もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴

文字の大きさ
46 / 88
四章 ゴミ拾いと流行り病

46 怪しい新人冒険者

しおりを挟む
ブリーダーズとして活動を始めてから二年目。
おおよそ一年たった。
地図上から消滅した雑木林は緩やかに成長中。
草原から少し木が生えてあと五年もしないうちに元の姿を取り戻すように思う。
問題はそこら辺に住んでたモンスターが寄り付かなくなったことくらいかな?

今でも九尾の残滓が強く残ってるので雑木林が復活してもクエストには困りそうだった。

それはそれとして僕達のことだ。

「ブリーダーズさん、ギルドマスターからお話が来てます」
「またランクアップの話ですか?」
「ええ。その気になったらいつでも来てくれと」
「残念ですがまだ僕達はその域にいないと思うんです」
「そうですか……」

一年も経てば達成したクエストに相まってDランクからCランクになりませんかって勧誘が多くなる。
しかし僕達はこれを受けてなお取り下げていた。

DランクとCランクの違いは大きい。
冒険者としてCランクになれたら一丁前だなんて言われるくらいには目標とする地点であり、同時に受け取る責任も大きくなる。

冒険者を通さずに直接クエストを扱えるようになる為だ。
けどギルドが間に入らない事で騙されることも多くなる。
ギルドの手数料は、あくまで悪質なクエストを間引くためのもの。
それを知った時、まだ僕達にCランクは早いなと思った。
兄さん達がDランク隊で信頼稼ぎをしてる理由もそこだ。

一足跳びでランクを上げて、Dランクの時より稼ぎが悪くなった人たちを多く見てきているからだという。

ギルドを通さないと商人から直接クエストを発注されるんだけど、普段ギルドで商業ギルドからの発注がない時点でお察しだよね。

上手い話には必ず裏があると言うことだね。

そんな時に眩しく感じるのはいつだって自分より若い世代の冒険者だ。

「バウンティさん! ランクアップ可能です。していきますか?」
「わぁ、良いんですか?」

みんなフレッシュで社会のいい面しか信じてない感じは、昔の自分の姿を重ねて見えちゃう。
僕も汚れちゃったなぁ。でも仕方ないよね、守るものが増えたもん。

「なんだか懐かしいね、あたし達も結成した時あんなだったよ」

まだたった一年しか経ってないのに、すっかり熟年冒険者みたいな気持ちで呟くトラネ。

「アホ、俺たちだってまだまだ成長途中だぞ、おかわり!」
「なにおー、こっちだって負けないもんね! こっちも大皿で持ってきて!」

新人の頃と違って食事に回せるお金ができたのが何よりも大きい。昔は食事を節約して消耗品に回してたもんね?
僕はそんな二人を見守りながらインフのブラッシングをする。
ここ最近は人型中であろうがこうやって変化してブラッシングを催促してくるようになった。
周りからしてみたらルエンザが世話してもらいたがってるように思うが、これはインフだってわかる。

だってトイレ行くって言ってから随分経ってるもん。
だいたい満喫したらルエンザとチェンジしてトイレから出てくる。

「満足した?」
「なんのことかしら?」

聞いてもこんな返しでそっけないが、尻尾が見えるくらい気分は良い。
そこへ、先ほどGランクからFランクに昇進してた3人組がチェンジしたルエンザが気持ちよさそうにブラッシングされているのをみて目を輝かせていた。

「わぁ、すごいね。気持ちよさそうだね?」
「ちょっと、コローナ。失礼でしょ?」

活発そうな女の子が近くで見ていた子に注意する。

「大丈夫だよ。やってみる?」
「良いんですかぁ!」

パッと花開いたような笑顔だ。昔の僕もこんなだったのかな?
兄さんが別の席であんな頃もあったなと頷いている。

「僕が抱っこしてるからブラシで優しく梳いてみて」
「はい……うわぁ、感動です」
「あんまり同じところばかり擦らないであげて」

首の下をこしょこしょしながら嫌がるルエンザをあやし、なんとか機嫌を取り戻す。
その目からは実験台ならロキやソニンにでもやらせろと言わんばかりに不満気だ。
この九尾姉妹、僕以外からのお世話を受けたがらない気難しさを持つ。

「あ、ごめんなさい。機嫌悪くしちゃいましたか?」
「この子は気難しい子だからね。まだ人間になれてないのもあるんだ。だから君が思い込む必要はないよ」
「またブラッシングさせてもらって良いですか?」
「うん、またおいで」

少年が、二人の少女に手を引かれてギルドを後にする。
ルエンザに嫉妬しちゃったかな?
それにしても人懐っこい子だったね。

僕がそんなふうに思ってると、今まで黙り込んでいたルエンザが口を開く。

『あー気持ち悪い。あんたはよくあいつの覇気に耐えられたわね?』

なんの話?

「あの三人、人間と獣の混ざり物ね」
「いやいやいや、すごい良い子だったよ?」
「そう言えばあなたも鈍感だったわね。あたし、一言も発せず汗びっしょりになったわよ?」

インフィがおそろしいものでも見たかのように震えている。
傾国級のモンスターが怯えるなんて。
厄災級?
そんなまさかね。



◇◇◇



冒険者ギルドを去った三人組は、コローナと呼ばれた少年を路地裏に連れ込むなり詰問していた。

「ちょっと、いきなり接触するなんてどう言うつもり? あたし達の存在がバレたら事よ?」
「流石にもうバレてると思うよ?」

少女はコローナの言葉を受けて肌を隠し、変化が解けていたかと確認をした。

「別に、人化は解けてないわよ?」
「気配でバレてる。あの中に九尾がいた」
「! それは本当?」
「噂じゃどこかに潜伏してると言う話じゃなかったんですか?」

錫杖を持つ少女が神妙そうな顔をする。

「隠れる場所が森の中か人里かは九尾には関係ないよ。ただ、珍しいことに随分と人に懐いていたみたいだ」
「他にはハンターラビットともう一体、よくわからないものが混ざってました」
「なら間違いない、ギルド絡みで秘匿してるね」
「モンスターが人間と契約をしている?」
「契約か、はたまた信頼かは僕にはわからないけど。今回の仕事は僕も楽しめそうだよ」

コローナは薄く笑った。
そこには先ほどまでの天真爛漫さはない。
今までの全てが演技であるかのように、その幼い顔立ちに大きなしわが刻まれる。

「あんまり暴れて大司教様に怒られても知らないわよ?」
「それは怖いなぁ。でも興奮したら誰も僕を止められないよ? 止められたら大したものだ」
「出た、コローナの悪い癖」
「コルドには言われたくないな」
「二人とも、相手が強いとすぐに楽しそうにするんですから」
「ヒーティだって、内心喜んでるの僕知ってるよ?」
「まぁ、最近はすぐに終わってしまう戦いばかりでしたからね」

錫杖の少女はローブから爬虫類を思わせる大きめな尻尾を出して揺らしている。
興奮すると人化が解けてしまうのはヒーティが一番顕著だ。
そう笑うコローナに、同意するコルド。

「これから楽しくなりそうですね」

ヒーティの影は、人から大きく逸脱したもっと強大な存在を示していた。

ドラゴン。
かつて人類を支配していた種族は、再び地上にやってきたのだった。


◇◇◇


裏でそんなことが起きてることだなんてまるで知らずに、僕達は翌日から違う街に遠征に出かけた。単純にクエストの達成条件が近隣で満たせないから旅行を兼ねての事である。

それと、僕達の仕事は採取も多い。新人の活躍の機会を邪魔するのは避けたいと言う配慮だ。

なぜか帰ってくるなり「ブラッシングさせてもらう約束してましたよね?」だなんて憤慨されたけど、そんなこと言われたって僕達そんなに暇じゃないし。翌日もギルドにいるなんてわからないのに変なの。

なお、遠征中にびっくりするくらいスコア☆が貯まったのでSスコア★に変換しておいた。
分体もゴミ拾いのスキル使えるけど、ゴミを拾うだけ。
スコア変換は本体の僕しか使えないからそう言うところだけ不便なんだよねぇ。


しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

【完結】聖獣もふもふ建国記 ~国外追放されましたが、我が領地は国を興して繁栄しておりますので御礼申し上げますね~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
 婚約破棄、爵位剥奪、国外追放? 最高の褒美ですね。幸せになります!  ――いま、何ておっしゃったの? よく聞こえませんでしたわ。 「ずいぶんと巫山戯たお言葉ですこと! ご自分の立場を弁えて発言なさった方がよろしくてよ」  すみません、本音と建て前を間違えましたわ。国王夫妻と我が家族が不在の夜会で、婚約者の第一王子は高らかに私を糾弾しました。両手に花ならぬ虫を這わせてご機嫌のようですが、下の緩い殿方は嫌われますわよ。  婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。すべて揃いました。実家の公爵家の領地に戻った私を出迎えたのは、溺愛する家族が興す新しい国でした。領地改め国土を繁栄させながら、スローライフを楽しみますね。  最高のご褒美でしたわ、ありがとうございます。私、もふもふした聖獣達と幸せになります! ……余計な心配ですけれど、そちらの国は傾いていますね。しっかりなさいませ。 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ ※2022/05/10  「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過 ※2022/02/14  エブリスタ、ファンタジー 1位 ※2022/02/13  小説家になろう ハイファンタジー日間59位 ※2022/02/12  完結 ※2021/10/18  エブリスタ、ファンタジー 1位 ※2021/10/19  アルファポリス、HOT 4位 ※2021/10/21  小説家になろう ハイファンタジー日間 17位

処理中です...