ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴

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31話 黄金の鉄の塊ぃ!

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 ゴーストを探し回ってる時にゴーレムに出会う。

 何故か金ピカで、リスナーからは飯にせずに倒してドロップを狙うことを強く推奨された。

 なんでも金塊を落とすのだそうだ。
 換金すると時価で最低でも100万~との事。

 が、俺たちときたら欲望に忠実に生きてるモノで。

「ゴールデンゴーレムのミンチ一丁!」

「早速ソーセージにして食おうぜ!」

 <コメント>
 :ああああああああああああ!
 :こいつらwww
 :売れば100万は固いのに
 :何言ってんだ? むしろゴールドでも関係なく調理するのがポンちゃんやぞ
 :解釈一致
 :俺らがその場にいたら絶対止めるわ
 :お味は?

「うーん、カレー風味」

「これ、調味料に加工したらカレー粉になる?」

「良いね、もう一匹見つけてダンセン持ってこう」

「いや、こんな図体のでかい相手持ってけないぜ? ダンセンに連絡したらきてくれるだろ」

 <コメント>
 :躊躇なく調味料にシフトする奴ら
 :金より飯なんだよな
 :ぶっちゃけポンちゃんの飯が100万が霞むほどの金額するんよ
 :居酒屋メニューが?
 :普通、ゴーストは調理対象外なんよ
 :文句言ってる奴ってゴーレムが適合食材の奴の気持ちわかる?
 :探そうと思ってそうそう見つかるわけ……
 :やあ!
 :居るやん
 :えぇ……金塊持ってると二匹目出てこないジンクスあったろ
 :金塊持ってないんやから出てくるやろ
 :これは横殴りされてもしゃーない
 :横殴りはマナー違反だぞ?
 :ここにくる奴の目的こいつだから!
 :今行く! 絶対倒すな!

「おう、連れてきたぜ」

「これを、調味料にすれば良いんですね!」

 <コメント>
 :呼んでない、帰れ!
 :あああああああああああああああ!
 :一瞬で酔いが覚めたわ
 :人の獲物でする皮算用は美味いか?

「配信見てたので、そろそろかなと」

「予想通り、カレー粉でした。ゴールデンスパイスという名称ですね」

「ありがとう、早速一品作るから食べてって」

「ご相伴に預からせてもらいます!」

 卯保津さんはクララちゃんを保護してから、クララちゃんと行動を共にするようになった。

 以前までのように俺たちに付き従って飲んだくれてるのは支部長としてあるまじき行為だと支部長会議で問題視されたのもあるが、単純に俺たちが守る必要がないくらいに強くなったというのもある。

 だったら何かとトラブルに巻き込まれやすい、か弱いクララちゃんを守るのは保護者として当然の事だった。
 俺たちもその方が色々都合がいいし。

「簡単にゴールデンソーセージ入りミートスパゲティにしてみた。こんなところで食べづらくて悪いけど」

「流石にテーブルやら椅子やら持ってこれないからな。皿ならいつでも綺麗に洗えるから常備してるぜ」

「ありがとうございます。では早速……あっ、普通にカレーの風味。でも安っぽいカレー粉でもなくて、噛むほどに風味と甘みが口いっぱいに広がってます!」

「調味料もそうだけど、ミンチ肉もカレー風味だから奥深さがあるのか!」

 クララちゃんと卯保津さんが絶賛する。

 俺はフライパンに残った油分でチャーハンも作り上げる。
 米に油を染み込ませてパラパラに。
 刻んだ玉ねぎが良いアクセントになる。

 俺はここにゴブリンパン粉を用いて余計な油を吸わせた。
 また違った食感が出て美味い奴だ。

「ナイスポンちゃん! レベルアップだ!」

「私の調味料がこんなふうに生かされてるのは嬉しいですね ♪   あ、私のレベルも上がってます。でもどれで?」

 先ほどまで気づきもしなかったクララちゃんが、ゴールデンゴーレムか、ゴブリンかで迷ってる。
 レベル上限アップって特に高揚感もないから目をかけてないと気づかないんだよなぁ。

「もう一匹食べてみる?」

 ちょうど見つけたゴーストをミンチ肉にして腸詰め。
 分厚い衣に、ゴブリンパン粉をつけてフライに。

「これじゃないですね」

「じゃあこっち?」

 ゴールデンゴーレムをハンバーグにして食べさせる。
 今回、調味料の方はなし。

 ゴーストソルトを使用して、焼き上げた。
 事前にゴーストソルトでレベル上限が上がってないのは確認済みだ。

「あ、上がりました」

「これで適合食材が判明したね」

「私の適合食材はゴーレムでしたか……」

 見つからないわけだ、と落ち込むクララちゃん。
 そりゃ普通はゴーレムを食べないしね。
 けど俺は全く違う見解を示す。

「いや、多分クララちゃんの適合食材はゴールデンゴーレムの方だ」

「えっ?」

「包丁を入れてみた感じだけど、こいつとゴーレムは系統からして違う。ゴーレムはマジックゴーレム種。こっちはメタルゴーレム種。別の種族だよ。分類的にはゴーレムなので、多分ダンジョンセンター側が同種個体と認識してるんだろうと思う」

「それは本当か? ストーンゴーレムとゴールデンゴーレムは違う系統?」

「そういや、通常ゴーレムは魔法がよく効くが、ゴールデンの方は魔法の通りが悪かったな」

 ヨッちゃんの言い分は当たってる。
 ゴールデンゴーレムは物理が通りやすいのだ。

「いつも力任せにぶん殴ってるから気づかなかったぜ。でも確かにゴールデンの方はゴーレム系にしては随分と脆いなと思ってた」

「ウチのリスナーさんが言ってました。ドロップする金塊を持ってると、二匹目が出ないと」

「ああ、一人が持ってるとダンジョン内に出現しないってジンクスな。だからゲットしたやつは速やかに換金しに行くんだ。それがここの常識ってやつでさ」

「それっておかしくないですか?」

「確かに二匹目以降出してくれてもいいと思うが、ここのダンジョンはそういう仕組みでなぁ」

「そうじゃなくてですね、ドロップが一種類しかないのがおかしいという話です。倒すと本体が消えて金塊が出るんですよね? 他のゴーレムのように死体が残らない」

「あ! そういえばそうだな」

 ようやく合点が言ったように卯保津さんが手を叩く。
 ダンジョンの不思議だと頭の中で決めつけているから、他のモンスターが死体を残すのに、金塊以外の全てが消える不思議に気付かない。

「俺、こいつにそっくりな形態持つやつ知ってるんです。スライムって言うんですけど」

「スライム? あいつは死体を残すだろ?」

「いえ、コアを残して他は消滅しますよ。でもそのコアを水に近づけると復活するんです。弱いから倒すのも簡単で生きたまま調理できますから」

「あれ? そうだっけ」

「スライムって割と謎の生態系なんですよね」

「で、ポンちゃん的にはこのゴールデンゴーレムも似たような系統だってのか?」

 ヨッちゃんの指摘に、俺は頷いた。

「多分ですけど、こいつは金塊に擬態して、ダンジョンの中で復活できる機会を待ってるんじゃないかって。ダンジョンでなんで二匹同時に現れないかは、俺も分かりませんが、もしそうなら……保管場所は大変なことになってるはず」

「いやいや、そんなまさか」

「まぁダンジョンの中のように魔力が満ちた場所じゃなきゃ復活できない縛りとかあるかもしれませんが、俺はそう思うんですよ。じゃなきゃ金属だけ残すっておかしくないですか? 図体のデカさの割に合わない塊だけ寄越すなんて」

「もしそれが本当なら……管理会社からクレームが来てるだろ」

「まぁ、これは俺の憶測です。ただもしそうだった場合、怖くないですか?」

 所詮与太話は与太話。
 卯保津さんとクララちゃんはダンジョンセンターに戻っていった。

 それから数日後、銀行が強盗に襲われ、隠れ家のダンジョンで大量のゴールデンゴーレムに襲われて壊滅したというニュースが報じられた。

 やっぱりそう言う系統だったかーと考えると同時、美味い話には裏があるのだと納得した。

 それ以降換金率は異様に下がり、時価100万だったのが60万まで下がった。

 それでも十分駆け出しには大金なので、いまだに武蔵野デパ地下ダンジョンは多くの探索者で賑わっていた。
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