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不二丸橋 馳夫

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ACT1

ゲームプレイヤーを求めて

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ロープを探し始めて数秒、まず自分の部屋にあるものでロープらしきものがないかコタロウは調べた。

確か工具箱の中に入れておいた、盾を投げた後にこちらへ引き寄せる様のロープがあったはず、隅っこに追いやった摩訶不思議なツールボックスを開き、ギリギリ下まで付きそうな ロープ を 手に入れた !

だがコタロウ一人ではロープを離してしまうかもしれない、何か重しのようなものに縛り付けたいところだ

そう思いコタロウは部屋を出て、何かとてつもなく重そうなものを探すことにした。

リビングにも空き部屋にもお風呂場にもトイレにもない!
あるとしてもコタロウには運べそうもないものばかりでどうしようもない

何かいいものはないか、そう考えながら台所へ向かうと、大きいけど見慣れたもの……そう、空のダンボールの見つけたのだ


「そうだ!」


コタロウは何か思いついたらしく、大きなダンボールを自分の部屋持っていき、その中にホコリが積もったとても重い辞典を何冊も積み重ねる

だが足りないのかまだスペースがあるし重さも頼りない、仕方なくコタロウは父親の書斎へ向かい、父親がこの部屋にいないのを確かめる

しいん……

……しかし父親はリビングで涼んでテレビに釘付けだったのを実は先程確認していたのだが、コタロウはスパイのような気分になっていたため、特に気にしてはいなかった。

それから書斎にこっそり入り、自分が持てるだけ大きくて重い本を持ち、自分の部屋へとそろり、よろよろと帰っていく

そしてダンボールを重たい本いっぱいのぎゅうぎゅう詰めにしたところで、それをロープで縛り付け、窓の外へロープをゆっくりと下ろし、ユウキに知らせた。


_____
瑚太朗:下ろしたよ、誰から登る?
佑樹:夢未からだ
佑樹:んでもって二人で俺を引っ張ってくれ
瑚太朗:了解! ちなみにOKは貰えた?
佑樹:貰えた、以外にも楽しそうだとよ、しかもこう言ってたぜ
佑樹:「小説の世界みたい! かっこいいね!」
佑樹:お前ら打合せしてたのか?
瑚太朗:してないよ、それどころじゃなかったからね!
瑚太朗:じゃあ今から引っ張るから夢未に登るように行って
佑樹:分かった。

_____


コタロウはスマホを机に置き、ダンボールを窓ギリギリまで押してロープを引っ張る準備をした。



「引っ張るよー」



小声でユメミに伝え、グッとロープを引っ張る
運動会の綱引きのことを思い出して脇をぎゅっとしめ、腰を低く下ろし、思い切り引っ張った。

ユメミは家の壁に足を付けロープの上へ上へと目指し、下のことを考えないようにしている、今下を見てしまったら彼女は震えが止まらなくなって、腕は動かなくなるだろう

それでも上に行くために腕に力を込め、登っていった。

幸いなことに彼らはみんな13歳の体が軽い身軽な子供、運動経験が浅いユメミだが、体力が自慢であるので、何とか部屋に入ることが出来た。



「っはあ…………はあ……疲れた、落ちなくてよかった……ふう……」
「お疲れ様……はぁ……次は佑樹……だけど、ちょっと休憩した、い……」
「うええ……現実はやっぱ、こんなもんだよな……瑚太朗……さんきゅ」


ユメミはフローリングに経たりと座り込み、背負っていたリュクサックを床に置いている

彼女のパーカーが長袖であったら悲惨だっただろう、コタロウの部屋はクーラーがかかっているのでとても涼しげなのだが、外はジリジリと暑く、じっとりと空気が重いし暑い

いつの日には40度超なんて出た時もあったので、今は少しマシな、いや、マシだと思い込めるほどのもの

だがそれでも暑い、そしてこの涼しい風が空いている窓から逃げてしまう!

少しの休憩を終え、コタロウとユメミはユウキを引き上げるためにロープを引っ張ることにした。

コタロウは外へ顔を出し、ユウキに引っ張るとジェスチャーで伝え、ユウキもOKのサインを出し、ロープを持ち足を壁と地面に貼り付けて、思い切り地面を蹴りロープをよじ登る

ユウキはサッカーと野球をしていることもあり(夢はサッカー選手とのことらしいが)腕力も脚力も持っているのもあって、するすると猿のように上がってきた。

というのも、さっきはコタロウだけだったが、ユメミもいるのでそれも合わせて、あっと言う間にユウキが登ることが出来たともいえる

今度は少し余裕を持っていたおかげか、コタロウはあることに気がついた。



「二人とも靴!」
「すまん今脱ぐわ」
「悪い」



よくよく見ると床が土まみれになっているではないか
不幸中の幸いか、床はフローリングなため、あとからでもすぐに綺麗にすることが出来る

なので今は放っておこう

あとは最後に残っているカオリを三人で引っ張るのみ、カオリの様子を見ると、周りに人がいないか確認しているようだ、誰かにこんな様子を見られないかという心配と、スカートの中を見られないかという心配もあるだろう

不意にカオリとコタロウの目が合い、二人はついお互いに笑いあってしまった。


「香、瑚太朗、引っ張るぞ」
「おやぁ~?  佑樹氏が嫉妬しとるぞ~」
「誰にだよ」
「香に」
「はあ?」
「冗談冗談マイケル・ジョーダン」
「いいから早く用意しろよ二人とも」
「そうだね、佑樹、夢未これが終わったらゲームだよ」
「ゲームするためにどんだけのことをしてるんだよ……」


ユウキは溜息をつきながら、ユメミはニヤニヤしながら、コタロウはそんな二人を放っておいて、ロープを持ち上げ引っ張った。

力があるとは言えないカオリはほとんどロープごと引っ張られる形で上に辿り着き、ついに四人、約束の部屋へと集まることが出来たのだ



「ちょっと待っててもらっていい? の様子と拭くものを持ってこないと」
「分かった。」
「りょー」
「うん、待ってるね」
「あ、そうだ、なーなー瑚太朗。例のゲームってこれ?」
「それだけど、僕がいない時に開けないでね」
「え~どうしよっかな~夢未様あけちまおうっかな~?」
「こいつは俺が止めといてやるから大丈夫だ」
「私も抑えておくよ」
「香まで!?がーん、ショック」
「ははは、じゃあ静かに待っててね」


穏やかな雰囲気の部屋を出て、リビングにいるはずと思われるあいつ父親の元へとこっそり向かった。
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