悪役令嬢が殺し屋に恋をしたので、町長目指します!

秋雨千尋(あきさめ ちひろ)

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第2話 早寝、早起き、スパルタ塾

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「おはようございます!ウォーキングのお時間です」
「え・・・?今、何時?」
「5時です」
「馬鹿なの?もう少し寝かせて」
「これぐらい普通ですよ、さあ、こちらにお着替えください。2キロ歩きます」

 澄んだ空気の中で、朝陽が登る様子を見ながらのウォーキングは、とても・・・キツかった。
 その後の筋肉トレーニングは更に地獄だった。
 しばらく引きこもってたレディに酷すぎない?何なの?鬼か何か?

「料理が美味しすぎて、量が少なくても満足できちゃうし・・・」

 運動と少食が習慣になった三ヶ月後。
 風呂上がりの髪をとかして貰いながら、鏡に映った自分を見つめる。
 髪も肌ツヤも全然違う。
 腫れていた瞼は元どおり、体型もかなり戻りつつある。
 ナインのスパルタ塾の効果は抜群だ。
 ローズは大の本嫌いだったが、毎晩欠かさず面白い児童書を読み聞かされている内に、自分でも読むようになってしまった。
 活字中毒に近い形で、休み時間はずっと読んでいる。

「アレキサンダー様の誕生パーティーの場所が決まったようです」

 冒険活劇を読んでいた手が止まる。
 アレキサンダー・ウィークエンド。通称アレク。同級生であり元婚約者。

「そ、そう。もう関係ないわ」
「行きましょう」
「はあ!?」
「奪われたものは、奪い返すべきです」

 ナインは色鮮やかな果物がたくさん乗ったタルトケーキを見せた。
 ローズの喉がなる。

「さあ、行くと仰ってください」
「アナタ性格悪いわ!」
「なんとでもどうぞ、パーティーまであと三ヶ月。ビシビシ鍛えてみせますから」 

 ダイエット生活で遠ざかっていた甘いもの。
 食べたい、何が何でも。
 初日のパンケーキでアレなのだから、タルトケーキはどうなってしまうの!

 ローズは欲求に逆らえず、ケーキに飛びついた。
 そしてあまりの美味さに失神しかけた。

白鳥オデット姫に愛を誓う王子を振り向かせる黒鳥オディールは、さぞかし美しい事でしょう」

 うっとりと語るナインの言葉は、あまり耳に入らなかった。
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