【完結】浮気した婚約者を捨てた公爵令嬢は想いを寄せられていた男達に溺愛される

番外編 〜その後〜

＊ジェイデンから息子へ＊

アリスティアと結婚し、二人のよく出来た息子と、目に入れても痛くない可愛い娘に恵まれた。

その子供達も立派に成長し、先日私は公爵の地位を長男のジャレッドへと引き継いだ。
ジャレッドは、容姿は私に似ているが笑う姿はアリスティアにそっくりな程、美しく微笑む子だ。
そんな息子も、早いもので今では2児の父親になった。

娘のセシリアも、出産を控えており大きなお腹を愛おしそうに抱えている。

次男の、ジェイスは剣が好きで今では幼馴染の王子の近衛を務めている。

三人とも自慢の子供達だ。

そして、私の側には庭先で元気いっぱい駆け回る孫息子と孫娘達に微笑んでいる、麗しく愛しい妻アリスティアがいる。

愛してやまない妻と子供達。

どうか、私がいなくなった後も幸せに過ごして欲しい。

そう願いを込めて、私はジャレッドに最後の願いを託した。


『私が死んだら、彼の元を訪ねてくれ』と。


そして、あとの判断はお前に任せると…



病に侵されているとわかってから、アリスティアは今まで以上に私の側を離れようとはしなくなった。

そして、死期が近い事を察すると、安心させるかのように「私も直ぐに行きますから」と微笑みながら言うようになった。
私には、それがとても不安だった。
後を追うつもりなのではないかと…

しかも、そう感じていたのは子供達も一緒だったようで、其々が口には出さないが心配していることは日々伝わってきた。

私にとって、アリスティアとの出会いは衝撃的で運命だったのだと、今でも思っている。
愛してやまない、愛しいアリスティア…
彼女と生きた人生は、素晴らしく最高だった。


だからこそ、私は最後まで彼女を守り抜く。
これから先、私が側で守れないのなら、これから側で守れる者にアリスティアを任せたい。


それは、もう彼しかいないだろう。


彼なら私がいなくなった後も、アリスティアを任せられるだろう。
アリスティアを愛し幸せにしてくれるだろう。

私は、そう確信していた。

何故なら、彼は未だに独身を貫いている。
それは単に、アリスティアを愛しているからなのだと…

同じ女性を愛した私には、彼の気持ちが分かる気がしていた。


「ジャレッドよ、アリスティアを彼の元へ」