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第三章
しおりを挟むイフェリアの森~深き霧眠れる森~
辺りは湿った腐葉土が蓄積した地面と枯れた木々、そして霧…その中をフェイ達四人とガルムは森の外へ向かって歩いている。
「あっ霧が晴れてきたよ~」
「どうやら森の外へ着いたようですね」
視界を遮っていた霧は消え、日の光が広がる森の外へ出た。
「ありがとね」
フィーはガルムにお礼をいい背中を撫でるとガルムは森の中へと帰って行った。
「あれは!」
クドルは驚いたような声で言った。そこには空を切り裂くように黒い煙が立ち上っていた。
「カシュアの方向だ!」
クドルは慌てて走りだした。
「レイナ!」
リーシュもクドルの後を追い走りだし、フェイを担いだクレイルとフィーも急いだ。
~カシュア村~
フェイ達がまだイフェリアの森にいる頃。
村の外でピエロのような仮面をした盗賊団達が集まっており、そこから少し離れた場所で三人組が話をしていた。
「あねさん、いつまであんな野郎の言いなりになってるんですか?」
「今回が最後よ、充分稼がせてもらったわ。それにこんなやり方は私には合わないわ」
「そうだる、盗賊団のフリをして盗みをして最後に本物に襲わせるってのは」
「さぁ 始めますわよ!」
三人組は盗賊団の集まるところへ向かった。
「ラスティス様、この村の奥に村人達が隠し持っている宝があるそうです」
「そうか」
『アジトではクドルの奴にやられたが確かこの村は奴の…』
「お前達、金目の物は全て頂いて後は焼き払え!」
「おぉ~!!」
ラスティスと盗賊団は武器を手に村へとなだれ込み三人組はその場に留まった。
「ようやくこの仮面ともお別れだる」
三人はピエロのような仮面を外した。
「そうね、でもまだもう一つ仕事が残ってるわ。クックあの男に知らせてきなさい」
クックはイフェリアの森の方へ向かった。
「あとは、待ちましょ スリック」
「へい、ロゼの姉さん」
スリックとロゼは、村の外で時が来るのを待った。
クドル、リーシュの二人はカシュア村に先に着き、村へと入った。
「なんてことだ」
そこには逃げ惑う人々、燃え盛る家や焼け落ちた家があった。
「一体何が起きてるっすか!レイナは!?」
「これこれはクドル」
「ラスティス!」
「アジトではよくも」
ラスティスは仲間を呼び命令した。
「今度こそ奴らを消せ!」
盗賊達は武器を構え、ラスティスは村の奥へと消えた。
「ラスティス待ちやがれ」
クドルは目の前いた盗賊を払い除け、ラスティスの後を追い村の奥へと消え、リーシュも追おうとしたが武器を持った盗賊達が前に立ちはだかった。
「くっこれじゃ奥へ進めないっす」
そこへ遅れてフェイを担いだクレイル、フィーの三人が着いた。
「これは!?フィーちゃんは何処か物影に隠れてください」
「うん」
フィーは近くにあった草むらに隠れた。
「んっんん…」
フェイが目を覚ました。
「どうやら気が付いたみたいだね」
「クレイルさん…ここは?」
「カシュアですよ」
「カシュア…」
フェイは村の様子を見て驚いた。
「これは!」
フェイは武器を構えた盗賊達とリーシュが視界に入る。
「リーシュ!レイナは?」
「分からないっす、こいつらを何とかしないと奥へ行けないっすから」
「そうか」
フェイは剣を抜き、リーシュはボーガンを構える。その時、クレイルは何かに気がついた。
「そこの岩陰に隠れてる二人 出て来たらどうですか?」
そう言うとお爺さんとお婆さんが出てきた。
「あなた達は?」
「わしらはこの村の者で急に盗賊が来ただる あっ!」
「だる?」
そこへ話を遮るようにお婆さんが話始めた。
「あぁ~そんでわたしたちは怖くてねこの岩陰に隠れていたんですよ」
「そうなのですか、ではまた岩陰にでも隠れていて下さい。盗賊達は私達が排除しますから」
お爺さんとお婆さんは再び岩陰へと隠れ、クレイルも剣を抜いてフェイとリーシュの元へ加わった。
三人は村人を逃がしながら盗賊達を次々と倒し村の奥へと進んで行く。
その村の奥では ラスティスに追いついたクドルがいた。
「やっと追いついた」
「追いついた?追いつくようにしたんだ。私の手で消すためにね」
「これ以上 わしの故郷を村の人々を傷つけさせはしない!」
そういうとクドルは獣の姿へと変貌した。
「!!!…まさか獣人だったとはね」
「お前だけは許さん」
「なにを許さないって盗賊が村を襲うのは当たり前だろ」
ラスティスは剣を抜いて切り掛かるがクドルはそれを躱してラスティスを突き飛ばした。
「なんて力だ…」
胸を突かれたラスティスは血を吐きながら剣を支えに立ち上がった。
『くっあの商人にもらった指輪を使ってみるか』
ラスティスは手に着けている指輪を前にかざすとクドルは呪縛をかけられたように全く動けなくなる。
ラスティスはその隙をつき剣でクドルの腹部を突き刺し、クドルから距離を取ると地面に手を突いた。
「うっ!なにが…」
急に呪縛が溶けたように動けるようになり倒れる。 そこへフェイ、リーシュ、クレイルの三人が辿り着いた。
「これはなにが!?」
「あの獣の着ている服ってクドルさんの服に似てないっすか?」
「どうやらクドルさんは獣人だったようですね」
「これがクドルさんっすか!?」
「獣人?」
「獣人ってのは、獣の面と人の面を合わせ持つものですよ」
「また貴様らか…」
血の付いた口元を拭きながら言った。
フェイ達はクドルに近付くとクドルは獣の姿から人の姿へと戻った。フェイは腹部に刺さった剣を抜き鞄の中にあった布を取り出し布で傷口を押さえた。
「すまねぇが…」
「喋らないで下さい」
「頼みがある…娘を…フィーのこと…を頼む…」
「クドルさん、弱気にならないで下さいよ」
「あと…おめぇ達に頼みがある…ストレイヤの山の中に…フィーの母親がいる…そこへ娘を連れていってくれないか……」
「そうゆうことは生きて自分で連れていってあげるっす」
「そうかもな、ガハハハ……ハハ……」
いつもの豪快さはなく笑う。
「そうですよ」
「…………」
「お父さん!!」
そこへフィーが現れ、倒れているクドルに駆け寄ったがクドルの息はもうなく最期に笑った笑顔だけが残されていた。
それを見たフィーの目からは涙が溢れ、声を上げて泣き始めた。
「ふっ死んだか後はアジトでの借りを返させてもらおうか」
そう言いラスティスは立ち上がりまた指輪を前にかざした。
「なにをする気なんだ!?」
『何も起きない!?』
「うっなんだこれは?どうなって…」
突然、ラスティスの身体は指輪の嵌めている指の先から水分が奪われ細く痩せていき、木のようにカラカラになって脆くも崩れ落ち、地面には朽ちた木屑と指輪が残った。
「いったいなにが起きたんだ」
「まぁなんであれいいじゃないですか?悪は潰えたということで」
クレイルはラスティスだった物に近づき、指輪を拾った。
『この指輪は…』
「そうだ!レイナ!クレイルさんフィーちゃんをお願いします」
リーシュとフェイは急いで焼け焦げた今にも崩れそうな地下牢のある建物へと駆け込み、地下牢に着いたが何処にもレイナの姿はない。
「レイナはいったい何処に」
「フェイ早くここを出よう崩れると出られなくなるっす」
フェイはリーシュの言うとおりその建物の外へ出たとたん建物は潰れるように倒壊した。
「危なかったっす」
「うん、でもレイナは何処に…」
「きっと村の人に聞いてみれば何かわかるっすよ」
リーシュとフェイはクレイル達の元へ戻った。
「あれ?レイナちゃんは?」
「それが…」
「地下牢を見てきたっすけど何処にもいなかったんすよ」
「そうなのですか…」
フェイ達が話していると村長と村人達が現れた。
「この度のこと礼を言う、ありがとう。そしてすまなかったなお前達は盗賊の仲間じゃなかった」
「レイナはどこに!?」
「レイナ?あぁあの牢にいた娘なら昨晩、村の者が食事を届けに行った時には姿は忽然と消えたと聞いているが誰も牢のある建物から出るところを見てないそうじゃ」
「そうですか…」
そして、村長と村人達は去っていった。
その村人達が去っていく中、一人のお婆さんが話しかけてきた。
「あのその娘さんのことでお話が…」
「レイナのことを!?」
「あなたは先程の」
「知ってるんっすか?」
「ええ、それよりレイナちゃん行方です」
「何か知ってるんですか?」
「えぇ昨晩のことです。その娘さんが男の人の後をついて村を出てイフェリアの森の方へ行くのを見ました」
そういうとお婆さんは立ち去って行った。
「イフェリアの森にレイナが」
「その男って何者っすかね」
「いい人間ではないのは確かでしょうね」
「急いでイフェリアの森に行きたいけどフィーが…」
「フィーちゃん…だいじょぶっすかね」
「うん…あの歳で親の死は辛いよな… 今はそっとしておこう」
そこへ涙を拭きながらフィーがやって来た。
「お兄ちゃん達、暗い顔してどうしたの?」
フィーはいつものように明るく聞いた。
「それは…」
「フィーちゃん無理しなくてもいいんですよ」
「そうっすよ」
「無理してないよぉ~だ」
「フィーちゃん…」
「早く行かなくていいの?イフェリアの森に」
「聞いてたんだね」
「さぁさぁ~行こう!」
フィーは一人、先に村の外へと向かった。
「なんだか逆に気を使われましたね」
「フィーちゃんが笑顔でいるのに僕らが暗い顔しちゃいけないよね」
「そうっす」
三人も村の外へと向かいフィーと合流しイフェリアの森へ向かった。
イフェリアの森~深き霧眠る森の遺跡~
男はクック、ロゼ、スリックの三人に訊ねた。
「村の方はどうでしたか?」
「順調ですぜ」
「彼等は森へと誘導しましたわ、ここまで辿りつけるかは知りませんけど」
「あとはこっちでやります、報酬はこの奥に」
クック、ロゼ、スリックの三人は遺跡の奥へと進んだ
「早く頂いてこんな所からはおさらばですわ」
『では、さようなら』
男は壁の一部を押すと三人の居る床が抜けてた。
「ふぇ…」
「姉さんなんか足元が…」
「ないでる」
「呑気に言ってないでなんとかしなさ~い」
三人は抜けた穴へと落ちた。
~森の中~
フェイ達は森に入り、森の奥へと歩んだが霧とモンスター達に阻まれて中々進めない。
「全然進めないっす」
「次から次へと出てきますね」
「何かに怯えているみたい」
「怯えている?この森に何が」
「まだ来るよ」
フェイは剣を構え、霧の中へと振り掛かった。
「ひぃ~」
フェイは剣を声の人物の直前で止めた。
「あなたは!?」
「商人のゴートさん!」
「これはいつぞやの、こんな森の中でどうしたんですか?あれ?この間の娘さんがいないようですが」
フェイは理由を商人ゴートに話した。
「そんなことがあったのですか」
「えぇ、そうだ商人でしたらこの森のこと何か知りませんか?」
「そうですね……この森の奥には遺跡がありこの霧もその遺跡が何等かの関係があると言われております」
「森の奥に遺跡が…フェイくん!もしかするとレイナちゃんはその遺跡に居るかも知れませんね。そして、一緒にいた者も」
「でもこの霧じゃ、何処に進めばその遺跡があるかわかりません」
「それはお任せください。私が案内しましょう地図もございますし」
「ありがとうごさいます。ゴートさん」
フェイ達は商人ゴートの案内によって遺跡へたどり着いた。
遺跡は石造りで表面にはコケが生え、地面は太い木の根が張り遺跡を飲み込むように伸び遺跡の上で絡み合うように一つの木を造り、そして、不思議と周囲はスッポリと穴が空いたように霧がなくなっている。
「ここだけ霧がない!」
「やはり遺跡と霧は何らかの関係がありそうですね」
「はやく中に入ってレイナを捜そう」
フェイは一人、先に遺跡の中へと駆け出した。
「フェイ、待つっすよ」
「そうです、レイナちゃんを連れ出した犯人が待ち構えているかもしれないんですよ」
フェイの後を追いリーシュ、クレイル、フィーも遺跡の中へ入った。
遺跡の中に踏み込むと通路にあったタイマツに火が次々に灯り通路を照らし出した。
照らし出した通路は細いツタが辺り構わず張り廻らされている。
フェイは通路の明かりを頼りに奥へ進むとやがて大きな部屋に出た。部屋は円柱状で中心は吹き抜けになっており明かりが地下へと徐々に灯っていったが底は全く見えない。
その部屋でようやく三人はフェイに追いついた。
「うわっなんて大きな部屋っすか」
「この穴もかなり深いよ~」
フィーは吹き抜けを覗き込み言った。
「いやはや、これは凄いですねぇ~」
「このどこかにレイナが!」
「まぁまぁ落ち着いてレイナちゃんはきっと無事ですよ」
「なんでそんなことが言えるですか!?」
「村から連れ出したってことは何か目的があるからでしょう。だから危害は加えないと思いますよ」
「目的って何ですか!」
「そこまでは私にもわかりませんよ」
「フェイ!落ち着くっすよ」
「すみません…クレイルさん」
「いいんですよ 気持ちはわかりますから」
「あれ、ゴートさんは?」
「そういえばいないですね」
「道は一本道だったから迷うことはないはず」
「では、きっと外で待っているのでしょう」
「そうっすかねぇ」
「そうですよ」
三人が話している中、フィーは何かを感じ部屋の壁の方へ歩いて行った。
『誰?誰かが呼んでる』
フィーは壁に五角形の五つの窪みに指を入れた。するとカチャっと音がして壁と地面が静かに横回転して壁の中に入った。
「あれ?」
「どうしたんっすか?」
「フィーちゃんもいない!」
「えっ!さっきまでそこにいたのにどこへ」
「壁や床を調べてみましょう 何か仕掛けがあるのかも知れません」
フェイ達は調べ始めた。
~遺跡の地下~
ロゼ達は部屋の中で重なるように倒れていて上には落ちてきた穴が見える。
「まったく酷い目に遭いましたわ」
「そうだる」
「あの男ぉ~ 次会ったら覚えてらっしゃい」
「落ち着くだる」
「あんたは落ち着き過ぎでしょ!」
「それより早くどいてほしいぜ」
「そうだる」
「おまえもだぁ~スリック!」
三人は立ち上がった。
「でっ姉さん これからどうするんで?」
「ん~そうねぇ~?」
「これだけの遺跡なら物凄い宝があるかもしれませんぜ」
「こうなったらこの遺跡の財宝を頂きますわよ!ついてらっしゃい!」
「ヘイ 姉さん」
クックとスリックは同時に返事をする。
ロゼを先頭に三人は明かりの灯っている室内を歩き出すと目の前の通路を女の子がスゥーっと通りすぎ遠くの方で崩れるような音がした。
「姉さん今の!みっ!見ましたか!」
「女の子が通ったようね」
「まさか幽霊だる!?」
「幽霊なわけないでしょ」
「でもこんな所に女の子なんて」
「怖がってないで行くわよ!」
「待ってくださいよぉ~」
「姉さ~ん」
ロゼは一人先に部屋を出るとクックとスリックはロゼを追いかけるように続いて部屋を出た。
イフェリアの森~深き霧眠る森の遺跡~
「こちらに扉らしき物があります」
クレイルが示す、そこには壁に四角い線が入っている。
フェイとリーシュはクレイルの元へ集まった。
「普通の壁に見えるっすよ」
「近くに扉を開くための仕掛けがあるはずです」
フェイは調べるために一歩踏み出すと踏んだ床の一部が沈みゴトッという鈍い音がした途端、床が崩れ三人は下へ落ちた。
「いててて…」
「どうやら違う仕掛けが作動したようです」
「すみません」
「二人とも大丈夫っすか」
「えぇ」
「うん、大丈夫だ。リーシュは?」
「俺も怪我はないっすよ」
「さぁ、二人を捜そう」
「そうっすね」
「下へ行きながら捜しましょう、階段がそこにありますから」
クレイルはすぐそこにあった階段を指差しながら言った。
「上に行く階段もあるみたいだ」
「さっきの扉の向こうは階段だったってことですね」
「そうみたいっすね」
「それじゃあ下へ捜しに向かおう!」
三人は下り階段へと向かった。
「気をつけて下さい。まだ他にも仕掛けがあると思うので」
「うわっ」
フェイは何かに滑ってコケた。
「いってぇ~何なんだ」
床を見ると青い液体があった。
「これなんだ?」
フェイは青い液体に触ろうとした途端…
「危ない!」
クレイルがフェイを引っ張った。
「どうしたんですか!?」
フェイは青い液体を見ると口みたいな物があり、噛み付こうとしていた。
「!?」
「なんっすか!?これ」
「危ない所でした。あれはスライラス 刺激を加えると動き出し襲って来ます」
スライラスは獲物を変え、リーシュへと近付いて行った。
「うわっ!こっちに来たっす」
リーシュはボーガンを取り出しスライラスに矢を放ったが全く効いていないのか徐々に近付き、襲い掛かってきたがリーシュは避けた。
「無駄です!スライラスには物理な攻撃は効きません」
「じゃあ、グレネリスの力ならグレネリス!」
フェイはグレネリスの名前を何度も呼んだが返事が返ってこない。
『まだ地底湖でのことが…しょうがない』
「ここは逃げましょう!」
クレイルの言葉を聞いたリーシュはスライラスがまた襲い掛かってきた所を避けてフェイ達の所に行き、三人は急いで階段を降りた。
~遺跡の地下~
ロゼ達は道に迷っていた…
「姉さん、さっきもここ通りましたぜ」
「そうだったかしら」
「完全に迷ってるだる…」
「そんなことないわよ」
「いや、迷ってると思いますよ…」
「いいからあんた達は私について来ればいいのよ!」
ロゼはまた一人で先に行ってしまった。
「姉さ~ん待ってくださいよ、一人じゃ危険ですぜぇ~」
「いつもこの展開だる」
二人はロゼを追い掛けた。
「宝箱ですぜ」
ロゼ達は宝箱を発見した。
「何が入ってるかしら♪」
「ノリノリだるさっきまで怒ってたと思えないだる」
「ほんと姉さんは宝には目がないぜ」
ロゼが宝箱を開けると空っぽだった。
「からっぽですってぇ~!!このぉ~」
ロゼは空の宝箱を持ち上げ壁に投げつけた。
「まぁまぁ姉さん落ち着いて」
クックがなだめる中、宝箱を持ち上げたことによって仕掛けが作動した。
「二人とも静かにするだる、何か音がするだる」
二人は静かにするとカサカサという音がしている。そして、その音がどんどん近付いてくる。
「何の音かしら?」
「なんか そこの穴から聞こえる…」
宝箱の置いてあった場所に丸い穴があり、そこから蟻のような生物たくさんが出てきた。
「グリッドだる」
「逃げるわよ」
「ヘイ!」
三人は急いでその場から走って逃げ出す。
「姉さんが宝箱を動かすからこんなことに」
「うるさいわね!つべこべ言わずに急ぐわよ!」
「追ってくるだる」
ロゼ達は走りながら話をしている。
三人の後ろからはグリッドの群が通路全体を飲み込み、明かりが消えて暗闇とともに迫ってくる。
「なんかやばそう」
「というかヤバイだる」
三人の前に石の扉が見えて来た。
「あそこに入るわよ」
クックとスリックは先を行って扉を開け、ロゼが走り込み、二人は急いで扉を押す。
グリッドの群はすぐそこまで迫っており、群は蛇のように集まり飛び込んで来たがギリギリの所で扉を閉めた。
「…助かっただる」
「ハァ…ハァ…あれ…何なんだ?」
「グリッドだる、グリッドは群で来て飲み込まれると骨しか残らないだる」
「こぇ~ホント危なかったんだな」
「それでここはどこかしら?」
「真っ暗だる」
部屋のタイマツに青い炎が灯り部屋の中の物達が自ずと輪郭を表した。
部屋の床には楕円を三つ重ねた花のような模様がある。
「なにかしら?」
「近付いて大丈夫なんですかい?」
三人は模様の上に踏み込んだ途端、石の扉を食い破りグリッドの群が入って来て飲み込むように三人に襲い掛かる。
「うわぁ~」
三人の叫びがこだまする。
地面の模様が輝き円を描くように光が立ち上り飛びついて来たグリッドの群を受け止めた。
グリッドの群は蛇の形から光の円柱を包み込むように張り付いている。そして、ロゼ達は光とともにどこかへ消えた。
フェイ達はスライラスから逃げ切り、薄暗い場所に辿り着いた。
「どうやら逃げれたようですね」
「あぁ~かなり走ったぁ~」
「はぁ…はぁ…」
『グレネリス…どうしたんだ』
フェイは腕輪を見ながら思い、腕輪のオーブは心無しか色褪せて見えた。
「ここはどこで……ん?」
「どうしたんっすか?……!」
目の前には光が二つ、こちらを見つめている。
「またモンスターっすか!?」
「いえ…違うようです」
そこは行き止まりで上半身だけの石像があった。
石像は顔が二つ、腕が六本、手にはそれぞれ違うものを持ち、深い溝のある壁から出ている。
「フェイ!これなにっすかね」
「…」
「フェイ!」
「ん?」
「どうしたんっすか」
「いや なんでも…」
「…」
クレイルは通路にあった一本のタイマツを取り石像と周りを調べ始めた…
「クレイルさん、手伝うっすよ」
リーシュも一緒に調べ始め、フェイは目を閉じ心の中でグレネリスを呼んでみた。するとぼんやりと緋色の髪のローブの男がでてきた。
『グレネリスはどうしたんですか?』
『覚えてないんだな』
『なにを』
『地底湖での力の解放』
『力の解放?』
『オーブに封印された精霊は他のオーブに封印された精霊と契約することで元来の力を徐々に取り戻すんだ。だから力がない状態で強い心の力が解放されると精霊の力は大きく消費される。それで今は眠りについてる』
『じゃあ、なんで分身の貴方が出てこれるんだ』
『すこしは回復したって事だろう』
『そうか、よかった』
『だが、まだ…力が…』
緋色の髪のローブの男の姿が揺らいで消えた。
「…ェイ!…フェイ!」
「どうしたんだ?」
「どうしたって何度も呼んだんっすよ」
「フェイくんこの遺跡について少し分かりましたよ」
「なにが分かったんですか」
「この遺跡はこの森に住んでいた精霊達を守るための守護たる力の持つガーディアンが住んでいて、そのガーディアンが外の霧とフィーちゃんがいなくなったことに関係ありそうです」
突然、石像の首が回り、腕が壁の溝に入り光の粒が出てきて光の粒とともに石像が消えると扉が現れた。
「なにが起きたっすか」
「わかりませんが誰かに導かれたような気がしますね」
扉がゆっくりと開いた。
「入ってみましょう」
「大丈夫なんですか?」
「わかりませんが他に道がありませんし」
開いた扉の先には下への階段があり下へと明かりが灯った。
三人は照らし出された階段をおりて行った。
数分後…
「長いっすね」
「どこまで続いてるんだろう?」
「どうやら着いたみたいですよ」
三人は広く大きな部屋に着いた。
その部屋だけ他の場所と違う造りになっていて中は柱が並んでおり、奥に祭壇のような物が見える。
「誰かいますね」
「フィーちゃん?」
祭壇の前にフィーが立っており、祭壇には大きなモンスターの石像がある。その上に黒のローブを着た者が立っていた。
三人はフィーに近付いて名前を呼び掛けたがぼんやりした様子で返事はない。
「フィーちゃんに何をしたんですか?」
「私は何もしていませんよ」
「その声は!」
「声で気付きましたか」
黒のローブを着た者はフードを取るとその人物は商人ゴートだった。
「ゴートさんがなんで?それにそのローブ」
「全くあなた方、人間はいとも簡単に操れる、姿と声が同じであれば気がつかないんですからでも私は…」
「ゴートさんじゃありませんね」
「先に言われてしまいましたか」
そういいながらローブを翻し、フェイ達の視野から顔が見えなくなり、次に現れた時には金色の髪の女となっていた。
「それが本当の姿ですか」
「うん、僕って美しいでしょ?」
「それは偽りの美しさです」
「なんだって!まぁいいや…」
女は指を弾くとクリスタルが現れ、その中に眠るように目を閉じたレイナが居た。
「レイナ!!」
「なにが目的です、やはりオーブですか?」
「まぁそれもあるけど、デュカスを倒した力どれだけのものか試して見たくてね」
「それだけの為にレイナを」
「レイナを返すっす!」
「ちゃんと返すよ、コイツを倒せたらね」
女は宙に浮き上がるとモンスターの石像が振動し表面が剥がれ落ちていく。
「これがガーディアン…でもどうして」
「知りたい?ここはね元は聖域と呼ばれていて、僕らにとってはこいつは邪魔だったから闇の力で石にしてたんだけど力を試すにはちょうど良いから使おうかなって…」
ガーディアンが雄叫びをあげフェイ達はフィーの前に立ち武器を構えた。そこでフィーの意識が戻った。
「ダメぇ~戦っちゃダメ」
その声に反応し、ガーディアンの腕がフェイ達に向かって襲い掛かってきたがフェイはフィーを抱えて避けるとリーシュとクレイルも避けた。
「なぜダメなんですか?」
「苦しむ声が聞こえるの」
「苦しむ声?」
「恐らくはガーディアンの声、まだ完全に闇に侵されていないのでしょう」
「それじゃあ、手が出せない」
「それに守護たるガーディアンを倒すのは得策ではないですね、この森にどんな影響があるかわかりません」
『それに倒さないにしてもグレネリスがあの様子では…ここは』
「どうするっすか?」
「ここは私にまかせて皆さんは下がっていて下さい」
「でも、一人で…」
「いいから下がりなさい!」
クレイルは強く言った。
「あとフェイくんの剣を貸して貰えますか?」
剣を渡しフェイ、リーシュ、フィーは下がった。
「へぇ~一人で来るんだ、でもお兄さんには興味はないんだ」
金色の髪の女がそう言うとガーディアンはクレイルへ黒い風を吐き出した。
だが、クレイルはエレメンタルブレードを一振りして黒い風を消し去る。
「なかなかやるぅ」
「それはどうも」
クレイルは自分の剣を引き抜き、剣の刃を口許へ近付け、呪文を刃に吹き込むと地面に刺した。すると剣から文字が鎖のように流れ出てガーディアンに巻き付き動きを止めた。
「これで準備はできました」
クレイルはエレメンタルブレードでガーディアンを思い切り、上から下へと縦に振り抜いた。
ガーディアンに巻き付いた文字が強く光、闇が煙となり溢れ出て、女の元に集まり球体となった。
「予想外に面白いものが見れたから、この子返してあげるよ」
レイナが封じ込められたクリスタルは地面に移動した。
「じゃあ、またどこかで…」
そう言うと空間が開き、暗闇に消えた。
~廃墟~
帝王ヴァルキリアと布で目隠しをした金色の髪の黒いローブを着た男が話をしていた。
「アインが勝手な真似をして申し訳ありません」
「構わん懐かしい者を見れたからな。さがって良いぞ、ワグ」
ワグは一礼して暗闇に消えると廃墟の一室に現れた。
「アニキ、どうだった?」
黒のローブを身に纏う金色の髪の女がワグに言う。
「お咎めなしだ」
「よかったね」
「よかったねって…アイン…少しは反省しろよな」
「はいはい、してますよ」
反省の色も見えない軽い返事をしながらアインは部屋を出て行った。
イフェリアの森~遺跡の地下~
「うぅぅ…」
フェイ達は祭壇の方を見るとガーディアンが黒いオーラを放っていた。
「まだ闇が抜けてない!?」
「だいじょうぶ」
フィーが落ち着いた声色で呟くと黒いオーラは消えた。
「………我が名は守護者エラネーク助けて頂いて感謝する」
「いえ、こちらも仲間を助ける為にしたことなので礼を言われることは」
「どうやら大精霊がいるようだな」
「どうしてそれを?」
フェイの腕の腕輪が光の球体に包まれた。
「我は精霊を守護する者だからな造作もない」
「なにを!?」
「ん~力の消費が激しいようだな…」
光の球体はオーブに吸い込まれた。
「ここはどこじゃ?」
「グレネリス!?」
「治癒を施した。それと…」
エラネークが言葉を区切ると地面に横になっていたクリスタルに亀裂が走り、水となり消えた。
「レイナ!」
フェイはレイナに駆け寄り、抱き起こして名前を呼びかけた。
レイナは呼び掛けに反応を見せる。
「よかったぁ…」
「ホントよかったっす」
「無事のようですね」
「ん…ここは?」
レイナがゆっくりと瞼を開ける。
「大丈夫?」
「うん、何が…」
レイナは何があったか思い出した。
『確かゴートさんに地下牢から助けてもらって…』
フェイは場所と今までの経緯を話した。
「…なんかごめんね」
「俺こそ、なんか…ごめん」
「な~に二人で謝りあってるんすか」
「なんかその…」
「なんかね」
「まったく熱いの~」
「グレネリスなにを!さっここを出よう」
フェイは話題を逸らす。
「そうっすねぇ~」
リーシュはフェイ達を見ながら含み持たせたように言う。
「立てるか、レイナ」
「うん」
フェイは手を差し延べた手を取り、レイナが立ち上がろうとした時、突如、フェイ達の後ろで光が輝きドサッと音がする。
フェイ達は振り返ると……。
「痛いだる…」
「何なのよ…」
「まただぜ…」
そこには重なるように倒れてる三人組がいた。
「我が元に戻ったことで遺跡が正常に動き出したか」
エラネークは誰に聞こえるでもなく呟いた。
「お前は!」
フェイは三人組の一人を見て言った。
「どうしたんっすか?」
「カシュア村でぶつかった三人組の一人だよ」
「あ~!そういえばそうっす!」
三人組は立ち上った。
「何だか逃げた方が良さそうだる」
「一体、何者です?」
「誰かと聞かれたら教えてあげるわ!やるわよ」
「あれをやるですかぁ…?」
「早くしなさい」
三人組はそれぞれポーズを取ると言い始めた。
「この世にまだ見ぬ秘宝が有る限り」
「宝が俺らを呼んでいるぜ」
「……だる」
「だるじゃないわよ、最後は決めるわよ」
「その名はロリック団!」
三人組は声を揃えて言う。
『決まったわね…』
その瞬間、時間が止まった…ようにフェイ達はポカーンっとしていた。
「…さぁ、逃げるわよ」
「ヘイ」
「だる」
フェイ達が呆けているうちに三人組は逃げた。
「あっ!逃げたっす」
「なんだったんじゃ、今のは?」
「さぁ何なのでしょうか」
そして、フェイ達は部屋から出ようとした所をクレイルは遺跡の守護者エラネークに呼び止められた。
『そこの銀色の髪の者よ いや 賢者殿かな』
声がクレイルの頭の中に流れ込んできた。
『そうですが…』
『これをあの大精霊に』
守護者エラネークは正八面体の透き通った緑の小さな石を渡した。
『これは…?』
返答は無く守護者エラネークは石を渡すと背後にあった穴へと入って行った。
「クレイルさん、どうしたんっすか?」
「いえ、何でもありません。さぁ行きましょう」
フェイ達は祭壇のあった部屋から出て外へと向かった…。
外は全ての霧が晴れ、遺跡を飲み込んでいる大きな木から木漏れ日が差し込んで地面が輝いている。
「霧が晴れてる」
「霧がないと心地良い所っすねぇ」
「これからのことですが?どうしますか?」
「まずは麓町ゼルゼに向かおうフィーのこともあるし」
フィーは少しフラフラしていた。
「フィーちゃん大丈夫っすか?」
「う~ん、なんだか眠い…」
「乗って」
フェイはしゃがみフィーの前に背中を向けた。
「ん~」
フィーは生返事でフェイの背中に埋まって眠った。
「いろんなことがあって疲れたのでしょう」
「そうっすね…」
フェイ達は森を抜け、ストレイヤ山脈の麓町ゼルゼへと向かった。
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