孤高の教師

chandeme

文字の大きさ
13 / 27
帰ってきた田辺翔一

生と死の乱

しおりを挟む
生と死の授業。



田辺「これより生と死の授業を始めたいと思います。突然ですが先生は毎日死にたいと考えています。誰か助けてください。」


井田「た、助けてって言われてもなぁ...なぁ坂井..」


坂井「そ、そうね...私たちでよければ悩みくらいなら聞くわ..」


田辺「うむ。悩みはないがただ死にたいと考えている。時に澤...君は生きていて死にたいと考えたことはあるかな?」


澤「わたし..ですか?中学校のときにいじめにあっていて...そのときに毎日死にたいと思っていて...でも卒業してからは思わないですよ。そんなことくらいで死ななくてよかったと思ってます。」


田辺「なるほど。貴重なエピソードありがとう。いまの話聞いて先生すこしブルーになっちゃった。聞いたことを少し後悔してる。」


井田「で先生はなんで死にたいと思うの?」


田辺「それなんだがな...井田よ...我々は必ず死ぬ運命にあるな。誰でも。なのに人は生まれ生きる。なぜだ。なんの意味がある。必ず死ぬのに...だぞ。私達人間はここで一体なにをしているのだ。答えろ。」


井田「ま、まてよ...いきなりなんだよ...坂井パス。」


坂井「パスしないでよ..そんなパスできるような軽いテーマじゃないわ...私にだってわからないけど、しいていうなら、死があるからこそ人生を謳歌しようとするんじゃないかしら?生きてる間に悔いの残らないよう生をまっとうしようとする...といったところじゃない..?」


澤「うん。坂井さん、私もその意見に賛同するわ。私も同じです。」


田辺「さすがだ坂井。伊達に私と互角で張り合ってきた生徒ではないな。あっぱれだよ...坂井朋子。朋美か。すまん間違えた。」


坂井「...そこで名前間違えないでよ..でも褒めてくれて嬉しいわ。すこしでも生きようと思ってくれたかしら??」


田辺「ならん。0だ。」


中田「はい!先生!」


田辺「どうした田中。喋っていいぞ。」


中田「朝ごはんのケチャップが口にまだついてました!」


田辺「ここがアメリカなら撃たれてるぞ。いいか。ではその人生の謳歌とはなんだ。なんらかのカタチで結果を残すことか?行きたかった大学に行く。金を稼ぐ。女と遊ぶ。夢を叶える。仕事で結果を出す。なにをするにせよ最後に全て死の川に流されてしまう。何もこの世に残すことはできない。なにを感じるにせよ全て刹那的に流されてしまう。そこで話しは振り出しに戻る。私たち人間はここで一体何をしているのかと。」


坂井「ちょっとまってよ..確かにその通りだけれど..でも死ぬなんて先生も私たちもまだまだ先...それまでにやりたいことをやるのが人生だわ..。」


澤「そうですよ...先生は哲学的だから少し難しく考えちゃうかもしれないですけど...もっと気楽に生きてもいいと思いますよ...?こんどなにかおいしいものでも食べにいきましょうよ!」


田辺「くぅ...すまない澤...先生は今涙以外のものは何も出てこない..」


井田「泣くなよ~。ところでさぁ先生。人って死んだらどうなるの?」


田辺「なぜそれを生きている私に聞くのだ...。わかるはずがなかろう。お前はインド人に向かってフランス革命とはなんですかと聞くのか?」


井田「いいじゃーん。インド人だって知ってるかもしんねーじゃん。フランス革命。」


田辺「井田よ...死んだらどうなるのか、あるいは明日がどうなるのかなど考えるのはやめなさい。死に向き合うとは死んだらどうなのか考えることではない。今を生きることが死と向きあうということだ。未来の夢や目標のために生きてはならない。友達のために生きるのもやめなさい。好きな人のために生きるのもやめなさい。そんなもの捨てたらいい。生徒諸君。今を生きろ。今日の授業はこれで以上です。それでは失礼する。」



これにて生と死の授業は
幕を閉じたのでした。
めでたしめでたし。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...