Magic Loaders

hoge1e3

文字の大きさ
13 / 53
第1章 はじめよう、Magic Loadersのいる暮らし

●第12話 おそるべし? Magic Loader

しおりを挟む
 ふーん、ゾジェイってそういうことね。……あ! え、ええ? 何でもないっすよ。いやその、アシジーモが教えてくれんたんだって。


 さておき、我々人間三人は、ザガリスタの城門のところまで来た。ちゃんと門番とかいる立派な門だ。門番が話しかけてくる。

「これは、イサキス様、またおいでなさったんですね」

 ああ、そうか、彼も一応マジック・ローダーだから、そうでない人々からすれば尊敬の対象なんだな、とか思っていたら、

「しかしですね、イサキス様、お言葉ですが、カルザーナ様の前で無礼を重ねすぎではないですか? あんな役立た……実用性に疑義がある魔法を披露されるとは。私も門番としては、お通しして何かあったら責任を問われることにもなるかもしれないですし……」
 うわぁ、言葉遣いはいいが言ってることはひどい。

「うるさい、今日こそはカル様を振り向かせんだ、さあ、開けろ!」
 しぶしぶ門扉を開ける門番。我々も中に入った。


 街はかなり栄えている。人々の話し声もたくさん聞こえてくる。

「……ここ数日襲ってきたゾジェイが今日はいなくなったみたいだな」
「カルザーナ様が奴らの親分を打ち負かしたんだ、それで、奴らときたら命乞いして、森へ逃げて行ったそうだぞ」
「さすが、カルザーナ様がいらっしゃる限りザガリスタは安泰……」

 カル様、とにかくすごい人気だ。


 ひときわ立派な建物の前に来た。ここが彼女の邸宅なのだろう。また門番がいる。

「イサキス様、ご足労いただいて申し訳ないのですが、あのあと、ご主人様に言われたんです、もうあのバカはここに入れるなって」
 ここの門番らはもうちょっと遠回しにいえないものか。

「ええー! ……いや、ここで素直に引き下がるようなイサキス様じゃないぞ!」
 と言って、イサキスは俺の手を引いて、門番の制止を振り払って入って行った。
「あー! 困ります!」という門番の声が遠くなっていった。
 イサキスは、俺の手をなおも引きながら
「カギン、君も共同研究者として、カル様に紹介してやるぜ」
 ……ええと、やな予感しかしないんですけど。

―――――†―――――

「……とにかく、今回は町にゾジェイ連中の侵入を許してしまった。これは我々としては恥ずべき失態だ。住民の皆に危害がなかったのが幸いだが」
「承知しております」
「今までの警戒レベルでは追いつかないことが明らかになった。至急、応援を頼みたい」
「はい、早速伝令を手配いたします」
 部下とおぼしき者に指示をだしているあの女性……俺らより5歳は年上、ビキニアーマーに身を包み、桃色の髪を後ろに束ねている。彼女こそ、この町のマジック・ローダー、カルザーナ。

「な、すげー美人だろ!?」イサキスがテンションあげて叫んだ……彼女がこちらを振り向いた時、その美貌は怒りに満ちていた。

「おい、門番はいったい何をしているんだ! ゾジェイばかりか、あの男の侵入まで許すとは!」

 あの男ことイサキスは至って平然と話しかける。
「いやー、カル様今日もご機嫌うるわしく……」
 うるわしくないだろー……って気づいたらもう平手打ちを食らって床に倒れていた。
「愚か者! 性懲りもなくやって来て、恥ずかしくないのか……ん? そちらの者はなんだ?」
 あ、やばい、視線がこっちに来た!
「あ、ええと、ですね、わたしは……」
「不審者め! 今すぐここを出て行きなさい!」
 わー、だから言ったのにー。

「待て待て、カルザーナ、ちょっとは落ち着こうぜ」
 と、駆け付けてきたのは、正規の手続きでこの館に入ってきたアシジーモだった。
「こいつは俺の友人だ。不審者扱いはないぞ。」
「あら、ごめんなさい……そうだアシジーモ、いいところに来てきてくれたわ。ちょうど伝令出そうと思ったんだけど、」
「ああ、レディウスの増強だろ? さっき外で聞いたが、ゾジェイの襲来が増えてるらしいな。」
「さすが、すぐわかるのね! ……同じマジック・ローダーでなんでこうも違うのかしら」
 と言って、床に突っ伏したままのイサキスに冷たい視線を送る。
「レディウスはすぐ設置する。カルザーナ、その代わりと言ってはなんだが、こちらからも一つたのみが……ええと、二つ、かな? ……こいつら、なんだかしらんが頑張ってたらしいから……」
「何よ」
 イサキスがやっと起き上がった。
「あいてて……先日は失礼しました。今日こそは素晴らしいものをお持ちしましたんで、……あいたた……ご覧にいれたくて」
「……変なもの見せたら今度は町の中にも入れないからね!」
「ええ、大丈夫ですとも。今日は私の優秀な助手もいますし。彼のアイデアは素晴らしいんですよ、ささ、カギン君説明してくれたまえ」

 ええー! 俺が!?
「あのお、これはアレなんですよ、魔法が3つあって、A  B  ツェデなんでして」
「そうそう、これが E   F  ツェデ で、これがツェデツェデで」イサキスが補足してくれたので、俺も頑張ってプレゼンを続けた。
「そっちがツェデツェデツェデのツェデで、こっちをツェデツェデからの、あっちがツェデで」

「……いいかげんにしろ!」
 ええ、そりゃ怒鳴られますよ。知ってた。さすがに初対面の人を平手打ちにはしない良心はあってくれたのが救い。カルザーナはイサキスにこう言い放った。
「お前はいつまでたっても、変なものばっかり呪胎してきて! そんなのする暇があったら、攻撃魔法の一つでも呪胎できるようになりなさい!」

 アシジーモが見かねて口を挟んできた。
「ああ、そうだ、攻撃魔法といえば、俺ら、こいつが使える魔法が何かって探しているんだ。……カギン、彼女は攻撃魔法の呪胎が得意だ。まずは簡単なものでいいから作ってもらえ」
「え、この人、魔法が使えない?」
「そうなんだよ、俺たちじゃ手に負えないくらい使えないんだ、お前ならなんとかできるかと思って。」
「……カギン、と言ったわね。まず確実にいえるのは、イサキスと変な企みをするのをよしなさい。」
「ええ、はい」と言わざるを得ない状況。
「わかったわね。じゃあこれから私があなたを鍛えて、一人前の戦力になるようにしてあげるから」
 ……えー、戦闘はいやなんだよー、せっかくルカンドマルアから逃げてたのに、と心の中で思っていたら、奥の部屋へ通された。
 部屋には、おびただしい数の杖があった。
「これは全部、私が呪胎した杖。この中から、あなたが使えるものを選んで」
 アシジーモの村にいたときも、これをやって全部失敗したんだ。どうせまた全部発動しないんだろうから、適当に試していこうと思った。1つとっては発動させたふり、もう1つとっては発動させ……とやろうとおもったところで止められた。
「待ちなさい! そんなに雑に扱ってはいけません。まず、1つの杖に思いを込めるの。……小さい頃習わなかったの?」
 魔法の勉強はどの町でもするらしい。そこで、以前ルカンドマルアの「学校」で習ったことを思い出して言った。
「ああ、習いました。思いを……魔物への憎しみを込めて、魔法を絞り出す、って」
 そのとき、カルザーナの表情が今までない驚きの表情に変わった。
「……憎しみ?」
「うちではそう習いました」
「……まさか、あなた、ルカンドマルア人?」
 あれ? なんでわかったんだ? 俺たまに、心の中で思ったことをいつの間にか口に出してるというヤバい癖があるんだけど、それかな?
「そんな風に教えるのはあそこだけだから、すぐわかるわ……そうだったのね、ごめんなさい……今まで、辛かったでしょう?」
 ああ、そういうことだったのか。とにかく、その後カルザーナは俺に優しく接するようになったのだ。

―――――†―――――

「私、ベルツェックル様から何度も勧誘を受けたのよ。ガイトゾルフに入隊してほしいって」
 おっと出ましたうちの自称『国王』の名前。
「攻撃魔法が得意なら、多分、来ると思いますよ、勧誘」
「……でも、断った」
「なぜですか?」
「彼らの考えるように、魔物のことを見れないのよ……私も……確かに、両親を魔物に殺された。だから、魔物たちを憎んでいない、と言ったら嘘なんだけど……それだけじゃ、何もならない、そう思っているから」
 なんか彼女の触れてはいけない部分が垣間見えたので、流れをもとに戻そうとした。
「……憎しみでないとしたら、何を思って、魔法を絞り出すんですか?」
「大事な人のことを考えて、かな?」
 大事な人、か。さしずめ、唯一の家族である母親あたりか? そう言ってみると、
「……お母さんはご存命、ということはお父さんは……」
 ルカンドマルアの住民は例外なく、家族を魔物に殺されているから、彼女はすぐに察したのだ。
「はい……でも、何もわからないんです。父親がどんな人だったか……生まれる前に亡くなっているので、それで、母親からいつも『お父さんの仇をとれ』といわれてもポカーンとするしかない、それは悪いと思っているんですけど」
 そこまで言うと、カルザーナは、
「ちょっと来て」
 と言って、館の裏口から外へ、俺を連れ出した。


 館の裏手が庭になっていて、その奥には高い城壁が巡らせてある。見ると、城壁の上にアシジーモが上って何かしている。あれか、レディウスの設置か。つうか、あんな高いところどうやって登ったんだろう? そう思っていたら、その城壁の上から何かが降りてきた……バウザスだ。ああ、また待たせてしまった、しびれを切らしたのだろう。あれ、でも、カルザーナにゾジェイと間違えられて追い払われちゃうじゃないか! と思ったら、
「……お友達?」
 と、杖一つ構える様子もなかった。
「その子、あなたにすごく懐いている……私、わかるのよ、魔物が何を思っているか」
 なんだよ、入る前の警告はなんだったんだ……
「おう、カギン、ちょっとお前のお友達を借りてるぞ」
 と上からアシジーモの声が。ああ、バウザスが上に連れて行ったんだ。よかったな活躍できて。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...