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浮遊する魂
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前後不覚の空間にフヨフヨと漂う対になった二つの魂、その一つが僕だ。
前の生でも双子だった僕たち。
双子を忌み嫌うどこかの国の商家に産まれた僕たちは、離れ離れに暮らしながらもお互い平凡に歳を重ね、双子らしくほぼ同時に寿命を全うし、…今ここに居る。
長い長い時の中で魂を洗い清め高めながら転生を待つ多くの魂。
どうやら今世でも僕たちは双子に産まれることが決定したらしい。ようやく僕たちの順番が来て二人一緒に誕生の部屋へと誘われる。
いよいよ誰かの赤子として産まれる準備に入っていたその時。僕たちを襲ったのは思いもよらないとんだハプニングだった。
『あ、あれ?お部屋が狭い』
『え?どうして?双子に産まれるんじゃなかったの?』
『だって入れないんだもん。ここ一人しか無理だよ』
『え、だってじゃあもう一人はどうするの?」
誕生には順番と言うものがある。僕たちは気の遠くなるような長い時間を待って待って待ちわびて、ようやくこの時を迎えたのに。
『神様!神様ー!これどういう事ですか!』
『やっと生まれることが出来ると思ったのに!』
どこからか聞こえる虚無空間に響く声。これこそ僕たちを割り振る神様の声だ。
『すまんすまん。どうもこちらにちょっとした手違いがあったようだ』
は、はぁぁ?何だってー⁉
『手違いって…、私たち双子って聞いてきたんですけどぉ?』
『一人しか入れなかったらもう一人はどうなるんです?すぐに次の母体は用意してもらえるんでしょうね!」
虚無空間はブーイングの嵐だ。前世年寄りだった僕たちはちょっとだけ面の皮が厚い。ましてややり手の商売人だった僕は利害関係にはちょっとうるさい。
『だがのう、では次の母体に…と簡単にはいかんのだよ』
『どうしてですか!』
『誕生計画はすでに向こう五十年分ほど組まれているのだ。それを全て一から組み直しは出来ん』
『そんなぁ!』
『納得できないです!僕たちは言われたままここに来たのに!』
僕たちは二人ともすでに五十年は待っていたのだ。ここで母体に入れないどちらか一人はまたここから五十年待たされる…とか、あり得ないんですけど!
『それはあまりにもひどくないですかぁ?』
『言いたくないですけど神様のミスですよねぇ?』
こちらに非はない。ここぞとばかりに言いたい放題だ。
『う、うーむ…、よし分かった!では女児の魂よ。おぬしが先に母体へ入るがいい』
『どういうことですか?』
『じゃあ僕は?』
神様の説明はこうだ。
今から入る予定の母体はある国の〝貴族”と言う人種。そしてお家のために結婚する〝貴族の女性”は嫁入りがとても早いのだとか。
『彼女の子として産まれろってことですか?』
『うむ。お前たちはもともと双子の魂。同調率は非常に高い。男児の魂よ。今回の詫びに神の力で初夜での定着を約束しよう。女児の魂は早ければ十六、十七年で成婚となる。五十年待つよりは早いであろう?今暫く待ってくれぬか』
『えー?じゃあまたあの虚無空間に逆戻りですかぁ?』
『う、うぅむ…、ならば女児の体内で待つがよい。時が来れば自然と部屋に引き寄せられよう』
これ以上の交渉は厳しいか…。あまりごねてへそを曲げられても困るし…
どうやら僕たちは双子でありながら、とことん双子運が悪いらしい。
『分かりました。それで妥協します』
こうして僕の妹は用意された一人分の母体に入り、僕はまだ名も形もない魂として、そっと彼女の中に身を潜めたのだ。
前の生でも双子だった僕たち。
双子を忌み嫌うどこかの国の商家に産まれた僕たちは、離れ離れに暮らしながらもお互い平凡に歳を重ね、双子らしくほぼ同時に寿命を全うし、…今ここに居る。
長い長い時の中で魂を洗い清め高めながら転生を待つ多くの魂。
どうやら今世でも僕たちは双子に産まれることが決定したらしい。ようやく僕たちの順番が来て二人一緒に誕生の部屋へと誘われる。
いよいよ誰かの赤子として産まれる準備に入っていたその時。僕たちを襲ったのは思いもよらないとんだハプニングだった。
『あ、あれ?お部屋が狭い』
『え?どうして?双子に産まれるんじゃなかったの?』
『だって入れないんだもん。ここ一人しか無理だよ』
『え、だってじゃあもう一人はどうするの?」
誕生には順番と言うものがある。僕たちは気の遠くなるような長い時間を待って待って待ちわびて、ようやくこの時を迎えたのに。
『神様!神様ー!これどういう事ですか!』
『やっと生まれることが出来ると思ったのに!』
どこからか聞こえる虚無空間に響く声。これこそ僕たちを割り振る神様の声だ。
『すまんすまん。どうもこちらにちょっとした手違いがあったようだ』
は、はぁぁ?何だってー⁉
『手違いって…、私たち双子って聞いてきたんですけどぉ?』
『一人しか入れなかったらもう一人はどうなるんです?すぐに次の母体は用意してもらえるんでしょうね!」
虚無空間はブーイングの嵐だ。前世年寄りだった僕たちはちょっとだけ面の皮が厚い。ましてややり手の商売人だった僕は利害関係にはちょっとうるさい。
『だがのう、では次の母体に…と簡単にはいかんのだよ』
『どうしてですか!』
『誕生計画はすでに向こう五十年分ほど組まれているのだ。それを全て一から組み直しは出来ん』
『そんなぁ!』
『納得できないです!僕たちは言われたままここに来たのに!』
僕たちは二人ともすでに五十年は待っていたのだ。ここで母体に入れないどちらか一人はまたここから五十年待たされる…とか、あり得ないんですけど!
『それはあまりにもひどくないですかぁ?』
『言いたくないですけど神様のミスですよねぇ?』
こちらに非はない。ここぞとばかりに言いたい放題だ。
『う、うーむ…、よし分かった!では女児の魂よ。おぬしが先に母体へ入るがいい』
『どういうことですか?』
『じゃあ僕は?』
神様の説明はこうだ。
今から入る予定の母体はある国の〝貴族”と言う人種。そしてお家のために結婚する〝貴族の女性”は嫁入りがとても早いのだとか。
『彼女の子として産まれろってことですか?』
『うむ。お前たちはもともと双子の魂。同調率は非常に高い。男児の魂よ。今回の詫びに神の力で初夜での定着を約束しよう。女児の魂は早ければ十六、十七年で成婚となる。五十年待つよりは早いであろう?今暫く待ってくれぬか』
『えー?じゃあまたあの虚無空間に逆戻りですかぁ?』
『う、うぅむ…、ならば女児の体内で待つがよい。時が来れば自然と部屋に引き寄せられよう』
これ以上の交渉は厳しいか…。あまりごねてへそを曲げられても困るし…
どうやら僕たちは双子でありながら、とことん双子運が悪いらしい。
『分かりました。それで妥協します』
こうして僕の妹は用意された一人分の母体に入り、僕はまだ名も形もない魂として、そっと彼女の中に身を潜めたのだ。
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