No.83【短編連載】ヤニ吸う時だけ優しい先輩

鉄生 裕

文字の大きさ
4 / 6

高垣沙耶

しおりを挟む
”自己紹介をお願いします”

名前は高垣沙耶です。営業部に所属していて、今年で五年目になります。



”会社の雰囲気を教えていただけますか”

良い会社だと思いますよ。先輩方は親切ですし、後輩たちも皆優秀ですから。私も仕事をするうえで先輩や後輩には何度も助けられています。



”同じ部署には三坂俊太郎さんがいらっしゃいますよね?”

三坂ですか?
三坂なら同じ部署の後輩ですけど、彼がどうかしたんですか?



”実は三坂さんが陰で高垣さんの事を沙耶ちゃんと呼んでいるという噂を耳にしたのですが、ご存じでしたか?”

ご存じも何も、三坂と私は付き合っていますから。
会社ではきちんと名字で呼ぶようにと言っていますが、プライベートで彼が私のことを何と呼ぼうと、べつに気にはしないですよ。
それに、会社のほとんどの人間は私と三坂が付き合っていることに気付いていると思いますし。



”三坂さんと同期の吉野さんは気付いていないみたいですが・・・”

ああ、吉野くんね。吉野くんの事なら三坂からも聞いていますよ。あの子はまぁ、そういうのに関してはちょっと鈍感らしいですね。
そういえばこの前、吉野くんが私に言ってきたんですよ。
「実は三坂と二人で呑みに行くと、三坂のやつ、高垣さんの事を沙耶ちゃんって呼ぶんですよ。だから別れ際、いつもあいつの脇腹を思いきり殴ってやってるんです。あいつはベロベロに酔っているから覚えてないでしょうけど」って。
可愛いですよね。吉野くんのことも大好きですよ。



”青木柚葉さんが三坂さんに好意を寄せていることはご存じですか?”

柚葉ちゃんが?
それは無いと思いますけど、柚葉ちゃんが言っていたんですか?
柚葉ちゃんと吉野くんが二人で買い物に行った時に、柚葉ちゃんが三坂のことを何度も吉野くんに尋ねていた?
ああ、それは完全に誤解ですね。
だって、柚葉ちゃんが好きなのは三坂じゃなくて吉野くんですから。
たぶん柚葉ちゃんが何度も三坂のことを吉野くんに聞いたのは、三坂が余計なことを喋ってないか不安だったからだと思います。
三坂は口が軽いんで、うっかり柚葉ちゃんの気持ちを吉野くんに話していないか心配だったんじゃないでしょか。
というか、柚葉ちゃんと吉野くん、二人だけで買い物に行ったんですか?そんな話、柚葉ちゃんから聞いてないな・・・。今度ランチに行った時に問い詰めておきますね。



”吉野さんの直属の先輩にあたる志摩さんはどんな方ですか?”

志摩さんは非常に優秀な方だと思います。
営業成績もいつもトップですし。
たしかに他の部署の私から見ても志摩さんは怖い先輩だという印象が強いですし、そのせいで良くない噂が広がっているのも知っています。ですが、あれは全くのデマですから。
それについては私から話すことでは無いと思うので。
でも、最近は少し変わったと思います。たぶん吉野くんと一緒に仕事をするようになってからだと思うのですが、たまに仕事中でも笑顔の志摩さんを見かけるようになりましたから。
吉野くんと一緒に仕事をするまでは、笑顔の志摩さんなんて見たことなかったですもん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

筆下ろし

wawabubu
青春
私は京町家(きょうまちや)で書道塾の師範をしております。小学生から高校生までの塾生がいますが、たいてい男の子は大学受験を控えて塾を辞めていきます。そんなとき、男の子には私から、記念の作品を仕上げることと、筆下ろしの儀式をしてあげて、思い出を作って差し上げるのよ。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...