街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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77 16歳 in お屋敷の一室

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早朝やって来たのはほんの六時間前まで一緒に過ごしていた盟友、その名も女神官、ニコだ。

史上まれにみる爆速で『試練』を克服したニコをどれほど王都の大神殿が囲い込もうとした事か。
だけど彼女は王様による鶴の一声でこのウエストエンドへ赴任することが決まったのだ。それも半永久的に。

それを思えばアルバートの頑張りには敬意を払いたい。
一体どうやって王様を説得したのか。彼には本当に感謝している。しているからこそこうして屋敷を気ままに闊歩する事さえ許しているのだが…、ノックも無しに私室へ侵入するのはよしてもらいたい…

「レジー起きて。女神官ニコがいらしたよ。浄化には私も立ち会うつもりだ。ランカスター公の容態を見届けたら帰るとするよ。名残惜しいけどね」

「ムニャ…道中お気を付けくださいね…」
「ふふ、寝起きの顔も可愛いね。君はいつも朝が遅いのかい?」
「フワァァ…、いいえ。昨晩は遅くまでとあるダンジョンメイズに居たので…」
「あまり根を詰めてはいけないよ。私の目が届かないところで大切な君が倒れでもしたら…ああ…!君が倒れ込むのはこの胸だけだ」

「…では午後ここを発たれるのですね。エバの裁判日時が決まり次第ご連絡ください」
「つれないね、そこも君の魅力だけれど」
「……」

いちいち言動のおかしいアルバートの将来が不安だ。以前とは違う意味で心配でしかない。大丈夫かこの王子?

だけど王都か…。エバやパーカーの判決を見届けるのは当然のことだし、王都へ行く事はやぶさかでない。
それに王都って僕はまだスラムや下町しか行ったこと無いんだよね。

だから初めて訪れる王都の城下町が楽しみだったりしても無理はないよね?僕は叔父様が居るうちに王都グルメマップを作成してもらう事を密かに決めた。




「ではこれより治癒を始めます。皆さま後ろにお下がりください。レジナルド様は私の手を取り魔力をお分けください」
「はい」

この小芝居は…、ニコの治癒に特別感を醸し出すための雰囲気作りだ。僕の魔力を譲渡されて初めて成し得る治癒。ニコはそう言う体でいくことにしたらしい。じゃないと大神官たちに目をつけられちゃうから嫌なんだって。

「聖なる光よ悪しき全てを拒絶せよ『スーペリオンキュア』」

立ち上がる清浄な光。す、すごい…こ、これが聖女のみがもつ最上級スキル『スーペリオンキュア』!

ゲームでの成長イベント、度重なる争いに土地を荒らされ飢餓にあえぎ苦しむ東の領民達に勇気を与えたのがこの癒しの力だ。
僕の目の前でそのスキルを行使したのはプレイヤーである妹だった。けど…実写版はひと際尊厳なる空気感を纏って父から邪気を祓っていく。

こ、これが隠れ聖女の課金パワー…


「う、うぅ…」
「お父様っ!意識が戻られましたか?お身体は?」

「坊ちゃま、揺らしてはなりませぬ。ささ、ザカリー医師に場所をお空けくださいませ」


診察が終わるまで部屋を出た僕はニコに最大級の感謝を捧げた。
するとニコは「今度デッサンのモデルお願いしてもいい?」と一言。
絵も描くのか…。嫌な予感がしないでもないけどここは断れない。渋々だけど承諾しておくことにする。

その後ザカリー医師から良好な結果を確認するとニコは「後は水入らずで…」と仲人みたいな事を言って帰っていった。


「お父様…」

「レジナルド…。ああ…全ての霧が晴れたようだ。お前にも迷惑をかけた、すまない…本当にすまなかった…」
「いいえ。迷惑どころか結果として害虫の駆除が叶った。…それよりご気分は?」

「ここ何年か味わう事の無かった爽快感だ。あの女神官の力は素晴らしい。いや、魔力を分け与えたお前の力なのか…」
「神官様のお力で間違いありませんよ。それより…」

父にはこの一年の流れを全て話して聞かせた。

諜報部隊が異変に気付き近隣領、そしてえランカスターを探り続けた事、遂に『クーザ』の存在とエバの暗躍を確信し介入を決めた事。
そしてアルバートたちと交流を持った事で今回の流れになった事、締めはあの日の晩のことを詳細に。

「救助が遅くなり申し訳ありません。ですがエバと売人に気付かれる訳にはいかなかった…」
「良いのだレジナルド。全ては私の弱さが招いたこと。幼いお前ですら受け止めた狂魔力を私はいつまでも恐れ続けた。その弱さこそがあの女を引き寄せたのだ…」

「否定はしません。ですがエバはやりすぎた。あの女の強欲さは底なし沼だ。僕が置いて行った十五年分の予算をたった二年で使い果たすなんて…。随分生家の男爵家へも流したようですね。そちらも調べを進めます」

「ランカスターは…、私の領はどうなった?」

「今は家令のブルックリンが管理を引き受け第一騎士団たちが護っております」
「そうか…」

病み上がりの身体に追い打ちを掛けたくはない…。けれど父は知っておかねばならない。父に非が無いとは言えないのだ。

エバとパーカー、そして父の今後については僕を気遣うアルバートの口から語られた。

「あの女は恐らく極刑となるでしょう。ならぬ道理が無い。それからご子息のパーカーだが、彼は」
「…気遣い無用だ、今さらだがパーカーは私の子では無かったのでね」
「え」

ハレルヤ!
これはここ何年間かで最も心躍る朗報だ!えっ?えっ?どういう事?

「あれはレジナルドの母イザベラを押し退け私の妻となるためにパーカーを私の子だと騙ったのだ。流石にあの身分差で妻とすることは議会の許しを得られなかったが、代わりに私はイザベラ亡き後、子の母である彼女を屋敷へと引き入れてしまった。私はなんと浅はかであったか…」

「お父様、いつそれをお知りに?」
「ほんのつい最近…、混濁した意識の中でエバと何者かが枕元で笑い合っていた。再起不能の廃人など問題にならぬと思ったのであろう。…私という人間は救いようがない愚か者だ…」

「ランカスター公…」

「お父様、ものは考えようですって。少なくとも僕はあのバカと血のつながりが無いと分かって今この上なく晴れやかな気分ですよ?それにお父様だってそれならそれで、…パーカーの処罰がいくら重いものであっても…良心の呵責は減るでしょう?ああ良かった。エバから最初で最後の贈り物だ」

僕は殊更明るくそう言い放った。そして直後気が付いた。そういえば僕はエバからの贈り物なら頻繁に貰ってたな、って。毒入ケーキとか、毒入りジュースとか、毒入り…、って、そうか。あの女の十八番はあのころすでに確立していったんだな。

そして父に関して…アルバートは再度、奪爵だけは避けられるよう力を尽くす、と言ってくれた。



領門外のターミナル。王都に戻るアルバートのお見送りへとやって来た僕。

「アルバート、何から何までありがとうございました。どうお礼をしたらいいのか…」

「お礼などと…、私と君の仲じゃないか。でもそうだな。一つお願いを聞いてもらえるととても嬉しい」
「え?なんでしょう?僕に出来る事なら何だって…」

「私に乗ってもらうと言うのは…」
「無理です!」

「ではうなじに顔を…」
「嫌です!」

「仕方ない、ではレジー、王城にはね、ヴィラの露天程ではないがとても良い泉質の浴場があるのだよ。王都へ来た際にはご一緒してもらえるだろうか」

「……はい」


ホントに何言ってんだろう、うちの王太子は…




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