兄妹心中地獄めぐり~ずっと一緒だよ~

完全に理解したかえる

文字の大きさ
3 / 6

第三話 夢でいいから

しおりを挟む
お兄ちゃんに抱きしめてもらった、その日の夜。
私は、悪夢を見た。

それは、私の事を好きになったお兄ちゃんにぐちゃぐちゃに犯される夢。

なぜか自分の部屋にあるベッドの上に二人でいて、
部屋から逃げ出せなくて。
気が狂うほどの時間イカされ続けて、いろんな所を撫でられて愛され続ける夢。

「おにい……ちゃん……何回もイッたから許して……」
「嫌だ。お前が気持ちいいの我慢してる顔が、かわいくて好きなんだ」

そう言うと冬木お兄ちゃんは、私のクリトリスを指でこねくり回した。
絶頂したばかりの私はただでさえ全身敏感なのに。

「あ゛っ♡おにいちゃ♡そこだめ!だめなのっ゛♡」
「麻衣は恥ずかしがってるのも可愛いな」
「ううっ~!」

丁寧に、しかしじっくりとクリトリスをしごかれる。
もちろん、大好きな兄に言葉責めされながら。

「麻衣はクリも胸も弱いんだな」
「まって、ちょっと、休憩……」
「駄目に決まってるだろ?」

耳元で優しく囁かれ、体も心も芯までとろけさせられる。

「奥を指でとんとんされるの、好きだったもんな」
「いっ!イっちゃうから……!もう我慢できないからやめ……」
「駄目だ。お前は俺の妹なんだから、俺の言うこと聞かなきゃだめだぞ?」

膣の奥のほうまで指を入れられ、ゆっくりと、しかし確実に気持ちいいところを刺激される。

「あっ、あっ、ああっ!」
「だらしなくイっちゃっていいんだぞ?ほら、我慢しないで」

何度も、何度も快感で意識が飛びかける。
その度、お兄ちゃんは私の一番気持ちいい所を刺激して、
私の意識を強制的に戻す。

絶頂で喘ぎすぎて喉が枯れそうだった。
それからは地獄だった。

イキ狂わされたかと思えば、今度は何度も寸止めで焦らされる。その繰り返し。

どれくらいの時間が経っただろうか。

体感3時間くらいは連続で気持ちよくされ続けた後、お兄ちゃんは私にやさしく声をかけてくれた。

「麻衣、世界で一番愛してるぞ」
「お兄ちゃん……私もだよ」

深い安心感と幸福感に、体も心も包まれるのが分かった。
好きな人と両想いになれるのが、こんなに嬉しいことだなんて。

「大好き」
「俺もだよ」

二人で抱き合って、目を閉じた。
もう何も、怖くない気がした。



……そこで、私は起きた。
さっきのは、夢だったのだと気が付くまでにしばらく時間がかかった。

甘い悪夢だった。
私にありもしない希望と、満たされることのない欲望だけを植え付ける悪夢。

「そっか、夢だったのか……」

そうだ。
私は兄に、女として見られてすらいない。

私が兄に性的な目を向けてもらえることなど、
天地がひっくり返ってもありえない事なのに。

兄が私とのデートを承諾してくれたのは、家族の情が残っていたからだ。
決して、私の事を意識してくれただとかではない。ましてや好きになってなどいない。

むしろ、内心気持ち悪いと思われている可能性だってまだあるのだ。

「う、うう、あああああ!」

嫌われているかもしれないと思ったら、止めたはずの涙がまた溢れてきた。
夢ではあんなに愛し合ったのに。
現実では兄に恋慕を抱くことすら異常だ。
どこにもぶつけようのない悲しみが来る。止めどなく。

「なんで、なんで!」

私は、神様を呪った。
なんで私とお兄ちゃんを、血のつながった兄妹なんかにしたんですか。
なんで私は、実の兄に本気で恋をしてしまったんですか。
なんで私は、普通の恋愛もできずに兄に迷惑をかけているんですか。

「麻衣!大丈夫か……!」
「おにい、ちゃん」

私の叫び声が聞こえてしまったのだろう。
もう起きていたお兄ちゃんが、私の部屋に入ってきた。

「ごめんなさい、ごめんなさい」
「どうした……俺についての事か?」

お兄ちゃんは、人の困りごとにすぐ対処してくれることが多い。
よく人を見ているのだろう。

でも、今だけはこんなみじめな私を見ないで欲しかった。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「どうした、お前が謝る事なんて何もないだろ」
「あるの、いっぱい」

お兄ちゃんに迷惑かけてごめんなさい。
お兄ちゃんで興奮してごめんなさい。
実の妹なのに『好き』だなんて気持ち悪いこと告白してごめんなさい。

でも、辛すぎて言葉にできない。私が弱いから。

「お兄ちゃん、もう、もう大丈夫だから。私、大丈夫、だから」

お兄ちゃんの前では、可愛くて良い妹でいたい。
全部ばれた今でも、そう思ってる。
だから。

「お兄ちゃん、一人にして……お願い」
「うん、ああ、わかった」

お兄ちゃんがこちらを心配そうに見るので、無理して微笑む。
表情を変えたら、こらえていた涙がこぼれた。
兄は私の頬を伝うそれをハンカチで拭うと、
語りかけるような口調で話し始めた。

「麻衣」
「なに?」
「辛くなったら、俺でも他のだれかでもいいから、ちゃんと『助けて』って言うんだぞ」
「……わかった」

兄はいつも以上に優しくて、それがかえって私には痛みになった。
いつも優しくて素敵な兄に振り向いてもらうには、どれだけ努力したらいいのだろう。

朝から倦怠感が体を支配しているのは、睡眠の質の問題では無いだろう。
引っ越した時からそのままのピンク色の壁紙を背に、ため息をつく。


「私、子供だな」

もし、私たちの運命を司る神様が、この世にいるなら。
その人はすごく意地悪で、どうしようもなくひねくれ者に違いない。

でも、それでも、私は神様にお願いするしかなかった。
だって、兄と妹が結ばれるには神頼みくらいしか方法が無いから。

自分でも、馬鹿だなと思う。

それでも、心の底から絞り出すように願う。

「どうか、兄と愛し合いながら一生を一緒に過ごせますように」

願いは吐いた息と共に、空に消えていって。
私はまた、部屋で一人泣いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...