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想いの交差
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その後、ヒューさんの店までやってきた僕は無事ブローチをポールに手渡した。だからと言って、あんなことのあった彼を一人で庶民街へは帰せない。
けれどいつの間にかポールは迎えに来るよう伝言を頼んでいたらしい。やっぱり彼は賢いのだろう。つくづくそつが無い…。
しばらく待ってポールを迎えに来たのは少しガタイの良いお兄さん。なんでもお兄さんは庶民街で日雇いをしながら審査の終わりを待っていたんだとか。
「何も無くて良かった…」
「ええ本当に」
「あいつはあんな村にはもったいないほど頭が良くて顔もきれいで…」
「ふふ、弟さんが大好きなんですね」
「自慢の弟です」
前世も今世も一人っ子の僕には少し眩しい兄弟愛。
「あの…もう大丈夫だと思うけど弟さんから目を離さないでくださいね。他にも狙われてるといけないから」
「わかりました。ポールを助けてくださってありがとうございます」
「いえ…」ソワソワ
その当人であるポールは向こうでアンディと話している。
きっとあれは別れの挨拶。なら僕こそ挨拶すべきだよね!
気が急くあまり大股歩きになったのはご愛敬だ。
「ポール!」
「オリヴィエ様…。あの…何から何までお世話になって…言葉にならないほど感謝しております」
「ううん。大したことはしてないよ。それより一度帰るの?」
「はい。僕の住む領はここから西へ四日ほどのところですので。一旦戻ります」
王都から西へ四日…、豊かだけれど争いごとの多いエリアか…
二次の結果は半月ほどあとに住区の教会より通達が来る。何も来なければそれは…落ちたと言うこと。
このシビアな世界では、落選者にいちいち「今後のご健勝をお祈り申し上げます」などといった気遣いはない。そうして七月の初めから一か月。今度は第三次関門がどこかで始まるのだ。
「あの…ポールはきっと三次に進む気がする。頑張ってね」
「オリヴィエ様こそ。僕の勘では通過している気がします。きっとまたお会いしましょう。ふふ、三次の会場で」
「……うん」
これは社交辞令社交辞令…
さて、ポールを見送ってしまえば、ヒューさんが仕事を終えるまでは久しぶりの二人きり。
今夜は三人でコテージから持ち帰ったご馳走を食べて、そして明日は帰宅の日。
「ねえアンディ。その…」
「なんだ?」
「…ポールと何話してたの?」
「ん?大した話はしてないな。馬車の中ではまあ…お前とのあれやこれやを聞かされてた」
「さっきは?」
「諸々のお礼と…手紙を出すとか遊びに行っていいかとか…たわいもない世間話だよ」
ほらぁ…胸がモヤモヤする…
「それよりオリー。あの黒髪の少年は誰だ。あれは日本人か?」
「黒髪…虎之助さまのこと?虎之助さまはゴールドスタインから参加した人だよ。家名は仰らなかったけど名家だと思う…」
「あのゴールドスタインか!日本ベースの国だな!」
記憶にあるゲームに照らし合わせ、いつもより少しテンション高めな彼は少年みたいでなんだかカワイイ…
「そうだアンディ!虎之助さまがいいものくれたよ!」
いそいそと取り出したのは虎之助さまがくれた白いおにぎり。
「ほら。白米」
「おっ!これは嬉しい土産だな。彼がくれたのか?」
「そう。お茶っ葉のお礼にって」
思えば元手ゼロ円の粉茶が化けたものだ。
「つまり米はこのブルーメンベルグ国には無いってことか」
「ゴールドスタインにはあるから手に入れることは出来るけどね。大きく流通はしてないかな」
流通量が少ないということ…それはお値段が高いということ。我が家にとっては贅沢品…
「それほど高価な米を惜しげなくお前にくれたってことだな」
「お礼だよ?」
「…」
何か言いたげなアンディ。嬉しくなかっただろうか…はっ、もしや…
「あの…上から目線の施しとかじゃないよ。彼は僕がお米を好きだって話したから善意で」
「分ってるさ。よし!これはヒューが来る前に食べちまおう!久々の白米だしな」
…今の何だったんだろう…?
でも爽やかな笑顔でおにぎりを楽しむアンディを見てたら疑問はいつの間にか消えていた。
「ヒューさんそれでね、デイビッドが今度カットしてほしいって言ってて」
「あら、宣伝してくれたの?」
「だってヒューさんホントに上手だもん。ヒューさんのお手入れが無かったら絶対二次なんて通らなかった」
「嬉しいこと言ってくれるわね。良いこと。三次の前も必ず寄りなさいよ」
「はーい」
三次なんてきっとないのにね。ヒューさんもポールも、みんな優しいな。
三人で囲む前世っぽいご馳走。ビーフシチュー…ハンバーグ…ローストチキン…
ヒューさんにとってはただの、王家が用意した美味しい特別な食事。
アンディと僕にとっては日本を思い出す洋食。思った通り、アンディは久しぶりの慣れ親しんだ食事にどこか嬉しそうだ。
「けどまあ…三次に向けて対策は練っとかなくちゃな」
「対策?」
「三次からは実利の審査も入ってくるだろ?」
そうなんだよね…
三次からは期間こそ違えどそこそこ長期で滞在して、人柄だけでなく、魔法や知識やいろんな能力を総動員して、王家にどれほどの恩恵をもたらすか、それを審査されるんだよね。
第三次でチェックされるのが〝精神力”。王家に嫁ぐということは良いことばかりじゃない。日々の重責、常にみられる緊張感に押しつぶされることもあるのだろう…けれど、それで参っていては王家の嫁は務まらない、ってことだね。
四次が〝献身性”。王家とは王国民のために在るものだから。民に魔法を授ける王家の存在はリアルにそうなんだよね。
だからこそ様々な特権の上に居られるわけだけど、あぐらをかくようでは王家に相応しくない、そういうことだね。
五次が〝カリスマ性”。王族とは王国民、全ての憧れと尊敬を一身に受ける存在。であれば、それに相応しい魅力が必要なんだってことぐらい僕にだってわかる。
最後の最後で〝王子との相性”。一般人の僕には一番大事に思えるけど、相性は二の次ってところが王家の嫁、ってね。
「まあ…精神力ならオリーは心配ないだろうけどな」
「買い被りだよ」
「いいや。村人に聞いたよ。お前がこの冬暖炉の灰を毎日一軒ずつ配って歩いてたって」
「灰は肥料になるから…。ちょっと知ってただけだよ」
いつの間に聞き込んでいたのやら。恥ずかしい…
満足に肥料も買えないスターリング領でどうやって土を改良すればいいか…苦肉の策が暖炉の灰。
屋敷で毎日燃やすのが暖炉。その灰をコツコツ集めて、一定の量になったら配って…焼け石に水だけど、ないよりはいいかと思って。
どうやって領を豊かにすればいいのか、特別なアイデアも持たない僕にはそんな事しか出来ないから。
「恥ずかしいよ。そんな事しか思いつかなくて」
「行動に移せる時点で立派だよ」
「アンディ…」
「地道な努力を腐らず続けられる、何より大切なことだろ?」
アンディはいつもこうやって僕を甘やかすんだから…
やっぱり大好き。ぎゅって抱きつきたい!
けれどいつの間にかポールは迎えに来るよう伝言を頼んでいたらしい。やっぱり彼は賢いのだろう。つくづくそつが無い…。
しばらく待ってポールを迎えに来たのは少しガタイの良いお兄さん。なんでもお兄さんは庶民街で日雇いをしながら審査の終わりを待っていたんだとか。
「何も無くて良かった…」
「ええ本当に」
「あいつはあんな村にはもったいないほど頭が良くて顔もきれいで…」
「ふふ、弟さんが大好きなんですね」
「自慢の弟です」
前世も今世も一人っ子の僕には少し眩しい兄弟愛。
「あの…もう大丈夫だと思うけど弟さんから目を離さないでくださいね。他にも狙われてるといけないから」
「わかりました。ポールを助けてくださってありがとうございます」
「いえ…」ソワソワ
その当人であるポールは向こうでアンディと話している。
きっとあれは別れの挨拶。なら僕こそ挨拶すべきだよね!
気が急くあまり大股歩きになったのはご愛敬だ。
「ポール!」
「オリヴィエ様…。あの…何から何までお世話になって…言葉にならないほど感謝しております」
「ううん。大したことはしてないよ。それより一度帰るの?」
「はい。僕の住む領はここから西へ四日ほどのところですので。一旦戻ります」
王都から西へ四日…、豊かだけれど争いごとの多いエリアか…
二次の結果は半月ほどあとに住区の教会より通達が来る。何も来なければそれは…落ちたと言うこと。
このシビアな世界では、落選者にいちいち「今後のご健勝をお祈り申し上げます」などといった気遣いはない。そうして七月の初めから一か月。今度は第三次関門がどこかで始まるのだ。
「あの…ポールはきっと三次に進む気がする。頑張ってね」
「オリヴィエ様こそ。僕の勘では通過している気がします。きっとまたお会いしましょう。ふふ、三次の会場で」
「……うん」
これは社交辞令社交辞令…
さて、ポールを見送ってしまえば、ヒューさんが仕事を終えるまでは久しぶりの二人きり。
今夜は三人でコテージから持ち帰ったご馳走を食べて、そして明日は帰宅の日。
「ねえアンディ。その…」
「なんだ?」
「…ポールと何話してたの?」
「ん?大した話はしてないな。馬車の中ではまあ…お前とのあれやこれやを聞かされてた」
「さっきは?」
「諸々のお礼と…手紙を出すとか遊びに行っていいかとか…たわいもない世間話だよ」
ほらぁ…胸がモヤモヤする…
「それよりオリー。あの黒髪の少年は誰だ。あれは日本人か?」
「黒髪…虎之助さまのこと?虎之助さまはゴールドスタインから参加した人だよ。家名は仰らなかったけど名家だと思う…」
「あのゴールドスタインか!日本ベースの国だな!」
記憶にあるゲームに照らし合わせ、いつもより少しテンション高めな彼は少年みたいでなんだかカワイイ…
「そうだアンディ!虎之助さまがいいものくれたよ!」
いそいそと取り出したのは虎之助さまがくれた白いおにぎり。
「ほら。白米」
「おっ!これは嬉しい土産だな。彼がくれたのか?」
「そう。お茶っ葉のお礼にって」
思えば元手ゼロ円の粉茶が化けたものだ。
「つまり米はこのブルーメンベルグ国には無いってことか」
「ゴールドスタインにはあるから手に入れることは出来るけどね。大きく流通はしてないかな」
流通量が少ないということ…それはお値段が高いということ。我が家にとっては贅沢品…
「それほど高価な米を惜しげなくお前にくれたってことだな」
「お礼だよ?」
「…」
何か言いたげなアンディ。嬉しくなかっただろうか…はっ、もしや…
「あの…上から目線の施しとかじゃないよ。彼は僕がお米を好きだって話したから善意で」
「分ってるさ。よし!これはヒューが来る前に食べちまおう!久々の白米だしな」
…今の何だったんだろう…?
でも爽やかな笑顔でおにぎりを楽しむアンディを見てたら疑問はいつの間にか消えていた。
「ヒューさんそれでね、デイビッドが今度カットしてほしいって言ってて」
「あら、宣伝してくれたの?」
「だってヒューさんホントに上手だもん。ヒューさんのお手入れが無かったら絶対二次なんて通らなかった」
「嬉しいこと言ってくれるわね。良いこと。三次の前も必ず寄りなさいよ」
「はーい」
三次なんてきっとないのにね。ヒューさんもポールも、みんな優しいな。
三人で囲む前世っぽいご馳走。ビーフシチュー…ハンバーグ…ローストチキン…
ヒューさんにとってはただの、王家が用意した美味しい特別な食事。
アンディと僕にとっては日本を思い出す洋食。思った通り、アンディは久しぶりの慣れ親しんだ食事にどこか嬉しそうだ。
「けどまあ…三次に向けて対策は練っとかなくちゃな」
「対策?」
「三次からは実利の審査も入ってくるだろ?」
そうなんだよね…
三次からは期間こそ違えどそこそこ長期で滞在して、人柄だけでなく、魔法や知識やいろんな能力を総動員して、王家にどれほどの恩恵をもたらすか、それを審査されるんだよね。
第三次でチェックされるのが〝精神力”。王家に嫁ぐということは良いことばかりじゃない。日々の重責、常にみられる緊張感に押しつぶされることもあるのだろう…けれど、それで参っていては王家の嫁は務まらない、ってことだね。
四次が〝献身性”。王家とは王国民のために在るものだから。民に魔法を授ける王家の存在はリアルにそうなんだよね。
だからこそ様々な特権の上に居られるわけだけど、あぐらをかくようでは王家に相応しくない、そういうことだね。
五次が〝カリスマ性”。王族とは王国民、全ての憧れと尊敬を一身に受ける存在。であれば、それに相応しい魅力が必要なんだってことぐらい僕にだってわかる。
最後の最後で〝王子との相性”。一般人の僕には一番大事に思えるけど、相性は二の次ってところが王家の嫁、ってね。
「まあ…精神力ならオリーは心配ないだろうけどな」
「買い被りだよ」
「いいや。村人に聞いたよ。お前がこの冬暖炉の灰を毎日一軒ずつ配って歩いてたって」
「灰は肥料になるから…。ちょっと知ってただけだよ」
いつの間に聞き込んでいたのやら。恥ずかしい…
満足に肥料も買えないスターリング領でどうやって土を改良すればいいか…苦肉の策が暖炉の灰。
屋敷で毎日燃やすのが暖炉。その灰をコツコツ集めて、一定の量になったら配って…焼け石に水だけど、ないよりはいいかと思って。
どうやって領を豊かにすればいいのか、特別なアイデアも持たない僕にはそんな事しか出来ないから。
「恥ずかしいよ。そんな事しか思いつかなくて」
「行動に移せる時点で立派だよ」
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