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Chapter 1
27*セザールへの熱狂、双子への誹謗中傷
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会場内に高らかな声が響く。
「辺境伯家ライウス様、ミリアーナ様…」
両親の名前を筆頭に、この会場入りに連れ立った全員の名前を紹介された。
辺境伯当主夫妻の後に、次に爵位の高いセザール様とパートナーのナタリーが、それに続き兄ダニエルとアシュリーが、そして最後にサイラスとエリザベスの名が読み上げられると、会場内は一気に騒がしくなり、その視線は入り口へと釘付けになった。
そう、何故なら通常ではありえないのだ。
辺境伯当主夫妻の次に名を読み上げられるのは、通常ならば嫡男であり長氏でもあるダニエルでなければならない。
それなのに、今回名を呼ばれたのは、あのセザールであり、そのパートナーがあの双子の片割れなのだ。会場中が、ざわめき立つのも仕方が無いことだった。
"忌々しい双子"という、レッテルを貼られているアシュリーとナタリーは、ある程度注目されることは仕方が無いと踏んでいた。何よりも、今まで馬鹿にしてきた連中を驚かせたいのだから目立ってなんぼである。
しかし、セザールに対する反応には驚きを隠せなかった。
セザールの名前が呼ばれた瞬間、会場から一斉に黄色い歓声が飛び交ったのだ。
思わず、アイドルのコンサートか?と思ってしまうほど、それは熱烈なものだった。
そして、静かに聞き耳を立てていると…
『まさか、あのセザール様が参加されるなんて!!』
『まぁまぁまぁ!なんと良き日でしょう!!』
『あぁ~、一度で良いから踊って下さらないかしら‥』
『セザール様とお近づきになりたいわぁ!!』
などなど…
セザール様は大人気でした。
その様子に、アシュリーの口からは思わず「すごい…」の一言がこぼれた。
そんなアシュリーに対し、側にいた兄のダニエルが直ぐさまセザールについて、こっそりと教えてくれた。
『セザール様は、滅多に笑わないため、少し微笑むだけで老若男女全員を虜にするような人だ』と。
そして…
『俺もセザール様がエスコートしているお姿は初めて拝見するな』と。
何でも、セザール様は夜会に出席しても基本一人で参加されているらしい。
まぁ、帰りも一人とは限らないらしいが…
特定のパートナーを作らないようで、一部の貴族からは「だらしがない」「夜遊びが過ぎる」と批判が上がっているらしい。
しかし、伴侶も婚約者もいないのであれば女性と違い男性はあまり問題が無いように思うのだが、そこら辺の貴族的あり方については前世のイメージが強い双子には未だよく分からない領域だった。
そして、正直に思う。
(ある程度、遊んでいないとあの色気はでないよね~)と。
由佳も由希も、どことなく前世の自分たちにセザールを重ね合わせていたのだろう。
この年まで、自らの意思で婚約しなかったセザールと、自らの意思で恋人としなかった自分たちに…
隣に並び、黄色い声を寄せられるセザールを見上げたナタリーは、思わずボソッと呟いた。
「イケオジなうえにエロいって、最高かよ…」
あまりにも、小さな呟きはセザールには決して届かなかったが、真後ろに立っていたアシュリーにはしっかりと届いていた。
「同感」
その声に、ナタリーはパッと後ろを振り返った。
そこには、真面目な顔で大きく頷くアシュリーがいた。
目が合う双子は、共に「ぷっ!」と吹き出して笑い始める。
もちろん、兄もセザールも突然笑い出した双子に困惑していたが、そこはご愛敬とさせてほしい。
そして、アシュリーはナタリーに向かい満面の笑みで親指を立てた。
それは、由佳から由希へ向けたメッセージだ。
(しっかりセザールを食ってこい!!)
そんな、メッセージだった。
「辺境伯家ライウス様、ミリアーナ様…」
両親の名前を筆頭に、この会場入りに連れ立った全員の名前を紹介された。
辺境伯当主夫妻の後に、次に爵位の高いセザール様とパートナーのナタリーが、それに続き兄ダニエルとアシュリーが、そして最後にサイラスとエリザベスの名が読み上げられると、会場内は一気に騒がしくなり、その視線は入り口へと釘付けになった。
そう、何故なら通常ではありえないのだ。
辺境伯当主夫妻の次に名を読み上げられるのは、通常ならば嫡男であり長氏でもあるダニエルでなければならない。
それなのに、今回名を呼ばれたのは、あのセザールであり、そのパートナーがあの双子の片割れなのだ。会場中が、ざわめき立つのも仕方が無いことだった。
"忌々しい双子"という、レッテルを貼られているアシュリーとナタリーは、ある程度注目されることは仕方が無いと踏んでいた。何よりも、今まで馬鹿にしてきた連中を驚かせたいのだから目立ってなんぼである。
しかし、セザールに対する反応には驚きを隠せなかった。
セザールの名前が呼ばれた瞬間、会場から一斉に黄色い歓声が飛び交ったのだ。
思わず、アイドルのコンサートか?と思ってしまうほど、それは熱烈なものだった。
そして、静かに聞き耳を立てていると…
『まさか、あのセザール様が参加されるなんて!!』
『まぁまぁまぁ!なんと良き日でしょう!!』
『あぁ~、一度で良いから踊って下さらないかしら‥』
『セザール様とお近づきになりたいわぁ!!』
などなど…
セザール様は大人気でした。
その様子に、アシュリーの口からは思わず「すごい…」の一言がこぼれた。
そんなアシュリーに対し、側にいた兄のダニエルが直ぐさまセザールについて、こっそりと教えてくれた。
『セザール様は、滅多に笑わないため、少し微笑むだけで老若男女全員を虜にするような人だ』と。
そして…
『俺もセザール様がエスコートしているお姿は初めて拝見するな』と。
何でも、セザール様は夜会に出席しても基本一人で参加されているらしい。
まぁ、帰りも一人とは限らないらしいが…
特定のパートナーを作らないようで、一部の貴族からは「だらしがない」「夜遊びが過ぎる」と批判が上がっているらしい。
しかし、伴侶も婚約者もいないのであれば女性と違い男性はあまり問題が無いように思うのだが、そこら辺の貴族的あり方については前世のイメージが強い双子には未だよく分からない領域だった。
そして、正直に思う。
(ある程度、遊んでいないとあの色気はでないよね~)と。
由佳も由希も、どことなく前世の自分たちにセザールを重ね合わせていたのだろう。
この年まで、自らの意思で婚約しなかったセザールと、自らの意思で恋人としなかった自分たちに…
隣に並び、黄色い声を寄せられるセザールを見上げたナタリーは、思わずボソッと呟いた。
「イケオジなうえにエロいって、最高かよ…」
あまりにも、小さな呟きはセザールには決して届かなかったが、真後ろに立っていたアシュリーにはしっかりと届いていた。
「同感」
その声に、ナタリーはパッと後ろを振り返った。
そこには、真面目な顔で大きく頷くアシュリーがいた。
目が合う双子は、共に「ぷっ!」と吹き出して笑い始める。
もちろん、兄もセザールも突然笑い出した双子に困惑していたが、そこはご愛敬とさせてほしい。
そして、アシュリーはナタリーに向かい満面の笑みで親指を立てた。
それは、由佳から由希へ向けたメッセージだ。
(しっかりセザールを食ってこい!!)
そんな、メッセージだった。
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