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友人との再会
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黙って後をついて行くと伯爵は玄関を出て、ご厚意で飼い葉を頂いていた厩舎へと向かう。
「君がスターリング親子を骨抜きにしているアンディ君かね」
「!」
骨抜きって…!伯爵…人聞きの悪い……事実だけど…
「はは、おかげさまでそれなりに信頼関係は築けていると思ってます」
伯爵は前回ギグを売るに至った思考の筋道、得た資金の用途などを問いかけていく。
理路整然と淀みなく答えるアンディ。ああカッコいい…
「ふむ。私が思う以上に君は聡明なようだ。驚いたな。スターリングの農村にこれだけの人物が埋もれていたというのかい?」
苦笑いの僕とアンディ…埋もれていたって言うか降って沸いたというか…説明が難しいな。
「いいだろう。オリヴィエ君を王都へ送り折り返して…一週間後…」
「王都のギルドですることがあります。あと一日頂戴できれば」
「では八日後だ。アンディと言ったか、一人で構わぬ。ここへ寄り給え」
「ありがとうございます!」
「それからオリヴィエ君。王家の選考会に参加する子息がギグで乗りつけるなど…印象が良く無かろう。副御者でよければ貸そう。乗って行きたまえ」
「伯爵、感謝します」
こうして僕たちは、あの日馬車を売りに来て以来の馬車旅をすることになったわけだが、前回と違い、初夏の日差しはそれなりに強い。ひさしがあるとはいえ実は剥き出しのギグは肌がチリチリして地味に辛かったのだ。それに比べたら馬車の車両がどれだけ楽か。
「いやぁ助かった。優しい方だな伯爵は」
「お父様を何度も助けてくださったくらいだもの」
「領の運営は実直だって話だったな」
「そう。奇をてらったことはなさらない」
「そこを踏まえて…さて、どうアプローチするかな」
今後の計画を考えながらアンディはどこか楽しそうだ。
きっと前世でもこんな風に仕事へ向き合っていたんだろう。『ノベリティ・ロード』は領地拡大シミュレーションゲームだし、アンディは目に見える成果がやりがいに直結するタイプなのかもしれない。
「悪い。つまらないよな、こんな話」
「ううん。凄く面白い。経済のバタフライ効果ってこういうものなんだって感心する」
「わかるか?」
「多少はわかるよ。これでも一度は社会人だったんだから」
「お前と話してるとつい話し過ぎる。オリーは聞き上手だな」
「そ、そう?」
「以前の彼女は仕事の話するといつもつまらなそうにしてた。そのくせ流行の店やイベントばかり気にして…疲れる。ああいうのは…」
大手広告代理店に勤めてた安藤氏は、映えと流行を重視するインスタ女性には、その職業柄も含めてさぞモテモテだったことだろう。
でも話したら分かる。アンディは一見イケてる都会派に見えるけど、容姿とは裏腹にどこかマイペースで骨太だ。流行を分析することはあってものせられはしないだろう。インスタを活用することはあっても振り回されたりはしないだろう。そこがいい!
「アンディがふったの?」
「いいや、ふられたよ」
「うそだ!」
「本当。女性ってのはマメ男が好きなんだよ」
アンディをふるなんて信じられない!なんて贅沢な!一言文句言ってやりたい!
「姉貴でも辟易してたし…女は当分懲り懲りだな」
女帝みたいなお姉さんって言ってたっけ…
でもそれ…男なら今でもOKってことだよね…モヤ…
そんな三日間を経て王都へ入れば、商業街の大きな通りで視界に入るのは見覚えのあるいくつかの顔。
明日からの第三関門に向けて貴族子女は続々集結中なのだろう。
「あっ!あそこにデイビッドが居る!御者さん停めてください!おーい!デイビッドー!」
「あ、オリヴィエ!」
「御者さん、僕たちここから歩いて行きます。知人の家はもうすぐそこだから」
御者はアンディからヒューさんの店を確認し、「明日迎えに参ります」そう言い残してシーモア伯爵王都邸へ向かった。
「デイビッド久しぶり。元気だった?」
「まあね?それにしてもまさかオリヴィエが三次進出とは思わなかった。驚きだよ」
「僕もそう思う。ところで何か見てたの?」
「君の言ってた腕の良い美容師の店を探してたところ。全然わからなくて…」
「ヒューの店は一本裏だ。表通りを探しててもみつからないさ」
「…何この人…」
ドキッ!会話に割って入ったのは涼やかな笑顔が眩しいアンディだ。デイビッドは面食いだと自分自身で公言していた。や、やめてデイビッド!君までそんな…
「あの…彼は僕の従者兼秘書のアンディ…」ドッドッドッ…
「ふーん…イイ男だけどどちらの出?」
「残念ながら俺は庶民だよ」
「あっそ。じゃあ後ろからついてきてね」
セ、セーフ…良かったアンディが庶民で、いや!良くはない!でも良かった…
どうもアンディへの想いを自覚してから心が落ち着かない。
「すみませんアンディさん。ですが俺の坊ちゃんは口だけですから。根は悪い子じゃないんですよ」
すまなそうにアンディへ頭を下げたのがデイビッドの従者。どこか飄々とした彼はデイビッドのこんな物言いに慣れているのだろう。
「黙れジュード!余計なことは言わなくていい!」
「はいはい」
見たところアンディとそれほど歳の変わらなさそうなジュード氏はデイビッドの遠縁なんだとか。
「身分で差別するような奴が選考会の三次に残るわけないだろ。わかってるさ」
確かにそうだ。
デイビッドは自分の話が嫌なのだろう、遮るように話題を向けた。
「聞いたよアンディ。なんでも君凄く有能なんだって?」
えっ?もう呼び捨て!すごいなデイビッド…
「はは、有能かどうかは今後次第だが…まあ無能と呼ばれるつもりはないかな」
「僕のジュードもそれくらい覇気があればね…、そうしたらもっと良い家に紹介してやるのに」
「良いんですよ坊ちゃん。俺はあなたの従者で満足してますから」
「ああん?そういう志の低いことをまたお前は…向上心とか無いわけ!」イラ
「わー!ほ、ほら早く行こう!ヒューさんが待ってる!」
「…それもそうだね。遅れずおいでよジュード!」
「はいはい」
その時聞こえた小さな呟き。それは喧騒に掻き消されデイビッドの耳には届いていないのだろう。けど僕は地獄耳だ!
「ふっ、坊ちゃんのお相手が俺以外の誰に務まるんだよ」
顔を見合わせる僕とアンディ。ジュード氏の顔には〝大人の余裕”と書いてあった。
「君がスターリング親子を骨抜きにしているアンディ君かね」
「!」
骨抜きって…!伯爵…人聞きの悪い……事実だけど…
「はは、おかげさまでそれなりに信頼関係は築けていると思ってます」
伯爵は前回ギグを売るに至った思考の筋道、得た資金の用途などを問いかけていく。
理路整然と淀みなく答えるアンディ。ああカッコいい…
「ふむ。私が思う以上に君は聡明なようだ。驚いたな。スターリングの農村にこれだけの人物が埋もれていたというのかい?」
苦笑いの僕とアンディ…埋もれていたって言うか降って沸いたというか…説明が難しいな。
「いいだろう。オリヴィエ君を王都へ送り折り返して…一週間後…」
「王都のギルドですることがあります。あと一日頂戴できれば」
「では八日後だ。アンディと言ったか、一人で構わぬ。ここへ寄り給え」
「ありがとうございます!」
「それからオリヴィエ君。王家の選考会に参加する子息がギグで乗りつけるなど…印象が良く無かろう。副御者でよければ貸そう。乗って行きたまえ」
「伯爵、感謝します」
こうして僕たちは、あの日馬車を売りに来て以来の馬車旅をすることになったわけだが、前回と違い、初夏の日差しはそれなりに強い。ひさしがあるとはいえ実は剥き出しのギグは肌がチリチリして地味に辛かったのだ。それに比べたら馬車の車両がどれだけ楽か。
「いやぁ助かった。優しい方だな伯爵は」
「お父様を何度も助けてくださったくらいだもの」
「領の運営は実直だって話だったな」
「そう。奇をてらったことはなさらない」
「そこを踏まえて…さて、どうアプローチするかな」
今後の計画を考えながらアンディはどこか楽しそうだ。
きっと前世でもこんな風に仕事へ向き合っていたんだろう。『ノベリティ・ロード』は領地拡大シミュレーションゲームだし、アンディは目に見える成果がやりがいに直結するタイプなのかもしれない。
「悪い。つまらないよな、こんな話」
「ううん。凄く面白い。経済のバタフライ効果ってこういうものなんだって感心する」
「わかるか?」
「多少はわかるよ。これでも一度は社会人だったんだから」
「お前と話してるとつい話し過ぎる。オリーは聞き上手だな」
「そ、そう?」
「以前の彼女は仕事の話するといつもつまらなそうにしてた。そのくせ流行の店やイベントばかり気にして…疲れる。ああいうのは…」
大手広告代理店に勤めてた安藤氏は、映えと流行を重視するインスタ女性には、その職業柄も含めてさぞモテモテだったことだろう。
でも話したら分かる。アンディは一見イケてる都会派に見えるけど、容姿とは裏腹にどこかマイペースで骨太だ。流行を分析することはあってものせられはしないだろう。インスタを活用することはあっても振り回されたりはしないだろう。そこがいい!
「アンディがふったの?」
「いいや、ふられたよ」
「うそだ!」
「本当。女性ってのはマメ男が好きなんだよ」
アンディをふるなんて信じられない!なんて贅沢な!一言文句言ってやりたい!
「姉貴でも辟易してたし…女は当分懲り懲りだな」
女帝みたいなお姉さんって言ってたっけ…
でもそれ…男なら今でもOKってことだよね…モヤ…
そんな三日間を経て王都へ入れば、商業街の大きな通りで視界に入るのは見覚えのあるいくつかの顔。
明日からの第三関門に向けて貴族子女は続々集結中なのだろう。
「あっ!あそこにデイビッドが居る!御者さん停めてください!おーい!デイビッドー!」
「あ、オリヴィエ!」
「御者さん、僕たちここから歩いて行きます。知人の家はもうすぐそこだから」
御者はアンディからヒューさんの店を確認し、「明日迎えに参ります」そう言い残してシーモア伯爵王都邸へ向かった。
「デイビッド久しぶり。元気だった?」
「まあね?それにしてもまさかオリヴィエが三次進出とは思わなかった。驚きだよ」
「僕もそう思う。ところで何か見てたの?」
「君の言ってた腕の良い美容師の店を探してたところ。全然わからなくて…」
「ヒューの店は一本裏だ。表通りを探しててもみつからないさ」
「…何この人…」
ドキッ!会話に割って入ったのは涼やかな笑顔が眩しいアンディだ。デイビッドは面食いだと自分自身で公言していた。や、やめてデイビッド!君までそんな…
「あの…彼は僕の従者兼秘書のアンディ…」ドッドッドッ…
「ふーん…イイ男だけどどちらの出?」
「残念ながら俺は庶民だよ」
「あっそ。じゃあ後ろからついてきてね」
セ、セーフ…良かったアンディが庶民で、いや!良くはない!でも良かった…
どうもアンディへの想いを自覚してから心が落ち着かない。
「すみませんアンディさん。ですが俺の坊ちゃんは口だけですから。根は悪い子じゃないんですよ」
すまなそうにアンディへ頭を下げたのがデイビッドの従者。どこか飄々とした彼はデイビッドのこんな物言いに慣れているのだろう。
「黙れジュード!余計なことは言わなくていい!」
「はいはい」
見たところアンディとそれほど歳の変わらなさそうなジュード氏はデイビッドの遠縁なんだとか。
「身分で差別するような奴が選考会の三次に残るわけないだろ。わかってるさ」
確かにそうだ。
デイビッドは自分の話が嫌なのだろう、遮るように話題を向けた。
「聞いたよアンディ。なんでも君凄く有能なんだって?」
えっ?もう呼び捨て!すごいなデイビッド…
「はは、有能かどうかは今後次第だが…まあ無能と呼ばれるつもりはないかな」
「僕のジュードもそれくらい覇気があればね…、そうしたらもっと良い家に紹介してやるのに」
「良いんですよ坊ちゃん。俺はあなたの従者で満足してますから」
「ああん?そういう志の低いことをまたお前は…向上心とか無いわけ!」イラ
「わー!ほ、ほら早く行こう!ヒューさんが待ってる!」
「…それもそうだね。遅れずおいでよジュード!」
「はいはい」
その時聞こえた小さな呟き。それは喧騒に掻き消されデイビッドの耳には届いていないのだろう。けど僕は地獄耳だ!
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