SFRPGKIDS β

不二丸橋 馳夫

文字の大きさ
1 / 3
ACT1

特別な日

しおりを挟む

今日は2018年の7月29日の正午、夏休みの真っ最中だ。この物語を開始しようとしている彼、大和三 瑚太朗ヤマトミ コタロウ(以下よりコタロウと表記する)は、汗だらけの郵便配達の人から直接手渡しで受け取るほど、このゲームに大きな期待を持っている

何故なら今日は彼の誕生日、その上『L.R.P.Gβ』はコタロウの親戚の兄貴が個人制作した世界に一つだけのゲームだからだ

親戚の兄貴曰く『L.R.P.Gβ』は最新作な上に最先端の技術を使ったRPGで、宇宙にだって行けちゃうとまで言われたもの、それが今彼の目の前に存在している

目に見えて嬉しそうにしていることが分かった、目を大きく光らせ、今すぐにでもゲームを始めたい、でも自分一人でやるわけにはいかない! どうにも出来ない喜びの感情を腕の震えで表していた。

なら今すぐにでもプレイすればいいじゃないか? それができない、何故ならコタロウは自分を含めて4人でゲームをすると約束したからだ

それ以前にこのゲームはライブ アール ピー ジー、通称LRPGと呼ばれる現実世界で行う冒険だもの、一人で剣を振るって戦う姿を見たいかい? いや、仲間達との友情、奮闘、戦闘、悲劇、喜劇、汗とお涙頂戴の感動物語が見たい!

努力友情勝利とはよく言ったものだ、この物語ではそういうものが見たい、なのでおひとり様ご案内ファンタジー旅行は嬉しいことに無い

おおっと、大きく逸れている隙に少年は例の友達に連絡を取るためか、コタロウは自分の部屋に既に着いていて、受け取った荷物を床に置いているようだ、ちなみにフローリング、こまめにお掃除が必要ですね。ああ、そうそう、ご友人方のお名前はお覚えですかな?

覚えていない方はあらすじの方に……ではなく、コタロウ少年が持っている端末スマホの画面に友人の内の一人の名前がありますので読み上げましょう

塗林 佑樹ヌリバヤシ ユウキ(以下ユウキと呼びます。)どうやら同年代の友人らしく、お互いに気楽に連絡を取っているようだ

その内容をお載せしましょう


_____

瑚太朗:ゲーム届いたよ! 今から二人にもメッセージ送るから家に来てくれよ!
佑樹:わかった
佑樹:開けたか?
瑚太朗:まだ開けてない、ダンボールだけでも開けてもいいかな?
佑樹:開けてもいいんじゃないか?
佑樹:お前本体の箱を開けるわけじゃねえんだから別にいいだろ
瑚太朗:へへ、確かにそうだな
佑樹:開けるなよ
瑚太朗:開けないよ
瑚太朗:じゃあパッケージを眺めながらどんなゲームか想像しとくよ
佑樹:お前連絡は?
瑚太朗:やるよ
佑樹:忘れてなかったか?
瑚太朗:忘れてないよ!

_____


コタロウはユウキへの連絡画面を切り替えて、もう一人の友人である閏秒 夢未ウルウビョウ ユメミ(以下送りましてユメミでお送りします。)にメッセージを送ることにした。

ちなみに彼女は友達の中でも特殊な性格、というかキャラ付けのようなものを作っているらしく、最近一人称を俺に変えたユウキはユメミのを苦手視しているらしい

そんな彼女との連絡画面を提示します。


_____

瑚太朗:ゲームが届いたんだ! 僕の家に集合して!
夢未:おけ、今すぐ行くわw
夢未:俺魔法戦士なww俺つええええしてえwww
瑚太朗:魔法戦士があるかわかんないけどあったら僕は譲るよ
夢未:サンキュ
夢未:あの2人には言ったん?w
瑚太朗:佑樹には言ったよ、後は香だけ
夢未:りょーかい、お前のとこ向かうわ

_____


注意この物語の舞台は日本の東京都東京市というフィクション現実です。現実とのごっちゃはいけませんよ

そして最後にもう一人の友人、和清 香ワセイ カオリ(以下カオリと表示します。)という女の子との連絡を表記し、物語が本格的に動き始めます。


_____

香:ねえねえ聞いたよ! あのゲームが届いたんだって?瑚太朗の家に集まるんだったよね! 準備するね!
瑚太朗:うん! でも誰から聞いたの?
香:佑樹と夢未からだよ! 二人同時にメッセージが届いた時はびっくりしたよー
瑚太朗:え、二人からきたんだ
香:そうだよ! 二人とも仲いいよね!
瑚太朗:そうかな? 夢未はともかく佑樹はそうとは言えなさそうだけど
香:そう? 佑樹に夢未のことを話しても特に嫌な顔しないけど……
香:まあいっか! 瑚太朗の家に行くね!
瑚太朗:了解!

_____


三人の友達にメッセージを送り終えたコタロウは、様々なもので散らかっている自分の部屋を大急ぎで片付けるようだ

部屋には生前のマイケル・ジャクソンや、松坂大輔の全盛期の頃のポスター。
趣味である物作りのための自分専用工具箱、それで作ったちょっとこだわりの木の剣、木の盾、ダンボールの鎧(これは木で作るための下地のようなものだとか)。
それから本棚から出したまま入れ忘れているポケットモンスタースペシャルの漫画本がベッドに散乱しており、更には自分の服やズボンも床に転がっている。

これはまずいと思ったのだろうか、面倒臭いと思いつつも友達とゲームをするために渋々と部屋を片付けている

片付けているとは言ったが、その片付け方は中々適当だ。
人に見られないようなクローゼットやらに服を押し込んだり、漫画本はバラバラにしまわれ、工具箱やらは部屋の隅に目立たないように、でもちょっと誰かが気付くよう、わかりやすいところに置いておいた。

部屋は見違えるほど綺麗に……とは行かないが、最低限のマナーは守れているだろう、そうコタロウが思う程度には片付いた。

後は家族、特に父親には内緒で遊ばなければならない、何故なら父親だけは妙に厳しく、家に友達を呼ぶな、友達の家に行くな、勉強しろ、運動しろ、とても現代の親とは思えないほどに煩いのだ。

なのでコタロウは父親が大っ嫌いだ。

しかし幸運なことに父親は今日出かけている、この父は出かけると、とんでもない程に時間をかけて家に帰るため、相当な時間、仲間達とゲームをすることができるだろう

しかし、みんなが家に着くまでに少し時間がかかる、なのでコタロウはダンボールを開けることにした。

素手でダンボールに貼られているガムテープを一個ずつ剥がし、箱を閉じている蓋の役割をしているを開く



「……わーお」



個人製作だからか、それとも兄貴の趣味か、シンプルながらにかっこよさがあるロゴで『L.R.P.Gβ』と書かれている、宇宙のような色の箱が現れる

とても暗い青っぽい黒に、星を表しているような白やら黄色やらの粒がまばらに散らばっていて、まるで小さな宇宙をそのまま切り取って入れ物にしたみたい、コタロウは純粋にそう感じた。

早く見てみたい

思わず勢いのまま箱を開けてしまいそうになったが、玄関からチャイムが鳴った。

みんなだ、頭から箱のことは消え、外で待っているはずの友達を向かい入れるために、コタロウは全力疾走で部屋から出て階段を駆け下り玄関まで走っていった。

そして確認もせずに鍵を解除し、ドアを開けると、そこには仲間達三人が笑顔で……

ではなくしかめっ面の父親が家に入って来た。



「おかえりもないのか」
「……おかえりなさい」
「それと家を走り回るな、外じゃあるまいし。分かったなら部屋に戻って夏休みの宿題をしろ。」
「………………はい」


何でこんな早く帰ってきたんだ、ゲームのことがバレないだろうか、仲間達が今来たらやばい、最悪だ

そんなことを考えながら自分の部屋へととぼとぼと戻ろうと、階段へ重たい一歩を置くと

peeppeeppeep

端末からメッセージの着信音(鳥の鳴き声らしいがコタロウはいまいち違うと思っている)が流れた。

父親にバレるとまずいので、足音を大きく立てないようにしながら慌てて自分の部屋に逃げ戻った。

それから端末を確認し、ユウキからのものだと確認すると、コタロウは返信を返すことにする


_____

佑樹:部屋から顔を出して外を見ろ
佑樹:下
瑚太朗:下?
佑樹:何かロープ持ってないか?

_____


ロープ? コタロウはユウキのメッセージ通り自分の部屋にあるやや大きめな窓を開け、下を覗く。すると、下には手を振るカオリ、水色のパーカーに付いているフードを被っているユメミ、スマホ片手にこちらを見ているユウキ

どうやら三人はコタロウの父親が帰ってきた時にコタロウの家に着いたとのことで、死角であるコタロウの部屋の下、庭の方へやってきたらしい

父親の存在によって大きな声が出せないので、端末スマホで連絡を取っている、というわけだ。


_____

瑚太朗:みんな来てたんだね嬉しいよ!でもロープってことは登ってくるつもりかい?
佑樹:勿論
瑚太朗:アクション映画みたいだね! ちょっと探してくるよ
瑚太朗:あ、そうだ、みんな登るんだよね? 夢未と佑樹はズボンだけど、香のは長いとはいえスカートだし大丈夫なの?
佑樹:俺達が先に登るから多分大丈夫
瑚太朗:流石に聞いといた方がいいんじゃない?
佑樹:女子二人が俺の意見に賛成してくれると思うか?
瑚太朗:いけるんじゃない?
佑樹:そうか
佑樹:ならお前が言ってくれ
瑚太朗:あーそれはちょっと
佑樹:そうだろうな
佑樹:どうにか説得してみるさ

_____
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

自由を愛する妖精姫と、番にすべてを捧げた竜人王子〜すれ違いと絆の先に、恋を知る〜

来栖れいな
ファンタジー
妖精女王と精霊王の間に生まれた特別な存在――セレスティア。 自由を愛し、気ままに生きる彼女のもとに現れたのは、竜人族の王子・サイファルト。 「お前は俺の番だ」 番という名の誓いにすべてを捧げた彼は、王族の地位も未来も捨てて森に現れた。 一方のセレスティアは、まだ“番”の意味すら知らない。 執着と守護。すれ違いと絆。 ――これは、ひとりの妖精姫が“特別”に気づいていく物語。 甘さ控えめ、でも確かに溺愛。 異種族の距離を越えて紡がれる、成長と守護のファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

ヴァイオレットは幸せですか?

藤川みはな
ファンタジー
雨宮梨花は日本の高校生。 ある日、帰宅すると家が火事になっていた。 唯一無事だったのは妹の翠だけ。 梨花は妹を守らなければと決心する。 しかし、そんな矢先翠が道路に飛び出し車に轢かれそうになる。 だが、間一髪梨花が身を挺して守る。 梨花は交通事故で死んでしまった。 目を開けるとなんと、赤ちゃんの姿になっていた! どうやら、異世界転生したらしいと知った ヴァイオレットはこの世界で幸せに生きていこうと誓うが……。 ※エブリスタにも投稿しています

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

処理中です...