ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴

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32話 ミサミサコラボ①

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 まだ底辺だった頃に出会ったミサちゃんから「今日は空ウツボ狩りでもしませんか?」とのコラボのお誘いがあった。

 同じ配信者としてたまに見知った彼女の配信にも目を通す。
 その理由は彼女が美食家であることと、見たことのない料理でも果敢に挑む姿勢だからだ。

 食レポの方はまだちょっと感情に引っ張られてしまうところがあるけど、見た目の画像構成はしっかりしてるので味の想像はつきやすい。

 見た目以上に元気で活動的。
 本当に俺たちと同じダンチューバーなのかと、何度も疑ったものだよ。

 だって俺たちダンジョン内で飯食って酒飲んでるだけだからさ。
 コラボ先で上手いセリフの一つでも言えたら良いんだけど。

 そんなコラボの話をダンジョンセンターに通せば。

「何!? 空ウツボハント! なら俺たちも行かねばなるまい」

「高級食材ですね! 通常調味料と活け〆調味料がどう化けるか私、興味があります!」

 追加で二人の参加メンバーが決定した。

 未成年という意味ではミサちゃんも一緒なので、クララちゃんについてくるなとは言えず、逆に新しいメニューが増えるのならばとミサちゃんも乗り気で了承。

 結果コラボ中はアルコール厳禁となった。
 酒抜きでヨッちゃんが暴れないかだけが心配だ。

 まぁミサちゃんと同じ適合食材だし、大丈夫だとは思うけど。

 そんなこんなでやってきました、再びCランクダンジョンに。
 この間は秘密の抜け道に入っちゃったものだから通常ルートに行けてない。
 そのまま帰ったから、会わずに帰っちゃったんだなと今になって知る。

 まだDランクダンジョンは制覇しきってないからこっちに意識を取られすぎてもなーとは思う。

「こんみさー! 何と今日は特別企画! コラボですよコラボ!」

 <コメント>
 :タイトルで隠しきれてないオーラ
 :その背景はCランクダンジョンですか?
 :空ウツボ狩るんならそらCやろ
 :空にいるのが厄介なくらいでモンスターランクはDだぞこいつ
 :高級食材というだけあり、仕留めるのにもテクニックがいるんだよ

「初めましての方は初めまして。同じくダンチューバーをやらせてもらってるダンジョン美食倶楽部のポンちゃんこと本宝治と」

「ヨッちゃんこと藤本だ! 今日はよろしくたのんまーす!」

 <コメント>
 :ヨッちゃん軽い
 :ポンちゃん礼儀正しい
 :でも底辺なんでしょ? ミサミサと釣り合わなくない?
 :まだこの人達を底辺と騒ぐ奴いるのか
 :この人達、単独でミノタウロス倒してるんですが
 :なお、食った模様

「あれは美味かった! ハンバーグ一択だったよな!」

「ミンチにしちゃったからねぇ。メンチカツにしとくなり何なりあったのに。今思えばもったいないことしてたなって」

 <コメント>
 :誰もミノタウロス討伐に喜んでないの笑う
 :相変わらず食うこと以外考えてないのな
 :そりゃデパ地下ダンジョンですら食一択だからこの人達
 :は? あそこ食えるモンスター存在しないだろ
 :ダンセンでリビングアーマーハンバーグとか売ってるだろ
 :リビングアーマーはソーセージなんだが?
 :ゴーレムハンバーグは至高!
 :ばっか、ゴーストの刺身だろうがよ!
 :え、それ本当にメニューとしてあんの?
 :味が想像できないのばっかだよね
 :ポンちゃんはいいけどヨッちゃんは何する人?
 :ただの酒飲みは帰れ

「ヨッちゃんはモンスター討伐と、ダンジョン内での燃料を必要としない火おこし、氷結処理、冷水担当、テーブル担当、換気扇担当だから必要」

 <コメント>
 :俺らと全く違う魔法の運用方法で草
 :回数制限ェ
 :魔法使い兼調理サポーターだからな
 :早くて、美味くて清潔にが美食倶楽部のモットーだから
 :ダンジョン内の時点で衛生観念は怪しいぞ?
 :それはそう

「それと他にももう二名、来てもらってます」

「ダンジョンセンター武蔵野支部長、卯保津飯男だ」

「同じくダンジョンセンター武蔵野支部職員、倉持クララと言います。私はモンスターを調味料に出来るので、今回は高級食材がどう変化するか楽しみにしてます!」

 <コメント>
 :出た! 名物支部長
 :この人ただの酒飲みだから見てて不快
 :よく支部長になれたよな
 :クララちゃん、職員になったんだー
 :クラスでも浮いてたしね
 :能力がアレすぎて探索者向かないって言ってたもんね

 ん? どうやらこのチャンネルにはかつてのクラスメイトが居たようだ。

 ミサちゃんも若いし、偶然拝見してたのだろう。
 クララちゃんの様子に変化なし。

 過去は過去と割り切っているようだ。
 本人も自立するためのお金さえ工面できたら学校に未練がないと言ってたし、まぁいいのか?

「と、言うわけで新たに四名を加えての空ウツボハント! 今日こそは一匹くらい確保したいと思います!」

 んん?
 その様子だと独力で一匹すら獲得できてないふうに聞こえるけど、コラボに誘っておいて、まさかそんなことはないよね?

 まさかね。

 軽い挨拶を終えて、早速生息地域へ案内してもらう。

 <コメント>
 :早速食えない代表きた
 :腐ってるからねぇ

 いやぁ、問題ないでしょ。俺はミンサーを使ってミンチに。

 あとはヨッちゃんが足の生えた場所に向けてかまいたちを発生!
 足を全部切断して動けなくした。

「クララちゃん、お願い!」

「これ、まだ生きてますよね?」

「〆てる必要がありかのチェックも兼ねて」

「なるほど、この状態でできたら私も助かります……残念、できませんでした」

 <コメント>
 :そりゃそうよ
 :しっかしエグい魔法打つな、ヨッちゃん
 :魔力操作がエグいんよ
 :俺、寸分違わずゾンビドッグの足落とす自信ないわ

 コメントを流し読みしつつ、死んでる相手に活け〆。
 通常よりも無駄にアストラルボディに仕込み包丁を入れて、と。

「いけました! これは……ブルーチーズ?」

「お、カビてるけど美味い奴だ。ワインに合うんだよな」

 卯保津さんが早速食いつく。

「酒は飲ませませんよ?」

「言ってみただけじゃねぇかよ。でもまぁ、まるで食えないわけじゃねぇし」

「これって食えんのか? 直接カビてんのはオレちょっと苦手」

 ヨッちゃんが敬遠するようにブルーチーズを遠ざけた。俺も直接見たのは始めてだ。

 食通(?)の卯保津さんの言うことだから間違いないんだけど、ゴブリンを美味いって言う味覚だからなぁ。

「見た目がわからなくなればいいんだな?」

 俺はヨッちゃんに湯を沸かすように伝えてパスタを茹でる。

 先ほど仕入れたゾンビドッグミンチを炒めてトマト缶、塩、ゴーレムスパイス、スライムシュガーでミートソースを作成。

 パスタと絡めて試食会とした。
 ブルーチーズは上から削ってふりかけた。

 <コメント>
 :ダンジョンの真ん中で調理するんじゃないよ
 :ゾンビドッグがまだ見てるんですよ?
 :草
 :ゾンビドッグ君強く生きて!
 :死んでるんだよなぁ

「あ、この独特の香ばしさ! 二つ星レストランで食べたことあります! そっか、これがブルーチーズだったんだ!」

「ちなみにこのミートソースのお肉はゾンビドッグの肉だ」

「うぇええ、腐ってるってことですか!?」

「いやいや、食えないモンスターも肉に仕上げるポンちゃんのスキルだから」

「ポンちゃんは岩でも鉄鎧でも肉にしちまうスキル持ちだ。普通の肉の味だったろ? 本のちょびっとの腐臭はブルーチーズのものだし」

「あ、そう思ったら普通に食べれます」

「じゃあ残りの肉はソーセージにしてケチャップで食べちゃいましょう」

「賛成!」

 <コメント>
 :なんか普通に立ち食いパーティしてるんよ
 :いつもの風景
 :これが美食倶楽部だから
 :ミサミサのチャンネルなのに、一切引かない姿勢
 :そこに痺れる憧れるぅ!

 軽食をいただいたら、軽く運動でもしましょうかね。

 通常のゾンビドッグは粉チーズになった。
 特にカビてもないがクセもない。

 こっちの方が需要ありそうな気がするね。

 でも使用回数の都合上、一度だけに止めてあとは物理的に埋葬した。
 ヨッちゃん様々である。
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