やり直しの神子は長生きしたい

kozzy

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そして夜更け

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「???」

愛し合う二人?何を言っているのかさっぱり意味がわからない。
眠すぎてエドはおかしくなっちゃったんだろうか…

顎に手をやるオスビーは何かを考え込んでいる。

「ウル様分かった?」
「…う、うん。多分…」
「なんで顔赤いの?」
「ううん別に」

部屋の空気が変わった気がする。
さっきまでの熱気がウソみたいに静まり返っている。
なにこの緊張感…

「なる…ほど。確かに不要な生命体だ…」

ポツリとオスビーが呟く。

「はぁ?い、イヤだよ、そんな得体の知れない何かから生命力もらうの…」

いくら生死がかかってるとはいえ、僕にだって選ぶ権利はある!

そもそもなんだか自分が化け物にでもなったみたいで落ち着かない…

「安心するがいいウーリ。得体は知れている。ああそうとも、このうえなくな…」

揃って頷くウル様とエド。
わかってないのが僕だけとは…屈辱!

「ウーリはアメシストの予防薬に力の共鳴を感じたと言ったな?」
「え、あ、うん」

「ではもし生命力を吸収すれば肌で分かるのだな?」

「多分…。抜けるのも実感あるから入るのも分かると思うけど…」

頷くウル様。こう…スゥ…っと抜けるんだよね。あれ気持ちいいよね。

「試す価値はある…」

ガタン!

「エ、エド行こう!」
「そ、そうですね兄さん。あとはお任せしますオスヴァルト様。わ、私たちは休みますね」

いきなりそそくさと出ていく二人。部屋には僕とオスビーだけが残されたが…

「オスビー?どういうこと?」

「…もはや夜明けどころか朝ではないか。一旦休もうウーリ。私も限界だ」
「で、でも!」
「続きは今夜だ。明るい陽の下でするような話ではない」
「気になるじゃん…自分の事なのに…」

「では手がかりをやろう。神子ウルリッヒが学びウーリが学んでいないこと、それはなんだ」

「え…」

僕とウル様は二人でひとつ。
何かあればウル様の代理が務まるよう、僕は何だって一緒に教育を受けてきた。
ウル様が知ってて僕が知らないことはそんなに多くない。

強いて言うならウル様が一人で出向いたナンナー家による神子の心得、けどあれは既にこの間ウル様から聞いてるし…あとは…

はっ!

わかった!ウル様がウル様だった前世軸の、あの三年間に僕抜きで学んだ非常に私的なことだ!
例えば…アルトゥールの婚約者としての心得的な…そう。閨のお作法とか。

えっ?えっ?どういうこと?生命力との関係性とは?
オスビーはいつの間にか僕に背を向け眠っている…

ウソでしょー!!!
こんな爆弾落としといて何ひとりで寝ちゃってんの!バカなの?


結局その日はウル様たちも一日衛生棟に籠って仕事するふりして爆睡してたし、結局僕は答え合わせすることが出来なかった…


さてそうこうしているうちに夜がやってくる。

オスビーは夜なら教えてくれると言ったが…イヤな予感がする。いや、イヤな予感しかしない。

さまざまな面で大変大人びている僕だが、その反面、閨関係だけはまっさらと言える。
リンデンの屋敷でも神殿でも、世俗的なことからは遠ざけられてきたウル様と僕。
だけどウル様は王太子の婚約者として、宮廷のしきたり通り閨のお作法を学んでいる。
そこへいくと僕ときたらそういった方面はフワっとしている。知識が。

くぅ!誰か教えて!
裸で抱き合って口と口と合わせて…、それからどうしたらいらいいの!

バタン

ドキー!!!

「お、お、お帰りオスビー、遅いお戻りで」
「すまない。だが彼らがなかなか放してくれなくてね」

「今日の議題は?」
「近日中に行う予定の、ある重要なセレモニーについて少しな」

「アドラの音楽堂に集まって会議?珍しいね」
「都市民も参加するセレモニーだからな」

そんなのあったかな…

「まあいいや。さ、教えて。僕が長生きする奥の手」

「ウーリその前に…」

僕の手を取りベッドのへりに腰掛けると、その大きな手は僕の背中にまわされる。な、何を言おうとしてるんだろう…ドキドキドキ…

フー…「ウーリが私への気遣いからその感情を押し隠しているのは分かっている。残される者の悲しさを増幅しないためだな」
「何の話…?」
「とぼけても無駄だ。同じ感情を抱き合う者同士だ。目を見ればわかる」
「…意味不明…」
「では全て私の自惚れだと?酷いことを言う。あれ程寝言で私の名を呼んでおきながら」

問題発言!

「ウ、ウソだ!」
「噓をつく理由がどこにある」
「そ、そんなの言うはず無い!」
「本当だ。私の胸にしがみつきながらこう、「オスビーす」」
「好きだなんて言ってない!聞き違いだからそれ!」

「…「すごい」、とな。ほんの数日前のことだ」
「しまっ!」

あ、あれはオスビーが雨の中ででっかいカニを捕まえてきた日!確かに僕は思っていた。「オスビーすごい!」…って。

「そうかやはりな。ウーリは私が好きなのだな」
カァァァァ「は、はぁぁん?んなわけないし」
「誤解でなくて安心したよ。これで話が出来る」

勝手に話し進めんな!

「いいかいウーリ。これは君の内面が大人と信じるからこそ伝える言葉だ。そのつもりで聞いて欲しい」
「大人…」

確かに僕はいつも主張している。前世で十六今世で二年、合わせて僕は十八だ、って。

「仕方ない。なら聞いてあげる…」

大人じゃないと聞けない話。やっぱり閨関係で当りか…

「ウーリ、愛し合う二人が一体となる。その意味は分かるか」

ポ「ま、まぁ…」

「…では朝焼けまで何をするかも分かるな」
「え…、そんなにするものなの…」
「必ずではないが…そういった強壮な者もいると聞く」

お、大人って…大人って…

「お、オスビーは…」
「わかるだろう?私もそういった経験はない。が、翌日に支障のない範囲でと考えている」

さ、さすが国を背負って立つ人…

「ちょ、さっきから何?それと僕の寿命に何の関係」
「では睦み合う二人の間には最終的に何が湧き出でると思う」

何ー!!!

「…そ、そんなの…あ、愛とか?」ポポポ
「ふっ、可愛いものだな」

はぁぁぁん?愛がなくちゃ困るでしょうが!

「ウーリ、耳を貸せ。この答えは…」

ふんふんふ…

「っーーー!!!」

「そういうことだ。わかったな」


よ、よくわかんない。だって僕まだ子供だもん!



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