孤高の教師

chandeme

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やっぱり田辺翔一

夢の乱

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夢の授業


田辺「ではこれより夢の授業を始めます。はじめに先生は昨夜オランウータンと居酒屋に行った夢を見ました。以上です。特に質問は受け付けておりません。」

坂井「質問する気も特に起きないけど。先生のボケにいつも付き合うほど生徒は都合よく無いわよ。」

田辺「坂井。いつになく冷たいな。どうした。生理か?」

井田「オランウータンと居酒屋行くのはいいけどよー。そこの居酒屋は動物OKなのかよ?」

田辺「井田よ。俺は夢の話をしている。なのにどうしてそんな現実的な質問を投げかけてくるんだ。ぶっ殺すぞ。」

坂井「...井田は先生のくだらないボケにのったのよ...なのにそんな言い方あんまりね。今日の先生には魅力を感じないわ。まぁいつも感じてないけど。」

澤「いいじゃない。先生はオランウータンと居酒屋に行った夢を見たのよ。それだけでとても素敵だわ。他になにもいらないわよ。」

田辺「坂井、勘違いするな。俺はボケてなんかいない。昨夜オランウータンと居酒屋に行った夢を私は見たのです。それは真実です。ボケてない。もう一度言うぞ。ボケてない。もう一回言う。ボケてなんか...」

田中「はい!先生!」

田辺「はいどうぞ中田さん。」

田中「小学校の時から解こうと頑張ってた知恵の輪を昨日ついに解くことに成功しました!」

田辺「オランウータンでもそんなにかからないだろうね。で、今日の授業なんですけど夢について語らうつもりですがまず夢とはなんだろうね。澤。」

澤「そうですね..夢って言うのはこう考えてるだけでワクワクしてくるような...叶ったら幸せを感じるようなことだと思います!」

坂井「ちょっと待ってよ。夢の話はいいけどまず寝てる時見る夢と将来叶えたい夢とどっちのことを先生は言ってるの。」

田辺「あぁそうだな。そうそうその通り...夢には2種類あります、、いや夢は2種類もない。1種類だ。どちらも同じ夢だよ。」

井田「同じ~?同じじゃねぇだろー。どう考えても。プロ野球選手になりたいって夢と寝てる時にオランウータンが出てくる夢が一緒だって言いたいのか?」

田辺「ああそうだな。一緒だ。ちなみに先生の夢は乃木坂46のメンバーと付き合う事です。先生がどのメンバーを推しているのか知りたい生徒はあとで職員室にきてください。まぁ来ても教えるとは限らないがな。先生はそうやすやすとどのメンバーが好きかなんて口にするほど安い男ではないのだよ。よく覚えておきなさい!」

坂井「変なとこにプライドもってるだけでしょ...それに先生のアイドルオタクぶりには誰も興味ないとおもうけど。」

澤「誰が好きなんですか?私はとても気になりますけど...」

田辺「澤よ..繰り返すが先生はそんな安い男じゃないんだよ。すまんな..ちなみに好きなのは高山一実と白石まいやんとさゆりんごと生駒ちゃんとまだまだいるぞ。」

井田「まぁ先生がストライクゾーン広いのはよくわかったけどさぁ。それよりなんで夢が1種類なのか説明してけろよ。」

田辺「まて。その前に先生はストライクゾーン広くなんかないぞ。先生から好かれる女性は狭き門を突破した女性のみです。覚えておきなさい。ここテストでますよ。」

坂井「もういいわよそんなの。早く話を進めなさいよ!だいたい先生はよくわかんないところにプライドたてすぎなのよ。狭き門とか言っときながら可愛けりゃ誰でもいいんでしょ。それに変なプライドにこだわる男なんて所詮モテない器の小さい男だわ。」

田辺「人間という生き物は睡眠中に夢を見ますね。オランウータンと酒を飲む悪夢を見たり好きなアイドルとデートする楽しい夢を見たり...そして目を覚ませばあぁ夢だったのかと安心したりガッカリします。そして現実にもどるのですが..目を覚ましているはずの現実でも夢を見ているんです。いつの日か乃木坂46のメンバーとデートしたいな~と...そして1日が終わり眠りにつきまた寝てる時に夢を見ますね。人間はこれを繰り返しています。」

坂井「まぁそうね..って言っても別に先生だって一日中乃木坂のこと考えてるわけじゃないでしょ、、仕事したりしてる合間になんかそうゆう妄想ってゆうか夢を見ているんでしょ。」

田辺「そうだな。飯も食うしトイレも行く。で、そろそろ夢が一種類しかないことがわかってくれたかな。」

井田「いや..わかんねぇなwだってさ、寝てる時の夢は存在しないでしょ?架空なんだよ。でも現実で見る夢はさ、叶う可能性があるじゃん。ミュージシャンになったり弁護士になったりさ!」

田辺「ふむ。なるほどな。ところで一つ聞きたいんだが...お前は昨日の夜ごはん何を食べたか覚えているか?おまけに食事したときの光景..誰と食事したとか鮮明に思い出すことができるか?井田よ。」

井田「なんだよいきなり…きのうくらいならすぐ思い出せるよ..きのうは肉じゃがだよ。母ちゃんと食った。で、なんだよ先生またボケてんのか?」

田辺「ボケてない。目を覚ませ井田よ。お前は母ちゃんと肉じゃがを食べたんだ。昨日な。で、ついでだが昨日見た夢も思い出せるか?
ハッキリ言おう。昨日の食事の光景を思い出すのも今日見た夢を思い出すのも同じだ。同じ思い出すという行為だ。」

井田「同じ行為っつっても、、だって昨日の食事は現実に起きたことで昨夜見た夢は現実には起きてねぇ事だし全然違うよ..」

田辺「昨日の夜ごはんだけじゃない。いままで人生で起こった事をふりかえるとき。どんな感じがするだろうか?色んな光景がアタマを巡るだろうがそれを思い出してるときなんて夢を見てるときのようなもんだろう。未来だって同じだ。夢想してるときも寝てるときの夢を見ているようなものだ。いいか?今起きてないことなんて全て夢だ。過去も未来も。」

坂井「それはつまり、、なんてゆうか、、今起きてないことは全て存在しないってことね、、過去は過ぎ去ったし未来はまだ来ていないってことね、、」

田辺「その通りです。だがな、今起きてる現実すら現実だと言い切れるか?」

井田「はあ~、、わかんね。ギブアップだわ。」

田辺「きみたち高校生はピンとこないかもしれんがな..まぁそこそこ生きてれば不幸な瞬間がたくさんあり苦労がたくさんあり...そして幸せな時間や感謝がこみ上げる瞬間も僅かだがあるわけですね。過去を振り返るだけでなく未来にも夢をえがくのです。幸せになりたい。愛したい、愛されたい..なんでもいい。これが人生だ。人間とは常に過去を振り返っているかあるいは未来を夢見ながら生きている。」

坂井「まぁそうね。でも先生に言われなくても当たり前のことよ。そんなの。先生ならもっと驚くような話をしてくれると期待したけど...今日はなんとも思わないわ。」

田辺「そうか。それは残念だ。ちなみに先生は今日死ぬつもりで生きています。それも毎日。
もし今日死ななければ明日。明日も生きたら明後日。何年もそのつもりで生きてきた。命懸けで気持ちを伝えようとしても君たちの心を打てないなら私はその程度の男かもしれないね。この命を捨ててもきみたちの心を動かせないなんて..僕は自分が死ぬときにそんなちっぽけで苦しみに満ちた自分の人生を振り返るんです。走馬灯と一緒に。あぁ、長かった。そして一瞬だった。まるでなにか...自分の人生が夢だったのではないかと思うくらいに。では今日の授業を終わります。ホームルームで会いましょう。」
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