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141話 ダンジョン封鎖計画 7
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「へぇ、最近はそういうのができたんですねー」
ダンジョンデリバリーサービス。
おそらく政府から声をかけられた加工スキル持ちが、ダンジョンに閉じ込められた探索者相手に出入り業者の真似事をするシステムだろう。
「そうそう、だからポンちゃんも定期的にこっちに立ち寄んなくても大丈夫になってさ」
「別に狙ってこっちに来れるわけじゃないですよ? 偶然ですよ、偶然」
その偶然が週に一度のスパンで続いただけのことだ。
だから狙ってこっちに来れるのを向こうも勘付いてるんだろうけど。
ここはかつて富井ミートさんが管理していたAランクダンジョン。
オークの牧場があった場所だ。
富井さんが管轄から離れた後、一般開放されて今ではこうやって俺もオーク肉を調達しにきているんだ。
そんなわけでここのダンジョンの人たちとは結構顔を合わせてることになっていた。
「そうなんだけどさ。ポンちゃんは気にしいだからさ。どこかで気にしちゃうじゃん? ま、俺たちもそれにあやかってたところはあるんだけどさ。もう大丈夫だから」
そう言って、ここのダンジョンで暮らすことになった門川さんは不器用なりに仕上げた工作品を見せてくれた。
それはダンジョン素材を切って貼って作り上げた何かだった。
削り出した石に金属の何かを当てはめた、無骨な指輪……のような何かである。
あいにくと俺は芸術には詳しくないのでそれを正しく評価できないが、割とよくできていると思う。
「でもこれで、何か変わるのか? デリバリーは物々交換が主体なんだろ?」
ヨッちゃんが無骨な指輪を持ち上げて不躾な質問をする。
あ、俺が敢えて聞かないようにしてたことをわざわざ指摘するなよ。
「ぐっ、確かにこれは出来が悪いかもしれないが、でも何もしてないヨリはいい。それに、ただここで死を待つより、暇つぶしにもなるんだ」
門川さんは苦悶に満ちた表情をする。
でも、何かに打ち込めるのがあるだけで気が晴れるというのはわかる気がした。
「わかります。俺も辛い時、打ち込める仕事の有無で乗り越えることができました」
「そっかー、オレは打ち込める仕事が皆無だったから、酒にばっかり逃げてたなー」
おい、元ダンジョンセンター職員。
とは言うが、彼女は自分の苦労話をあんまりしたがらないからね。
今が楽しければいい、そう言う前向きな性格に俺もよく助けられてきたっけ。
これは彼女なりの励ましなのだ。
「と、冗談はさておき、俺たちも何か手伝えることがあれば教えてくれ」
「いいのかい? こっちの都合なのに。とは言ってもポンちゃんに料理以外で頼むことなんて……モンスターの討伐はこっちの戦力で足りるしなー」
戦力的に過剰。料理以外で困ってることなんてないと言っているが、実際問題衣食住は最重要課題なのはみて取れる。
ヨッちゃんの魔法でトイレやシャワー室は作ったが、まだまだプライベートの空間はない。
「俺は確かに料理人だが、料理だけしておしまいってわけじゃない。こういう一見無駄なことだって、何かの役に立ち場合もあるんだ。俺にもやらせてほしい」
「そうだな、今はまだ無駄だと思うかもしれないが、その活用法を見出すのも俺たち次第か」
「そうそう。俺たちは好き好んでダンジョンで暮らしてるが、みんながみんなそうじゃない。早く帰りたい人だっている。けどここで諦めないためにも……」
「何か仕事を見つけるのも大切ってことか。敵わないなぁ」
「ほしいものがあるうちは、仕事なんていくらでもあるでしょう。まずは環境の整備から。そのためには時間はいくらあっても足りないはずです」
「そうだな。俺のこいつも、少しくらい政府に高値で買ってもらって、こっちの要望を通しやすくしないとだ」
「その意気です。俺も微力ながら協力しますよ」
そう言って、慣れない仕事に向き合う。
俺も何かしら見よう見まねで作業する。
「なー、ポンちゃん。オレもなんか手伝うか?」
ただ一人、さっきの会話を聞いてなかったのか。
ヨッちゃんが暇そうな顔をして俺の作業に目を向けた。
「うーん、そうだな。じゃあこれくらいの水を頼む」
「オッケー」
ちゃぽんと出された水たまり。
そこに泥だらけの草を放り込んで水洗い。
じゃぶじゃぶ洗ってる場所をジロジロ見られながら、スキルの包丁を取り出した。
「それは何してんの?」
「んー? これは編んで紐にならないかなって。引っ張ってみた感じ、結構頑丈だったからさ。あるものだけでなんとかならないかって思った」
「ふーん」
「最悪、命綱になれば御の字」
「オレは空飛べるから」
「俺は飛べないんだよなぁ……」
お互いに得意分野が違うからね。
それは今更だけど。
「と、出来た」
「紐だなぁ」
「紐でも、この頑丈さはどこかで何かに使えるでしょ」
「例えばどこで?」
「うーん? チャーシューを縛るのに、凧糸が見つからない時の代わり?」
「いいねー、それ食べたい!」
いや、用途を聞かれたから答えたけど、今すぐ作るなんて言ってないからな?
「オーク狩ってきたぞー! 飯にしようぜー」
「ほら、ちょうど飯時だしチャーシュー! 焼豚!」
「なんだかなぁ」
そのままなし崩し的に、チャーシューを作ることになった。
「本宝治さんも一品作ってくれるんですか? 助かります」
「悪いね、うちの相棒がチャーシューが食いたいって駄々こねちゃって」
オークの肩ロース肉を少しもらい、そいつを塩、胡椒で味付け。よく揉み込んだら、さっきの紐で縛って鉄板の上で焼き色をつける。
オーク肉は巨大なので、煮込むとなったらフライパンという選択肢はない。
大きめの寸銅鍋を用意して、そこにヨッちゃんに水を用意してもらい、ひたひたに浸かるまで流し込み、火にかける。
そこにヴァンパイア醤油、巨大タコから加工した生姜をすりおろして入れ、市販のハチミツと、富井さんからもらった日本酒を熟成乾燥させたお酒を注ぐ。
こいつをアク抜きしながら数時間煮込めば、いい感じの香りがしてくる。
「あー、腹の減る匂い」
「白飯が欲しくなるなぁ」
「残念ながらストックはないぞ」
「くそー、絶対うまいって確信があるのにこの食糧難だよ!」
「なので、こういう食い方をお勧めする」
取り出したのは小麦粉……のような粉末。
これはこのダンジョンに生息している植物の根っこを煎じていたところ、粘り気を持ち始めたので熟成乾燥を施し、粉末状にしてストックしているものだった。
これを水で解き、熱々の鉄板の上でシート状にする。
原理としては春巻きの皮に近いな。
ライスペーパーほど、薄くはない。
「へぇ、それをクレープみたいに巻いて食うのか」
「味まで小麦粉ってわけじゃないが、手を汚さず食うのにゃこういう工夫が必要だ。コメがありゃ最高なのは俺もわかってるんだがな」
早速出来上がったのを配る。
俺が仕上げて、ヨッちゃんが分配だ。
「うめー」
「生きててよかった!」
「こっちの生姜焼きもうまいぞ!」
「くそー、ラインナップのどれもがご飯と相性が良過ぎる!」
「豚肉はそれだけご飯のお供としてやってきてるからな」
別にそれだけが正解だとは言わないが、ご飯がベストと思うのは日本人ならではだろう。
「ポンちゃん、なんとかご飯持ってこれねぇか?」
「それこそ政府のダンジョンデリバリーに頼むしかないな。物さえあれば俺もなんとかしたいが、モノがないんじゃどうしようもないし」
「まじかー」
ヨッちゃんにこう言ったが、今の俺たちの手持ちは僅かだ。
ダンジョンを出入りできる関係上、持ち込む分には可能だが、それはずっと面倒を見る場合に限る。
政府側がどのような対処をとってくるかまだ分からない以上、こちらの切り札を切るのはあまり良くないと思うのだ。
ここでは同じ遭難者としての対応が求められてる。
もしここで俺たちが、ダンジョンデリバリーと同様の仕事ができたとして。
彼らだけを優遇するのは違うと思うんだよなぁ。
北海道のダンジョンブレイクでもそうだったが、一度始めたら他のところにも同様にしなきゃいけなくなる。
俺が始めたら、それにヨッちゃんを巻き込む形になるし。
それは彼女本人も望んで無いだろう。
「ま、米に変わるものが早く見つかればいいな! もし見つかったらオレに教えて。勿論人力炊飯器としてすぐに炊き上げてやんよ!」
「それは心強いな。ダンジョン内で家電は使えないから」
ここはまだ食材で困ることはない。
ヨッちゃんは自分にできることを提示しながら、何も無いなら無いなりに自分の価値を知らしめた。
みんながナイナイ尽くしで困ってる中、自分のできることを宣言するのは誰にだってできることじゃない。
俺が料理をできることは周知の事実だが、ヨッちゃんのようなマジックキャスターの見せ場は戦闘。
それ以外での出番はない場合が多い。
けど彼女がそう名乗り出るだけで、戦闘一本の魔法の使い手が生産に加わりやすくなる。
すぐにヨッちゃんクラスにはならないけど、何も出来ないと嘆くことはないとの指標になるだろうし。
オークダンジョンを離れ、二人きりになる。
すると彼女は「どうよ、オレの芝居は神掛かってたろ?」と自慢気だ。
「マジックキャスターの地位向上でも狙ってたのか?」
「そんな大したもんじゃねーけど、オレが手本になれば誰か真似し始めるかも知れねーじゃん?」
「いっそそう言うライフハックみたいなの動画にしたら?」
「うーん? そんなもんが役に立つのか」
「俺がいうのもなんだが、自分でできるからって他人も自分と同じ芸当ができるって期待しない方がいいぞ?」
「そりゃそうだろ」
「自分が昔苦労を思い出しながら、やってみたらどうだ? ヨッちゃんのダンジョン内ライフハックとしてコーナー作ってもいいし」
「考えてみる」
そう言って、今日も何か初級魔法で色々模索した。
俺も、誰でも真似できる、切るだけ、焼くだけの料理を模索した。
ダンジョンデリバリーサービス。
おそらく政府から声をかけられた加工スキル持ちが、ダンジョンに閉じ込められた探索者相手に出入り業者の真似事をするシステムだろう。
「そうそう、だからポンちゃんも定期的にこっちに立ち寄んなくても大丈夫になってさ」
「別に狙ってこっちに来れるわけじゃないですよ? 偶然ですよ、偶然」
その偶然が週に一度のスパンで続いただけのことだ。
だから狙ってこっちに来れるのを向こうも勘付いてるんだろうけど。
ここはかつて富井ミートさんが管理していたAランクダンジョン。
オークの牧場があった場所だ。
富井さんが管轄から離れた後、一般開放されて今ではこうやって俺もオーク肉を調達しにきているんだ。
そんなわけでここのダンジョンの人たちとは結構顔を合わせてることになっていた。
「そうなんだけどさ。ポンちゃんは気にしいだからさ。どこかで気にしちゃうじゃん? ま、俺たちもそれにあやかってたところはあるんだけどさ。もう大丈夫だから」
そう言って、ここのダンジョンで暮らすことになった門川さんは不器用なりに仕上げた工作品を見せてくれた。
それはダンジョン素材を切って貼って作り上げた何かだった。
削り出した石に金属の何かを当てはめた、無骨な指輪……のような何かである。
あいにくと俺は芸術には詳しくないのでそれを正しく評価できないが、割とよくできていると思う。
「でもこれで、何か変わるのか? デリバリーは物々交換が主体なんだろ?」
ヨッちゃんが無骨な指輪を持ち上げて不躾な質問をする。
あ、俺が敢えて聞かないようにしてたことをわざわざ指摘するなよ。
「ぐっ、確かにこれは出来が悪いかもしれないが、でも何もしてないヨリはいい。それに、ただここで死を待つより、暇つぶしにもなるんだ」
門川さんは苦悶に満ちた表情をする。
でも、何かに打ち込めるのがあるだけで気が晴れるというのはわかる気がした。
「わかります。俺も辛い時、打ち込める仕事の有無で乗り越えることができました」
「そっかー、オレは打ち込める仕事が皆無だったから、酒にばっかり逃げてたなー」
おい、元ダンジョンセンター職員。
とは言うが、彼女は自分の苦労話をあんまりしたがらないからね。
今が楽しければいい、そう言う前向きな性格に俺もよく助けられてきたっけ。
これは彼女なりの励ましなのだ。
「と、冗談はさておき、俺たちも何か手伝えることがあれば教えてくれ」
「いいのかい? こっちの都合なのに。とは言ってもポンちゃんに料理以外で頼むことなんて……モンスターの討伐はこっちの戦力で足りるしなー」
戦力的に過剰。料理以外で困ってることなんてないと言っているが、実際問題衣食住は最重要課題なのはみて取れる。
ヨッちゃんの魔法でトイレやシャワー室は作ったが、まだまだプライベートの空間はない。
「俺は確かに料理人だが、料理だけしておしまいってわけじゃない。こういう一見無駄なことだって、何かの役に立ち場合もあるんだ。俺にもやらせてほしい」
「そうだな、今はまだ無駄だと思うかもしれないが、その活用法を見出すのも俺たち次第か」
「そうそう。俺たちは好き好んでダンジョンで暮らしてるが、みんながみんなそうじゃない。早く帰りたい人だっている。けどここで諦めないためにも……」
「何か仕事を見つけるのも大切ってことか。敵わないなぁ」
「ほしいものがあるうちは、仕事なんていくらでもあるでしょう。まずは環境の整備から。そのためには時間はいくらあっても足りないはずです」
「そうだな。俺のこいつも、少しくらい政府に高値で買ってもらって、こっちの要望を通しやすくしないとだ」
「その意気です。俺も微力ながら協力しますよ」
そう言って、慣れない仕事に向き合う。
俺も何かしら見よう見まねで作業する。
「なー、ポンちゃん。オレもなんか手伝うか?」
ただ一人、さっきの会話を聞いてなかったのか。
ヨッちゃんが暇そうな顔をして俺の作業に目を向けた。
「うーん、そうだな。じゃあこれくらいの水を頼む」
「オッケー」
ちゃぽんと出された水たまり。
そこに泥だらけの草を放り込んで水洗い。
じゃぶじゃぶ洗ってる場所をジロジロ見られながら、スキルの包丁を取り出した。
「それは何してんの?」
「んー? これは編んで紐にならないかなって。引っ張ってみた感じ、結構頑丈だったからさ。あるものだけでなんとかならないかって思った」
「ふーん」
「最悪、命綱になれば御の字」
「オレは空飛べるから」
「俺は飛べないんだよなぁ……」
お互いに得意分野が違うからね。
それは今更だけど。
「と、出来た」
「紐だなぁ」
「紐でも、この頑丈さはどこかで何かに使えるでしょ」
「例えばどこで?」
「うーん? チャーシューを縛るのに、凧糸が見つからない時の代わり?」
「いいねー、それ食べたい!」
いや、用途を聞かれたから答えたけど、今すぐ作るなんて言ってないからな?
「オーク狩ってきたぞー! 飯にしようぜー」
「ほら、ちょうど飯時だしチャーシュー! 焼豚!」
「なんだかなぁ」
そのままなし崩し的に、チャーシューを作ることになった。
「本宝治さんも一品作ってくれるんですか? 助かります」
「悪いね、うちの相棒がチャーシューが食いたいって駄々こねちゃって」
オークの肩ロース肉を少しもらい、そいつを塩、胡椒で味付け。よく揉み込んだら、さっきの紐で縛って鉄板の上で焼き色をつける。
オーク肉は巨大なので、煮込むとなったらフライパンという選択肢はない。
大きめの寸銅鍋を用意して、そこにヨッちゃんに水を用意してもらい、ひたひたに浸かるまで流し込み、火にかける。
そこにヴァンパイア醤油、巨大タコから加工した生姜をすりおろして入れ、市販のハチミツと、富井さんからもらった日本酒を熟成乾燥させたお酒を注ぐ。
こいつをアク抜きしながら数時間煮込めば、いい感じの香りがしてくる。
「あー、腹の減る匂い」
「白飯が欲しくなるなぁ」
「残念ながらストックはないぞ」
「くそー、絶対うまいって確信があるのにこの食糧難だよ!」
「なので、こういう食い方をお勧めする」
取り出したのは小麦粉……のような粉末。
これはこのダンジョンに生息している植物の根っこを煎じていたところ、粘り気を持ち始めたので熟成乾燥を施し、粉末状にしてストックしているものだった。
これを水で解き、熱々の鉄板の上でシート状にする。
原理としては春巻きの皮に近いな。
ライスペーパーほど、薄くはない。
「へぇ、それをクレープみたいに巻いて食うのか」
「味まで小麦粉ってわけじゃないが、手を汚さず食うのにゃこういう工夫が必要だ。コメがありゃ最高なのは俺もわかってるんだがな」
早速出来上がったのを配る。
俺が仕上げて、ヨッちゃんが分配だ。
「うめー」
「生きててよかった!」
「こっちの生姜焼きもうまいぞ!」
「くそー、ラインナップのどれもがご飯と相性が良過ぎる!」
「豚肉はそれだけご飯のお供としてやってきてるからな」
別にそれだけが正解だとは言わないが、ご飯がベストと思うのは日本人ならではだろう。
「ポンちゃん、なんとかご飯持ってこれねぇか?」
「それこそ政府のダンジョンデリバリーに頼むしかないな。物さえあれば俺もなんとかしたいが、モノがないんじゃどうしようもないし」
「まじかー」
ヨッちゃんにこう言ったが、今の俺たちの手持ちは僅かだ。
ダンジョンを出入りできる関係上、持ち込む分には可能だが、それはずっと面倒を見る場合に限る。
政府側がどのような対処をとってくるかまだ分からない以上、こちらの切り札を切るのはあまり良くないと思うのだ。
ここでは同じ遭難者としての対応が求められてる。
もしここで俺たちが、ダンジョンデリバリーと同様の仕事ができたとして。
彼らだけを優遇するのは違うと思うんだよなぁ。
北海道のダンジョンブレイクでもそうだったが、一度始めたら他のところにも同様にしなきゃいけなくなる。
俺が始めたら、それにヨッちゃんを巻き込む形になるし。
それは彼女本人も望んで無いだろう。
「ま、米に変わるものが早く見つかればいいな! もし見つかったらオレに教えて。勿論人力炊飯器としてすぐに炊き上げてやんよ!」
「それは心強いな。ダンジョン内で家電は使えないから」
ここはまだ食材で困ることはない。
ヨッちゃんは自分にできることを提示しながら、何も無いなら無いなりに自分の価値を知らしめた。
みんながナイナイ尽くしで困ってる中、自分のできることを宣言するのは誰にだってできることじゃない。
俺が料理をできることは周知の事実だが、ヨッちゃんのようなマジックキャスターの見せ場は戦闘。
それ以外での出番はない場合が多い。
けど彼女がそう名乗り出るだけで、戦闘一本の魔法の使い手が生産に加わりやすくなる。
すぐにヨッちゃんクラスにはならないけど、何も出来ないと嘆くことはないとの指標になるだろうし。
オークダンジョンを離れ、二人きりになる。
すると彼女は「どうよ、オレの芝居は神掛かってたろ?」と自慢気だ。
「マジックキャスターの地位向上でも狙ってたのか?」
「そんな大したもんじゃねーけど、オレが手本になれば誰か真似し始めるかも知れねーじゃん?」
「いっそそう言うライフハックみたいなの動画にしたら?」
「うーん? そんなもんが役に立つのか」
「俺がいうのもなんだが、自分でできるからって他人も自分と同じ芸当ができるって期待しない方がいいぞ?」
「そりゃそうだろ」
「自分が昔苦労を思い出しながら、やってみたらどうだ? ヨッちゃんのダンジョン内ライフハックとしてコーナー作ってもいいし」
「考えてみる」
そう言って、今日も何か初級魔法で色々模索した。
俺も、誰でも真似できる、切るだけ、焼くだけの料理を模索した。
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