【完結】浮気した婚約者を捨てた公爵令嬢は想いを寄せられていた男達に溺愛される

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2.公爵家の怒り

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バンっ!!!

勢いよく開けられた扉に、絡み合っている二人は驚きで目を丸くしていた。

「きゃーーーっ!」

テルザの恥じらいの含んだ叫び声が上がるものの、扉の前に立つ面々に二人は一瞬で青褪めた。

「ア…アリスティアなぜここに!?」

「…この状況でおっしゃる事は、それですの?」

貴方は馬鹿なのですね…
と、続けたい衝動をなんとか飲み込んで、すっと目線を後方に移した。

アリスティアの目線を追う様に、ノックスも後方をみる。

「トラネスタ公爵様…、父上…」

ノックスの声は今にも消えりいそうに霞んでゆく。
そんな、ノックスを横目にアリスティアは慌てて身なりを整えている、もう一人に声をかけた。

「ご機嫌様。テルザ!」

そう呼ぶ声は、誰もが感じるほどの威厳に満ちていた。
声の主に気づいたテルザは、ガクガクと震えながら…そっと振り向いた。

「ぁ、あの…私…」

「まさか、ノックス様との愛を深めるために
わざわざ私に"お友達になりたいです"と声をかけて来るなんて…
私も…いえ、公爵家も舐められたものですわね。

ねぇ、テルザ?」

「ひぃ…っ!そ、そんなつもりでは…」


テルザ・ドルトムント男爵令嬢、ノックスの浮気相手だ。
先ほどからのやり取りを踏まえ、浮気は以前からしていたのだろう。

「まぁ、ドルトムント男爵家の令嬢ですって?…では援助は打ち切りですねぇ、貴方?」

「もちろんだ!ハイルデン伯爵家も、ドルトムント男爵家も、もはや援助は不要だったらしいな。
まさか、この様なかたちで娘を裏切っていたとは…
腹立たしいにも程がある。

この婚約は早急に破棄させていただく!

ハイデルン伯爵家、ドルトムント男爵家については今回の件に関する慰謝料をしっかりと払ってもらおう」

「お、お待ちください!我が伯爵領ではまだ災害の爪痕が深く、今援助を打ち切られたら民の生活がなりたち…」

「あら、それでしたら優秀な御子息に一肌でも二肌でもいかがかしら?
とてもお得意のようですし…ねぇ?」

「そ、それは…っ」

「ご希望でしたら、明日の夜会で頂けそうな方を紹介いたしますわよ。
クスクスクス…

ハイルデン伯爵夫人、ドルトムント男爵令嬢…公爵家に泥を塗ってタダで済むと思わなくてよ?
明日の夜会を楽しみにしておりますわ!

それと、ノックス様。
娘を裏切った事…
この目とこの耳で、しっかりと確認致しました。
このまま、城勤できるなんて思わないことね。フフフッ…」

「お、お待ちください!
これは、テルザとは単なる遊びでして…
アリスティアを裏切るつもりなど」

「ございません!とでもおっしゃりたいの?」

アリスティアがノックスの話を、きょとん?とした顔で首を傾げながら遮った。

「お互いを想いあっておられるのでしょう?と、はっきりとおっしゃっていたではありませんか!

ノックス様、私達は今来たわけではございませんのよ?
ずっと扉の前に居たのです」

「「…え!?」」

「だって、婚約者の部屋から喘ぎ声が聞こえてきますのよ?
数時間後に結婚式の打ち合わせをするはずの、未来の旦那様の

私一人だけならまだしも、両家の両親と共に貴方がたの情緒を聞かされた私の身にもなっていただきたいわ…


冗談は、そのだらしのない下半身だけにしてくださらない?」








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