クラス転移で手に入れた『天性』がガチャだった件~落ちこぼれな俺がみんなまとめて最強にします~

双葉 鳴

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三章

(3)所変われば好みも変わる

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 二度に渡るドラグネス皇国撃退を祝して、グルストン王国は今回の勇者の功績を讃えてパレードを行うことにした。

 街が一個崩壊したばかりだというのに呑気なもんだね。
 まぁ、その街は俺のガチャで完全再現どころかよりパワーアップしたんだけどさ。
 その犠牲として魔素が枯渇した訳だ。

 それを聞いた王国サイドは俺を非難してきた。
 普通そこは感謝されるところだと思うが、実はサプライズメニューとしてカニクリームコロッケを国民に振る舞う時隠していたそうだ。
 俺が帰ってくるまで場を持たせてたんだと。

 それは先に言えよ。いつも思うけどさ、なんで手に入る前提で企画組むんだよ。こういう予測もつかない事態が起こるってことも考えとこうぜ?

 なお、そこら辺は追加で隠れてたドラゴンを始末する事で魔素を確保。素材は魔素で復元することでなんとかした。
 王国の面目を保てたところで、ムーンスレイの勇者達がやってきた。

 どうやらこの日に合わせて急遽お祭りを開催したのは、他国に自国の豊かさを主張させる為の前振りだったらしい。
 
 飲んだくれのオッサンは、それよりも俺の手腕を褒め称えてくれたのが地味に嬉しかったよ。
 それを聞いた向こうのリーダー(ゴリラの人)は信じられないと口元を押さえた。

 まぁできちゃったもんはできちゃったからな。
 戦闘面はさっぱりだがサポートは任せろぉ!
 何故か委員長からこれ以上こっちの秘密を喋るなと言われた。
 今は手を組む相手だけど、大会が始まれば敵になるんだからということだ。
 

 本日の大会は【鍛治師】夏目樹貴の作ったバトルシミュレータで行うことになった。
 どう考えても技術の革新が異様だ。
 まずそれ自体は武器じゃない。
 コンピュータテクノロジーの粋を尽くしたオーパーツ。
 近未来の世界を先取りした全身没入タイプのバトルシミュレータだった。

 ムーンスレイ陣営からも疑いの目を向けられたが、お互いクリーンで怪我なく行こうぜってことで納得してもらえた。
 こっちがフェアを訴えたって向こうがどう出るかわからんからね。

 で、勝負開始。
 うちの勇者もそれなりにやるが、やはり相手は戦争のプロ。
 モンスターと同様に扱うと痛い目を見るということを嫌という程に見せつけられた。

 やっぱり【獣化】が強い。
 ムーンスレイの勇者の特殊技能がこれだ。
 基礎スペックが化け物みたいに高いのに、さらに獣の特徴+一時的にステータスが5倍になるという超チート。

 戦ってる奴以外はランチをしながら意見交換会だ。
 ダメなところを指摘しつつ「自分ならこうした」という討論が盛り上がる。
 ムーンスレイ側によく売れたのがピザかな。
 他にもビールやフィッシュ&チップスのフライもの。

 気軽につまめて腹の足しになるものが多い。
 ガッツリ系のご飯ものは常に動けることを警戒して受け取りたがらなかった。
 こういうところは徹底的だ。
 飯で釣られてくれない手強さを感じた。
 そう考えるとシグルドのオッサンてチョロかったんだなと思う。シリスはレギュラーじゃなかったし、残当か。

「あーくそ! 惜しかったな」
「お前負けてたぞ?」
「いや、勝ってたが。銃は反則だって、無効試合だよあんなん」

 まぁ、それを言ったら俺のガチャも反則になるわけだが。
 ちなみに杜若さんの『精神安定』も出禁判定くらってる。
 理由? 獣化を潰せるからだ。
 獣化に限らず、気分を高揚させることで発現させる系の異能を全部撤去できる。
 パワーアップ殺しなのだ。その上でピンポイントで範囲も絞れるし、薄く分散させることで街一つを囲むことのできるチートである。

 うちの勇者全員より、杜若さんが警戒されてるポイントがそこ。
 まぁね、普段のほほんとしてる癒し系が実はおっかないという見本みたいなもんだから。
 と、杜若さんから笑顔の威圧が強まった。
 俺は機嫌取りに行ってくるぜ、じゃあな!
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