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230 彼と過ごす夜のひと時
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「信じられないよ!覗き見したうえ盗み聞きだなんて!はしたない!」
「えー、でも家庭内の問題は覗き見盗み聞きからヒントを得て解決するって大体相場は決まってるんだよ。古今東西。」
「何言ってるか分からないようでよく分かるよ~」
「とにかく!アレクシがどうするのかは分からないけど余計な真似しちゃ駄目だからね」
「余計なマネって~」
「けしかけたりとか…」
ユーリがヘンリックさんと改めて飲み直しをすることになったため、飲めない僕らはナッツも呼んで急遽オフ会をすることになった。僕の部屋で。
クラッカーをつまみにハーブティーでのオフ会。僕らはもう夜着に着替えてて…あれ?これってパジャマパーティー?
「でもビョルンさんは結構な苦労人だから報われて欲しいなー、なんて」
「アッシュはそっちなの~?そうしたらアルパどうするのさ~」
「「えっ⁉」」
「あ、あれは世話をしてくれる身近な大人への思慕で…」
「ノールは鈍いよね~。僕はアルパに50シルバー」
「ナッツ!不謹慎だよ!」
「え、じ、じゃぁビョルンさんに1ゴールド…」
そ、そんなことになっていたとは…。でもまぁ、目立たない優しい人が気が付いたら一番人気だった…なんてこと現実の婚活市場にはよくある訳で…、いずれにしてもアレクシさんの明るい未来はすぐそこまで来ているのかもしれない。
「駄目だよ二人とも!」
「こんな賭け使用人達のちょっとした娯楽だよ~」
「もしかして他にも賭けてるの?」
「それは秘密~」
そんなくだらない話をだらだらしているうちにノールさんは椅子に掛けたまま寝てしまうし、ナッツも僕のベッドを占領してくの字になって寝てしまった。可愛いな。そこにやってきたのはナッツを迎えに来たサーダさんだ。
「アッシュ、ナッツはいつまでも何を…、ああ、寝てしまったのか。では私がかかえて行こう」
「ふぅん…?なに?ナッツが居ないと淋しいの?」
「そう言う訳では、…いやそうだな、ナッツの居ない左腕は物足りない。あの重みはすでに身体の一部だ」
ヒューヒュー!口笛ふけないからやらないけどね。でも…、眠ってるはずのナッツの口端が上がったのをアボリジニの様な僕の目は見逃さなかった。
それならこのままノールさんもヘンリックさんが抱きかかえていくのかな~と思いきや、
「ノール、ああ眠っているのか…、では私が」
「う、ううん…、あ!うっかり眠っちゃった!ごめんねアッシュ君、もう戻るよ。あれ?ヘンリックお帰り。話は終わった?」
「…まあね。」
「もう遅いから君も早く寝ると良いよ。お休みヘンリック」
「…ああお休み…」
太陽の貴公子もクラッシャーの前では形無しである…。
「やれやれ。ようやく君を取り戻した。私の妻は人気が過ぎて困りものだ」
「主にナッツと農家のおばちゃんにだけどね」
ようやくここからは夫夫の時間だ。真夜中だけど…。
「しっかしビョルンさん…、意外と積極的だったね。びっくりした」
「彼はこのリッターホルムに残ると決めた時、従僕か従士かと聞かれ迷わず従士を選んだ男だ。優男に見えて意欲的なのだろう。だがアレクシのような男にはあれくらいがいいのかもしれない。タピオ君と居る時もそうだろう?彼に影響されて実に自然体だ」
「兄さんが言うにはアレクシさんは自分の出自に引け目があるから平民の自分と居ると気が楽なんだろうって」
「引け目だと?何故だ?アデリーナの事はすでに整理がついただろうと思っていたのだが…」
「そうじゃなくて」
あの日話してくれたアレクシさんの小さな引け目。それは義父の爵位を自分が継いだこと。
何しろ義父であるアンダースさんのたった一人の息子は限りなく事件臭い事故で亡くなっている。そのせいでアンダースさんの急死により伯爵家の爵位はアレクシさんにとって予期せぬ形でそのまま彼のものになってしまったのだ。
「孤児で養子の自分が棚ぼたで伯爵位を受け継いだのが申し訳ないんだって」
「オスモに聞いたがアンダースは自分が現役なうちに別の後継候補を探すつもりだったのだとか…。彼はアレクシをいずれ居なくなるものと考えていたようだな。私の身代わりになると思ったのか、魔女に取り込まれると思ったのか、どちらにしてもだ」
あの騒動の後、養父の墓標を前にして全ての報告をしていたアレクシさん。墓の中の彼はどんな気持ちでそれを聞いていたのだろう…。
「そんなことよりアッシュ、君はリッターホルムをどこへ導くつもりなんだい?カレッジ…、病院…、数々の娯楽施設、そして今度は造船事業を始めると聞いたが…、君の発想は途方もない。私には先が見えない…」
「どこへ…?どこだろうか?」
WEB小説の最終章、それは毒公爵が二十歳になる少し前。悲哀と絶望に満ちた毒公爵。彼は二十歳になることも無くこの世を去った。
それは前世の僕と同じ…。僕たちは二人ともここから先の生を知ってはいない。
もうすぐWEB小説の毒公爵の存在は永遠に終わりを迎える…。それならその後、ユーリと僕の物語は一体何処へ?
何処って…そんなの決まってる。深淵は遥か彼方、アデリーナと共に遠ざかった。常闇の国はもうどこにも無い。僕とユーリが進む道。そこにあるのは…
「オーロラだよ。僕たちが目指すのは夢に満ちたオーロラの国。そしてね、その中央には大きな月が、ユーリの銀の月が輝いてるんだよ」
『名前を言ってはいけないあの人』さんが大好きだった神話の世界。そこでヴァルキュリャの輝きとも言われた虹色のオーロラはこの世界において善良な人々が向かう天国の意味を持つのだという。天国…楽園…僕の桃源郷…
闇夜に輝くオーロラ…、月の浮かぶオーロラの国。
僕の夢見た桃源郷は誰もが思い思いに生きられるオーロラの国…
「ではその月の下には大きなトネリコが根を生やしているんだろうね。そのトネリコとは分かるかい?君だよ」
「じゃぁそのトネリコの近くには4頭の鹿が住んでるね」
「何だいそれは?」
「エスターが言ったんだよ。『4頭の牡鹿はトネリコに生かされてる』って」
「ああ…本当だ。君に集まった4頭の鹿だ…」
「僕とユーリの国それがリッターホルムだ」
「私と君の国、それがリッターホルム…。人々の桃源郷たる、オーロラの国…」
遠い目をしたユーリの呟きはそのまま静かな夜へと消えていった…
「えー、でも家庭内の問題は覗き見盗み聞きからヒントを得て解決するって大体相場は決まってるんだよ。古今東西。」
「何言ってるか分からないようでよく分かるよ~」
「とにかく!アレクシがどうするのかは分からないけど余計な真似しちゃ駄目だからね」
「余計なマネって~」
「けしかけたりとか…」
ユーリがヘンリックさんと改めて飲み直しをすることになったため、飲めない僕らはナッツも呼んで急遽オフ会をすることになった。僕の部屋で。
クラッカーをつまみにハーブティーでのオフ会。僕らはもう夜着に着替えてて…あれ?これってパジャマパーティー?
「でもビョルンさんは結構な苦労人だから報われて欲しいなー、なんて」
「アッシュはそっちなの~?そうしたらアルパどうするのさ~」
「「えっ⁉」」
「あ、あれは世話をしてくれる身近な大人への思慕で…」
「ノールは鈍いよね~。僕はアルパに50シルバー」
「ナッツ!不謹慎だよ!」
「え、じ、じゃぁビョルンさんに1ゴールド…」
そ、そんなことになっていたとは…。でもまぁ、目立たない優しい人が気が付いたら一番人気だった…なんてこと現実の婚活市場にはよくある訳で…、いずれにしてもアレクシさんの明るい未来はすぐそこまで来ているのかもしれない。
「駄目だよ二人とも!」
「こんな賭け使用人達のちょっとした娯楽だよ~」
「もしかして他にも賭けてるの?」
「それは秘密~」
そんなくだらない話をだらだらしているうちにノールさんは椅子に掛けたまま寝てしまうし、ナッツも僕のベッドを占領してくの字になって寝てしまった。可愛いな。そこにやってきたのはナッツを迎えに来たサーダさんだ。
「アッシュ、ナッツはいつまでも何を…、ああ、寝てしまったのか。では私がかかえて行こう」
「ふぅん…?なに?ナッツが居ないと淋しいの?」
「そう言う訳では、…いやそうだな、ナッツの居ない左腕は物足りない。あの重みはすでに身体の一部だ」
ヒューヒュー!口笛ふけないからやらないけどね。でも…、眠ってるはずのナッツの口端が上がったのをアボリジニの様な僕の目は見逃さなかった。
それならこのままノールさんもヘンリックさんが抱きかかえていくのかな~と思いきや、
「ノール、ああ眠っているのか…、では私が」
「う、ううん…、あ!うっかり眠っちゃった!ごめんねアッシュ君、もう戻るよ。あれ?ヘンリックお帰り。話は終わった?」
「…まあね。」
「もう遅いから君も早く寝ると良いよ。お休みヘンリック」
「…ああお休み…」
太陽の貴公子もクラッシャーの前では形無しである…。
「やれやれ。ようやく君を取り戻した。私の妻は人気が過ぎて困りものだ」
「主にナッツと農家のおばちゃんにだけどね」
ようやくここからは夫夫の時間だ。真夜中だけど…。
「しっかしビョルンさん…、意外と積極的だったね。びっくりした」
「彼はこのリッターホルムに残ると決めた時、従僕か従士かと聞かれ迷わず従士を選んだ男だ。優男に見えて意欲的なのだろう。だがアレクシのような男にはあれくらいがいいのかもしれない。タピオ君と居る時もそうだろう?彼に影響されて実に自然体だ」
「兄さんが言うにはアレクシさんは自分の出自に引け目があるから平民の自分と居ると気が楽なんだろうって」
「引け目だと?何故だ?アデリーナの事はすでに整理がついただろうと思っていたのだが…」
「そうじゃなくて」
あの日話してくれたアレクシさんの小さな引け目。それは義父の爵位を自分が継いだこと。
何しろ義父であるアンダースさんのたった一人の息子は限りなく事件臭い事故で亡くなっている。そのせいでアンダースさんの急死により伯爵家の爵位はアレクシさんにとって予期せぬ形でそのまま彼のものになってしまったのだ。
「孤児で養子の自分が棚ぼたで伯爵位を受け継いだのが申し訳ないんだって」
「オスモに聞いたがアンダースは自分が現役なうちに別の後継候補を探すつもりだったのだとか…。彼はアレクシをいずれ居なくなるものと考えていたようだな。私の身代わりになると思ったのか、魔女に取り込まれると思ったのか、どちらにしてもだ」
あの騒動の後、養父の墓標を前にして全ての報告をしていたアレクシさん。墓の中の彼はどんな気持ちでそれを聞いていたのだろう…。
「そんなことよりアッシュ、君はリッターホルムをどこへ導くつもりなんだい?カレッジ…、病院…、数々の娯楽施設、そして今度は造船事業を始めると聞いたが…、君の発想は途方もない。私には先が見えない…」
「どこへ…?どこだろうか?」
WEB小説の最終章、それは毒公爵が二十歳になる少し前。悲哀と絶望に満ちた毒公爵。彼は二十歳になることも無くこの世を去った。
それは前世の僕と同じ…。僕たちは二人ともここから先の生を知ってはいない。
もうすぐWEB小説の毒公爵の存在は永遠に終わりを迎える…。それならその後、ユーリと僕の物語は一体何処へ?
何処って…そんなの決まってる。深淵は遥か彼方、アデリーナと共に遠ざかった。常闇の国はもうどこにも無い。僕とユーリが進む道。そこにあるのは…
「オーロラだよ。僕たちが目指すのは夢に満ちたオーロラの国。そしてね、その中央には大きな月が、ユーリの銀の月が輝いてるんだよ」
『名前を言ってはいけないあの人』さんが大好きだった神話の世界。そこでヴァルキュリャの輝きとも言われた虹色のオーロラはこの世界において善良な人々が向かう天国の意味を持つのだという。天国…楽園…僕の桃源郷…
闇夜に輝くオーロラ…、月の浮かぶオーロラの国。
僕の夢見た桃源郷は誰もが思い思いに生きられるオーロラの国…
「ではその月の下には大きなトネリコが根を生やしているんだろうね。そのトネリコとは分かるかい?君だよ」
「じゃぁそのトネリコの近くには4頭の鹿が住んでるね」
「何だいそれは?」
「エスターが言ったんだよ。『4頭の牡鹿はトネリコに生かされてる』って」
「ああ…本当だ。君に集まった4頭の鹿だ…」
「僕とユーリの国それがリッターホルムだ」
「私と君の国、それがリッターホルム…。人々の桃源郷たる、オーロラの国…」
遠い目をしたユーリの呟きはそのまま静かな夜へと消えていった…
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