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初恋の成就
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「エド、新しく来た学術修道士さんはどう?」
「良い方ばかりですよ。若輩の私にも敬意を払ってくださいます」
唯一無二、奇跡の存在〝癒しの神子”である僕の呼びかけによって、このサンクトリウムには数名の学術修道士が我こそは、と名乗りをあげていた。
学術修道士といってもその専門分野はそれぞれ違う。今回来たのは主に古代史に造詣の深い修道士たちだ。
修道士…といっても学術修道士は学校卒業者が多い。彼らは知の深淵に触れ、学びを極めんと探究者への道を選んだ猛者たちだ。
神殿の数多の修道士と違い、彼らはもとをただせば貴族子が多い。もっとも修道士となった時点で身分の差は無いも同然、彼らの地位はどれほど敬虔かで決まるものだ。
(…というのは建前で、ここにも教会内政治は存在するんだよ。イヤだね~…)
とにかく。
彼らのサンクトリウム入りに際し、彼らの実家からはそれなりの寄付が寄越されている。ありがたや…
これらは全て、西宮廷では後回しにされがちな石板解読への予算に当てさせてもらうつもりだ。
「アゴラの建物に関しては保全を優先させています。おいおい調べていければ良いと考えていますので」
「ふんふん」
「ですがバルデルス神像に関しては優先的に解読を進めたいと思っています。これは彼らにとってももっとも関心の強い内容でしょうからね」
確かに。修道士である彼らは神への恭順が一般市民より高い。であれば、生活や文化の記述が主なアゴラの壁画よりも、神や創世記に関わる部分を掘り下げたいのは当然だろう。
「彼らの協力によってようやく大掛かりな解読が可能となりそうです」
「へー、大掛かりって?」
「像の背後となる壁面には恐らく建造時に使用されたと思われる足場を組むための接続部があるのですよ」
「分かった。上まで足場を組むんだね。すごいや。神官長の許可はいただいた?」
「ええ。ですがあそこは神バルデルスが鎮座する聖なる神殿。人足を入れての足場組立は最短の日数で済ませるように仰いました」
「神官長らしいな」
バルデルス神像の解読は一気に大進展を遂げていく予感。
さて、それはそれとして…
「ところで最近ウル様がひっじょーにご機嫌でね」ニヤニヤ
「そ、そうですか…」ソワソワ
「エド、心当たりは?」
「さ、さあ…?どうしたのでしょうね」
「…って、僕が知らないわけないでしょうが!」
へたくそなおとぼけなんだから…
ここからはエドから聞きだしたプロポーズの一部始終である。
場所は僕が教えたあの洞穴。どこかロマンチックな場所を、と言われて仕方なく教えてあげたのだ。
あそこは僕にとって息抜き用の大事な場所。けど正式に王様となったオスビーを気安く誘う事は残念ながらもう出来ない…。なら有効活用するのも良いよね。だってウル様の為なんだから。
エドはあの洞窟へ事前に何十本ものキャンドルを運び入れたそうだ。そして夜になるのを待ち全てのキャンドルを灯しウル様を誘ったそうだが…
「エド…、それって片側が開いてる洞窟だからいいようなものの密室だったら危ないからね…」
コホ「分かっております」
これはいつか来る〝初夜”の日にはやるな、と言う僕からのありがたい忠告である。
季節は初春。東ならまだまだ薄ら寒い季節。けれどこの西辺境は一年を通して温暖な気候だ。それでも夜は肌寒いだろうが、それだけキャンドルが灯ればさぞ熱かったことだろう。いや、熱いのは二人の醸し出す空気か…
彼はさらに雰囲気を盛り上げるもう一つの装飾として洞窟内を青のビオラで埋め尽くしたそうだ。
「な、何たる根気…」
「兄さんの為ならどうと言うこともありません」
因みに青いビオラなのは僕の髪色が薄い青紫だからに違いない。
エミルの髪色は庶民層にはありふれた、ごく一般的な濃茶だ。つまり彼は初めて見た日のウル様に想いを馳せたのだろう。
「あの…一応聞くけど初めて見かけた時から好きだったの?」
「まさか!あの頃は母が違うとはいえ真実兄弟でしたし…。ですが初めて会った…といっても一方的にお見掛けしただけでしたが…とにかくはじめてお見掛けした時からそのお姿は私の意識下より消えることはありませんでした」
きっと初めは素朴な疑問から。何故もう一人の兄は本邸に姿を見せないのだろう…と、その程度の。
そしてやって来た王城入りの朝。
「私は常にあの時目にした兄さんの…どこか心細げな、そしてどこか諦めたような…あの何とも言えない表情を思い出しては私がお守りしたいと、そう願って参りました」
「…じゃあ僕との入れ替わりはその一念に免じて神様がくれた御褒美なのかもね」
「…」ニコ
キャンドルとビオラに彩られた幻想的な洞窟の中で、エドの成年となる二人きりの誕生会は催された。
そして月の光が海面を照らす中、エドはそっとウル様のその指にエドの持つ色、アッシュグリーンの髪色と同じジェイドの石で作った指輪を嵌めたそうだ。
「今の私では高価なエメラルドは用意出来ませんでしたが…ジェイドは内に〝長寿、幸福”の意味を秘めた石。兄さんへ渡すのにふさわしいと私には思えました」
「うん…」
慈悲の石とも呼ばれるジェイド。深い緑の落ち着いた色合いはまさにエドを思わせる。
「兄さんは涙ぐみながらそれを受け取り…」
「受け取り?」
皆まで聞くまい。
エドの指にはアメシストの石が控えめに輝いていた。
「良い方ばかりですよ。若輩の私にも敬意を払ってくださいます」
唯一無二、奇跡の存在〝癒しの神子”である僕の呼びかけによって、このサンクトリウムには数名の学術修道士が我こそは、と名乗りをあげていた。
学術修道士といってもその専門分野はそれぞれ違う。今回来たのは主に古代史に造詣の深い修道士たちだ。
修道士…といっても学術修道士は学校卒業者が多い。彼らは知の深淵に触れ、学びを極めんと探究者への道を選んだ猛者たちだ。
神殿の数多の修道士と違い、彼らはもとをただせば貴族子が多い。もっとも修道士となった時点で身分の差は無いも同然、彼らの地位はどれほど敬虔かで決まるものだ。
(…というのは建前で、ここにも教会内政治は存在するんだよ。イヤだね~…)
とにかく。
彼らのサンクトリウム入りに際し、彼らの実家からはそれなりの寄付が寄越されている。ありがたや…
これらは全て、西宮廷では後回しにされがちな石板解読への予算に当てさせてもらうつもりだ。
「アゴラの建物に関しては保全を優先させています。おいおい調べていければ良いと考えていますので」
「ふんふん」
「ですがバルデルス神像に関しては優先的に解読を進めたいと思っています。これは彼らにとってももっとも関心の強い内容でしょうからね」
確かに。修道士である彼らは神への恭順が一般市民より高い。であれば、生活や文化の記述が主なアゴラの壁画よりも、神や創世記に関わる部分を掘り下げたいのは当然だろう。
「彼らの協力によってようやく大掛かりな解読が可能となりそうです」
「へー、大掛かりって?」
「像の背後となる壁面には恐らく建造時に使用されたと思われる足場を組むための接続部があるのですよ」
「分かった。上まで足場を組むんだね。すごいや。神官長の許可はいただいた?」
「ええ。ですがあそこは神バルデルスが鎮座する聖なる神殿。人足を入れての足場組立は最短の日数で済ませるように仰いました」
「神官長らしいな」
バルデルス神像の解読は一気に大進展を遂げていく予感。
さて、それはそれとして…
「ところで最近ウル様がひっじょーにご機嫌でね」ニヤニヤ
「そ、そうですか…」ソワソワ
「エド、心当たりは?」
「さ、さあ…?どうしたのでしょうね」
「…って、僕が知らないわけないでしょうが!」
へたくそなおとぼけなんだから…
ここからはエドから聞きだしたプロポーズの一部始終である。
場所は僕が教えたあの洞穴。どこかロマンチックな場所を、と言われて仕方なく教えてあげたのだ。
あそこは僕にとって息抜き用の大事な場所。けど正式に王様となったオスビーを気安く誘う事は残念ながらもう出来ない…。なら有効活用するのも良いよね。だってウル様の為なんだから。
エドはあの洞窟へ事前に何十本ものキャンドルを運び入れたそうだ。そして夜になるのを待ち全てのキャンドルを灯しウル様を誘ったそうだが…
「エド…、それって片側が開いてる洞窟だからいいようなものの密室だったら危ないからね…」
コホ「分かっております」
これはいつか来る〝初夜”の日にはやるな、と言う僕からのありがたい忠告である。
季節は初春。東ならまだまだ薄ら寒い季節。けれどこの西辺境は一年を通して温暖な気候だ。それでも夜は肌寒いだろうが、それだけキャンドルが灯ればさぞ熱かったことだろう。いや、熱いのは二人の醸し出す空気か…
彼はさらに雰囲気を盛り上げるもう一つの装飾として洞窟内を青のビオラで埋め尽くしたそうだ。
「な、何たる根気…」
「兄さんの為ならどうと言うこともありません」
因みに青いビオラなのは僕の髪色が薄い青紫だからに違いない。
エミルの髪色は庶民層にはありふれた、ごく一般的な濃茶だ。つまり彼は初めて見た日のウル様に想いを馳せたのだろう。
「あの…一応聞くけど初めて見かけた時から好きだったの?」
「まさか!あの頃は母が違うとはいえ真実兄弟でしたし…。ですが初めて会った…といっても一方的にお見掛けしただけでしたが…とにかくはじめてお見掛けした時からそのお姿は私の意識下より消えることはありませんでした」
きっと初めは素朴な疑問から。何故もう一人の兄は本邸に姿を見せないのだろう…と、その程度の。
そしてやって来た王城入りの朝。
「私は常にあの時目にした兄さんの…どこか心細げな、そしてどこか諦めたような…あの何とも言えない表情を思い出しては私がお守りしたいと、そう願って参りました」
「…じゃあ僕との入れ替わりはその一念に免じて神様がくれた御褒美なのかもね」
「…」ニコ
キャンドルとビオラに彩られた幻想的な洞窟の中で、エドの成年となる二人きりの誕生会は催された。
そして月の光が海面を照らす中、エドはそっとウル様のその指にエドの持つ色、アッシュグリーンの髪色と同じジェイドの石で作った指輪を嵌めたそうだ。
「今の私では高価なエメラルドは用意出来ませんでしたが…ジェイドは内に〝長寿、幸福”の意味を秘めた石。兄さんへ渡すのにふさわしいと私には思えました」
「うん…」
慈悲の石とも呼ばれるジェイド。深い緑の落ち着いた色合いはまさにエドを思わせる。
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「受け取り?」
皆まで聞くまい。
エドの指にはアメシストの石が控えめに輝いていた。
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