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しおりを挟む小休憩を挟みつつ読み終えた頃には、十七時を過ぎていた。かれこれ五時間は経っている。語部は凝り固まった肩を解しつつ、首を左右に動かす。通っている整体の予約は、一週間先だった。パソコンに向かうにしろ、本を読むにしろ肩こりはつきまとう。
語部はもう一度、本を手に取る。パラパラとページを流し見ていくも、メモらしきものはなにもなかった。
やはり本の内容が、黎城の伝えたいことなのかもしれない。それとも本当は自分の作品を読んでもらいたいだけで、こんな遠回りなことをしているだけなのか。
語部は読んだ内容を反芻する。
主人公の勝俊は四十半ばで妻子持ちの男だ。彼には中学二年生の息子がいる。その息子は幼い頃から虚言癖があり、自分は夢で人の危機を見ることができるのだと言った。もちろん勝俊も妻も信じるはずもなく、周囲に不安感を与える息子を何度も嗜めていた。
小学校に入ってもそれが続き、挙句の果てには気味悪がられていじめにまで発展してしまう。そのせいか、息子はほとんど口を聞かなくなった。部屋にも籠りがちになり、学校も休むようになった。
そんなある日の早朝。会社に行く準備をしている勝俊の元に、息子が突然青ざめた顔で現れる。「今日は会社を休んだほうがいい」と急に言い出したのだ。
そんなことはできるはずもなく、大事な商談があるのだと伝えるも息子は「夢で見たんだ」と言い続ける。いい加減にしろと言って、勝俊が怒鳴ると玄関に向かう。そこで妻の悲鳴が聞こえ振り返ると、息子が自分の腹部に包丁を突き刺していた。
会社に行くどころではなくなり、すぐさまに救急車で病院に向かうこととなる。気が動転している中、なんとか会社に連絡を取ると、そこで会社付近の道路で車による暴走事故が起こったというニュースを知ることとなる。
ちょうど出社の時間が近いとあって、職場の何人かが被害にあったという。もし、息子が止めなかったら自分は死んでいたかもしれないと気付き、勝俊は愕然とする。
一命を取り留めた息子に話を聞くと、息子はやはりこのことを夢で見たのだと話し始めた。たとえ信じてもらえなくても、自分の家族を見殺しにするわけにはいかなかったのだと。そこで訥々と今までにあった夢で見たことが実際に起きた話を語った。
息子の胸中を知った勝俊はそこで初めて、息子にしてきた自分の対応を悔い改めることとなる。
ありがちなストーリーだが、息子の様子が徐々に暗澹としたものに変わっていく姿を勝俊の視点から捉え、それに気づけていないもどかしさが読者の同情を誘う。息子が自分の命に変えてまで父を止めよとしたのも、こちらとしては息を呑む展開だった。
それにとにかく感情描写が豊かで、文章も簡潔で読みやすい。その点では内容が真逆であっても、以前に送られてきた原稿に似ていた。
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