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戦闘の終わり
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「オスビーは海上に集中して!歩兵は僕がなんとかする!」
「待て!何をする気だウーリ!」
「いいから任せて!奴らは僕が全員無傷で確保してみせる!」
そうとも、傷一つない健康体で!
「お止めください神子様!」
「いくら自己再生があるからと言って無茶が過ぎます!」
口々に制止する騎士たち。彼らはまだ僕の思惑に気がつかない。
僕がしようとしていること、それはたった今オスビーが言葉にしたことで閃いた思い付きだが、あまりに飛躍しすぎて常識では浮かびもしないんだろう。
「時間がない!誰かオリーブ並木まで乗せて!」
狼狽えながらも騎士の一人が馬の背に僕を引き上げる。
「急いで!」
「は、はは、はい!」
「無傷…そういうことか!任せたぞウーリ!」
「陛下!」
「馬鹿を言わずお止め下さい!」
「無茶は承知だ!だが皇国の兵は想像をはるかに超えて頑強!このままでは押しやられる!神子を信じよ!」
「神子は戦う存在ではございません!」
「分かっている!そんなことは私が一番分かっている!だが…民を危険にさらすわけにはいかぬのだ!」
オスビーは僕を行かせまいとする騎士たちを制止し、止血といっても未だ血の滲む肩を押さえながら誰よりも先に視線を海上に戻していた。
いつもなら僕の身を何より優先し案じるはずのオスビーがこちらを振り返らない。
これは信頼の証だ。
「すぐに戻るから!」
なら僕は結果でもってその信頼に応えて見せる!
そうと決まれば急がないと!
「ウルリッヒ様何故ここに!」
「お戻りください!ここは危険です!」
小道で待機していた兵たちが僕の姿に慌てふためく。
「いいから誰かフォルカーかフンベルトに伝えて!皇国の兵をこの小道に誘い込めって!」
「で、ですが作戦ではここには一人も通すなと…」
「言う通りに!これは王からの新しい策だ!」
「は、はい!」
「一人づつ誘い込めって伝えて。出来る限り多く!」
「わ、わかりました!」
怪訝そうな下っ端兵。けど説明している暇はない!
もうお分かりだろう。
僕の思いつき。それは敵兵を癒して昏倒させると言う、敵兵相手にしては非常に人道的かつ慈悲深く、だけど効率的な手段だ。
だって神子の癒しを受けた者は絶対!必ず!例外なく!瞬時に半時間ほど気を失うんだから。
そして再生の力は神子の意思により触れた瞬間に発動する。
例え本人に病気や怪我の自覚が無かったとしても、小傷ひとつあれば十分だ。
この戦況下で無傷なんてことあるわけない。
つまり身体のどこかに触れることさえ出来ればこっちのもんだ!
「来ました!」
誘いこまれたとも知らず、突破気分で鼻息荒く小道に姿を現した皇国兵。デ、デカイ!その身体はゆうに二メートルを超えている。
これじゃ一撃で倒せないのも無理ないよ…
「はははは!アードラスヘルムではこんな子供まで戦いに駆り出すのか!」
笑えるのも今だけだ!
「俺は甘くない!子供だからと容赦はせんぞ!」
プシッ!
「ウルリッヒ様!」
「来るな!」
剣のかすった場所から血飛沫がとぶ。けど僕には自己再生がある。
「このっ…!ちょこまかと!」
僕より二回りは大きな皇国兵。デカい身体は頑丈だが小回りの利かないところが難点だ。
「そこだ!」
ポン
ドサリ
…瞬殺…
「兵士!」
「は、はい!」
「頑丈に縛り上げて!」
「直ちに!」
神子を舐めるからこうなるんだって。小傷まで治してやったんだから感謝して欲しいな。
けど味方を安心させることは出来たようだ。彼の口調からは怯えが消えた。
「次が来ます!」
「よし!このまま皇国兵の注意を引いて!一瞬でいい!」
「はい!」
ドサリ
「よし次!」
ドサリ
「次!」
援護にやって来た兵たちにもようやく事態が呑み込めたようだ。彼らは手早く皇国兵を縛り上げていく。
「そのへんの悪漢と混同してはならん!」
「頑強に捕縛せよ!特に手足は何重にもするのだ!」
あのデカさだ。その腕力も並みじゃないんだろう。
「猶予は半時間だから!急いで!」
「神子様!身体は大丈夫でございますか!」
「平気!一人でも多く減らさなくちゃ!」
実は大柄な皇国兵じゃたとえ小傷でも消費生命力が違う。けどそれは誰も知らなくていいこと。
僕にはここサンクトリウムを復活させ彼らを集めた責任がある。覚悟はなにもオスビーだけの専売特許じゃない!
こうして小道を下りながら数十人ほどの皇国兵を倒しただろうか。敵兵の追加はようやく途切れたようだ。
「後のことは任せたよ!」
全身に疲労感を感じながら僕は入り江へ突入した。
「フォルカー!フンベルト!状況は!」
「残るは数名、もはやこ奴らに勝機はありませぬ!」
「ウルリッヒ様が数を減らしてくださったおかげです!」
入り江に倒れるのは剣に敗れた皇国兵。見れば向こうの崖下にも射落とされた皇国兵が重なりあっている。
「もう登拳の兵は居ないようだね…」
「ウルリッヒ様、あそこを!」
隠し階段へと続く岩場にはカルトロップと呼ばれる罠が仕掛けられていた。所狭しと並べられた尖った形の鋲、それは奴らの行く手を阻んでいたが、わずかだがその罠をかいくぐった敵兵が居たようだ!
「マズい!」
駆け付けた僕が見たのは皇国兵によって蹂躙される弓兵の姿!
「ウルリッヒ様!」
「なんだこの小僧は!」
「歓迎の握手に来たよ!」
一人の皇国兵が僕を海に投げ飛ばそうとその腕を捕まえ…次の瞬間倒れ込んだ。
「お前何をした!」
「罠で痛めた足の治療を」
「ふざけるな!」
一瞬の隙。左の皇国兵も僕に掴みかかった瞬間、巨体を揺らし地面に崩れ落ちた。
「上は!」
「問題ありません!ここで食い止めておりました!」
「死傷者は…」
「ご安心を。全員命は無事です」
「なら重傷者をここに」
「おぉ…!」
これが本当の使い方だよね!
「ぐぉあああああ!!!」
断末魔の悲鳴と共に倒れる巨体。肩で息するフォルカーとフンベルト。その身体は血にまみれている。
浜辺では残った敵兵との闘いにもようやく終止符が打たれていた。
「重症の兵士は居ない?いたら教えて!」
「神子様お願いします!お早く!」
「あなたの方は?」
「俺は大丈夫です!どうかポールをお助け下さい!」
「よし!」
軽、中傷者はともかく、即時手当ての必要な重傷者を癒していく。
ここは神の地サンクトリウム。
神子が居ながら死傷者なんかだすものか!そのためにいっぱい溜め込んだんだから!
「フォルカー。二人の癒しは後で」
「当然でございます」
「後はもういい?」
「もちろんですとも。どうかウルリッヒ様。陛下のもとへ!」
並木道の入り口でふと海上に目をやれば沈みゆく船が見える…
「生き残りが海を来るぞ!岸にあげるな!バリスタ隊!弓兵!一斉射!」
頭上から聞こえるのはオスビーの声だ!
「奴らは一矢報いようと力を振り絞るはずだ!油断するな!」
オスビー…今行くよ!
「撃て!」
上空からの集中砲火。きっとイタチの最後っ屁は届かない。
「待て!何をする気だウーリ!」
「いいから任せて!奴らは僕が全員無傷で確保してみせる!」
そうとも、傷一つない健康体で!
「お止めください神子様!」
「いくら自己再生があるからと言って無茶が過ぎます!」
口々に制止する騎士たち。彼らはまだ僕の思惑に気がつかない。
僕がしようとしていること、それはたった今オスビーが言葉にしたことで閃いた思い付きだが、あまりに飛躍しすぎて常識では浮かびもしないんだろう。
「時間がない!誰かオリーブ並木まで乗せて!」
狼狽えながらも騎士の一人が馬の背に僕を引き上げる。
「急いで!」
「は、はは、はい!」
「無傷…そういうことか!任せたぞウーリ!」
「陛下!」
「馬鹿を言わずお止め下さい!」
「無茶は承知だ!だが皇国の兵は想像をはるかに超えて頑強!このままでは押しやられる!神子を信じよ!」
「神子は戦う存在ではございません!」
「分かっている!そんなことは私が一番分かっている!だが…民を危険にさらすわけにはいかぬのだ!」
オスビーは僕を行かせまいとする騎士たちを制止し、止血といっても未だ血の滲む肩を押さえながら誰よりも先に視線を海上に戻していた。
いつもなら僕の身を何より優先し案じるはずのオスビーがこちらを振り返らない。
これは信頼の証だ。
「すぐに戻るから!」
なら僕は結果でもってその信頼に応えて見せる!
そうと決まれば急がないと!
「ウルリッヒ様何故ここに!」
「お戻りください!ここは危険です!」
小道で待機していた兵たちが僕の姿に慌てふためく。
「いいから誰かフォルカーかフンベルトに伝えて!皇国の兵をこの小道に誘い込めって!」
「で、ですが作戦ではここには一人も通すなと…」
「言う通りに!これは王からの新しい策だ!」
「は、はい!」
「一人づつ誘い込めって伝えて。出来る限り多く!」
「わ、わかりました!」
怪訝そうな下っ端兵。けど説明している暇はない!
もうお分かりだろう。
僕の思いつき。それは敵兵を癒して昏倒させると言う、敵兵相手にしては非常に人道的かつ慈悲深く、だけど効率的な手段だ。
だって神子の癒しを受けた者は絶対!必ず!例外なく!瞬時に半時間ほど気を失うんだから。
そして再生の力は神子の意思により触れた瞬間に発動する。
例え本人に病気や怪我の自覚が無かったとしても、小傷ひとつあれば十分だ。
この戦況下で無傷なんてことあるわけない。
つまり身体のどこかに触れることさえ出来ればこっちのもんだ!
「来ました!」
誘いこまれたとも知らず、突破気分で鼻息荒く小道に姿を現した皇国兵。デ、デカイ!その身体はゆうに二メートルを超えている。
これじゃ一撃で倒せないのも無理ないよ…
「はははは!アードラスヘルムではこんな子供まで戦いに駆り出すのか!」
笑えるのも今だけだ!
「俺は甘くない!子供だからと容赦はせんぞ!」
プシッ!
「ウルリッヒ様!」
「来るな!」
剣のかすった場所から血飛沫がとぶ。けど僕には自己再生がある。
「このっ…!ちょこまかと!」
僕より二回りは大きな皇国兵。デカい身体は頑丈だが小回りの利かないところが難点だ。
「そこだ!」
ポン
ドサリ
…瞬殺…
「兵士!」
「は、はい!」
「頑丈に縛り上げて!」
「直ちに!」
神子を舐めるからこうなるんだって。小傷まで治してやったんだから感謝して欲しいな。
けど味方を安心させることは出来たようだ。彼の口調からは怯えが消えた。
「次が来ます!」
「よし!このまま皇国兵の注意を引いて!一瞬でいい!」
「はい!」
ドサリ
「よし次!」
ドサリ
「次!」
援護にやって来た兵たちにもようやく事態が呑み込めたようだ。彼らは手早く皇国兵を縛り上げていく。
「そのへんの悪漢と混同してはならん!」
「頑強に捕縛せよ!特に手足は何重にもするのだ!」
あのデカさだ。その腕力も並みじゃないんだろう。
「猶予は半時間だから!急いで!」
「神子様!身体は大丈夫でございますか!」
「平気!一人でも多く減らさなくちゃ!」
実は大柄な皇国兵じゃたとえ小傷でも消費生命力が違う。けどそれは誰も知らなくていいこと。
僕にはここサンクトリウムを復活させ彼らを集めた責任がある。覚悟はなにもオスビーだけの専売特許じゃない!
こうして小道を下りながら数十人ほどの皇国兵を倒しただろうか。敵兵の追加はようやく途切れたようだ。
「後のことは任せたよ!」
全身に疲労感を感じながら僕は入り江へ突入した。
「フォルカー!フンベルト!状況は!」
「残るは数名、もはやこ奴らに勝機はありませぬ!」
「ウルリッヒ様が数を減らしてくださったおかげです!」
入り江に倒れるのは剣に敗れた皇国兵。見れば向こうの崖下にも射落とされた皇国兵が重なりあっている。
「もう登拳の兵は居ないようだね…」
「ウルリッヒ様、あそこを!」
隠し階段へと続く岩場にはカルトロップと呼ばれる罠が仕掛けられていた。所狭しと並べられた尖った形の鋲、それは奴らの行く手を阻んでいたが、わずかだがその罠をかいくぐった敵兵が居たようだ!
「マズい!」
駆け付けた僕が見たのは皇国兵によって蹂躙される弓兵の姿!
「ウルリッヒ様!」
「なんだこの小僧は!」
「歓迎の握手に来たよ!」
一人の皇国兵が僕を海に投げ飛ばそうとその腕を捕まえ…次の瞬間倒れ込んだ。
「お前何をした!」
「罠で痛めた足の治療を」
「ふざけるな!」
一瞬の隙。左の皇国兵も僕に掴みかかった瞬間、巨体を揺らし地面に崩れ落ちた。
「上は!」
「問題ありません!ここで食い止めておりました!」
「死傷者は…」
「ご安心を。全員命は無事です」
「なら重傷者をここに」
「おぉ…!」
これが本当の使い方だよね!
「ぐぉあああああ!!!」
断末魔の悲鳴と共に倒れる巨体。肩で息するフォルカーとフンベルト。その身体は血にまみれている。
浜辺では残った敵兵との闘いにもようやく終止符が打たれていた。
「重症の兵士は居ない?いたら教えて!」
「神子様お願いします!お早く!」
「あなたの方は?」
「俺は大丈夫です!どうかポールをお助け下さい!」
「よし!」
軽、中傷者はともかく、即時手当ての必要な重傷者を癒していく。
ここは神の地サンクトリウム。
神子が居ながら死傷者なんかだすものか!そのためにいっぱい溜め込んだんだから!
「フォルカー。二人の癒しは後で」
「当然でございます」
「後はもういい?」
「もちろんですとも。どうかウルリッヒ様。陛下のもとへ!」
並木道の入り口でふと海上に目をやれば沈みゆく船が見える…
「生き残りが海を来るぞ!岸にあげるな!バリスタ隊!弓兵!一斉射!」
頭上から聞こえるのはオスビーの声だ!
「奴らは一矢報いようと力を振り絞るはずだ!油断するな!」
オスビー…今行くよ!
「撃て!」
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