ShiningHeart

シオン

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第七章

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~港町シルス~

フェイ達は洞窟から出ると眼下に果てしなく広がる海と港町シルスが見えた。

「町へ急ごう」

「私は一足先に行ってるわ」

クロノスの背中に翼が現れ、町へと飛びさりフェイ達も町への山道を下っていく。

「えぇっとケルン診療所はと…在った」

クロノスは診療所の前に降り立つとクロノスは扉を開けて中へ入った。

「すみません、ケルンさんはいらっしゃいますか?」

「わしになにか用かのぉ~ヒクッ!おぉカワイイねぇちゃんやないか」

酒気を帯びた鼻っ柱の赤い白衣の爺さんがでてきた。

「うぅ……あのこれ」

クロノスは何かをケルンに見せる。

「なんじゃいこれは…ん!」

酔いが冷めたのか表情が変わった。

「ちょい待っとれ」

ケルンは奥へ入って行った。

ケルンが戻って来るのを待っているとクロノスの後ろにある出入口の扉が開いた。

「すいません」

フェイ達が入ってきた。

「その娘かね、話は聞いとるこっち来んさい」

そこへケルンが戻って来てレイナを見て言った。

フェイ達は言われた通りついて行くと奥は診療室になっており、レイナを室内にあったベットに寝かせた。

するとケルンはレイナに急須のような容器で液体の薬を飲ませた。

「もう心配いらん、二、三日もすれば元気になりゃ」

「ほんとですか!?良かったぁ」

みんな、安堵の表情になった。
そんな穏やかな雰囲気の中、リーシュのお腹が鳴った。

「安心して何だかお腹が空いたっす」

「まったくお前は…」

そこでフェイのお腹も鳴った。

「なんだフェイもお腹が空いてるんじゃないっすかぁ~」

「これはその…」

二人の会話を聞きクロノスが少し笑い言った。

「二人とも食事に行ってきたら?レイナは私が見てるから」

「でも…」

「心配なのはわかるけど看病するにも体力が要るんだから、それに二人もベットに寝込んでたら起きたレイナがびっくりしちゃうでしょ?」

「わかりました。じゃあ、行くっすよ。フェイ」

リーシュはフェイを引っ張り診療所から出て言った。

「さてと聞きたいことがあるんじゃろ?」

「えぇ、貴方は何者なんです?」

「今は町医者をしとるがな、わしは嘗て天上におった」

「追放者!?」

「そんな驚くことはない、わしのような者は沢山おる」

「そんな人達がいるなんて知らなかった」

「知らなくても当然じゃ、わしも地上に来て初めて知ったからな。どうやらこの事は賢者しかしらないらしい」

「賢者しかしらないって追放された賢者もいるんですか?」

「七人目の賢者」

「七人目?賢者は六人のはず七人目がいたなんて聞いたこともない」

「そりゃ、賢者に追放者が出たなど口が裂けても言えんじゃろうて」

「そんな…その賢者がまさか…」

クロノスは手にある先程、ケルンに見せたものを見る。



~天上界アフロネイロ~霊廟殿~

絹のように滑らかな白い衣を纏った名高い天上の六賢者が円卓に一同を会している。

「あの娘で大丈夫なのかね」

枝葉のような髪の男、樹木の賢者ファーレスは言う。

「そうですわね、あの子に血縁を葬ることが出来るとは思えませんわね」

電気を帯びた跳ねた髪、三つ巴紋を瞳に宿した女、雷電の賢者テンペルトは跳ねた髪撫でつけながらファーレスに同調する。

「まぁ、この件はラファエロに一任してある訳ですしそのくらいにしておきませんか?僕はそれよりあの少年達に何故、レイファを付けたのかが気になりますね」

瞳の虹彩の色が希薄な盲目の少年、光明の賢者リネルトは顎に白い髭を蓄えた老翁、時空の賢者ラファエロに視線を向ける。

「少年の一人に興味深いものがついておってな。オルカス、あんたならよう知っておるじゃろ、大精霊グレネリスを」

緋色の髪、炎を象徴とした刺青が顔の左半分に入った男、火炎の賢者オルカスに話を向ける。

「あぁ、あれか。あれが人間に付くとはいつ以来だ?」

「災厄の日の後くらいです」

リネルトが答える。

「そうか…あの忌まわしき日の後か…」

オルカスは低い声でぼそりと言う。

その後、全員が口を閉ざし沈黙が流れる。

そして、一人の賢者が口を開く。

「ドラクマ…」

青みを帯びた地に付く程の長い髪の男、水氷の賢者アビスが呟いた。

「アビス、その名を口にすること不謹慎だぞ」

ファーレスはアビスを叱責する。

「今日、ここまでにしようぜ」

「そうですわね」

六賢者達は解散した。

「ラファエロ、ちょっといいか?」

オルカスはラファエロを引き止めた。

「それでフェルセルクは現れたのか?」

「奴の魔法の気配が少しだけ残っていた、やはり気になるか?」

「こんな事になってもあれは俺の弟子だからな、本当は俺の手でケジメをつけたい所なんだが…」

「あれ無き今、お前が此処を離れるとエレメントのバランスが崩れるからな」



~霊廟殿~絶対氷壁~

氷の壁に文字の羅列が動いている、そこでアビスは独り言を呟いていた。

「…そうか…それで…」

アビスは何かについて調べている

「水氷の名を持つ君が熱心とは面白いことだな、まだ奴の事を調べてるのかね?」

絶対氷壁への入口の縁にもたれ掛かり、呆れたかのように問い掛ける。

「関係ない」

「彼はもう生き絶えている、諦めたまえ」

アビスはファーレスを睨んだ。

「そうだ、君宛だ」

ファーレスは懐から書簡を取り出しアビスに投げ渡すとファーレスは立ち去った。

アビスは受け取った書簡の厳重に掛かっている封を解き、中にあるものを取り出した。
中にはカードが入っていてカードにはこう書かれていた。

親愛なる友へ

失楽の地で待っている

? ? ? ? ? ? ドラクマ

アビスは急いで絶対氷壁を出た。



~港町シルス~街中~

「さぁ 何食べるっすか?」

二人は通りを歩いていると子供とぶつかった。

「大丈夫か?」

無言で頷き、そのままどこかに走り去った。

「無愛想な子供っすね」

「たぶん人見知りなんだよ」

二人は出店で何か買うことにした。
そして、お金をだそうとしたが何処にも見当たらない。

「あれ?ない!?」

「子供とぶつかったりしなかったかい?」

出店の店主が聞いてきた。

「はい、さっき…」

「それはやられたね」

店主はそういうと店の商品を見繕う。

「お前さん達、この町は初めてだろ?お代はいいからこれもってきな」

店主は揚げた魚をパンで挟んだものをくれた。

二人は店主にお礼を言ってそこを後にした。

「これからどうしよう…レイナが治るまでこの町にいるとしてここからは海越えだよね、グレネリス」

「そうじゃな」

「船代どうしようか?」

「とりあえず、港に行ってみないっすか?」

「そうしてみるか」

二人は港へ向かうとぶつかった子供が倉庫と倉庫の間の路地に入るのが見えた。

「リーシュ、あの子供!」

二人はその路地を覗いた。

「全く旅人はちょろいな、ルクト」

「そうだな、アース」

「さて、手柄の確認、確認」

アースは上機嫌でフェイとリーシュのサイフを開けた。

「二人でたったこれだけかよぉ~」

「ハズレだったみたいだな、今回も俺の勝ち」

「ちぇっ…」

そのやり取りを見ているフェイとリーシュの後ろに近付く影が…。

「お前ら、アイツらの被害者か?」

後ろから女の声が聞こえた。

「まったく今度はスリで勝負か、懲りない奴らだな」

曲げ短刀を腰に携えた顔立ちの整った女は路地へと入り、ルクトとアースに近付いていった。

「お前達!」

「げっ!逃げろ!」

二人は声の方を見るが見知った顔に踵を返す。

「逃げるなっ」

逃げようとする二人の首根っこを掴んだ。

「さぁ盗ったものをこの子達に返すんだ」

「いぃ~だ!」

「へぇ~お前達、俺にそんな口をたたくとはいい度胸だな」

ルクトとアースはビクッと背筋に寒気が走り、二人は素直に盗んだ物出した。

「さてとお前らのサイフを取ってくれ」

フェイとリーシュは自分達のサイフを取り、女は二人を離し残った一つのサイフを取った。

「ありがとう」

「礼ならいい、うちのが迷惑をかけたんだ。詫びをしないとな」

「そんないいですよ、サイフが戻ってきただけ」

「遠慮することないっすよ、フェイ向こうがそう言ってくれてるんっすから」

「そうかな」

「その子が言うように遠慮は無用だ、ついて来てくれ」

顔立ちの整った女は笑顔で答える。

「さぁ、行くぞ」

ルクトとアースに言う。

「俺らもぉ~!?」

「当たり前だ」

フェイとリーシュは三人の後に着いていくと港に停泊している大きな船に着いた。

「ようこそ、サウザンド号へ!」

フェイとリーシュを船上に案内する。

「紹介がまだだったな、私はこの船の船長グラハムだ。んでっこの悪ガキ二人はルクトとアースだ、あとはっと…」

グラハムは船上を見渡した。

「あいつらまたサボってるな…ルクトとアース、ガイの親父のとこに行って呼んで来い」

ルクトとアースは船内に走って行った。

「さてと詫びだけど何かして欲しいことはあるか?」

「んじゃ、ハスフェット大陸のハスリュカまで乗せてくれないっすか?」

「それは無理だな、最近、ハスリュカの海域で魔物が出て五十隻以上の船が襲われている」

「そうなんですか…」

「だが、バステルまでなら乗せてやるよ、バステルからならハスリュカまで歩きゃあ一日で着ける」

「徒歩で一日っすか」

「それなら何とかいけそうな距離だな お願いできますか?」

「まかせな、んじゃ出航は明朝またここに来な」

「明朝!」

「何か問題が?」

「怪我人がいるっすよ」

「それなら心配ない、優秀な船医がいる。それにこのサウザンド号はそこらの船とは違うからな」

「それなら大丈夫そうっすね」

「そうだな」

「それにしてもあいつら、遅いな」

そこへ船員達が船内から出てきた。

「すいやせん、船長」

「全くお前達はそこに並べ!」

「まぁ落ち着いてグラハム」

清潔そうな衣服に身を包んだ眼鏡の男がグラハムを宥める。

「ラスティン、お前まで…」

「たまにはいいと思いましてね、それでそちらの子たちは?」

「またルクトとアースがな、それで詫びにバステルまで乗せてやることにしたんだ」

「そうなのですか」

ラスティンは二人に近付いて言う。

「私は船医のラスティンです、よろしく」

「よろしくお願いします」

そして、フェイとリーシュは診療所へと戻った。

外はもう夕暮れになっていた。



~ケルン診療所~

「レイナの様子はどうですか?」

「まだ眠っているわ」

「そうですか…」

「心配ないっすよ、いまは明日の準備をするっす」

「今日はここに泊まりゃいい、どうせまだ宿も決まっとらんのじゃろ」

「ありがとうございます」

「気にせんでえぇ、後で夕飯を持って来るでな」

ケルンはそういい診療室を出ていった。

「明日の準備って?」

「海を渡る船が見つかってその出発が明日なんっすよ」

「ずいぶん急なことね、まだレイナちゃんが目を覚ましてもいないのに」

「大丈夫、船医もいるっすから」

「それにいつここに奴らが来るか分からないから」

「奴ら?」

「まだ話してませんでしたね」

フェイがそう言うとグレネリスが説明する。

「ヴァルキリアじゃ、お前も名は知っているだろう?フラビナルで何を探ってたかはしらんがな」

「目的はわからないけどこの宝玉、オーブを狙っているみたいなんだ」

「オーブというよりその中に宿る大精霊の力が欲しいのかもね」

「グレネリスの?」

「大精霊の力はほんの少しだけでも世界を簡単に滅ぼすことが出来るからね」

「そんなに凄いの?」

「わからんな、この中に永くいたんでな本来の力がどれくらいのものだったか」

「いつからオーブの中にいるっすか?」

「さぁな」

「天界にいた時にはもうオーブの中だったわね」

「そうじゃったか」

「これだから年寄りは…」

「何をひよっこが!」

「何よ、じじぃ!」

「二人共、レイナが寝てるだよ!」

「すまん」

「ごめんなさい」

二人は同時に謝った。
そこへ、ケルンが食事を持って入って来た。

「こんなもので済まないが」

パンとスープを持って来た。

「いえ、ありがとうございます」

「隣の部屋に空きベットがある寝るときゃそこ使うといい」

ケルンは机にパンとスープを置きながら言う。

「何かあったら2階におるでな」

そう言い残し、ケルンは出て行った。

フェイ達は食事を済ませ眠りに就いた。



~夢の中~

「ここは…」

レイナは暗闇の中に一人佇んでいると蒼い光が現れ、声が聞こえた。

「私はミリアリス、ここは貴女の夢の中です」

「私の夢の中?」

「そう貴女に頼みがあってお邪魔させていただきました」

「頼み?」

「助けてください」

「突然助けてと言われてもなにをどうすれば…」

「もう…時間が…」

声が途切れ、蒼い光が消えた。

~サウザンド号~

レイナは仄かに揺れるベッドの上で目を覚ました。

「おはようございます」

見知らぬ男に声を掛けられて混乱しつつもレイナは体を起こし周りを見渡した。
部屋の開いた丸窓からは波の音と海鳥の鳴き声が聞こえる。

「ここは船の中で、私は船医のラスティンです」

船が突然、大きく揺れて停止する。

「どうしたんだ?ちょっと見てくるから君はここに」

ラスティンは医務室を出て甲板に向かう。
レイナはベッドから降り、部屋の丸窓から外を見ると海中に黒い影が見える。

「何だろう?」

ラスティンが甲板に着くとフェイ達や船員が水の触手と戦っている。

「相手が水じゃきりがない!」

船を囲むように一気に水の壁がせり上がった。

「怯むな!帆をたため!ルクト、アースお前達は船内に入れ!」

グラハムは舵を握りながら指示をしている。

「どうしてさぁ~」

「遊びじゃないんだ!」

怒号にルクトとアースはラスティンの脇をすり抜け急いで船室に入った。

「グラハム、なにが起きてるんです?」

「恐らくこれが例の魔物だ、お前は船室に戻って子供達とあの少女を見ていてくれ」

「わかりました」

「こうなったら一気に」

「やめるんじゃそんな事したら船が持たん」

「じゃあ、どうすれば?」

「たぶん本体さえ抑えればなんとかなるはずよ」

「それでその本体は一体どこにいるんっすか?」

「私の予想だと船底よ」

「そんな所にいる奴をどう……」

その時、水の壁から水の触手が舵を握るグラハムの背後から飲み込んだ。

「ゴボッゴボッ…」

息が出来ずにもがき苦しむグラハム。
そこへすかさずフェイが水の触手を斬るとグラハムを包んでいた水は弾け、触手は水の壁へと戻った。

「大丈夫ですか?」

グラハムは咳込みながらも礼を言った。

「すまない、借りができたな」

「そんないいですよ」

フェイの言葉が言い終わらない内にグラハムが言う。

「危ない!」

グラハムが手を延ばしたが再び現れた水の触手が今度はフェイを飲み込み、水の壁の中に引きずり込んだ。

「フェイィィ!」

ラスティンは医務室に戻ろうと廊下を歩いていると医務室の入り口でルクトとアースが立ち尽くしている。

「二人ともそんなところでどうしたです?」

話し掛けながら部屋の中を覗くと部屋は水浸しになっていて船壁に大きな穴があいている。

「これは!?何があったんです?」

「水が…」

「あのねぇちゃんを…」

「なんてことです、これは中に居ても安全じゃないですね」

ラスティンはルクトとアースを連れてグラハムの元へ向かった。

ラスティンが甲板に着くとグラハムはずぶ濡れの状態で舵に寄り掛かっている。

「グラハム!」

ラスティンはグラハムに駆け寄った。

「大丈夫ですか?」

「心配ない少し水を飲んだだけだ」

「そうですか」

「それよりラスティンどうしてお前がここに?」

「医務室もやられてあの少女が連れていかれました」

「レイナも!?」

「それが関係してるか分からないけど水の動きが止まったようですよ」

「本当だな」

「何とかして二人を助けるっす」

「それは難しいだろうな、この状況だまたいつ奴らが来るかわからない」

「なにか方法はないのですか?グラハム」

「…ないな」



~水の回廊~

「無事か?フェイ」

「なんとかねってここは?確か水に飲み込まれたはずだけど」

フェイは周りを見ると全て水でできた回廊にいた。

「何かの意思が働いているみたいじゃな」

「とりあえず先に進んでみよう、ここから出る方法が見つかるかもしれない」

「そうじゃな」

フェイは水の回廊を歩き始めた。

「一体何が起こったの?」

レイナは周りを見渡すと回廊が渦を巻くように上へと昇っていて、レイナの真上には黒い影が見え、その周りから日の光が射しこんでいる。

「手荒な事をしてごめんなさい」

「この声、夢の…」

レイナは声の方を見ると水でできた円錐状の台があり、頂点には夢で見た蒼い光が輝いていた。

「もう時間がないの、だから」

「分かったわ、何をすればいいの?」

「私をここから外して欲しいの」

レイナは台座に近付いた、蒼い光は近くでみると球体の形をしている。

レイナは言われた通りに光る蒼い球体を掴み引っ張った。

「んん~~全然、ビクともしない」

レイナは一生懸命、引っ張ってると台座が動いた。

「危ない離れて」

水の床から水の巨人がはい出てきた、巨人は天井に届く程でレイナはあまりの大きさで後退りした。

「なんなの?」

「クゥアール、水の精霊が集まり形作ったものよ」

ミリアリスの声が心の中に聞こえる。

水の巨人クゥアールはレイナに向かって手を伸ばして掴もうとした。

そこへ…

「炎斬」

朱い刃が巨人クゥアールの伸ばした手に当たり、水蒸気が広がる。
フェイは回廊の途中から飛び降りレイナの近くに着地した。

「レイナ、大丈夫か?」

「うん」

「どうしてこんな所に」

「それは…」

水蒸気が晴れると無傷のままの水の巨人クゥアールがいた。

「手は吹き飛ばしたはず…」

「相手は水じゃ、この場所ではいくらでも再生は可能じゃよ」

「じゃあ、どうすれば…」

そこへレイナが言う。

「あれを外せばこいつを何とかできるはず」
レイナは水の巨人クゥアールの頭にある角の先端を指差し言った。

「あれは蒼弓のオーブ」

「えっあれが二つ目の」

『この場所の影響か気配は感じられなかったが…まさか…試す価値はありそうじゃな』

「あんな所までどうやっていけば」

「フェイ、足元に炎斬を放て!水を爆発させる。その爆発を利用してあそこまで飛ぶんじゃ」

「分かったよ」

「レイナ離れて」

「うん」

「行くぞ」

「うん」

フェイはその場で飛び上がり、身体を捻ると水の床にエレメンタルブレードの鋒を斬り込み、炎斬を放つ。
水の床は爆発して水蒸気が吹き上がった。それと共にフェイの身体は蒼弓のオーブへと高く舞い上がる。
フェイは蒼弓のオーブの納まる台座部分をエレメンタルブレードで斬ると切り取られた台座は弾けて消え、フェイは露わになったオーブを掴み、水の床に着地する。

水の巨人クゥアールの身体は弾けて無数の粒が宙に留まる。

「これが蒼弓のオーブ」

蒼弓のオーブは透き通るような青で中心がキラキラと輝いている。フェイはオーブに見蕩れてじっ~と見ていると声が聞こえた。

「そろそろ離してくれる炎の力を持つ貴方に持っていられると熱くて堪らないわ」

フェイはすぐに弓のオーブを水の床に置いた。

「ありがとう、助けてくれた事に感謝するわ、あの子達も喜んでいるわ」

フェイとレイナの二人は上を見ると水の粒が踊るように渦巻いている。

「きれい」

水の精霊達の舞いに見蕩れる二人を他所に大精霊達は会話する。

「水の精霊達か」

「そうよ、グレン」

「久し振りじゃな、ミリア」

「そうね、どれくらい振りかしらね」

「一つ聞きたい事があるんじゃが」

「なに?」

「あの娘が契約者なのか?」

「そうですよ、まだ契約はしていませんが」
『偶然か?契約出来るものがこんなにも傍にいるとは』

グレネリスはそう思いながらもレイナを呼ぶ。

「レイナ」

「ん?なに?」

「オーブを手に取るんじゃ」

レイナはグレネリスの言う通り、蒼弓のオーブを手に持った。すると蒼弓のオーブは強い輝きを発した。

「選ばれし子よ、我は汝に支える」

「どうして私に?」

「貴女が求めた故に汝に力を与える、我と契約を…」

「私が求めた?」

「海のように深き心の奥底で」

「………分かった」

レイナは何か思い当たる節があるのか了承した。

「契約は果たされた」

輝きが消えるとオーブはレイナの手にはなく、蒼い石がはめ込まれた首飾りが首に掛けられていた。

「これからよろしくな、レイナよ」

首飾りの青い石から声が聞こえた。

「うん」

「契約は終わったようじゃな」

「どうゆうことなんだグレネリス」

「レイナは蒼弓のオーブの大精霊ミリアリスと契約したんじゃよ、お前が我としたようにな」

「そうなんだ………それってレイナが契約者だったってこと?」

「そうなるな」

フェイがグレネリスと話しているとレイナが話しかけてきた。

「フェイ、皆の所へ戻ろう」

「あっぁうん、そうだな」

フェイは少し動揺したように言葉を返す。

「ってここからどうやって出ればいいんだ?」

「大丈夫、まかせて」

レイナは自信あり気に言う。



~サウザンド号~船上~

「いつまでこうしてるっすか!早くしないとフェイとレイナが…」

リーシュは船長のグラハムに詰め寄る。

「そんなことはわかっているだが方法が…」

どうこうしてるうちに水の壁が下がり始めた。

「水がひいていく?」

水の壁が完全に下がり無くなると水柱が上がって来た。

「フェイ!レイナ!」

水柱の上にはフェイとレイナが乗っていた。

「二人共、無事のようだな」

グラハムは安堵する。

「よいしょっと」

フェイとレイナは船に飛び乗った。

「二人共、無事でよかったっす」

リーシュはフェイとレイナに駆け寄った。

「ホントにな、いったいどうやったんだ?」
グラハムは二人に訊いた。

「海の魔物を倒したというか」

「助けたというか」

「それは全くどっちだかわからないわね」

フェイとレイナの要領を得ない言葉にクロノスは言う。

「まぁ魔物はもう現れません、あと二つ目のオーブを見つけました」

リーシュはレイナが掛けている首飾りに目をやった。

「これが二つ目のオーブっすか?」

「オーブ?いったいなんなんだそれは?ただの宝石にしか見えないが」

「オーブは不思議な力を持つ石でそれは俺達の旅の目的の一つです」

「何だか面白そうな話だな詳しく聞きたいがその前に濡れた衣服を何とかしないとな、ついて来な」

グラハムはフェイ達を連れて船内に入っていった。

「じゃあ、私は水浸しになった部屋を片付けますか、ルクトとアースも手伝って下さい」

ラスティン達も船内に入っていった。

「男どもはそっちの部屋だ、中にある服を好きに着てくれて構わない」

フェイとリーシュは扉を開け、中に入った。

「後は私の部屋に」

グラハムは突き当たりにある両開きの扉を開けると中に入った。それに続きレイナとクロノスも部屋の中に入り、扉を閉めた。

「これを着るのか…」

「………」

「何でこんなものがあるんだってもう着てるし!」

「意外に着心地がいいっすよ」

渋々フェイも着るとフェイとリーシュは部屋を出た。そこで奥の部屋から悲鳴が聞こえ、二人は急いで駆け付けてと扉を開ける。

「大丈夫か!?」

そこには着替え中のレイナ達がいた。

「あっ…」

フェイとレイナは共に声を上げる。

レイナの顔がどんどん赤くなり、フェイに向かって拳が飛んできた。フェイはそれを諸に受けて廊下に倒れると扉が閉まった。

「大丈夫っすかぁ~?フェイ」

「ふぁんろられぇ~(なんとかね)」

そこにラスティンがやってきた。

「さっき悲鳴はなんだっただい?まさか覗きを?」

「ちがうっすよ!俺達も悲鳴を聞いて駆け付けたけど…タイミングが悪かったっすよ」

「それでそのアザですか」

ラスティンは笑いながら言った。

「笑うなんてひどいですよ」

「すいません」

ラスティンは笑いを堪えながら謝った。

「ついてきなさい治療してあげます、でその服はウケねらいですか?」

「これは…」

フェイとリーシュの服装はクマとカエルの着ぐるみだった。

「冗談ですよ、それグラハムの趣味なんです」

フェイとリーシュはラスティンに付いて医務室に向かった。



グラハムの自室では…

「船鼠くらいで悲鳴をあげるなよ」

「だって…」

「フェイも災難だったなあの一撃は効くだろうな」

「確かにあれはキツイわね」

「あれは事故みたいものでつい手が…」

「後で謝ればきっと大丈夫よ」

「それより二人ともいい乳してるな、ほれ」

グラハムはレイナの後ろから覆いかぶさるように胸を触った。

「ちょっ……」

レイナは触られたのもあるがグラハムの大きな胸が背中に当たり頬を赤らめながら言った。

「まだまだ成長段階で若くて肌もスベスベだな」

「そろそろ放してくれませんか…」

「まだ触ってたいけどしかたがないな」

グラハムは触ることを止め、上は水着のような胸だけ隠れるような服で下はショートパンツに着替え腰に銃とナイフの収まったベルトをした。

レイナとクロノスも着替えを終える。

三人はグラハムの部屋を出て、船長室に向かった。

「いっつ~レイナの奴、思い切り殴らなくても」

フェイは医務室でラスティンに手当てをしてもらっている。
医務室はルクトとアースの手伝いによって綺麗に片付き壁も塞がっていた。

「彼女も悪気があった理由ではないですから」

「それは分かっています」

ラスティンはフェイの頬に湿布のような物を貼付けた。

「はい、終わりましたよ」

そこへルクトがフェイとリーシュを呼びに来た。

「船長室に来いって案内するからついてきて」

「分かった、ありがとうございました」

ラスティンに礼を言い、フェイとリーシュはルクトの後に付いて医務室を出た。

「アースと一緒じゃないんっすね」

「俺達、いつも一緒にいるわけじゃないよ」

「仲が良いからいつも一緒にいるのかと思ってたっす」

「それはアースはたった一人の家族だから…」

「何を言ってるんだ家族ならたくさん居るじゃないか」

「えっ?」

「この船にいる皆が家族じゃないのか?」

「みんなが…かぞく…うん」

船長室に着き、ルクトは部屋の扉を開けた。

「来たか、面白い服装をしてるなぁ~」

グラハムはわざとらしく言った。

レイナとクロノスは普通の服装をしている。
レイナは半袖の白いワンピース、クロノスは黒のジャケットに白いブラウス、革のズボンを着ている。

「あの部屋にはこれしかなかったんですよ 明らかにわざとですよね?」

「まぁ、いいじゃないっすか」

「はぁ…(こいつ気にってるな)」

フェイは恨めしい目でリーシュを見たあと俯き、ため息をついた。

「フェイ」

フェイはレイナの呼ぶ声に顔を上げた。

「さっきはごめんね、心配して駆け付けてくれたのに」

「いいんだよ、もう痛みもひいたしな」

「クス…」

レイナは下を俯いて小刻みに身体を震わせる。

「もう大丈夫だからな、心配するなって」

「クスクス…」

「?」

レイナは俯きながら笑いを堪えている。

「ごめんフェイ…だってその格好…」

「レイナ、お前な!ふっ…」

フェイは怒る素振りを見せるが、まあ、この格好じゃしょうがないかと思い、フェイとレイナは一緒に笑う。

周りのリーシュやグラハム、クロノスは微笑ましい光景を見るかのような面持ちをしている。

「二人してどうしたんっすか?」

「いやちょっと…」

「昔も似たようなことがあったなぁって」

「あの時は今とは逆だったけどな」

「もしかしてあの樹に登って実をとった時ことっすか?」

「あぁ」



~回想~

「フェイ、あぶないよ」

「だいじょうぶだよ」

フェイはシュパールという林檎に似た実のなる樹に登っている。
フェイは上の方にある一つだけ色の違う実に向かって登っている。

「あと少し…」

レイナは心配そうにフェイを見つめていると足滑らせて樹から落ちた。
フェイは地面へと背中から落ちるとき強い風が吹き、地面との衝突を和らげた。

「フェイ!」

レイナは急いでフェイの元に駆け寄とフェイは苦しむような表情をしている。

「フェイ…どうしよう…」

フェイの苦しむ表情から変化を見せ、こう言った。

「な~んてね」

フェイは軽々と起き上がった。

「もう!心配したじゃない!」

怒るレイナにフェイは謝る。

「ごめん…」

そこへ、一つだけ色の違うシュパールが落ちてきて謝るフェイの頭に当たる。

それを見てレイナは笑い、笑うレイナ見てフェイも笑った。

二人で笑いあっているところにリーシュがやってきた。

「何二人して笑ってるっすか?」

「いや、なんでもないよ」

「あっ!それ」

リーシュはフェイの手にあるシュパールを見つけ言った。

「よくとれたっすね」

「まぁな」

フェイの答えにレイナはクスッと笑う。



~サウザンド号~船長室~

「話を聞かせてくれるか?」

「いいですが、何を話したら」

「まずはそのオーブとか言う宝石について」

「それなら本人に聞いた方がいいかも」

「本人に聞く?何を言ってるんだ?」

フェイは腕輪の着けている方の手を差し出した。

「グレネリス」

「なんじゃ」

「石から声が?」

グラハムは喋ることに驚いた。

「グラハムさんがオーブのことについて聞きたいそうなんだけど」

「この石のように力の持つ石に大精霊を封じ込めたものオーブという。だが、多く存在するものではない、大精霊もそれを封じるにたる石もな」

「一体いくつあるんだ?」

「ここにあるフェイが持つ暁のオーブ、レイナの持つ蒼弓のオーブとあと一つじゃ」

「残るは一つか…集めている理由は?」

「闇の帝王の手によって滅びゆく世界を救うためじゃよ」

「世界が滅びる?そんなばかなことが」

「あるんじゃよ、既に数千年前にも滅びかけたのじゃからな」

「うそだろ…」

「事実じゃ、空にある都市を知っているか?」

「大昔、龍が棲んでいたという都市ドラグスネイドだろ?子供でも知ってるおとぎ話に出てくる空中都市だ」

「おとぎ話ではなく、曾て実在した…いや、今も実在するが滅びて誰もいない。そこが滅んだ元凶が闇の帝王ヴァルキリア、当時は魔王と呼ばれていたか…」

「………よし」

グラハムは何かを決めたようだった。

「お前達の力になってやる。それに残りの一つを探すのに脚が必要だろ?」

「それは嬉しいですけどいいですか?危険ですよ」

「世界を救うんだろ?たいしたことはないさ」

部屋の扉が突然、開いて三人組がなだれ込んできた。

「なんだお前達は!?」

「遺跡ではよくやってくれたわね」

「そう、あの後も酷い目にあったぜ」

「そうだる」

「覚悟しなさい!」

「お前達は!…誰だっけ?」

「私達のことを忘れてるなんていい度胸ね、けどもう一度教えてあげる」

三人はポーズを取り、言い始めた。

「この世にまだ見ぬ秘宝が有る限り」

「宝が俺らを呼んでいるぜ」

「……だる」

「だから、だるじゃないわよ!最後は決めるわよ」

「その名はロリック団!」

三人組は声を揃えて言う。

「グレネリス」

グレネリスは軽く炎を三人に浴びせた。

「あち!あち!誰か水」

「水を頼むぜ」

「水ならあるわよ」

次はミリアリスが大量の水を浴びせた。
三人は水圧で壁におもいっきり打ち付けられ目を回している。

「こいつらは一体なんだったんだ」

グラハムは三人組を縄で縛り上げると近くの船員に話しかけた。

「この三人を牢に閉じ込めておけ」

「グレネリス」

「なんじゃ?」

「気になってたんだけど俺が蒼弓のオーブと契約しなくてもよかったのか?だってオーブに封印された精霊は他のオーブに封印された精霊と契約することで元来の力を徐々に取り戻すだよね?」

「それなら心配いらん、オーブ同士の相互干渉でな、レイナが契約したことでわしもミリアリスも元来の力が戻りつつある」

「そうなんだ」

「グレネリスこれからどこに向かえばいいんっすか、最後の一つのオーブはどこにあるかわかんないっすよね」

「あぁ」

「そっちの精霊さんもわかんないっす」

「ミリアリスでいいわよ、私にもわからないわ」

「そうっすか」

「それなら予定通り、ハスリュカに向かうっす」

「一先ずはその方がいいじゃろうな」

「じゃあ、お願いしていいですか」

「まかせな、到着するまで部屋で休むといい」

グラハムはそれぞれを部屋へ案内した。

フェイは部屋に案内されると部屋のベットの上に乾いた自分の服が置かれていた。

「やっとこの服を脱げる」

フェイは早速、自分の服に着替え、ベットの上で大の字になった。



~廃墟~

「ヴァルキリア様どちらへ行かれるのですか?」

老紳士は玉座から立ち上がるヴァルキリアに訊ねる。

「あぁ、旧友に会いにな。留守を頼むぞ」

「かしこまりました」

そこへユシードが慌ててやって来た。

「ヴァルキリア様、奴らが蒼弓のオーブを手に入れました」

「そのことなら心配ない、お前は残り一つのオーブの場所を把握しろ」

ヴァルキリアは取るに足らないことだという風にユシードに指示すると立ち去った。

「セルゲイ、ヴァルキリア様は何処へ行かれるのだ?」

ユシードは老紳士に訊いた。

「主の私用ゆえ存じ上げておりません」

「そうか」

ユシードは指示通り、疾風のオーブの探索に向かった。



~失楽の地~

失楽の地、そこは桜花爛漫、柱が円を描くように並んでいて中心には噴水がある。そこには二人の人物がいた。一人は水氷の賢者アビス、もう一人は包帯で顔がるぐるに巻きで目と口だけが辛うじて見えている。

「ドラクマ、本当にお前なのか?」

「久しぶりだな、アビス」

「今までどうしていたんだ?生きていたなら連絡くらい…」

「すまない…」

「それで何か頼みがあるんじゃないか?」

「実は…」

ドラクマはアビスにあることを頼んだ。

「…分かった」

「ありがとう、アビス」

「気にするな」

アビスはドラクマの頼みを叶える為にその場を立ち去った。

アビスが立ち去ったあとドラクマは不適な笑みを浮かべその場から消えた。



~サウザンド号~

蒼弓のオーブを手に入れてから二日経ち、もうすぐハスリュカに着こうとしていた。
朝方、船体に何やら硬い物が当たる音が船内で聞こえている…。
フェイはその音で目を覚ました。

「何の音なんだ?」

フェイは部屋から出て甲板に上がると薄い朝霧に包まれている水面に目を凝らすと体より大きい氷がいくつも流れてくる。

「あれは何なんですか?」

フェイは舵を操作しているグラハムに聞いた。

「流氷なんだが…この海域に流れ着くなんてありえん」

船体が何かに衝突し、船は停止した。

「フェイ、舵を持ってくれ」

グラハムはフェイに舵を任せて船首に駆ける。

グラハムが船首に辿り着くと霧が徐々に晴れていき、視界が開ける。すると前方には氷河が広がっていた。

「なんてことだ…」

氷河に衝突した衝撃でみんなが甲板に出てきた。

「グラハム、何なんだ今の衝撃は…!?」

ラスティンは肌寒さと同時に思考が凍る。

「何故こんなところに氷河が…」

「あれってらもしかしてハスリュカじゃないっすか?」

リーシュが指し示す先には、凍りついた水の都ハスリュカがあった。

「………」

クロノスは無言で険しい顔をしている。

「どうしたの?」

「……いえ、少し寒くて」

クロノスはレイナに気付き、強張る顔でぎこちない笑みを返した。

「そうだよね、私もちょっとだけ。でも何が起きているだろう」

「あの都から強い力を感じる…」

ミリアリスは何らかの力を感じ取る。

「じゃあ、誰かがこんなことを?一体、誰が…」

「あそこに行ってみるしかなかろう、このままほっとく訳にもいかんじゃろうて」

「うん」

フェイ、リーシュ、レイナ、クロノスはロープを使い、船から氷河の上に降りた。

「すまない、私達も後で行くから先に行っててくれ」

グラハムは氷河の上にいるフェイ達に向かって言った。

「分かりました」



~水の都ハスリュカ~凍て付く塔ディーテハウロ

フェイ達は氷河の上を歩いている。
氷河の上は瞬間的に凍ったかのように波の形がはっきりと見てとれる。

突然、ひび割れが起こるような音が聞こえた。

「ん?」

そして、左右から人型をした氷が二体現れた身体の背面が刺々した氷になっている。

「何なんっすか、こいつら」

フェイ達は背中合わせになり、身構えた。
人型の氷は身体を丸め、刺々の球になり、勢いよく転がってきた。フェイ達はそれを躱すとスピンをして別々の位置にいるフェイとレイナの方へ向かって来た。
フェイはグレネリスの炎を使い、氷の刺々の球を昇華させるとレイナはミリアリスの水で受け止めた。だが、受け止めた水が徐々に凍りヒビが入る。

「ダメ持たない」

レイナはその場から移動しミリアリスの水の力を抑えると受け止めていた水は一気に凍り砕けた。

「やはり水と氷では相性が良くないわね」

氷の刺々の球は今度はリーシュに向かって転がって行く。
リーシュはボーガンで連撃するが悉く弾かれ、リーシュに迫って来る。だがあと少しで直撃というところでフェイがエレメンタルブレードで一刀両断した。

リーシュは尻餅をついた。

「リーシュ、大丈夫か?」

「だっだいじょぶっす」

リーシュはフェイの差し伸べる手を掴み立ち上がった。

「さぁ、ハスリュカに向かうっすよ」

リーシュが元気よく行こうと踏み出すと滑ってこけたのを見て、三人は笑ってしまった。

その後も度々、先程のような奴が襲って来たが倒し、水の都ハスリュカへ入った。

「これは…」

「ひどい…」

すべての人や建物などが一瞬で凍り付いている。

「何が起きたんだ、それにさっきのモンスター」

「……」

「船からずっと黙っておるがどうしたんじゃ?」

グレネリスは様子の可笑しいクロノスに話し掛ける。

「えっ、いやなんでもないわよ」

「そうかの、この事態に何か気付いているんじゃないか」

「……」

「我は中央の氷の塔から天力を強く感じておるのだがな」

ハスリュカの中心には氷柱が塔のように聳え立っている。

「ほんとなんっすか?」

「…えぇ、グレネリスの言うことは本当よ」

「じゃあ、あの塔にいる奴も分かるんですか?」

「恐らくは…天上六賢者の一人、水氷のアビス」

「どうして黙って?」

「ここへ来るまで確信がなかったのごめんなさい」

「水氷…相性が悪いわね」

「うむ、ちと厳しいの。今の我でも太刀打ちできるか…」

「でもこのままほっとけないっす」

「リーシュの言う通りだ、それにグレネリス俺らがいるだろ力を合わせれば敵うよ」

「そうよ、ミリアリス」

「歳はとりたくはないものだな、弱腰になっておったわ」

「そうね」

「みんな強いのね…でも気をつけて相手は天上最強の水氷の使い手」

「でも、大丈夫なんですか?クロノスさんが天上の賢者と…」

「まだ戦うと決まったわけではないから」

「そうですね」

凍て付く塔、ディーテハウロに向かう。

「塔が丸ごと氷漬けにされてるっす…」

フェイは扉を開けようと手を伸ばすと両開きの扉が勝手に開いた。

「入れってことみたいじゃな」

フェイ達は誘われるままに中に入る。

中はきらびやかな装飾が氷に覆われ、天上から降り注ぐ光が乱反射している。その中に一人佇むアビスがいた。

『あの容姿にの威圧感、間違いなく水氷の賢者アビス様』

「エルステッドフロー」

アビスが呟くと地面に冷気が走り、フェイ達の足が凍り付いて足が動かなくなる。

「アイシクルソード」

アビスは冷気を放つ剣をだし、一歩ずつフェイ達に歩み寄ってきた。

「こんなもの」

フェイはグレネリスの炎でみんなの足の氷を溶かし、エレメンタルブレードを構えた。
アビスはアイシクルソードで空を斬った、すると鋭い氷の結晶がフェイに向かって飛んできた。

「炎斬」

フェイは朱い刃を飛ばし鋭い氷の結晶を相殺した。
結晶は塵と化し霧のように宙に広がり、そこを突き抜けてアビスが飛び出してきた。

フェイは咄嗟にエレメンタルブレードを前に出すとアイシクルソードぶつかり剣同士が交わる形となった。

リーシュはアビスの意識がフェイに向かっている隙にアビスの背後に回り、ボーガンを構えて矢を放った。

それを予期していたようにアビスはリーシュが矢を放つ瞬間に片手でアイシクルソードを握り、エレメンタルブレードを押さえ込みながら、体半分後ろを向いて矢に向かって手を翳した。
すると矢は一瞬で凍り付く。その後、矢は反転しリーシュの胸へと突き刺さりスーっとリーシュの身体の中に沈みこむ、それを確認することをせずアビスはまた前に体を戻しアイシクルソードを両手で握った。

「リーシュ!」

レイナとクロノスはリーシュの元へ駆け寄った。

「お前、このぉぉお」

フェイは剣を握る手に力が入り、思いっきり押し返す。すると交わった剣同士がカタカタ…とすれる音がしグレネリスの炎の力を持つエレメンタルブレードと氷の力を持つアイシクルソードの熱と冷気が反応して二人を取り巻くように風が発生し始めた。

「リーシュ!リーシュ…」

何度も名前を呼び掛けるレイナ。

「急激に体温が下がっている、このままでは危ないわ」

クロノスはリーシュの身体を触れながら言うとミリアリスはレイナに言う。

「私の癒しの力を使って」

「癒しの力?」

「彼の胸の上で手を翳して」

「こう?」

「後は私と波長を合わせて」

レイナは目を閉じ、暫くすると蒼弓のオーブが淡く光り始めた。

「風?」

クロノスは背後から大気の流れを感じて振り返る。

そこにはフェイとアビス、二人を囲むように風が渦巻いていた。

「…」

アビスはエレメンタルブレードをフェイごと薙ぎ払った。
その勢いで二人を囲んでいた風は消し飛び、フェイは壁へとたたき付けらる。そして、その近くの地面にエレメンタルブレードが刺さった。

「ひどい、賢者であろう方がどうしてこんな事を!?」

「ラファエロの弟子か…それは最も愛する親友の頼みだからさ」

アビスは見知った顔に漸く気付き、言葉を発する。

「親友の頼みですって?」

「オーブを持つものを消し オーブを回収してくれないかと」

「それだけの為に命を奪うなんて」

「それだけ?それで十分、彼が全てなのだから。少年のトドメは後にして君から先に逝かせてあげよう… んっ?」

アビスはリーシュを治療しようとしているレイナに気付いた。

「そんなことをしてもそこの少年は戻らない」

「そんなことない!」

そこでレイナの腕をリーシュが掴んだ。

「リーシュ…良かった無事…」

言葉の途中でリーシュはレイナを突き飛ばした。

「きゃあ!……リーシュいきなり何をするの!?」

「…」

リーシュは何も言葉を発さず、瞳は虚で一点見詰めている。

「リーシュに何をしたの!?」

「心を凍らせた、もうお前達の声は心に届かない」

「そんな…リーシュ!」

「うるさい」

リーシュはレイナを突き放すとレイナは地面に倒れる。そこにリーシュはボーガンの射出口を向ける。

「リーシュ…」

「君は友の手に掛かり死ぬがいい」

リーシュはボーガンの引き金に指を掛ける。

「君の相手は私が」

アビスはアイシクルソードの剣先をクロノスに向けた。

「凍てつく光明、氷槍アイスピア

アイシクルソードの剣先が光り、クロノスはその光に瞼を閉じた。だが光線が放たれたが何も起きなかった…。



クロノスが瞼を開けると目の前に白いローブを身に纏った一人の男の背中があった。

『あの人、フラビナルで会った』

フェイは近くに突き刺さるエレメンタルブレードを掴み、全身の痛みに耐えながら支えにして立ち上がる。

「やれやれ全く世話が焼ける…」

男はアビスに視線を向けながら言う。

「兄さん!?」

「オルカスの元弟子か、私の氷槍を盗んだ火のエレメントで防いだか」

「兄さん、どうして!?」

「理由あってお前達を監視してたんだ」

「(火のエレメント…厄介なものを)邪魔が入ったが一緒に消えて貰うことにしよう」

「やめるんだ、アビス」

アビスの後ろから聞こえ、アビスは振り向いた。そこにはフェイクがたっていた。

「ど、どうしてここに…」

アビスの顔に動揺が広がる。

「君を止めに来たんだ」

「止めに…?私は君に…」

アビスは何故か混乱していた。

『どうゆうことなんだ?偽物?いや、だがこの感じはたしかに…』

「落ち着けよ、君らしくないぞ、アビス」

「惑わされるな!我が友、アビス。そいつは偽物」

アビスの真横から声が聞こえた。

そこには裂けた空間に暗闇が存在した。その中からフードを被り、仮面を着けた男が出て来た。

「珍しい、直々にこんなところに出てくるとはドラクマ…いや…ヴァルキリア」

ヴァルキリアはフードを取った。

「あれがヴァルキリア…」

「そうだ」

クロノスの呟きに白いローブの男は答える。

「アビス、あれに惑わされるな。あんな者まやかしに過ぎない」

「だが、同じ気配を感じる…」

「ではあれが持っていない闇の賢者たる証を見せてやろう」

ディーテハウロ内の光が徐々に失われ、闇に染まって行く。

『これは…まずい』

フェイクはカードの束を取り出し、ヴァルキリアに向かって投げた。
カードの束はヴァルキリアの寸前で何かに弾かれ、ディーテハウロ内全体に散らばった。

「相も変わらず無駄な足掻きをそんな攻撃が通用するとでも思っているのか?」

「…」

ヴァルキリア以外の頭上に散らばったカードが浮いている。

「まぁなんであろうと力を失ったお前なんぞ造作もない」

ディーテハウロ内は闇で満ちた。だがその闇の中で光るものがある。それはフェイクのカードだった。

「これはさっきのカードか」

カードを軸に闇を切り裂くように光の柱が現れ、天に向かうようにのびる。

「光神楽」

「…」

「忘れてもらっては困るよ、闇と光は表裏一体、お互いの関係のようにこれでその力も効果を果たさない」

「ふん、その程度で…」

突然、アビスとリーシュの頭上の光神楽が闇に侵蝕され、二人もろとも闇に消えた。

「何を驚くことがある、光と闇は表裏一体なのだろう?心が闇に染まり逝く者にとっては光すら闇に呑まれる…」

ヴァルキリアはそう言い、暗闇に消えて行った。
ヴァルキリアが消えた後にディーテハウロ内に満ちていた闇と光神楽は消え、元の空間に戻る。

「くっ…(奴の力が戻りつつあるか)」

「フェイク」

といいフェルセルクはフェイクに近付いた、その時、地面に円形の輪が現れ、光が溢れる。そこに顎に白い髭を蓄えた老翁、ラファエロと瞳の光彩の色が希薄な盲目の少年、リネルトの姿が現れて輪の中から出てきた。

「事の次第は見させてもらった。アビスの処遇はわしらが行う…それとフェルセルクと…」

ラファエロは白いローブを身に纏った男を見た後、フェイクに視線を向けるとリネルトは言う。

「貴方にも聞きたいことがあります、天上界までご同行願います」

「イヤと行ってもこの空間からは逃げれそうにないな」

フェイクは周囲の気配を感じつつ、両手を挙げてお手上げする。

「えぇ、お気づきの様に」

「私達はどうすれば?」

クロノスがラファエロに訊ねる。

「一緒に来てもらう、無論、上にいる者達にもな」

「上?」

ディーテハウロ内が少し暗くなり、クロノスは塔の上、吹き抜きを見上げる。

「あれは船?…サウザンド号!船が浮いている」

「ここにいる者達をあの船に飛ばすぞ、ディスケープ」

ラファエロは杖を掲げると杖の石が光り、ディーテハウロ内に居た、全員が消えた。

サウザンド号~甲板~

「フェイ達は何処にいるだ」

グラハムは船を動かしながらそう言っていると甲板上にフェイ達が現れ、グラハムは突然のことで驚いて操舵から手を放しそうになった。

「都を元の姿に戻します」

リネルトは甲板に着くなりそう言い、天に片手を突き上げた。すると日の光から光の粒が都に降り注いだ。
光の粒は都中の物や人を覆っていた氷に溶け込むと氷にヒビが入り、粉々に砕け散る。
粉々になった氷は大気中を舞い上がり、キラキラと輝いている。

「都の方はこれで大丈夫でしょう」

「フェイ、大丈夫?」

レイナはアビスの闘いで怪我をした様子のフェイを心配する。

「平気だよ…でもこれからどうなるんだ」

「この船ごと天上界に運ぶつもりだと思うわ」

「この船ごとだって?そんな…」

フェイはあることに気付いた。

「リーシュは何処に?」

「それは…」

レイナが言おうとした時、フェイクが謝ってきた。

「すまない、私のせいでヴァルキリアに連れてかれてしまった」

「どうしてあなたが…」

フェイはフェイクに敵意を向ける。

「やめてフェイ、この人は私達を助けてくれたのに」

「でも、こいつは…(あれ?どうして俺はこいつにこんなにも怒りを?)」

フェイは自分の中に渦巻く感情に疑問を抱く。

「いい加減にしろ!君にフェイクの何が分かるんだ!この人はな…」

「フェルセルク!」

そこでフェイクは白いローブを身に纏った男の言葉を制した。

「すいません」

「兄さん…」

『リーシュ…絶対助けてやるから…な…』

フェイは心に誓い、その場で倒れそうになる所をレイナが支えた。そして、フェイの腕を肩に掛け、船内に入っていった。

「そろそろ、向かっても良いか?」

「えぇ、向かいましょう(いつ以来か…天上ソフェル)」

「リネルト」

「いつでもどうぞ」

『全く話の流れがわからんがあいつら何をする気だ?』

グラハムはそう思いながら様子を伺っている。

ラファエロは何やら呪文を唱え始めた。
すると船、前方が揺らめき法陣が走り、船体は淡い光で包まれた。

「エンディミオ・トール」

ラファエロはそう言い放つと強く光り、船に居た全ての者が瞳を閉じた。
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