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妖編
13.喧嘩と過去♡
しおりを挟む「朱鷹様! そんなに大きもの食べれません! もう少し刻んでください、ほら、貸して」
「ご、ごめん」
手に持っていた魚を奪われ、プンスカと怒る嫋の背中を見つめる朱鷹。
この光景、前にも見たことがある気がするな、と妖鳥は首を傾げる。
抱卵期を過ぎ、全ての卵たちが無事孵化した。
嫋は子供たちが可愛くて仕方がないようで、まだ人に化けることの出来ない雛鳥たちを一生懸命育てている。
言葉は通じない。それでも嫋が良く面倒を見ているためか、「この人が母鳥だ」ということは理解出来ているらしい。
今のところ餌がきちんと与えられているため、雛鳥同士の殺し合いは起きていない。
1匹、末っ子だけは体が小さかった。朱鷹は冷ややかな目でその末っ子を見下ろしているが、嫋はそれに気づいていないようである。
雛たちは灰色のふわふわな塊のようで、嫋は子供たちを頬で擽ってはくすくすと笑っている。
「ほら、慌てないでお食べ」
嫋は小さく刻んでやった魚を雛鳥の口に運ぶ。雛はピィピィと鳴きながら、必死になって餌にかぶりついている。
「ふふ、可愛い子」
「嫋~……」
「やめてください、まだご飯中なんですよ」
朱鷹がそろそろと隣にやって来て、嫋に後ろから抱きつく。ずり、と腰を擦り付けられるが、嫋は素知らぬ顔で断った。
「うう、子供が生まれてから交尾できてねぇ」
「ぁん……この子達が目をあけられるようになるまで、もう少し我慢してくださいね」
「……」
朱鷹が情けなく眉を下げる。嫋は困ったように微笑み、子供たちを愛おしげに撫でるばかり。
最近の嫋は睡眠時間すら減らして子ども達の傍におり、少しでも触れば嫌がられてしまう。
朱鷹はじっと子供たちを憎らしげに睨む。
特に気に入らないのは末っ子だ。足取りも拙く、これでは目を開けるのもいつになる事やら。
自分の娘子が取られた、と本能的に感じ取った朱鷹は、暗い目でグッと奥歯を噛み締めた。
夜、嫋はいつも通り雛鳥たちを寝かしつけていると、ふと後ろから影が覆い被さった。
「朱鷹様? どうなさいましたか」
「嫋、このところずっと寝れてねぇだろ? 相公と一緒に寝よう」
「ありがたいのですが、嫋は自分の意思でこの子達の傍におりますから……あっ」
出産後に大きくなった尻を包むように撫でられ、思わず嫋の肩が跳ねる。
抵抗する嫋を押さえ込み、朱鷹の手は下着の中に入り込む。穴をトントンと指先で叩くと、ちゅうちゅうと指先に吸い付いてきた。
「や、ぁ……だめ、だめ……」
「腰が揺れてるぞ、嫋♡」
「だってぇ……ね、やめて……この子たちはまだ雛鳥なの……」
「うんうん、嫋はいつも雛たちを見てて偉いな。でもちょっと頑張り過ぎだから、今日は相公と休もう」
「やだぁ……あ、あんっ」
ぬるん、と指が入る。嫋は朱鷹の腕に抱かれながら全身を愛撫され、なし崩しに挿入まで許してしまう。
嫋はビクビクと四肢を痙攣させながら、寝台の隅で縮こまっている雛たちに手を伸ばそうとした。
すると、筋張った手に恋人繋ぎをされ、その手は敷布に縫い付けられた。
朱鷹が嫋の腰を揺さぶり、ナカを蹂躙する。
こちゅッ こちゅッ こちゅんッ♡
「ぉ゛っ♡ やぁ、きゃあんッ♡」
「嫋、お前は子供に構いすぎだ。はぁ…母鳥は飯だけ与えてりゃいいんだよ」
唸るような声を漏らしながら嫋の子宮口を突き、ぐりぐりとその奥に入り込もうとする。
嫋を寝かしつけるため、少しでも疲弊させようと奥を重点的に責める。
嫋もそれが分かるのか、イヤイヤとかぶりを振りながら腰を逃れようとする。
こつっ♡ くりゅ、くりゅ♡
「やめ゛ッ♡ はーッ、はぁ、ぁ、ぁあッ♡」
「お前はこいつらの母である前に、俺の娘子なんだから……ッ」
ビク、と嫋の体が一際大きく痙攣する。ヒダも震えながらモグモグと朱鷹の肉棒を頬張り、精液を搾り取ろうと必死に動いている。
「はっ……ん、こいつ、やっぱ小せぇなあ……」
奥に精を出し、欲しがるヒダに擦り付けるように腰を動かしてやる。
ふと三兄弟の中でも小さい子供が視界に入り、朱鷹が手を伸ばす。
「しゅよ、さま……? なにを……」
末っ子が摘みあげられ、嫋は嫌な予感がして上体を起こす。肉棒が嫋の中から抜け、敷布を精液が汚した。
朱鷹はジロジロとその成長具合を確認し、ひょいと床に放り投げる───。
「あぁッ!」
嫋が咄嗟に雛を掴み、胸の中に抱える。雛鳥はぶるぶると震え、必死になって嫋にしがみついた。
バチンッ!
「何を考えてるんですか!?」
嫋は朱鷹を睨み、勢いよく頬をぶった。
嫋が朱鷹に手を上げたことなど1度もない。それどころか、養父の件以降、怒りで声を荒らげたことすらなかった。
「あ……なんで、そいつに……」
朱鷹は赤くなった頬に手を添え、呆然と嫋と頬を交互に見ている。ショックで言葉が出ず、パクパクと口を開閉している。
「最低、最低、最低ッ!」
「だ、だって、そいつ小さいし……大人になったって……餌ひとつ自分で取れなかったら……」
「それがなんなんですか! 私とあなたの子供ですよ!?」
嫋がボロボロと涙をこぼしながら雛を抱きしめる。朱鷹は信じられないものを見るような目で、じっとその光景を眺めている。
「大きくなれなかったら、私たちが守ってあげればいいじゃないですか! この子が大人になっても餌を取れならいなら、嫋が狩りにいきます!」
「にゃ、にゃんず……」
「触らないでッ!」
伸ばした手を叩き落とされ、嫋は子供を守るように縮こまった。
子供の体が小さくても、十分に成長できない個体だとしても、嫋は全ての子供に愛情を注ぐだのだろうか。
(なんで……)
「知らない……そんなの、知らない……」
呆然と朱鷹が呟く。ボタボタと大粒の涙を落とし、迷子の子供のような表情で嫋の体に縋りつく。
「朱鷹様……?」
朱鷹の様子がおかしいことに気づき、嫋が困惑したように言葉を漏らした。
戸惑ったように朱鷹の頬に手を添え、そっと顔をあげさせる。
顔をぐちゃぐちゃにして泣く朱鷹を見て、嫋の息が詰まった。
「……どうしてあのようなことをしたのか、ちゃんと嫋にお話できますか?」
「……」
嫋が静かに朱鷹の髪を梳かし、小さな子供に聞き出すような口調で朱鷹に問いかける。
朱鷹はそっと目を瞑り、嫋の手ぐしを受け入れた。
「俺、生まれつき体が小さかったんだ……。兄弟は妖だから嫌に知性があって、幼鳥の頃から毎日クチバシで羽毛を剥がされてた」
「そんな……」
嫋は朱鷹の幼少期を想像し、思わず手で口を覆う。
ずっと前、藍狐と朱鷹が言っていた「同族のはみ出し者だった時」というのは、体が小さかった頃の話なのだろうか、と考える。
「母も父も俺に餌をやるのを嫌がった。だって、親から貰った餌で今は生きれたとして、この屋敷から出たらすぐに死ぬ。育て損だったんだろ」
朱鷹はチラ、と嫋の隣で震えている雛鳥を横目で見た。見れば見るほど、幼い頃の朱鷹に似ている。
「俺は運良く大きくなれた。でもこいつは幼鳥の時の俺より小さい。だから、目も開かないうちに殺してやるのが……俺たちのためにも、こいつのためにもなると思って……」
朱鷹の憔悴しきった顔を見て、嫋は思わずぎゅっと強く抱きしめる。
汗が擦れるのも気にせず、朱鷹の耳元でそっと言葉を吹き込む。
「朱鷹様、嫋はどんなに体の小さい子であろうと、人に化けられないとしても……あなたとの子供なら、どんな苦労をしたって愛したいのです。どうかこのような事はなさらないでください……」
「う、あ……」
もし、朱鷹の母鳥が嫋のような人であったなら、どんなに幸せだっただろう───。
親鳥たちは体の小さい朱鷹に無関心で、運良く人に化けられた時にようやく付けられた名前は、「鷹」だった。
鷹は鷲より一回り小さい。
親鳥にとって、朱鷹は慈しみ育てた子供ではなく、「小さい鳥」でしかなかったのだ。
他のどんな鳥より巨大な躰を持ったあとも、親に付けられた名前に苦しんだ。
ある日、この屋敷に住んでいた全ての兄弟家族たちを殺してしまうほどに。
それから何百年と過ぎ、色んな名前を自分につけた。やっと朱鷹という名前を受け入れられるようになった時、嫋に出会ったのだ。
嫋に呼ばれた名前はまるで蜂蜜のような甘さで朱鷹の心を浮つかせた。
「朱鷹様、嫋とともにこの子を育ててくださいますか?」
「うん、うん……」
ぐり、と嫋の薄い腹に頭を擦り付ける。
朱鷹は嫋の腹に抱きつき、赤子のように縮こまって泣いていた。
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