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火の国【アレース】
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ココは現在、王太子宮の応接間において名だたる5名の満面の笑みに対面している。
まず、真っ正面に鎮座して優雅にお茶を飲まれているのが、この宮の主であるカイル王太子殿下。
そして、その右隣に王城内全ての取り纏めをおこなっている執事長様。
その反対側、左隣がココの上役のそのまた上の総統括様。
扉前に殿下の近衛兵。
そして、殿下の後方に佇む側近様。
もう一度言うが、この5名全員がココに向かって微笑んでいるののだ。
…ただただ、恐ろしい。
そんな中、真っ先に声を発したのは柔らかな笑みを浮かべた執事長だった。
「王女宮専属メイド、ココ」
「はい」
「君が、殿下のお相手だと知り、正直ほっとしています。総統括からも、貴女で申し分ないと太鼓判をいただきました」
(・・・は?)
「よって、ココ。
君を、本日付で王女宮専属から王太子宮専属へと転属させます。なお、これについては陛下の許可も既に得ているので、そのつもりで」
「・・・・・」
そのつもりで
=拒否権はない
突然の辞令に、呆然とした表情で固まるココに対し、執事長は淡々と話を進めていった。
仕事の引き継ぎや、王太子宮での勤務形態、今後の働き方等、注意点なども含めた話が流れるようにされて行く。
そして、気づいた頃には、ココを土の国の貴族と確信している彼らによって、あろう事か宿舎ではなく王太子宮での住込を提案してきたのだった。
「っ!!し…少々お待ちください!
流石にそれは…いくら何でも可笑しいかとっ!
今の宿舎からの通いで十分でございます」
「おや?ですが、それだと殿下の夜と朝のお支度に間に合わないですよ?」
「・・・夜と朝ですか?」
「はい、そうです。
貴女は、既に一度殿下と一夜を過ごされましたし、土の高位貴族である貴女なら、子ができたとしても何の問題もありませんからね。
それに、今まで通りの生活を陛下に希望されたのは、貴女ですよね?
それであれば、こちらとしても今まで通り我々の指示下で働いてもらう事になります。
殿下は、まだ正式な婚約をされていないため、寝所へのメイドの立ち入りを禁じられておりました。その為、こちらとしても困り果てていたのですが… 貴女であれば、何の問題もありませんから!」
執事長によって、はっきりと言い切られた言葉に、ココは何も言えなかった。
むしろ、その表情からは…
『土の国の高位貴族であれば、誰も文句を言えないからね』
と、言ったような圧さえも感じられた。
…確かに言った。
今と変わらない生活を望んだ。
そうすると…上司にあたる彼らの人事に、従わなければならないのは当然である。
でも、何だろう。
こういう展開を望んだわけではない。
どちらかというと、これ以上関わりたくはなかった。
全ては、あの日…
泥酔状態で、兄の名を呼び涙を流す彼を見つけなければ、自分から声をかけることはなかっただろう。
そして、彼の持つ後悔の念に触れることもなかった。
『もう、少し…
あと、少しでも早く辿り着いていたら…
あいつを…セスを…助けられたのに!!
俺のせいだ…
俺に、もっと力があれば…
セスは、俺の親友は…っ!
今も、生きていたんだっ…
すまん…
すまない…セス…』
あの日、彼はそう言って、泣き崩れながら何度も拳を地面に叩きつけ、亡き兄に謝り続けていた。
そんな彼を、ココは見放すことなど出来なかった。
まず、真っ正面に鎮座して優雅にお茶を飲まれているのが、この宮の主であるカイル王太子殿下。
そして、その右隣に王城内全ての取り纏めをおこなっている執事長様。
その反対側、左隣がココの上役のそのまた上の総統括様。
扉前に殿下の近衛兵。
そして、殿下の後方に佇む側近様。
もう一度言うが、この5名全員がココに向かって微笑んでいるののだ。
…ただただ、恐ろしい。
そんな中、真っ先に声を発したのは柔らかな笑みを浮かべた執事長だった。
「王女宮専属メイド、ココ」
「はい」
「君が、殿下のお相手だと知り、正直ほっとしています。総統括からも、貴女で申し分ないと太鼓判をいただきました」
(・・・は?)
「よって、ココ。
君を、本日付で王女宮専属から王太子宮専属へと転属させます。なお、これについては陛下の許可も既に得ているので、そのつもりで」
「・・・・・」
そのつもりで
=拒否権はない
突然の辞令に、呆然とした表情で固まるココに対し、執事長は淡々と話を進めていった。
仕事の引き継ぎや、王太子宮での勤務形態、今後の働き方等、注意点なども含めた話が流れるようにされて行く。
そして、気づいた頃には、ココを土の国の貴族と確信している彼らによって、あろう事か宿舎ではなく王太子宮での住込を提案してきたのだった。
「っ!!し…少々お待ちください!
流石にそれは…いくら何でも可笑しいかとっ!
今の宿舎からの通いで十分でございます」
「おや?ですが、それだと殿下の夜と朝のお支度に間に合わないですよ?」
「・・・夜と朝ですか?」
「はい、そうです。
貴女は、既に一度殿下と一夜を過ごされましたし、土の高位貴族である貴女なら、子ができたとしても何の問題もありませんからね。
それに、今まで通りの生活を陛下に希望されたのは、貴女ですよね?
それであれば、こちらとしても今まで通り我々の指示下で働いてもらう事になります。
殿下は、まだ正式な婚約をされていないため、寝所へのメイドの立ち入りを禁じられておりました。その為、こちらとしても困り果てていたのですが… 貴女であれば、何の問題もありませんから!」
執事長によって、はっきりと言い切られた言葉に、ココは何も言えなかった。
むしろ、その表情からは…
『土の国の高位貴族であれば、誰も文句を言えないからね』
と、言ったような圧さえも感じられた。
…確かに言った。
今と変わらない生活を望んだ。
そうすると…上司にあたる彼らの人事に、従わなければならないのは当然である。
でも、何だろう。
こういう展開を望んだわけではない。
どちらかというと、これ以上関わりたくはなかった。
全ては、あの日…
泥酔状態で、兄の名を呼び涙を流す彼を見つけなければ、自分から声をかけることはなかっただろう。
そして、彼の持つ後悔の念に触れることもなかった。
『もう、少し…
あと、少しでも早く辿り着いていたら…
あいつを…セスを…助けられたのに!!
俺のせいだ…
俺に、もっと力があれば…
セスは、俺の親友は…っ!
今も、生きていたんだっ…
すまん…
すまない…セス…』
あの日、彼はそう言って、泣き崩れながら何度も拳を地面に叩きつけ、亡き兄に謝り続けていた。
そんな彼を、ココは見放すことなど出来なかった。
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