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一章
(2)冒険者への道
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俺たちは無能じゃない。
迷子の子を救ってすっかり自信を取り戻した。
なんと俺のガチャは、回すだけでステータスを獲得できる。
それが証明されたのだ。
対価はなんと銅貨。
迷子の女の子をお母さんの元に送ってあげたら、感謝の印として貰った銅貨。
お金が欲しかったわけじゃない。
ただ、気持ちの品がお金だっただけだ。
何かを成し遂げた成果だからだろうか?
そのお金を手にした時、ガチャが輝いた。
そして俺たちのステータスが上昇した。
俺だけじゃなく、薫や委員長、杜若さんの三人とも全員同時に上がった。
なんだこのチート。
とんでもないチートだ。
これはもしかして巻き返せるのではないか?
そんな気持ちが込み上げる。
気持ちの大きくなった俺は、戦利品の土産話をそれはそれは大仰に話したさ。そのついでにステータスの上昇も確認したとしたり顔で言う。
しかし、レギュラーの三上から言わせたら、俺の成長値なんて微差でしかないと言い切られてしまった。
「悪いけど阿久津。俺たちに気を遣わなくていいから。そのガチャはお前達のためだけに使うといい」
「えっ」
悪気がないのはわかってる。
実際に目は笑っておらず真剣そのもの。
三上泰明は生真面目を絵に描いたような男だ。
国からの信頼も厚く、クラスでいちばんのステータスを誇っていた。だから、三上からしてみたら、俺たちのやってることは遊びに見えたのかもしれない。
そんなつもりはないのに、そう感じ取れるくらいに突き離されてしまったのだ。
一週間前まで、同じ高校に通う生徒同士だったのに。
どこでそこまで差がついたのか?
考えるまでもない。
三上達レギュラーは責任がのしかかってる。
失敗したら次はない。重い責任だ。
対して俺たちはどうだ?
ヘラヘラしながら迷子のお世話。
お金を手にして調子に乗った。
そりゃあ憐れまれるわ。
何やってんだ俺は。
自分で自分が情けなくなってくる。
きっと自分の力に、有用性に気づいて舞い上がってたんだ。
自分一人の力じゃないのに、勝手に俺が全て解決したかのように振る舞った。
罰が当たったんだと思う。
だから俺は、そんな弱い自分と別れを告げるべく翌朝再び城下町へ続く門に足を向けた。
「雄介、行くんでしょ?」
「薫……ついてきてくれるのか?」
「勿論さ。僕は雄介の味方だよ」
「そうだったな」
頼りになる仲間の登場に目頭が熱くなる。
「阿久津君」
「阿久津さん」
「委員長、杜若さんも」
それ以上口にしない。ただ、目を見ただけでお互いの事情がわかった。
落ち込んでるような、浮かれていた自分が恥ずかしくなったと言う顔。
思いは一つ。
俺たちはクラスメイトに恥じない力の使い道を活かそうと、そう覚悟を決めた。
まずはお金が必要だ。
生憎と都合よく迷子が落ちてるわけでもない。
そんな時、異世界ファンタジー定番の冒険者になるべくギルドの門を叩いた。
初っ端からライセンスの発行に銀貨一枚を請求されたが、薫の起点で借金を背負うことで仮免許の獲得。
初期投資も何もないので、借金を重ねて採取道具も借りて出発。
「これ、初見で見つけるの難度高いわね」
「委員長、わかるの?」
「任せなさい! 得意分野よ」
委員長の識別は採取をする上で無類の強さを誇る。
おおよその仕入れ値、売値、査定値まで把握するチート具合。
しかしギルド側の査定と大きな差があった。
どういうことだ?
ギルドでは別に手数料が取られるのだろうか?
「これ、中抜きしてるのかな?」
「わかんないけど、お金はくれてるじゃん」
銅貨は手に入ったが、委員長や薫は労働の対価はきっちりさせたいと、ギルドの闇に挑むのだった。
お金もらえてるしよくね?
そう考える俺は異端なんだろうか。
迷子の子を救ってすっかり自信を取り戻した。
なんと俺のガチャは、回すだけでステータスを獲得できる。
それが証明されたのだ。
対価はなんと銅貨。
迷子の女の子をお母さんの元に送ってあげたら、感謝の印として貰った銅貨。
お金が欲しかったわけじゃない。
ただ、気持ちの品がお金だっただけだ。
何かを成し遂げた成果だからだろうか?
そのお金を手にした時、ガチャが輝いた。
そして俺たちのステータスが上昇した。
俺だけじゃなく、薫や委員長、杜若さんの三人とも全員同時に上がった。
なんだこのチート。
とんでもないチートだ。
これはもしかして巻き返せるのではないか?
そんな気持ちが込み上げる。
気持ちの大きくなった俺は、戦利品の土産話をそれはそれは大仰に話したさ。そのついでにステータスの上昇も確認したとしたり顔で言う。
しかし、レギュラーの三上から言わせたら、俺の成長値なんて微差でしかないと言い切られてしまった。
「悪いけど阿久津。俺たちに気を遣わなくていいから。そのガチャはお前達のためだけに使うといい」
「えっ」
悪気がないのはわかってる。
実際に目は笑っておらず真剣そのもの。
三上泰明は生真面目を絵に描いたような男だ。
国からの信頼も厚く、クラスでいちばんのステータスを誇っていた。だから、三上からしてみたら、俺たちのやってることは遊びに見えたのかもしれない。
そんなつもりはないのに、そう感じ取れるくらいに突き離されてしまったのだ。
一週間前まで、同じ高校に通う生徒同士だったのに。
どこでそこまで差がついたのか?
考えるまでもない。
三上達レギュラーは責任がのしかかってる。
失敗したら次はない。重い責任だ。
対して俺たちはどうだ?
ヘラヘラしながら迷子のお世話。
お金を手にして調子に乗った。
そりゃあ憐れまれるわ。
何やってんだ俺は。
自分で自分が情けなくなってくる。
きっと自分の力に、有用性に気づいて舞い上がってたんだ。
自分一人の力じゃないのに、勝手に俺が全て解決したかのように振る舞った。
罰が当たったんだと思う。
だから俺は、そんな弱い自分と別れを告げるべく翌朝再び城下町へ続く門に足を向けた。
「雄介、行くんでしょ?」
「薫……ついてきてくれるのか?」
「勿論さ。僕は雄介の味方だよ」
「そうだったな」
頼りになる仲間の登場に目頭が熱くなる。
「阿久津君」
「阿久津さん」
「委員長、杜若さんも」
それ以上口にしない。ただ、目を見ただけでお互いの事情がわかった。
落ち込んでるような、浮かれていた自分が恥ずかしくなったと言う顔。
思いは一つ。
俺たちはクラスメイトに恥じない力の使い道を活かそうと、そう覚悟を決めた。
まずはお金が必要だ。
生憎と都合よく迷子が落ちてるわけでもない。
そんな時、異世界ファンタジー定番の冒険者になるべくギルドの門を叩いた。
初っ端からライセンスの発行に銀貨一枚を請求されたが、薫の起点で借金を背負うことで仮免許の獲得。
初期投資も何もないので、借金を重ねて採取道具も借りて出発。
「これ、初見で見つけるの難度高いわね」
「委員長、わかるの?」
「任せなさい! 得意分野よ」
委員長の識別は採取をする上で無類の強さを誇る。
おおよその仕入れ値、売値、査定値まで把握するチート具合。
しかしギルド側の査定と大きな差があった。
どういうことだ?
ギルドでは別に手数料が取られるのだろうか?
「これ、中抜きしてるのかな?」
「わかんないけど、お金はくれてるじゃん」
銅貨は手に入ったが、委員長や薫は労働の対価はきっちりさせたいと、ギルドの闇に挑むのだった。
お金もらえてるしよくね?
そう考える俺は異端なんだろうか。
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