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新たなる血族
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すべきことをし終えた僕たちは半年以上ぶりの西へとようやく帰還を果たしていた。
僕たちがサンクトリウムへ戻ったその二か月後、神殿都市にやってきたのは品の良い二人の少年と一人の中年。
ふたりの少年…とは第三第四王子(予定)のことで、中年…とは辺境伯の事だ。
「この二人に関してアデライデ様、フリーデリケ様からはそれぞれ意向を伺っている」
「うむ」
「アデライデ様は第三王子ループレヒトを自然の中でのびやかにお育てしたいそうだ。またループレヒト王子もその希望をお持ちだ」
「王子だなんて…」
「明後日の儀式を終えれば正式に王子となる。今から慣れておくがいい」
まあ…今の今まで一貴族子のつもりでいたんだからびっくりだよね。
王妃エメリンの逝去後、それぞれの側妃方は息子と面会、交流を済ませているが、すでに王朝はリュティガー様のもの(と、当時は思われていた)、今さら…と立場の変更はお求めで無かったのだから。
「僕、いえ、私は中央区の北に近い伯爵家でいままで過ごしておりました。ときおりやってくる北の商人から壮大な北辺境の様子をうかがい…以前から興味を持っていたのです」
「ほう?それはそれは。はっはっはっ。北は良い所ですぞ」
キラキラと瞳を輝かせる第三王子。
彼が居たのは中央区域。東ほどしがらみが多いわけでもなけれな西ほど不便でもない。この国である意味もっとも自由な一帯だ。彼は屋敷にやってくる行商から色んなお話をねだっていたのだろう。
北の地への憧れを語る第三王子に辺境伯はいたくご満悦だ。
「フリーデリケ様は名家である生家の意向もあり第四王子ロタールを私のもとで世話してほしいとはっきりお示しになられた」
「ぼ、ぼくも戦争がおわったといっても皇国にちかい北の辺境は…すこしこわいとおもってしまいますので」
ピク「…」
八歳だもんね。かーわいい。
第三妃に似た第四王子ロタールは大人しい少年に見える。遠縁の侯爵家では侯爵子らしく上品に育てていたようだ。
なのに怖いと言われ憮然とした辺境伯。大人げないってば!
「つまり…?」
「ループレヒト王子を辺境伯、あなたにお預けしたい。ご令嬢の婚約者として」
「なるほど…。人身御供というわけですな」
「人聞きの悪い。これは三者にとってもっとも最良な道。そうは思われないか」
「ふむ…。正直…私も娘をウルリッヒ様と並びたてることに抵抗が無かったわけではない。何しろ神子はこの国の唯一無二、奇跡の存在。まして今や英雄も同然。比べられればあの子があまりに不憫」
でしょうな…
「第三王子…、この場合第一王位継承者と言っても差し支えませぬな?」
「ああ。辺境領の権威を維持するに申し分ないと思うのだが」
「よろしい。ループレヒト王子を辺境伯領でお預かりしましょう。娘の婚約者として」
「王子の後見があなたであれば私も脅かされる心配をせずともすむ。何しろ命を狙われるのには飽き飽きしているのだよ」
「ふっ、そうでしょうとも」
はっはっはっ、と笑う二人の大人にドン引きする少年二人。大人の冗談って笑えないよねー?
さて、現在徒歩の山越えで二か月かかった北と西を繋ぐ山岳路は、まだ途中とは言えあれからさらに整地され、馬車で一か月ほどに短縮されているようだ。ところどころ中継の山小屋も作られ、早馬なら一週間から十日ほどだっていうんだから、いやー、早くなったよね。
辺境伯はやって来たついでに…と、儀式を終えたあとも二週間ほど西領主、グレーデン伯爵邸ですべきことをするらしい。(軍務関係の話かな?)その後第三王子を連れて帰還するという話しだ。
「辺境伯、王子の供周りは?」
「今まで世話になっていたという中央の伯爵家から歳の近い従者が二人。あとは北の貴族家から集めましょう」
良かった。親しい友人一人も居ないのは寂しいもんね。
かたや第四王子ロタール。こちらはまだ幼過ぎて、ご友人と呼べる誰かを同行することは出来なかったようだ。
「えー?じゃあどうするの?」
「第四王子の供にジュストの末弟を。母には連絡済みだ」
「いいねぇ」
「あとはカーステンやアルノーの弟がこちらにくるそうだ」
弟たちにも道が開け、彼ら忠臣もまさに順風満帆である。
「オスビー、僕もいい?」
「どうした?」
「ギーレン伯が成績優秀な若者を数人ここで学ばせてほしいって。初めのチューターにどう?」
「ふむ…」
これはこの神殿都市に古代語を含む考古学、調薬を含む医科学に長けた修道士が続々集まっていることに端を発するものだが、八歳の王子にお勉強を教えるのならギーレン領からの学生はうってつけに思える。
彼らは平民でありながら学ぶことを諦めなかった志高き若者たちで、尚且つあの人格者ギーレン伯爵に感銘を受けている青年たちだ。
八歳という年齢の第四王子が、今後を決定づける初めての学びで師事するには最良じゃないだろうか。
「ベン、ハンナ、部屋の用意は出来たか」
「はいもうすっかり」
「いつでもご使用いただけますよ」
「ロタ、おいで。部屋の案内がてら大事な人を紹介するよ」
「はい、ウルリッヒさま」
かんわい~い。絶好調で可愛かったあの頃のウル様を思い出させるなぁ…
「ロタール様、僕はウルリッヒ様のお世話係でエミルと言います。よろしくお願いしますね」
「エミルは僕の兄弟みたいなものだからロタも彼のことはお兄さんだと思ってね」
「はい。エミルお兄さん、仲良くしてくださいね」コテ
「ふぁ…かわいい!何でも言ってね!」
おお!ウル様は初めての弟分に庇護欲が芽生えたようだ!
僕たちがサンクトリウムへ戻ったその二か月後、神殿都市にやってきたのは品の良い二人の少年と一人の中年。
ふたりの少年…とは第三第四王子(予定)のことで、中年…とは辺境伯の事だ。
「この二人に関してアデライデ様、フリーデリケ様からはそれぞれ意向を伺っている」
「うむ」
「アデライデ様は第三王子ループレヒトを自然の中でのびやかにお育てしたいそうだ。またループレヒト王子もその希望をお持ちだ」
「王子だなんて…」
「明後日の儀式を終えれば正式に王子となる。今から慣れておくがいい」
まあ…今の今まで一貴族子のつもりでいたんだからびっくりだよね。
王妃エメリンの逝去後、それぞれの側妃方は息子と面会、交流を済ませているが、すでに王朝はリュティガー様のもの(と、当時は思われていた)、今さら…と立場の変更はお求めで無かったのだから。
「僕、いえ、私は中央区の北に近い伯爵家でいままで過ごしておりました。ときおりやってくる北の商人から壮大な北辺境の様子をうかがい…以前から興味を持っていたのです」
「ほう?それはそれは。はっはっはっ。北は良い所ですぞ」
キラキラと瞳を輝かせる第三王子。
彼が居たのは中央区域。東ほどしがらみが多いわけでもなけれな西ほど不便でもない。この国である意味もっとも自由な一帯だ。彼は屋敷にやってくる行商から色んなお話をねだっていたのだろう。
北の地への憧れを語る第三王子に辺境伯はいたくご満悦だ。
「フリーデリケ様は名家である生家の意向もあり第四王子ロタールを私のもとで世話してほしいとはっきりお示しになられた」
「ぼ、ぼくも戦争がおわったといっても皇国にちかい北の辺境は…すこしこわいとおもってしまいますので」
ピク「…」
八歳だもんね。かーわいい。
第三妃に似た第四王子ロタールは大人しい少年に見える。遠縁の侯爵家では侯爵子らしく上品に育てていたようだ。
なのに怖いと言われ憮然とした辺境伯。大人げないってば!
「つまり…?」
「ループレヒト王子を辺境伯、あなたにお預けしたい。ご令嬢の婚約者として」
「なるほど…。人身御供というわけですな」
「人聞きの悪い。これは三者にとってもっとも最良な道。そうは思われないか」
「ふむ…。正直…私も娘をウルリッヒ様と並びたてることに抵抗が無かったわけではない。何しろ神子はこの国の唯一無二、奇跡の存在。まして今や英雄も同然。比べられればあの子があまりに不憫」
でしょうな…
「第三王子…、この場合第一王位継承者と言っても差し支えませぬな?」
「ああ。辺境領の権威を維持するに申し分ないと思うのだが」
「よろしい。ループレヒト王子を辺境伯領でお預かりしましょう。娘の婚約者として」
「王子の後見があなたであれば私も脅かされる心配をせずともすむ。何しろ命を狙われるのには飽き飽きしているのだよ」
「ふっ、そうでしょうとも」
はっはっはっ、と笑う二人の大人にドン引きする少年二人。大人の冗談って笑えないよねー?
さて、現在徒歩の山越えで二か月かかった北と西を繋ぐ山岳路は、まだ途中とは言えあれからさらに整地され、馬車で一か月ほどに短縮されているようだ。ところどころ中継の山小屋も作られ、早馬なら一週間から十日ほどだっていうんだから、いやー、早くなったよね。
辺境伯はやって来たついでに…と、儀式を終えたあとも二週間ほど西領主、グレーデン伯爵邸ですべきことをするらしい。(軍務関係の話かな?)その後第三王子を連れて帰還するという話しだ。
「辺境伯、王子の供周りは?」
「今まで世話になっていたという中央の伯爵家から歳の近い従者が二人。あとは北の貴族家から集めましょう」
良かった。親しい友人一人も居ないのは寂しいもんね。
かたや第四王子ロタール。こちらはまだ幼過ぎて、ご友人と呼べる誰かを同行することは出来なかったようだ。
「えー?じゃあどうするの?」
「第四王子の供にジュストの末弟を。母には連絡済みだ」
「いいねぇ」
「あとはカーステンやアルノーの弟がこちらにくるそうだ」
弟たちにも道が開け、彼ら忠臣もまさに順風満帆である。
「オスビー、僕もいい?」
「どうした?」
「ギーレン伯が成績優秀な若者を数人ここで学ばせてほしいって。初めのチューターにどう?」
「ふむ…」
これはこの神殿都市に古代語を含む考古学、調薬を含む医科学に長けた修道士が続々集まっていることに端を発するものだが、八歳の王子にお勉強を教えるのならギーレン領からの学生はうってつけに思える。
彼らは平民でありながら学ぶことを諦めなかった志高き若者たちで、尚且つあの人格者ギーレン伯爵に感銘を受けている青年たちだ。
八歳という年齢の第四王子が、今後を決定づける初めての学びで師事するには最良じゃないだろうか。
「ベン、ハンナ、部屋の用意は出来たか」
「はいもうすっかり」
「いつでもご使用いただけますよ」
「ロタ、おいで。部屋の案内がてら大事な人を紹介するよ」
「はい、ウルリッヒさま」
かんわい~い。絶好調で可愛かったあの頃のウル様を思い出させるなぁ…
「ロタール様、僕はウルリッヒ様のお世話係でエミルと言います。よろしくお願いしますね」
「エミルは僕の兄弟みたいなものだからロタも彼のことはお兄さんだと思ってね」
「はい。エミルお兄さん、仲良くしてくださいね」コテ
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