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初めての宣言!
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雨期が明けるのを待って神殿都市その名もネオ・サンクトアリウムからは、王子の代理として一斉に使者が飛び立った。
行き先は西や南西部、各領地の当主邸。
手に持ったのは祝福の証。
先住の貧民含め誰一人欠けることなくき生きと暮らしている神の楽園、ネオ・サンクトアリウムへの招待状だ。
真っ先にやってきたのは今やオスビーにとってもうひとつの実家と言える西領北部からホーフェン男爵夫妻だ。
彼らは雨期に訪れ西神殿の心証回復に努めようとしたらしいが、領民の抱く不安を考慮し結局雨期明けまで待っていたと言う。
「あの薬が本物であることは分かっておりました。神子様が自らお作りになられたものですもの」
「ですが不用意に民草の不安を掻き立てれば上手くいくものもいきますまい。急いてはならぬと自制したのですよ」
なるほど。中央部のグラーツ子爵とはすっかり信頼関係を築いているが、それでも雨期の間は交流を避けている。きっとどこの当主も同じような考えなのだろう。
「それにしてもここはなんと素晴らしい…」
「母上、豪華な城には及びませんが神が住まうに相応しい荘厳さがここにはあると思いませんか?」
「あなた方は数多の辛酸を舐めてきた者たち。それでも道を誤らず苦難すら受け入れたのです。高潔なあなた方こそここに住まうべきですわ」
オスビーが親子の親睦を楽しむ間にやってきたのはグレーデン伯爵。
彼はこの西領の全体の領主で、グレーデン伯爵の下に中央部を管理する弟のグラーツ子爵、北部を管理するホーフェン男爵、他にも数名の臣下たる貴族がいて統治の手伝いをしてるってワケ。
このグレーデン伯爵家、今回の訪問で改めて伺ったことだが、彼らの祖先は王家から分領を受けこの西へ来たのではなく、もともとこの地に居た土着で後年叙爵し伯爵になったのだとか。
「ウルリッヒ様は神殿都市の歴史をよくご存じでしたな」
「王城神殿の特別資料室で念入りに調べましたからね」
ギョッとしてこっちを見る神官長。特別資料室、それは神官長にだけ許された鍵のかかった部屋…あ…
も、もう時効だから!
王家の始祖は病に汚染された神殿都市を放棄し、一旦今の西領北部へと移動している。
それでも目の当たりにした神の怒り(ナンナーの始祖が受けた罰ね)に対し恐怖が拭えず、当時まだ未開だった東の地に一族郎党、農奴たちまで引き連れ拠点を移すことにした。全て一から作り直す、そんな決意を胸に秘め…
けど、ちゃっかり癒しの神子をつれていくあたり抜け目ないなぁ…
「ですがどうしても神の地を離れたくないという敬虔な者が居たのですな。それらをまとめるために一家で残ったのが君主の雑務を引き受けていた…まあ今でいう下級官吏のようなものでしょうか、それがグレーデン家の始祖になります」
「へー」
「ネオ・サンクトアリウム…神殿都市の復活、大変嬉しく思います。繁栄祈っておりますぞ」
がんばりまーす!
そのために僕とオスビーはいっぱい考えていろんな決め事をしたんだから。
それを公に発表するのがこのセレモニーだ!
続々と集まる西辺境の領主たち。
南西の当主、海の男フランケン男爵にも今世軸でようやく会えた。
一番近いグラーツ子爵が一番最後にやって来ると、東の王城ほどでなくてもそれなりに広い神殿部が人で溢れかえっている。
お供のメイドや御者などはアゴラに即席で用意した屋台モドキで海の幸を楽しみ(エミルのパン屋もあるよ)、音楽堂では有志による余興も行われ、ここで見る初めての賑わいに僕は感動を隠せない。
「ウーリ、これはまだ始まりの一歩だ。分かっているだろう?」
「うんそうだね。これからだね」
古の繁栄には遥か及ばない。
「皆の者注目!」
女神と男神のファサードの下に立つのは僕とオスビー。高らかに声をあげたのは宰相職を任じられた元貴族子カーステンだ。
彼の父親は内乱の折に四人居た首謀者の一人。四人の内二人は騒乱の最中命を落とし、残った二人は刑に処された。
残された嫡男の内、現場に居た二人は父親と共に刑に処されている。だからここに来た首謀者の嫡男は二人。
彼ら二人は父親と共に、毎夜国の行く末を案じて高尚な信念を語り合っていた面子の一人でもある。
オスビーは若い貴公子しか居ないこの神殿都市にあって、少しだけ年上の(といっても二十代後半程度?)彼らこそが片腕に相応しいと考えたようだ。
オスビーは奪爵された彼らの家門には爵位の復活を約束している。そのうえでカーステンを片腕の宰相として、もう一人フェリクスを官吏の人事、公的儀式を司る大侍従に任命した。
これぞまさしく下剋上!
そうこうしているうちにアゴラに集まった人々、そしてアゴラとプロピュライアを繋ぐ石の階段に並んだ領主たちは神殿都市の君主となる真の第一王子殿下、オスヴァルトに熱い視線を送っている。
「殿下、お言葉をお願いします」
「うむ」
若々しくも気品と威厳に満ちた声でオズヴァルトは宣言する。この都市の復活とそして…
「この一年、このアードラスヘルム国に起きた様々な事象は皆も承知していよう。腐敗した王朝、慢心した王家は神すら軽んじここに瓦解した。東には未だ王弟リュティガー様がお残りであるが、前王朝の残滓をもつ東に廉直な国政は難しかろう。よってこの西の都、ネオ・サンクトアリウムこそを国の要、主都とすることをこの私、王の後継者たるこのオスヴァルトがここに宣言する!」
「「「「おぉぉぉぉ!」」」」
空も割れんばかりの大歓声。
これは普通に考えたら王弟への果たし状みたいなものだが、王弟は僕に大きな貸しがある。生存っていう、ものすごく大きな貸しがね。それに王弟は知的な人だ。だからいくつかの障害(残った貴族たちの反対とか)はあれど、最終的に同調するはず、これはオスビーと僕、二人とも確信がある。
「だが調印に至るには越えねばならぬ問題が幾つも残されていることだろう。だが皆の者、領に戻り全ての民に伝えるがいい。神のご意志、奇跡の体現者である〝癒しの神子”はここに在る。東の些末な声など何一つ問題にならぬと!」
「「「「おぉぉぉぉ!」」」」
またも大歓声。いやん、照れちゃうな。
「よく聞くがいい。東の王家は神子の首に縄をかけその奇跡だけを吸い上げ使い捨てたのだ。これで神の怒りを買わずにいられるものか!」
そーだそーだ!
見ろ!パン屋の屋台からウル様が首がもげそうなほど頷いているじゃないか!
「だが愛と信頼によって結ばれている私と神子に神は加護を与えてくださろう!安心するがいい!」
…え?
ちょっと話の方向性が…
オスビーとは先日のあの一徹明けの夜、衝撃的なご教授と共にお互いの気持ちを確認し合った。
といっても、初めて聞かされた大人の行為に全て持っていかれてロマンチックな夜とはとても言い難く…それ以来なんとなくその話には触れずに今日を迎えてしまったわけだが…なぜ今それを人前で公表する?
「そこでこのめでたき日に私と神子ウルリッヒの婚約をここに宣言しよう!」
ふぁっ?
「皆の者、神子ウルリッヒが十六になる一年後のこの日再びここに集まるよう申し付ける。良いな、その日が成婚の儀である!」
後に続いたカーステンの言葉に再度ビックリ!
は、初耳なんですけど全部ーーー!!!
行き先は西や南西部、各領地の当主邸。
手に持ったのは祝福の証。
先住の貧民含め誰一人欠けることなくき生きと暮らしている神の楽園、ネオ・サンクトアリウムへの招待状だ。
真っ先にやってきたのは今やオスビーにとってもうひとつの実家と言える西領北部からホーフェン男爵夫妻だ。
彼らは雨期に訪れ西神殿の心証回復に努めようとしたらしいが、領民の抱く不安を考慮し結局雨期明けまで待っていたと言う。
「あの薬が本物であることは分かっておりました。神子様が自らお作りになられたものですもの」
「ですが不用意に民草の不安を掻き立てれば上手くいくものもいきますまい。急いてはならぬと自制したのですよ」
なるほど。中央部のグラーツ子爵とはすっかり信頼関係を築いているが、それでも雨期の間は交流を避けている。きっとどこの当主も同じような考えなのだろう。
「それにしてもここはなんと素晴らしい…」
「母上、豪華な城には及びませんが神が住まうに相応しい荘厳さがここにはあると思いませんか?」
「あなた方は数多の辛酸を舐めてきた者たち。それでも道を誤らず苦難すら受け入れたのです。高潔なあなた方こそここに住まうべきですわ」
オスビーが親子の親睦を楽しむ間にやってきたのはグレーデン伯爵。
彼はこの西領の全体の領主で、グレーデン伯爵の下に中央部を管理する弟のグラーツ子爵、北部を管理するホーフェン男爵、他にも数名の臣下たる貴族がいて統治の手伝いをしてるってワケ。
このグレーデン伯爵家、今回の訪問で改めて伺ったことだが、彼らの祖先は王家から分領を受けこの西へ来たのではなく、もともとこの地に居た土着で後年叙爵し伯爵になったのだとか。
「ウルリッヒ様は神殿都市の歴史をよくご存じでしたな」
「王城神殿の特別資料室で念入りに調べましたからね」
ギョッとしてこっちを見る神官長。特別資料室、それは神官長にだけ許された鍵のかかった部屋…あ…
も、もう時効だから!
王家の始祖は病に汚染された神殿都市を放棄し、一旦今の西領北部へと移動している。
それでも目の当たりにした神の怒り(ナンナーの始祖が受けた罰ね)に対し恐怖が拭えず、当時まだ未開だった東の地に一族郎党、農奴たちまで引き連れ拠点を移すことにした。全て一から作り直す、そんな決意を胸に秘め…
けど、ちゃっかり癒しの神子をつれていくあたり抜け目ないなぁ…
「ですがどうしても神の地を離れたくないという敬虔な者が居たのですな。それらをまとめるために一家で残ったのが君主の雑務を引き受けていた…まあ今でいう下級官吏のようなものでしょうか、それがグレーデン家の始祖になります」
「へー」
「ネオ・サンクトアリウム…神殿都市の復活、大変嬉しく思います。繁栄祈っておりますぞ」
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そのために僕とオスビーはいっぱい考えていろんな決め事をしたんだから。
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続々と集まる西辺境の領主たち。
南西の当主、海の男フランケン男爵にも今世軸でようやく会えた。
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お供のメイドや御者などはアゴラに即席で用意した屋台モドキで海の幸を楽しみ(エミルのパン屋もあるよ)、音楽堂では有志による余興も行われ、ここで見る初めての賑わいに僕は感動を隠せない。
「ウーリ、これはまだ始まりの一歩だ。分かっているだろう?」
「うんそうだね。これからだね」
古の繁栄には遥か及ばない。
「皆の者注目!」
女神と男神のファサードの下に立つのは僕とオスビー。高らかに声をあげたのは宰相職を任じられた元貴族子カーステンだ。
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残された嫡男の内、現場に居た二人は父親と共に刑に処されている。だからここに来た首謀者の嫡男は二人。
彼ら二人は父親と共に、毎夜国の行く末を案じて高尚な信念を語り合っていた面子の一人でもある。
オスビーは若い貴公子しか居ないこの神殿都市にあって、少しだけ年上の(といっても二十代後半程度?)彼らこそが片腕に相応しいと考えたようだ。
オスビーは奪爵された彼らの家門には爵位の復活を約束している。そのうえでカーステンを片腕の宰相として、もう一人フェリクスを官吏の人事、公的儀式を司る大侍従に任命した。
これぞまさしく下剋上!
そうこうしているうちにアゴラに集まった人々、そしてアゴラとプロピュライアを繋ぐ石の階段に並んだ領主たちは神殿都市の君主となる真の第一王子殿下、オスヴァルトに熱い視線を送っている。
「殿下、お言葉をお願いします」
「うむ」
若々しくも気品と威厳に満ちた声でオズヴァルトは宣言する。この都市の復活とそして…
「この一年、このアードラスヘルム国に起きた様々な事象は皆も承知していよう。腐敗した王朝、慢心した王家は神すら軽んじここに瓦解した。東には未だ王弟リュティガー様がお残りであるが、前王朝の残滓をもつ東に廉直な国政は難しかろう。よってこの西の都、ネオ・サンクトアリウムこそを国の要、主都とすることをこの私、王の後継者たるこのオスヴァルトがここに宣言する!」
「「「「おぉぉぉぉ!」」」」
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またも大歓声。いやん、照れちゃうな。
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そーだそーだ!
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…え?
ちょっと話の方向性が…
オスビーとは先日のあの一徹明けの夜、衝撃的なご教授と共にお互いの気持ちを確認し合った。
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ふぁっ?
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