2 / 58
プロローグ ~昔話~
2
しおりを挟む
「お産まれになった姫様は、風の属性でございます」
「…な、なんだと?」
その報告に、王子は腕に抱いた娘を見た。
姿は、火の属性特有の赤い髪をしている。
それなのに…属性は"風"だなんて。
不思議そうに抱いていた赤ん坊を覗き込むと、その子がそっと目を開けた。
その子は、火の属性を司る赤い目ではなく、愛する妻と一緒の澄み切った美しい緑の目を受け継いでいた。
新たな孫が産まれたと報告を聞いた、火の国の王は安堵し、風属性との報告には飛び上がるほど喜んだそうだ。
そして、それぞれの国同士の婚約が盛んに行われるようになると、受け継がれる属性に関して色々とわかってきた。
まず、受け継がれる属性は両親の属性のどちらかであり、それは"子供を産む国に左右される"という事だ。
要するに、嫁ぎ先で産めばその国の属性に。
風の王女のように実家に戻って産めば、その国の属性を受け継ぐことになるのだ。
しかし、例外ももちろん存在する。
それは、両親どちらでもない国で産んだ場合だ。
その場合、より強い家系の属性寄りになるらしい。
王族直径と隣国の伯爵系とであれば、王族直径の属性になるという事だ。
特に、平民なども属性は必ず持ってはいるもののとても微弱だ。
その為、どうしても平民同士であっても系列の濃い方の属性に寄りやすくなる。
そして、もう一つだけ例外があった。
それは、【クロノス】と呼ばれる土の国の王族達だ。
もともと、土の国の女達の中には、稀に不思議な力を持つものが産まれる。
それは、各属性とも関係の無いもので土属性特有のものらしい。
その稀な力とは、治癒能力のことだ。
その力を持つ女性達が、怪我や病に臥せっている者に触れると、忽ち回復をみせる。
もちろん、その怪我や病の程度にもよるが、その力の恩恵は計り知れなかった。
その中でも、特に力が強く現れる者たちがいる。
それが、土の国の王族の姫君達だ。
彼女達の治癒力は、他の女性たちとは比べ物にならないほど強く、どんな万仏の病でも治してしまう程だった。
そして、そんな姫達の中でも最も力のある者には、それを称えるかのように身体のどこかに花が咲く。
正確には、花の紋章が浮かび上がるのだ。
そして、驚くことに紋章持ちの姫達だけは、願うだけで、どこにいても希望の属性の子を産むことができた。
その為、大きな力を持つ王族の姫は他国の王子達にとても人気が高かった。
そして、それは土の国の女性にも言えることだった。
特に、治癒力が少しでもあれば平民でさえも他国の貴族との婚姻が結ばれたりなど、とても人気が高かった。
しかし、それに応じて他の国による誘拐なども年々増えてきていた。
そして、後にこの人気ぶりから恐ろしい事件が発生する。
「…な、なんだと?」
その報告に、王子は腕に抱いた娘を見た。
姿は、火の属性特有の赤い髪をしている。
それなのに…属性は"風"だなんて。
不思議そうに抱いていた赤ん坊を覗き込むと、その子がそっと目を開けた。
その子は、火の属性を司る赤い目ではなく、愛する妻と一緒の澄み切った美しい緑の目を受け継いでいた。
新たな孫が産まれたと報告を聞いた、火の国の王は安堵し、風属性との報告には飛び上がるほど喜んだそうだ。
そして、それぞれの国同士の婚約が盛んに行われるようになると、受け継がれる属性に関して色々とわかってきた。
まず、受け継がれる属性は両親の属性のどちらかであり、それは"子供を産む国に左右される"という事だ。
要するに、嫁ぎ先で産めばその国の属性に。
風の王女のように実家に戻って産めば、その国の属性を受け継ぐことになるのだ。
しかし、例外ももちろん存在する。
それは、両親どちらでもない国で産んだ場合だ。
その場合、より強い家系の属性寄りになるらしい。
王族直径と隣国の伯爵系とであれば、王族直径の属性になるという事だ。
特に、平民なども属性は必ず持ってはいるもののとても微弱だ。
その為、どうしても平民同士であっても系列の濃い方の属性に寄りやすくなる。
そして、もう一つだけ例外があった。
それは、【クロノス】と呼ばれる土の国の王族達だ。
もともと、土の国の女達の中には、稀に不思議な力を持つものが産まれる。
それは、各属性とも関係の無いもので土属性特有のものらしい。
その稀な力とは、治癒能力のことだ。
その力を持つ女性達が、怪我や病に臥せっている者に触れると、忽ち回復をみせる。
もちろん、その怪我や病の程度にもよるが、その力の恩恵は計り知れなかった。
その中でも、特に力が強く現れる者たちがいる。
それが、土の国の王族の姫君達だ。
彼女達の治癒力は、他の女性たちとは比べ物にならないほど強く、どんな万仏の病でも治してしまう程だった。
そして、そんな姫達の中でも最も力のある者には、それを称えるかのように身体のどこかに花が咲く。
正確には、花の紋章が浮かび上がるのだ。
そして、驚くことに紋章持ちの姫達だけは、願うだけで、どこにいても希望の属性の子を産むことができた。
その為、大きな力を持つ王族の姫は他国の王子達にとても人気が高かった。
そして、それは土の国の女性にも言えることだった。
特に、治癒力が少しでもあれば平民でさえも他国の貴族との婚姻が結ばれたりなど、とても人気が高かった。
しかし、それに応じて他の国による誘拐なども年々増えてきていた。
そして、後にこの人気ぶりから恐ろしい事件が発生する。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる