僕はゼッタイユルサナイ

kozzy

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浮遊する魂

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前後不覚の空間にフヨフヨと漂う対になった二つの魂、その一つが僕だ。

大半が消えゆくおぼろげな記憶。その残った僅かな記憶によれば前の生でも双子だった僕たち。

双子を忌み嫌うどこかの国の商家に産まれた僕たちは、離れ離れに暮らしながらもお互い平凡に歳を重ね、双子らしくほぼ同時に寿命を全うし、…今ここに居る。

長い長い時の中で魂を洗い清め、また高めながら転生を待つ多くの魂。何十年こうして待っただろうか?
ようやく僕たちの順番が来て二人一緒に誕生の部屋へと誘われる。どうやら今世でも僕たちは双子に産まれることが決定したらしい。

いよいよ誰かの赤子として産まれる準備に入っていたその時だ。僕たちを襲ったのは思いもよらないとんだハプニングだった。

『あ、あれ?お部屋が狭い』
『え?どうして?双子に産まれるんじゃなかったの?』
『だって入れないんだもん。ここ一人しか無理だよ』
『え、だってじゃあもう一人はどうするの?」

誕生には順番と言うものがある。僕たちは気の遠くなるような長い時間を待って待って待ちわびて、ようやくこの時を迎えたのに、ふざけてんのか!断固抗議だ!

『神様!神様ー!これどういう事ですか!』
『やっと生まれることが出来ると思ったのに!』

その時どこからか聞こえてきた虚無空間に響く声。これこそ僕たちを割り振る神様の声だ。

『すまんすまん。どうもこちらにちょっとした手違いがあったようだ』

は、はぁぁ?何だってー⁉

『手違いって…、私たち双子って聞いてきたんですけどぉ?』
『一人しか入れなかったらもう一人はどうなるんです?すぐに次の母体は用意してもらえるんでしょうね!」

虚無空間は文句の嵐だ。前世年寄りだった僕たちはちょっとだけ面の皮が厚い。ましてややり手の商売人だった僕は利害関係にはちょっとうるさい。

『だがのう、では次の母体に…と簡単にはいかんのだよ』
『どうしてですか!』

『誕生計画はすでに向こう五十年分ほど組まれているのだ。それを全て一から組み直しは出来ん』
『そんなぁ!』

うっ!
商売人だった僕には年をまたいだ計画の見直しがどれほど大変か…その苦労は理解できるがそれとこれとは別の話だ。

『納得できないです!僕たちは言われたままここに来たのに!』

僕たちは二人ともすでに五十年は待っていたのだ。ここで母体に入れないどちらか一人は、また並びなおしてここからさらに五十年とか、あり得ないんですけど!

『それはあまりにもひどくないですかぁ?』
『言いたくないですけど神様のミスですよねぇ?』

こちらに非はない。ここぞとばかりに言いたい放題だ。

『う、うーむ…、よし分かった!では女児の魂よ。おぬしが先に母体へ入るがいい』
『どういうことですか?』
『じゃあ僕は?』

神様の説明はこうだ。

今から入る予定の母体はある国ある時代の〝貴族”と言う人種。そしてお家のために結婚する〝貴族の女性”は嫁入りがとても早いのだとか。

『もしかして彼女の子として産まれろってことですか?』

『うむ。お前たちはもともと双子の魂。同調率は非常に高い。男児の魂よ。今回の詫びに神の力で初夜での定着を約束しよう。女児の魂は早ければ十六、十七年で成婚となる。五十年待つよりは早いであろう?今暫く待ってくれぬか』

『えー?じゃあまたあの虚無空間に逆戻りですかぁ?』

退屈なんだけど。

『う、うぅむ…、ならば女児の体内で待つがよい。時が来れば自然とに引き寄せられよう』

これ以上の交渉は厳しいか…。相手は神だ。あまりごねてへそを曲げられても困るし…
どうやら僕たちは双子でありながら、とことん双子運が悪いらしい。

『分かりました。それで妥協します』

こうして僕の妹は用意された一人分の母体に入り、僕はまだ名も形もない魂として、そっと彼女の中に身を潜めたのだ。




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