げており、スライム系統のワンターンキルを可能としていた。


「ゴールドは絶対に逃さないで!」

「この、すばしっこい!」

「魔法があればいいんですけど!」

「ゴルフクラブを振り回してる限り無理でしょうね」

「そこ、わかってることをいちいち口にしない!」

「ああ、逃げられた!」


 戦闘終了。
 上がるレベルアップのメロディ。
 増える獲得可能スキルの中に並び立つ物理攻撃群。
 私達の探索はまだまだ始まったばかりである。
 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ユウジロウ・ササイ
 レベル9
 スキルポイント:★★★
         ☆☆☆☆
┣ーーーーーーーーーーーーーーーーーー┫
 <アイテム・情報>
 ◯金塊【スキルグレード+1】
 ◯光苔【武器グレード+1】
 ◯スライムコア【属性付与・食欲解消+15%】
 赤【火・林檎味】/青【水・檸檬味】
 緑【木・抹茶味】/黒【闇・珈琲味】
 金【光・バナナ味】
┣ーーーーーーーーーーーーーーーーーー┫
 <武器>
【火】パタークラブ【斬・打】Ⅱ
┣ーーーーーーーーーーーーーーーーーー┫
 <スキル>
 コアクラッシュ【斬・壊】Ⅲ
 草刈り【斬】範囲Ⅰ
 クリーンヒット【打・貫】Ⅰ
 食いしばり【減】Ⅰ
┣ーーーーーーーーーーーーーーーーーー┫
 <獲得可能スキル>
 ☆挑発Ⅰ【怒】
 ☆☆☆煽り芸Ⅰ【怒】範囲
 ★消火Ⅰ【殴・貫】火特効
 ★伐採Ⅰ【斬・貫】木特効
 ★水切Ⅰ【斬・貫】水特効
 ★剣閃Ⅰ【斬・貫】闇特効
 ★漆黒Ⅰ【斬・貫】光特効
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 
 ドロップしたコアを拾い、空腹を満たすべく口に運ぶ。
 スライムコアは、本当は武器に属性を付与することができるのだが、お腹に入れることで空腹も満たせる魔法の食材。
 色によって味も違うので、飽きることはないのも特徴だ。
 そしてそこらへんに落ちてる光源の一つ、光苔も強化素材になり得た。

 最初は光源にするべく集めてたんだけど、例の如く画面がポップアップして、強化素材であることが判明した。
 まぁ、レベルが上がるたびにダンジョン内の奥行きが見えるようになったから問題は無くなったんだけどね。

 まるで肉体がダンジョンに適応したみたいな感覚である。
 ちなみに特攻系のスキルは、武器に属性を付与して相手を殴ってたら勝手に生えた。
 わざわざ取ってないのは、普通に付与して殴った方が早いから。

 因みにスキルポイントの☆は10個貯まると黒塗りになる。
 そして始まりのダンジョンの横についた☆の数は★☆☆☆☆。
 これ、普通に難易度五段階のうちの1段階くらいに思ってたけど、スキルポイントと同じトリックなら14とかになるのかな?
 とはいえ憶測の域を出ない。
 気のせいってこともあるしね。


「僕たち、随分ここに馴染んできましたけど、最深部に近づいてるんでしょうか?」


 抹茶味のコアをもぐもぐしながら欽治さんが呟いた。


「さぁ? いろんな色のスライムを見ますが、どこがゴールかも知らないですし」

「そういえばそうですね。帰ろうにもどこを歩いたかも覚えてません」

「マッピングが得意な人を連れてくるべきでした」

「あの人は引退もせずにAWOにひきこもってますよ」

「でしょうね」

「いつまでも若くないのに」

「それは言わない約束という奴です」


 私の同級生である長井君はゲーム内でも頼れる相棒だった。
 情熱的な一面を持ちつつ頑固者。その癖変人と来ているので周囲を振り回す事においては右に出るものはいない。
 そんな彼がようやく夢中になれる居場所を手に入れた。
 親友だからこそ、応援してやりたい気持ちもあるのだ。


「と、今まで以上に大きな間取り。これはひょっとするとひょっとしますかね?」

「どうやらビンゴのようです」


 大きな間取りの中央には、一際大きなスライムが鎮座していた。
 私達は武器を握りしめ……それに向かい合う。



 ◇◇◇



 同時刻、世界を大地震が襲っていた。
 集合マンションに暮らす一般人は避難勧告の出されるアナウンスに従って地下シェルターへと誘導される。
 しかしそこで人々が見たものは……VRの世界と同様に動く肉体と、レベルの表記されたステータス画面だった。
 訳のわからない人々はすぐさまSNSにアクセスし、情報を交換し合う。

 そこで一つの情報がもたらされた。

 それは現実世界に起き異変にまつわる事象であり、なんら確証のないデマ。
 この世界にもゲームのような異世界的空間ができた。
 空気中に蔓延するウイルスに打ち勝つ抗体ができたのだ。

 根拠のないデマだと判断するにはあまりにも都合が良すぎた。
 そして、人々の脳内に鳴り響くアナウンス。


<始まりのダンジョンがクリアされました>

<世界がグレードアップされます>

<世界にレベルが継承されました>

<世界にスキルが継承されました>

<世界にダンジョンが出現しました>

<世界に魔法がアップデートされました>

<ダンジョン内に無数の資源がポップしました>


 その信じられない脳内アナウンスは一夜にして全世界に広がり、人々はダンジョンを求めて旅立つのだった。

 そして始まりのダンジョンをクリアしたたった二人の老人は……

「いやぁ、驚いた。最後にあんな仕掛けがあるなんて」

「出口を探す心配はありませんでしたね」

 現れた魔法陣から、パターゴルフ場へと無事帰還していた。
 手には強化済みのパタークラブと、幾つものスキルを携え日常への帰還を果たす。

 だから世間が大ダンジョン時代に移行したことを知らず、お茶の間でその発表を聞いて、思いっきりお茶を吹き出すのであった。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

部屋で寝てたら知らない内に転生ここどこだよぉぉぉ

ケンティ
ファンタジー
うぁー よく寝た さー会社行くかー あ? ここどこだよーぉぉ

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...