ShiningHeart

シオン

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第四章

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ストレイヤ山脈~麓町ゼルゼ~

「ここが麓町ゼルゼっすか」

「人が全然いないよ」

「まるでゴーストタウンのようですね」

フェイ達はゼルゼに着いたが町の中は人気がなく閑散としていた。

「どうしたんだろう」

「人は住んでいるようですが」

「前に来たときはこんなんじゃなかったのにな」

「とりあえず宿に行きましょう」

フェイ達は町の中心部にあるこじんまりした広場で宿を見つけ入った。

宿の中には宿泊の手続きをするカウンターがあり、カウンターの中には一人の老人がいた。

「すいません、部屋を借りたいのですが…」

「…」

老人は黙ったまま後ろに掛かっていた部屋の鍵を取り、カウンターの上に出した。
クレイルはその鍵を取り、クレイルの先導のもと、フェイ達は鍵に刻まれた部屋へと向かった。
部屋に着くとフェイはフィーをベットに寝かせる。

「なんなんっすかね、あの態度」

「気になるところですが、今はフィーちゃんの母親が何処にいるかを町の人に聞いてみましょう」

「聞くっていったって人気がないっすよ」

「町の奥に教会が見えたけどそこなら何か聞けるかも」

「教会ですか…そうですね、教会なら何か聞けるかもしれませんね」

「なんでっすか?」

「それは教会というなは来る者は拒まず、招き入れるものですから」

『まぁ、何を祀っているかにもよりますが…』

クレイルは心の中で例外は存在すること思う。

「あと教会には私とフェイくんで向かいます」

「なんでっすか?」

「フィーちゃん一人置いて行くわけには行かないですし、レイナちゃんも暫く休んだ方がいいでしょうから」

『だったらフェイが残った方がいいような』
リーシュはレイナを一瞥した。

「そういうことだから二人を頼んだよ」

「分かったっす」

クレイルとフェイの二人は宿を出る。

「どうやら我が眠っている間に色々とあったようじゃな。フィーの母親を送り届けるのか」

「うん、クドルさんの最期の頼みだから」

「そうか…」

「ラスティスに殺され、そして、そのラスティスは何らかの力で朽ち果てました」

「そんなことが…」

話を交わしているうちに目的の教会に着いた。

教会はV字の崖の頂点を彫り造られており完成してから長い年月が経っているため建物は少し風化しているが見上げると鮮やかなステンドグラスがはめ込まれ太陽の光に輝いている。

クレイルは教会の扉を叩いた。

暫くして扉の小窓を開き、神父が顔を見せる。

「はい」

「あのお伺いしたいことがあるのですが」

神父は小窓を閉じ、扉を開けた。

「ここではなんですので中へどうぞ」

二人は神父の言うとおりに中に入ると中はステンドグラスを透る光が万華鏡のようにあらゆる色に輝いていた。

「すごい」

「確かに幻想的ですね」

「ここはフェレストアの時計塔と同時期できたと言われています」

「あの時計塔と、そんなに古いのか…」

「それでご用件とは?」

「ストレイヤの山に住んでいる女の人を知りませんか?」

「あぁ~あの方ですか…直接的には知らないのですが山の中腹にあるテューレの滝でよくいるのを町の人達が何度か目撃しているそうです」

「そうですか、あともう一ついいですか?」

「構いませんよ」

「この町で何かあったんですか?」

「それは………昨日のことです…突然、ガルムの群れがイフェリアの森の方から現れて町の外にいた者が何人か襲われまして皆さん怖くて外に出られないのです」

「そんなことがそれで群れは何処へ」

「山の方へと向かいました」

「!!それって」

「えぇ危ないですね、急ぎましょう」

「ありがとうございました」

二人は急いで教会を出るとフェイは一人の修道女とぶつかりそうになった。

「おっと!すいません」

フェイは修道女に謝るとクレイルと共に山の中腹にあるというテューレの滝へと急いだ。

テューレの滝に行くまでに数匹のガルムが襲って来たが斬り伏せながら進み、目的の場所へと辿り着いた。

「ここがテューレの滝ですね」

「誰もい…あっ」

そこには一匹のガルムが女の人に近付いて行くのが見え、フェイは剣を手に駆ける。

「ちょっと待って下さい」

フェイは女の人の言葉に動きを止めるとガルムは女の人の傍に座る。

「この子は危険じゃありません」

女の人はそう言うとガルムの頭を撫でる。

フェイはその様子を見て、剣を仕舞う。

「貴方達は何者ですか?私はレイ、この子はガイと言います」

「私達はある人を探してまして…」

ガイは何かを感じ、レイの服を引っ張った。

「ここは危険ですので早くこちらへ」

二人はレイに案内されるまま滝の裏へと案内する。そこには洞穴の入口があり、レイとガイは中へと入っていった。

「どうぞ掛けてください」

フェイとクレイルはレイの示す木箱に座った。

「ここはどこですか?」

「私が倉庫として使っている洞穴です。それで探している人っていうのは?」

「フィーという子を知っていますか?」

「はい、私の娘です。フィーを知っているんですか?」

「えぇ、いま一緒にゼルゼに来ています」

「どうして?」

「……実はクドルさんが…」

口重にクレイルはクドルの死のことをレイに告げた。

「そうですか…あの人が…」

「最後に貴女の元へフィーちゃんを送り届けて欲しいと」

「そんなことを…」

レイはクドルの事を思いながらフィーの事を語り出す。

「フィーは産まれて間もなくの話なんですけど、私の持つ力のせいでフィーが誘拐されて人質にそれで私は誘拐した者達の元へ向かいました。その時はあの人と盗賊団の人達が助けに来てくれて何とかなったんですが…そんなことがあって私はフィーの近くにいる危険が及ぶと思い姿を消したのに…」

「そんなことが」

「その後、あの人は私を捜しだし、何度も尋ねて来ては一緒に住もうと言ってくれたのですが私は断り続けました。それなのにどうして私の元へフィーを…」

「僕には両親がいないけど…どんな理由で遠ざけようともやっぱり子供には母親が必要だと思います」

「それと話に出ていた力何ですが、恐らくフィーちゃんも貴女と同質の力を持っているみたいです」

「まさか!」

「不思議ではないですよ。親子なのですから」

「そう…ですよね…そんなことを気付かなかったなんて…」

「じゃあ、早くフィーちゃんに会いに行きましょうよ」

フェイは立って外へ出ようとしたがレイに止められた。

「待ってまだ外へ出ては危険 ガルムの群れが山の中を徘徊しているから」

「心配ないですよ、ここまで来れたんですから」

「いえ、此処にいるガルムは普通と違います。普通、ガルムは決まった縄張りから出ません。しかも群れで行動するなんてそれに彼等の声が聞こえないんです」

「でも、このままここにいるわけにはそれにまたゼルゼが襲われるかも知れません」

「分かりました。ではガイに外の様子を調べてもらいます」

ガイは外の様子を調べに洞穴から出ていった。



ストレイヤ山脈~麓町ゼルゼ~

ベッドの上で眠っていたフィーが目を覚ます。

「あれ~?ここは?」

「起きたっすね、フィーちゃん」

「ここはストレイヤ山脈の麓町ゼルゼだよ」

「お姉さんはだぁれ?」

「紹介はまだだったね。私はレイナ、よろしくね、フィーちゃん」

「うん、レイナお姉さん」

「遅いっすね」

「何が遅いの?」

「フェイとクレイルさんっすよ」

「お兄ちゃん達、どこへいったの?」

「ちょっと教会にね」

外で遠吠えのような声が聞こえ、その後に人の叫び声が聞こえた。

「また出たぞぉ」

「なんっすか?」

リーシュは窓を開け、閉まっていた雨戸を少し開け隙間から外の様子を見るとガルムの群れが街の中にいた。

「なんっすかこれは…」

「どうしたの?リーシュ」

「ガルムの群れが町中にいるっす。これで外に誰も居なかった理由が分かったっすね」

「どうしたの?」

「大丈夫、心配ないっすよ。レイナはフィーちゃんを見ててっす」

「どこ行くの?」

「ちょっと表の様子を見てくるっす」

そう言ってリーシュは部屋から出ていった。



~テューレの滝~

ガイが戻ってきた。

「どうでした?」

「…」

「なんてこと!」

「どうしたんですか?」

「ゼルゼが襲われています」

「なんだって!?急いで向かわなきゃ」

三人とガイはゼルゼに急いで向かう。

ゼルゼに向かっていると途中で一人の男と出会った。

「どうしたんだい?そんな急いで」

「ゼルゼがガルムに襲われているんです」

と言い、行こうとしたら止められた。

「待ってよ、まだ用は終わったないんだからさ」

その言葉に振り向くといきなり何かが頬を掠めた。

「うわっ!」

「何をするんですか!?」

「今、あんた達をゼルゼに向かわせるわけにはいかないんでね」

男は両手に数枚のカードを扇状に広げると三人と一匹の方向へとカードを投げる。

投げられたカードは三人と一匹を囲むように配すると光の格子状のものが現れる。

「この力まさか…帝王の配下の!?」

「惜しい!でも近くて遠いかな」

「では、何者ですか?」

「そうだな……取り敢えずフェイクとしておくよ」

フェイクは少し考え込み言った。

「じゃあ、また何処かで…」

「待てよ!」

フェイの言葉を気にも止めずにフェイクはゼルゼの方へ歩いて行った。

「これは?」

レイは光の格子に触れようとしたがクレイルに止められた。

「触れないでください」

クレイルは地面に落ちていた小石を光の格子に投げたすると小石は粉々になった。

「これじゃ出られない、早くゼルゼに向かわなきゃいけないのに」

「どうやら物を媒体とした力のようですね。だとすればカードを破壊すれば解けるかもしれませんね」

クレイルはもう一度、地面に落ちている小石を広い、今度は格子と一体なっている、カードに向けて投げると弾かれ地面に落ちた。

「クレイルさんどうしたら?」

「フェイくん、エレメンタルブレードでこのカードを切ってもらえますか?」

「はい」

フェイは剣を構えてカード目掛けて振り抜いた。カードは二つに別れ、光の格子が切れた。

「やった消えた」

「えぇ、急ぎましょう」

「ガイ、先に行って襲われている人がいたら助けてあげて」

ガイはレイの言葉通り一足早くゼルゼに駆け出し、その後を三人も急いだ。



~麓町ゼルゼ~

リーシュは一階へ降りるとカウンターにいた宿屋の主人である老人が入口のドアの横で外を伺いながら銃を構えていた。

「表はどんな様子っすか」

リーシュはその老人に近付いて聞いた。

「ガルムでいっぱいじゃよ」

「そうっすか」

「さっきは無愛想な態度をとってすまんかったの。先だって来たガルムに息子が襲われてな意気消沈しておったのじゃ」

「いいんっすよ。そんなことがあったんじゃ誰だってそうなるっす」

話しているとガラスの割れる音がした。

「きゃ~」

「レイナとフィーちゃんの声!」

急いで部屋に向かい扉を開けるとガルムが窓を壊して入ってきていた。
リーシュはボーガンでガルムに矢を放ち、ガルムは倒す。

「大丈夫っすか?二人とも」

「うん」

「大丈夫だよ」

倒れたガルムから青白い球が浮き現れる。

そして、青白い球は何かに導かれるように壊れた窓から出ていきガルムは煙りとなり霧散する。

「今のは一体なんっすか!」

「多分、魂だと思う」

「魂…今のが」

「でもどうして体が消えたんだろう」

「怪我はなかったかね」

「無事っすよ」

「これでは中も安全ではないようじゃな」

「どこか安全な所はないっすか」

「恐らく教会なら…ここらで堅牢で神聖な建物じゃからな」

「ガルムがうろついている中どうやって教会まで」

「大丈夫!俺が守りながら行くっすよ」

「でも町の人達はどうするの?」

「それなら心配ないほとんどの者は奴らが来る少し前に教会に避難した」

「おじいさんはどうして残ったの?」

「それはあんた等がいたからな、それに…いや、何でもないでは教会に向かうか」

老人は外を伺いながら扉の取っ手に手を掛ける。

「さあ、いくっす」

四人は宿から出ると数匹のガルムの視線が四人を捉える。

「いきなりまずいっすね。教会まで走るっす」

四人は教会へと走る。
リーシュはボーガンで老人は銃を撃ち、ガルムを牽制しながら走るが前からもガルムが現れ、飛び掛かって来た。

「挟み撃ちっすか…」

リーシュはボーガンを構えたが横から銀毛のガルムが飛び掛かり、リーシュ達に飛び掛かるガルムに体当たりをする。

「仲間割れっすか?」

「うん、わかった。ありがとうね」

フィーは銀毛のガルムの言葉を読み取る。

「今のうちに行こ」

フィーはレイナの手を掴んで銀毛のガルムと一緒に教会へ駆けていき、リーシュと老人も後へ続いた。

「ここが教会」

「すごいっすね」

「またきよった」

老人は撃鉄を起こす。

「二人とも早く中へ入るっす」

「うん」

レイナとフィー、銀毛のガルムは教会の扉を開けて中へ入った。

「二人も早く中へ」

「あいつは!」

老人の視線の先には数十匹のガルムを従えた目に傷の入ったガルムが一匹いた。

「さあ、おじいさんも早く入るっす」

「わしはいい」

「どうしてっすか」

「息子が襲われたことは言っただろ。それはあの傷のやつに…だから仇を取ってやりたくてな」

「そうだったすか…でもここでやり合ったらおじいさんまでも…」

「いいんじゃ、老い先短いこの身」

「良くないっす 俺も残るっすよ」

「なぜじゃ!お前さんには関係なかろう!」

「俺は目の前で誰かが傷付くのが嫌なんっすよ」

「…優しいなお前さんは…わしの息子にそっくりじゃ…分かった入ろう」

その言葉を聞き、リーシュは先に中へ入る。
「すまんな…」

老人の扉の取っ手に手を掛ける。

リーシュはその言葉に振り返ると扉が閉まる。

老人はすぐに近くにあった棒で扉が開かないように固定した。

「!!おじいさん!なんで…」

扉が開けようとしたが開かずドンドンっと叩いたが返答がなく数発の銃声が響いた後、静寂が訪れた。



ストレイヤ山脈~麓町ゼルゼ~

フェイ、クレイル、レイの三人はゼルゼに着くとガルムの群は何処にもいなかった。

「どうしたんでしょうか?やけに静かです」

「ガルム達がいない」

三人は宿に向かった。

「みんな無事か!?……!!」

フェイは宿の部屋の中を見るとガラスが散乱して誰も居なかった。

「どこへ行ったんだ」

「宿の主人もいないですね」

「町の中にも人の気配がありません それにガイを呼んでも来ないんです」

「クレイル、感じておるか」

「えぇ」

「なにを?」

「フェイ、お前も何か感じるはずじゃ」

フェイは瞼を閉じて集中する。すると波紋が広がるような感じで何等かの力を感じた。

「うん、感じる…」

「その場所に行けば何か分かるかも知れませんね」

「行ってみよう」

力を強く感じる場所に向かって歩いて行くと教会に着いた。

「ここは」

「さっき訪れた時には何も感じなかったのですが」

クレイルは扉を開けようと手を伸ばしたら見えない壁に阻まれた。

「結界のようですね、これでは中に…」

フェイも結界に触ってみるとクレイルの懐にあったエラネークから渡された石が光りを発しながら出てきてオーブの中に吸い込まれる。
結界に触れているフェイの手が透り抜けて教会の中に入っていく。

「えぇ…!!」

「フェイくん!」

クレイルは手を伸ばすがフェイの全身が結界を透り抜け、伸ばした手は結界に阻まれる。

「まずいわね」

レイの言葉にクレイルはレイの方向を見ると煙が何処からともなく現れてガルムへと変わっていき、群れを成していく。

「これは…レイさんは下がっていてください」

クレイルは剣を引き抜きながらレイの前に出て構えるとガルムの群が襲ってきた。
クレイルは襲い掛かってくるガルムを次々に一刀のもと斬り伏せていった。
クレイルに斬られたガルムは煙りのように霧散してまた群れの後方でガルムが現れる。

『これではキリがありませんね、なにか…』

クレイルは何かいい方法はないかと戦いながら探っていると一匹だけ目に傷の入ったガルムが目に入った。

『あれは』

ガルム達の動きが止まり、ガルムの群れが煙のように消えると声が聞こえた。

「人間よ、この程度か?つまらんな」

「何処にいるんです。隠れてないで出て来たらどうですか?」

「ここですよ」

クレイルは首元に冷たい感触を感じ、視線を落とすと首に沿うように鎌の刃がを突き立てられていた。

「貴様の魂を頂くとしよう」

「ようやく本体が出てきましたか」

「余裕だな、人間」

「私はこの時を待っていたんですよ」

「うっ…自分の身体ごと…」

自分の身体に剣を突き刺し、後ろにいた声の主ごと刺した。

「私は理由あって特殊な身体でして」

「そうか…だがまだ終わりではない」

声の主は消え、クレイルの背後から青白い球がゆらゆらと結界を透り抜けて教会へと入っていった。

「大丈夫ですか!?すぐ手当てを」

「大丈夫ですよ」

クレイルは刺さっている剣を抜くと傷はすぐ消え、それを見たレイは驚いた。

「このことは黙っていてください」

「えぇ、分かりました」



~教会の中~

フェイは突然、透り抜けたことで体勢を崩して前のめりになる。その流れで扉の取っ手を掴むと扉が開いて中へと倒れ込む。

「いきなりなんなんだ」

立ち上がると前に入ったときと違い、教会の中の様子が変わっていた。
教会の中は火の灯った蝋燭が逆さに浮いていて壁には無数の大鎌が張り付き歯車のように動く。そして、天井には鎖の掛かった扉があった。

「フェイ!気をつけろ、誰かいるぞ」

「あなた何者?」

フェイは声のした方を見ると法衣を来た一人の修道女が不気味な椅子に座っていた。

「あなたこそ」

「私は破滅を招く者キースよ」

「別名、冥界の契約者か」

「よくご存知のようね。囚われの精霊さん」

「まぁな」

「みんなは何処にやったんですか?」

「それならここに」

キースは手を開くと炎が出て青白い球がたくさん入ったランプが現れた。

「まさかそれって…」

「そう、これは生き物の魂…そう死んだのよ」

「どうして…」

「アハハ…どうして?それはね、私の力を強める為よ」

「そんなことの為に」

エレメンタルブレードを構えた。

「許さない!!」

「そう、どうやら貴方も私の糧になりたいようね」

そういうとランプから青白い球が抜け出て、キースの中に入る。

そして、キースは椅子から立ち上がった。

「いくわよ!」

キースは壁の大鎌を一つ引き寄せて掴むと思いきり空を振り抜く。すると無数の刃が渦となった。

「うわっ引き寄せられる…」

フェイはエレメンタルブレードを地面に突き刺し耐えている。

「グレネリス、どうしようこのままじゃあの渦に飲み込まれる」

「フェイ、炎斬を渦の外側に撃つんじゃ」

「でも、この状態じゃ」

「いいから撃て!」

「わかったよ」

フェイは集中してエレメンタルブレードを地面から抜いた。すると身体は徐々に渦に引き寄せられていく。
その中でフェイは渦の外側に向けて炎斬を放った。

「いけぇ炎斬!」

放たれた朱い刃は渦の回転で曲がり渦の反対にいるキース目掛けて飛んでいった。
キースは一瞬、驚いたがとっさに大鎌を盾にして防いだ。しかし、防ぐことに意識が傾いたことで渦は散るように消えた。

「以外にやるようね」

キースの持っている大鎌の柄の部分で折れた。

「これならどう?」

キースは浮き上がり両手を広げ、今度は四本の大鎌を壁から引き寄せる。
大鎌はキースの前に横一列に並び一つ一つが回り始めた。そして、四本の風の渦を作り、次々とフェイに向かって来た。

「これじゃさっきのようにはいかない、何とか避けないと!」

まず一本目の渦を飛び避けたが風で引き戻され、身体が浮き上がる。そこへ二本目の渦がフェイを襲い、渦に飲み込まれた…。

「うわぁぁぁ…」

さらに三本目と四本目の渦も合わさり、渦が消えてフェイは地面に叩き落ちた。

「くっ…身体が…」

フェイは身体中を切り裂かれていた。

「これで終わりのようね」

「まだだ…」

フェイはフラフラになりながら立ち上がりエレメンタルブレードを構えた。

「みんなの…」

「おとなしく死ねばいいのに」

「みんなの…魂を返せ!!」

フェイの中で鼓動が高鳴り、オーブとエレメンタルブレードが朱く光り輝いた。

「まだそんな力があるのね」

「来たようじゃな、心(震)音が」

「でも、なんか前と違う感じだ」

「取り込まれた石の影響のようじゃ」

「剣が!」

エレメンタルブレードが変化し、双剣へとなった。

「変わったな」

「一本増えたところで何が変わるの…」

キースは不適な笑みを見せる。

「…そろそろ決めさせてもらうわ」

地面から三本の刃を持つ一つの大鎌が現れた。

「この神鎌エルセニスでね」

「くっ神具か、気を付けろ。フェイあれは今までのものと別格だ」

「それは感じで分かるよ」

三本の刃を持つ一つの大鎌、神具の放つ尋常ではない気配を感じ取る。

キースは大鎌を構え、一歩の踏み込みでフェイに近付いて大鎌を横に振り抜いた。

フェイはその場で跳躍して避けた。

「避けた…でもね、忘れてない?」

フェイの瞳にキースの笑みを浮かべる口元が映る。

「うわっ!」

空気を裂くような音と共に突風が起こり、フェイは吹き飛ばされた。

『どうやって攻撃すればいいんだ』

フェイは宙を舞いながら思案する。

「また来るぞ」

キースは神鎌エルセニスを振り下ろす、それをフェイは双剣で受け止めた。

「さっきまでの威勢はどうしたの?」

「このぉぉぉぉ」

フェイは大鎌を弾き返し、すぐさま双剣の片方をキースに投げた。

キースは飛んでくる剣を大鎌の柄で弾いた。

「残念だったわね……なにこれ!」

弾いた剣は地面に落ち刺さるとそこから炎が広がり火柱を作った。

「こんなもの…」

キースは大鎌を大きく振ったすると竜巻を産み、風を取り込んだ炎は力を増し部屋全体に広がっていく。

「ぐわぁぁぁ」

「これはどうなってるの?」

「新しい力だろうな」

「新しい力?」

「武器が変化したことが原因の」

「そうだ ランプを!」

フェイは椅子の近くにある魂のランプを取った。

「よし、そういえばこんな炎なのにどうして熱くないの?」

「それは我の力が働いておるからじゃそれにお前は契約者だからの」

「そっか……!!」

炎の竜巻が掻き消える。

「まだ…まだ 終わらない…」

キースの肉体は燃え尽き、青白い球が遺された神鎌エルセニスが天井の扉に飛んでいき扉の鎖を断ち切った。

「まずいな」

扉が音を立ててゆっくりと開く。

『やめろ、キース』

『セリウス どうして』

『これ以上すると奴らに気付かれる』

『でも』

『キース!』

『わかったわよ』

開き掛けていた扉の動きが止まり、閉じ始めた。

「んっ?」

「扉が閉じていく」

気がつくとエレメンタルブレードは元の姿に周囲は誰もいない教会の中に戻っていた。

「なにが起きたんだろ」

「わからん」

「フェイくん!大丈夫ですか?」

教会の入口の扉が開き、クレイルとレイが入ってきた。

フェイは起きた出来事を話した。

「それが魂ですか?」

「うん、でもどうすればみんなを」

「貸してください」

フェイは魂のランプをクレイルに渡した。

クレイルは受け取ると地面に置いて、ランプの扉を開ける。

「グレネリス、力を貸してください」

「わかった」

魂は空中に舞い始めた。

「いきますよ」

地面に円を描くように炎のが走り、その内側に魔法陣がランプを中心に広がる。
魔法陣から光の粒が立ちのぼり、ステンドグラスからの光と交わる。
魂はうっすらと人の姿に戻り魔法陣が七色に強く輝き、魔法陣を囲む炎と共に消えるとみんなが元に戻り、地面に倒れている。

「レイナ!リーシュ!フィーちゃん!」

フェイは三人の姿を見つけ、名前を叫ぶ。

三人と街の人達の意識が戻った。

「あれ、俺達…?」

「フェイ…」

「よかった…」

「どうやら…うっ…無理が過ぎま…たね…」

クレイルは倒れた。

「クレイルさん!?」

「こちらへお運びください」

「すいません」

神父に言われるようにクレイルを担ぎ、ベットへ運んだ。

クレイルの意識が戻らないまま数時間…

クレイルが眠る部屋の前でリーシュとフェイが話している。

「クレイルさん大丈夫なんっすかね」

「わからない、医者が診ても原因が不明だって」

そこへレイナがやってきた。

「あれ?フィーちゃんは?」

「見てないよ」

教会のチャペルではガイとフィーとレイがいた。

「……」

「そうなんだ、名前はガイってゆうだぁ~」

「この子の言うことが分かるの?」

「うん、心に響いてくるの」

「名前は?」

「フィーはねフィーだよ、あれ何かおかしかったかなエヘヘ」

「そぅ…あなたが」

『おおきくなったわね…』

レイは目を潤ませた。

「どうしたのぉ?」

「いぇ、なんでもないのよ」

「あっレイナお姉さん」

「ここにいたのねフィーちゃん」

レイナがチャペルにやってきた。
そして、外は日が暮れていきフェイ達はクレイルと同じ部屋で眠りに就いた。

クレイルは意識を戻した。

「気が付いたようじゃな」

「えぇ、グレネリス」

「無茶をしおる、制限が解けたらどうるするんじゃ」

「分かってますよ、でもあのままにしておきませんから」

「かわらんな」

「でも、そろそろ皆さんに話さなければいけませんね」

「そうか言うのだな」

「えぇでも何故彼等が」

「冥界のセレディナスに何が起きているようだな」

「そうかもしれないですね」

「ん~だとすれば由々しき事態じゃな」

「そうですね…」

そして、夜は更けていく。



そして、日が登り、外は明るくなっていた。

部屋の中にはクレイルとフェイ、リーシュ、レイナがいた。

「よかったです、クレイルさん」

「心配かけてすまなかったね」

「そうっすよ」

「皆さんに話さなければいけないことがあります、私のことを…」

「改まってどうしたんです?」

クレイルは語る……。

大昔、魔法も一般的に使われた時代、天空に龍の住む聖都エルヒムという所があった。だが、ある日、聖都は地上に堕ち、世界は闇に染まり始めた…。

世界が闇に染まり始めて間もなく、黒き龍が現れて一つの問いを投げ掛ける。

光とは?

心に大切な何かを思う時に感じるキモチ。

……お前にならこれを託すことができるだろう。

黒き龍は三つのオーブを差し出した。

詳しいことは火の精霊に聞くがいい。

黒き龍は大きな翼を羽ばたかせ、彼方へと去っていった。



『この話…いつも見る夢の…でもどうして』

フェイはクレイルの話を聞き、いつも見る夢を思い出して疑問に思う。

「そして、グレネリスと出会いヴァルキリアのことを聞き、精霊とオーブ力で封印はできた。だが何者かに封印の地からオーブが持ち出され、現在ヴァルキリアは復活し、徐々に力を戻しつつあります」

「クレイルさんも契約者だったんですか!?」

「えぇ私も契約者でしたが私はヴァルキリアを封印した後、世界を監視するためフェイくんが闘った者と同じ世界の冥界にいるセレディナスと制約を交わし、私の持つ力と引き換えに何千年も生きる賢者と言われる存在になりました」

「賢者って」

「ずっと本の中だけの話だと思っていたけど」

「ホントにいたんっすね…」

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「なら、どうして町の人達とみんなを」

「もしかするとセレディナスの身に何か起きたのかもしれません………ここからは私は別行動で冥界に渡ろうと思います」

「冥界って死者の世界っすよね」

「どうやって」

「一度、渡っていますから大丈夫ですよ」

「でも、一人で」

「これでも君達より長く生きているんですよ」

「そっちはまかせて心配ないだろう。フェイ、こっちは一刻も早くオーブを全て集めることだ」

「うん」

フェイ、リーシュ、レイナの三人は部屋から出た。

「丁度いい機会だったかもしれませんね……」

クレイルは片手を見て言う。

見つめるその手は反対がうっすらと透けて見えていた。
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