双子の転生先は双子でした

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Chapter 2

67*舞台

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大変人気だと話題の舞台は、すでにストーリーの後半へと差し掛かっていた。
主人公であるすれ違っていた男女が、漸くお互いの想いに気付き確かめ合い、手と手を握る頃…
劇場の、完全個室のボックス席にいる2人は、未だ沈黙を続けていた。
舞台上では、喜びに溢れたパフォーマンスがされていく。愛を確かめ合った2人が、見つめ合いながら踊るワルツは、夢見る令嬢達の憧れの的になっていた。
シャンデリアに、光を当てれば舞台上のみならず、劇場内全体がキラキラと眩く輝いている。
周りの席からは、キャーっ!といった歓声が上がる中、ナタリーの座るこのボックス席だけは、まるで前世でいうお通夜状態だった。

正直、話せなくても劇は楽しもうと思っていたナタリーだったが、隣のセザールを盗み見ると難しい顔をしながら前を向いている。

(はぁ、流石に笑えないわね…)

大きくため息をつきながら、喜びの声を上げたいのを我慢した。
次第に、明るい演出からしっとりとした演出に切り替わり始めた頃…
男の主人公が、そっと女の手に自身の手を重ね愛おしそうに名前を呼んだ。

『ベス』
「ナタリー」

「…!?」
(え!?)

ずっと、続いていた沈黙。
それを、思いもよらない形で先に破ったのはセザールだった。

ナタリーの名を呼び、舞台同様そっとナタリーの手に己の手を重ねる。
その様子に、ナタリーの肩がビクッと大きく跳ねた。そっと、隣に座るセザールを見ると、彼はもう前を見ていなかった。
セザールの瞳には、驚いた表情のナタリーが映っている。
そう、セザールはナタリーを見つめていたのだ。それも、とびっきり甘い瞳で…

役者が名を呼ぶたび、セザールがナタリーの名をよんだ。
次第にその声は、役者の声よりも増えていく。
すでに、セザールの手はナタリーの頬に優しく添えられている。2人は、舞台の上の男女以上に熱い眼差しで見つめ合っていた。


『ベス、僕は君を愛している!』


そのセリフが聞こえた瞬間、セザールはそっとナタリーに口付けた。
まるで、同じ気持ちだと言わんばかりに。

優しく甘い口付け…
夜会の帰り、何度も求めた…いや、求め合った、あの熱く蕩けそうな口付け…
お互いの息が上がるほど、情熱的に求めあい高め合った。

セザールの触れただけのような口付けは、あの時を思い出すには十分すぎるものだった。

セザールが、掻き抱く様にナタリーを抱きしめると、首筋に優しく吸い付いた。
そして、首元をそっと撫でながら呟いた。

「もう、消えてしまっているか…」

以前、つけたはずの赤い花はすでに散ってしまっていた。名残惜しそうに、同じ部位に唇を寄せる。
セザールが、ちゅちゅっと吸い付く音が響くと、自然にナタリーの身体がゾクリと震えた。そして、まるで誘う様な甘い香りが立ちはじめる。
不意に香り始めた、その匂いにセザールは抗おうと、ナタリーの肩に手を置き力を込めた。
しかし、その時…
セザールの背中にナタリーの手が添えられたのだ。セザールは感じた。

"ナタリーが受け入れてくれた"と。

優しく抱きかえすように、ナタリーの腕に力がこもる。

その瞬間、セザールはもう我慢することをやめていた。
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