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154のちょうどその頃 王家の兄妹
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「あーっと、向こうに忘れ物をした、ちょっと失礼」
忘れ物?御付きの付いた王子がどこに何を忘れるのやら…、そう思い振り返ってみればそこには王子のアキレス、ノールさんが!
「殿下!殿下ではありませんか!ああ嬉しい、良くおいで下さいました。カレッジを視察にいらしたのでしょう?着々と準備は整ってございます。どこから案内しましょうか…、そうだ!せっかくだから真新しい教室で講義を!殿下?どうされましたか殿下?」
「やめろ!ここまで来て何をさせるつもりだ!言っておくが私は公式に静養中なのだぞ。」
「へぇそうなんだ。静養ねぇ。ところで静養するほど疲れてるの?」
「お前…、私を侮るでない。こう見えて最近はちゃんと公務にも携わっておる、ヴェッティ王の名代としてな。高齢のヴェッティに負担のかかる公務は私が行っておるのだ。」
「実はそのことイルマリ殿から聞いております。大公閣下、いえヴェッティ王を支え及ばずながらとても真面目に取り組んでおられると。このノール感激です。…ところで殿下…あのサルミアッキを克服されたとは本当ですか?」
嘘だ!
そそ、そんなことあるわけない。あのサルミアッキを克服だ…と…?
「あれか、うむ。ある時から味わい深くなってきてな。今では常備しておる。…思えばその頃からだな、自身の行いを省みるようになったのは…」
「イイ感じに言ってるけどびっくりだよ!あれほど僕とノールさんが頑張ったのにそれまで反省無かったってことじゃん…逆にスゴイな!けどまぁ…」
サルミアッキを克服…、その頃から…、あれ?これ何かが進化したんじゃないの?
王子は〝制約”から〝拘束”も意味不明なスキルアップの仕方してたし、これはもしかして…
「分かった。王子はサルミアッキが辛すぎて自己暗示をかけたんだ。〝自己制約”って言い換えようか。自分でマイルールを作って、でもそれをしてたら上手くいくっていう変な自己制約。根拠なんか必要ない。これほど自分を強化する思い込みってないよ。スキルの派生だ!すごい!やったね!」
「やった…、あ、ああ、そうだな!そうだとも!私はやったんだな!やったぞ!」
相変わらず単純だな…はっ!だから自己暗示にかかるのか…王子…
「ヘンリック様、最近とみに元気が御座いませんのね、いかがなさいましたの?」
そう聞いてきたのはこの国の王女、シグリット姫殿下だ。私は今この姫殿下の王公教育を任されている。
リッターホルムの若き守護者、いや、聖王の崇めるミーミルの化身、アッシュ君直々の指名を受けて。
「いや、色々なことがあり大切な友人に対して少々気が退けてしまいましてね。今までのようにうまく付き合えなくなってしまったのです…」
「まあ、なにがありましたの?」
「私の、…、我が家の不手際で彼の大切な、誰よりも大事な人を命の危険にさらしてしまいまして…」
「そうですの…。ごめんなさい、不躾でしたわ。それでその彼はお怒りに?」
はぁ…、不躾と言いながらこの話題を切り上げてはくれないのか。
悪気はないのだろうが自己嫌悪に陥っている今、あまり触れられたくないのだがな…
「いや、彼は怒ったりしない。むしろ私のせいではないと何度も庇ってさえくれて…、ああ、責められないから余計に気が退けるのか…」
「我が家…と仰いましたわね。ではヘンリック様がなされたことではないのでございましょう?そう…、ヘンリック様は責任感が人より強いのですわね。そしてその彼も道理のわかった立派な方でございますのね。ヘンリック様、気にやんではいけません。良き友人として今までと変わらず接しなさいませ。でないとその彼の優しいお気持ちまで無駄にしてしまいますわ。」
ノールの気持ちを無駄にする…、確かにそうかも知れない。生真面目で心優しい彼は私がこれ以上自分を責めることなど望まないだろう。
「そうか…、そうだな、貴女の言うとおりだ。ああ失礼殿下、うっかり気安く…」
「いえヘンリック様、わたくしその方が嬉しく思います…、その、打ち解けた気がして…。ヘンリック様は今まで決して礼を崩したりなさらなかったでしょう?ふふ、ようやくお心に触れた、そう思えますわ。」
話しながらうっすらと染まるその薔薇色の頬。
アッシュ君は言っていたな、無邪気で美しいお姫様はフレイヤというより女神イズンだと。
フレイヤに並ぶ美貌を持ちながら子供のように無邪気なイズン。
だが苦痛を知らない女神イズンと違い、この姫、シグリット殿下はその身に呪いを宿している…。
気の毒な事だ。聖王の最愛であったがために…
せめて私といるこの時間だけでも彼女が呪いを忘れていられるよう微細ながらも力になれれば…、なんの含みも無くその時の私はそう思った…。
忘れ物?御付きの付いた王子がどこに何を忘れるのやら…、そう思い振り返ってみればそこには王子のアキレス、ノールさんが!
「殿下!殿下ではありませんか!ああ嬉しい、良くおいで下さいました。カレッジを視察にいらしたのでしょう?着々と準備は整ってございます。どこから案内しましょうか…、そうだ!せっかくだから真新しい教室で講義を!殿下?どうされましたか殿下?」
「やめろ!ここまで来て何をさせるつもりだ!言っておくが私は公式に静養中なのだぞ。」
「へぇそうなんだ。静養ねぇ。ところで静養するほど疲れてるの?」
「お前…、私を侮るでない。こう見えて最近はちゃんと公務にも携わっておる、ヴェッティ王の名代としてな。高齢のヴェッティに負担のかかる公務は私が行っておるのだ。」
「実はそのことイルマリ殿から聞いております。大公閣下、いえヴェッティ王を支え及ばずながらとても真面目に取り組んでおられると。このノール感激です。…ところで殿下…あのサルミアッキを克服されたとは本当ですか?」
嘘だ!
そそ、そんなことあるわけない。あのサルミアッキを克服だ…と…?
「あれか、うむ。ある時から味わい深くなってきてな。今では常備しておる。…思えばその頃からだな、自身の行いを省みるようになったのは…」
「イイ感じに言ってるけどびっくりだよ!あれほど僕とノールさんが頑張ったのにそれまで反省無かったってことじゃん…逆にスゴイな!けどまぁ…」
サルミアッキを克服…、その頃から…、あれ?これ何かが進化したんじゃないの?
王子は〝制約”から〝拘束”も意味不明なスキルアップの仕方してたし、これはもしかして…
「分かった。王子はサルミアッキが辛すぎて自己暗示をかけたんだ。〝自己制約”って言い換えようか。自分でマイルールを作って、でもそれをしてたら上手くいくっていう変な自己制約。根拠なんか必要ない。これほど自分を強化する思い込みってないよ。スキルの派生だ!すごい!やったね!」
「やった…、あ、ああ、そうだな!そうだとも!私はやったんだな!やったぞ!」
相変わらず単純だな…はっ!だから自己暗示にかかるのか…王子…
「ヘンリック様、最近とみに元気が御座いませんのね、いかがなさいましたの?」
そう聞いてきたのはこの国の王女、シグリット姫殿下だ。私は今この姫殿下の王公教育を任されている。
リッターホルムの若き守護者、いや、聖王の崇めるミーミルの化身、アッシュ君直々の指名を受けて。
「いや、色々なことがあり大切な友人に対して少々気が退けてしまいましてね。今までのようにうまく付き合えなくなってしまったのです…」
「まあ、なにがありましたの?」
「私の、…、我が家の不手際で彼の大切な、誰よりも大事な人を命の危険にさらしてしまいまして…」
「そうですの…。ごめんなさい、不躾でしたわ。それでその彼はお怒りに?」
はぁ…、不躾と言いながらこの話題を切り上げてはくれないのか。
悪気はないのだろうが自己嫌悪に陥っている今、あまり触れられたくないのだがな…
「いや、彼は怒ったりしない。むしろ私のせいではないと何度も庇ってさえくれて…、ああ、責められないから余計に気が退けるのか…」
「我が家…と仰いましたわね。ではヘンリック様がなされたことではないのでございましょう?そう…、ヘンリック様は責任感が人より強いのですわね。そしてその彼も道理のわかった立派な方でございますのね。ヘンリック様、気にやんではいけません。良き友人として今までと変わらず接しなさいませ。でないとその彼の優しいお気持ちまで無駄にしてしまいますわ。」
ノールの気持ちを無駄にする…、確かにそうかも知れない。生真面目で心優しい彼は私がこれ以上自分を責めることなど望まないだろう。
「そうか…、そうだな、貴女の言うとおりだ。ああ失礼殿下、うっかり気安く…」
「いえヘンリック様、わたくしその方が嬉しく思います…、その、打ち解けた気がして…。ヘンリック様は今まで決して礼を崩したりなさらなかったでしょう?ふふ、ようやくお心に触れた、そう思えますわ。」
話しながらうっすらと染まるその薔薇色の頬。
アッシュ君は言っていたな、無邪気で美しいお姫様はフレイヤというより女神イズンだと。
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