滅ぼされた国の最後の姫は、最強の治癒力を惜しみなく発揮する

cc.

文字の大きさ
32 / 58
火の国【アレース】

32

しおりを挟む
くっくっくっ!!

「やはり、君がいい」

真剣に答えにも関わらず、何故か楽しそうに笑うカイルに対しココはあからさまに嫌悪感を抱いていた。

「ハハハッ…わるい、わるい!
別に、子の事など考えてはいないんだ。
いずれ子を授かれればそれでいい。
ただ、俺は…
セスの愛した民を守りたいだけだ。
君も貴族だったのなら、セスあいつの事も知っているだろう?
それに、君が使う治癒力はただの平民では強すぎる。
俺の側に置けば、他の貴族連中からの無理な要望も受けなくて済むだろう」


___あ!

ココはカイルからの説明で、に関して、自分が失念していた事を悟った。
そして、同時にカイルがココを護ろうとしていることも…


「お気遣いいただき、ありがとうございます。ですが、大変申し上げにくいのですが結婚は…」

「構わぬ。忘れろ!言ってみただけだ。
君が、すぐ様権力に擦り寄ってくるようなら、こちらから今回の件は無しにするつもりだった。
まぁ、ある程度は予測がついていたがな。
だが、それと勤労は別だ。
しっかりと働いてもらうぞ?」


「…はい、かしこまりました!」


今一つ、掴み所が分からないカイルとの話しを終え、勤務形態についての確認やカイルの希望なども聞き、ココは改めて専属侍女としての挨拶を済ませた。

そして、他のメイドによって一通り王太子宮の案内をしてもらったところで、日が暮れ始め、いよいよ、ココの初仕事である。

そう、カイルとの話し合いの結果…
主にココの動く時間は夜と朝のみ。
要するに、夜勤のようなものだった。

日の落ちる頃から、カイルが仕事に向かうまでである。
昼間の仕事は、今まで通り他のメイドによって行われる為、基本的に昼間に寝て空いた時間は自由時間のような勤務体制となった。

しかし、それでは余りにも勤務時間が少ない気がして、日中も出れる旨を伝えたのだが、意外にもカイル的には"夜間に動けるものがいる方が助かる!"といった希望もあり、完全夜勤体制で話が纏まった。



そして、ココが王太子宮で働き始めて早々に、この火の国の王太子の強さを、目の当たりにする事となった。

日が完全に落ちきると、王太子宮には数人の選ばれた者達が出入りを始める。
勤務初日、真っ先に紹介された人達だ。
彼らに対し、カイルはココをメイドでは無く『土の国の高位貴族だ』と紹介した。

ちなみに、この時…
誰も居ない広間のど真ん中に立たされていたココ。
するとココの頭上から、了承するかのような声が返ってきて驚いた。
間違いなく、諜報活動に秀でた者たちだろう。
ココも、王女として幼い頃から気配察知や戦闘など、一通りの護身術は学んでいたのだが…
彼らの気配を察知することができなかった。

正直、その時点で火の国が戦いに秀でていると認めざる得なかった。

しかし、挨拶が済んだ後、あろうことかカイルは姿を表さないままの彼らと打ち合いを始めたのだ。
後に聞いたところによると、不意打ちや暗殺に対処する為との事だった。
昼間にも、部下を連れ立って打ち合いをしている様子を何度も見てきたココには信じられない光景に写っていた。





しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで

越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。 国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。 孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。 ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――? (……私の体が、勝手に動いている!?) 「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」 死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?  ――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

処理中です...