【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

文字の大きさ
235 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き

206.お爺ちゃん達と[九の試練]⑧

しおりを挟む
「よし、いよいよ当たりを引いたか」


 一戦目のムーの民戦を終えて、私達の前に現れたアトランティスの民。戻り草の天麩羅は作るのが手間なので普通に『戻り草』のみを用意する。


「みんな、準備は良い?」

「「いえーい!!」」


 ノリノリで答えてくれたのはスズキさんと探偵さん。
 そして妻達とツルハシを担いだジキンさんが黙って頷いた。

 まずは戻り草をセットしたレムリアの器でノリノリの二人がバリアを剥がす。
 バリアが剥がれたらライフゲージが出るので、全員に行き渡るまでビームソードを製作するまでツルハシでカンカンする。
 ツルハシ組に私も加わり、状況判断は探偵さんに任せた。

 
「よーしライフゲージが出たよ。一旦後退して」

「「はーい」」


 採掘は光線で打ち込むとアトランティス鋼を入手できるが、その際行動の阻害は起きない様だ。
 だから餅付きの様な合いの手でツルハシを振り下ろしつつライフゲージを調整する。


『先に3つづつできたのをみんなに配っておくわね』


 妻とランダさんのお手製ビームソードをトレードで受け取りつつ、まだ直接的採掘は終わらせない。
 事前に受け取ったこれらは攻撃用ではなく、回復用だった。
 要点さえ理解すれば効率は上がるもので、躊躇なく行えばそれはもう減りすぎるほどに減った。


「80%! 海流攻撃くるよ!」

「そぉい!」


 ビームソードを投げつけていち早く巻き込ませると、具現化した海がその場で霧散した。


「ナイスだスズキ君」


 攻撃の準備ができたらツルハシ組が三人体制でレムリアの器で打ちつつカンカンする。
 私はアトランティスの民の回復役で、足りない分は妻達が補填する。
 一番厳しいのは50%を切ってから。
 3回攻撃をピンポイントで攻撃阻害しつつ打ち込むのだ。

 その時は四人体制でツルハシを打ち込む。
 ビームソードを撃ち終わった人が先に抜けて装填する流れを作った。
 
 50%からはどの攻撃を仕掛けてくるかの運ゲーである。
 ある一定の攻撃パターンはあるものの、こっちに都合の良いものを引き込めれば苦労をしなくていいからだ。

 そして三人のレムリアの器が撃ち切ったところでライフゲージが0%をさし、アトランティスの民はその場にドウと倒れた。

 パターン化してもこれが最適解だと分かっていても、手間は手間なんだよね。是非シェリル達にも挑戦してもらいたいものだ。
 彼女達ならどんな動きで攻略してくれるのか、興味はあった。

 そしていよいよ第三戦目にレムリアの民。


『うむ、レムリアの礼儀を持つものよ。待っていたぞ』


 目の前には広大なフィールド。
 その全てが鏡面仕立てで対するレムリアの民は10人居た。
 他に使役種族もおらず、全員がレムリアの器を持っていた。

 そして役目を終えた彼らが立ち去った時、私達は無事に試練を乗り越えしものとして認められた。

 スクリーンが上がり切った奥の扉が物理的に上に上がり、その奥から降り階段が現れた。


「これで終わりじゃないみたいだね。どうする?」

「どうするも何も行くしかないでしょう」


 呼びかけに応じてくれたのはいつも茶々を入れてくるサブマスターだった。そうだね、私達は基本的にダメで元々。
 失敗は次に活かせばいい主義の人だ。
 

「行きましょう。あ、探偵さんはマッピングお願いね」

「もっとシステムのマッピング機能を信じてあげなよ」


 そうしたいのは山々だけど、また通路が復元されたりしたら困るじゃないの。
 そんな風に思っていたのも束の間。
 私達は巨大なスクリーンの前にいた。

 映画館とは違うホログラフの画像には、こう書かれている。


[よくぞここまで辿り着いた。我らの世界を任せるぞ、我らの子孫よ]


 意味深な、それでいて突き放す様な言葉に、想像して居たよりも斜め上の想像に行き着く。
 我らの世界?
 古代人からのメッセージ……そうか、ここはアトランティスワールド。
 アトランティスの民が思い描いた世界。

 本当の世界は別にあるのか!


「いったい何が書いてあるんです?」


 そういえば私以外は古代言語読めないんだった。
 早速スクリーンショットをしながらメール送信しつつ情報を共有する。


「我らの世界? 何のことだろうか? ここは彼らの世界ではないのか?」

「もしかすると私達は根本的に間違えていたのかも知れない」

「またマスターの仮説が始まりましたよ」

「あなた、何かわかったんですか?」

「もし、この世界がただのチュートリアル空間だとして……」

「えと、こんなに広大なワールドがただのチュートリアルですか?」

「君の中のフレーバーがつながり始めたのか、少年?」

「まだ確定はしてません。でもこの世界はどうにも歪だ。真っ直ぐな世界。地球をベースにしているのに陸地は平らで世界には壁がある。地球と同じなら上に行けば下につながらないといけないのに」

「ハヤテさん、ここはゲームですよ?」

「うん、でもここまで作り込んであるゲーム。それもリアルを謳っているゲームでそれができないと言われるのもおかしいだろう? 何せ日本人だけではなく全世界のプレイヤーが同時に翻訳されて遊んでるんだ」

「それは確かにそうだ。でもたった300万人。世界の人口と比べるまでもない」

「何言ってるんですか。それはプレイヤーの話です。他にもNPCやモンスターだっている。それに全盛期のムーの民を思い出してくださいよ。あんな規模の軍隊が暴れ回るにはこの世界は狭すぎる。まるで我々人間に合わせた世界の様だ」


 そう、ムーの民の規模で世界が作られていないのが不思議だった。世界にはこんな巨人がいるんだぞとゲームだからこそ再現できるのに。
 だからこれはこんな世界もあるんだぞ、その場所に行く用意はいいか? と問いかけられてる様に感じられた。
 
 まるでお遊びで作った箱庭世界で満足している子孫を不甲斐ないと思うような彼らの問いかけを、私達は今まさに問われているのかも知れない。
 こんな程度で満足できるのかと言われているようで我慢ができない。
 もしその先があるのなら、願えば叶う場所にあるのなら、私はそこに行きたいと願うだろう。


「少年の言い分はわかるよ。人間に合わせた規模だと」

「ちょっと秋風君まで何唆されているんですか」

「サブマスター、僕は幾つものゲームを遊んできたからこそ分かるが、この世界はリアルを謳ってる割にはファンタジー要素が少ないとは思っていた」

「何の話です?」

「世界観の構築の話ですよ。この世界は圧倒的に情報が規制され過ぎている。まるで一度滅んだ文明の上に無理矢理作り上げられたようなチグハグさが垣間見えるんだ」

「僕も不思議に思いましたね。何で魚人とか居るのに、水棲系のモンスターはいないんだろうって。エネミーにそういうのが出てくるのかと思いきや、そうでもないし」


 スズキさんが探偵さんの問いかけに尻尾をビチビチさせて答える。そうだ、彼女のボディ一つとっても鱗の一枚一枚とっても緻密に描かれている。なのに、それに類した存在があまりにも少なすぎた。もっと広い世界が用意されていても良いはずなのに。


「流石だねスズキ君。その通りだ。この世界は広い筈なのに、古代人の世界はこんなに狭苦しくて良いのか? 僕は少年の言動によって気付かされた。この世界には人類を脅かすモンスターや巨大種があまりにも少なすぎた!」


 探偵さんが私の言いたいことの殆どを伝えてくれた。


「つまり?」

「この世界はまさにアトランティスの民が私達に合わせた架空の世界。アトランティスワールドだ。でもその先には彼らの文明が残された本当の世界が広がっているとしたら?」

「ああ、そういうこと。この世界が虚構であるというのか」

「ゲームだから虚構云々とかじゃないよ? まだここ以外にも別のワールドもありそうだということさ」

「それよりも試練クリアにならないね? 他にも探す所があるのかい?」


 話についていけず、痺れを切らすようにランダさんが切り出す。
 そういえば試練クリアのアナウンスがいつまで経っても聞こえて来ない。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■それは私の試練をクリアしてないからだ


 アトランティスの民の穏健派が私達の背後に現れる。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■ようこそ私の世界へ。君達を歓迎しよう

「あなたは……ゲームマスター?」

■■■■■■■■■■さぁ、答えを合わせようか


 頭蓋が落ち窪み、ひしゃげた頭部が鎮座したライトゴールドの金属生命体は静かに私達に語りかけてきた。















 
 
しおりを挟む
感想 1,316

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...