39 / 310
24 断罪はダンスのこちら
しおりを挟む
ブロア前伯爵夫人はとても品の良い、中年を少し過ぎたくらいのご婦人だが、全盛期はダンスの名手だったという話で、のっけからかなり厳しく姿勢を直された。イテテ、背筋が痛い…。
「母はどこからか先日のダンスの授業で起きた出来事を聞き込んでいてね…、しっかりしろと尻を叩かれたよ。母は君とアレイスターの接近を望んでいない」
「ブラッドも言ってました」
「それにしてもあれはない。いくら私がアーロンと踊ったからと言って…当てつけにも程がある」
「当てつけるほどの気持ちが僕に残っているとでもお思いですか?ありませんよ」
うぬぼれるのも大概にしろ!あ、凹んだ。
「……まあいい。シャノン、いまさら君を愛する振りをしたところでどうせ君は信じないだろう…」
「よくお分かりで」
「いちいち君は…!く…、それでも自分の立場は十分理解した。己の咎も認めよう。シャノン、…王と王妃のように割り切った関係を望むことはもう出来ないだろうか?これから行動は改めると約束しよう。そのうえで君は正妃としてなにもかも好きにすればいい。だからこれ以上おかしなことは考えないでくれ」
おかしなこととは何ぞや?
「それでアーロンは納得しますか?」
「アーロンはこの際関係ない」
「大有りですよ。何言ってるんです」
「アーロンは地位を望むような人ではない…」
「へー?じゃあ誰のせいでここまで拗れたんですかね」
「全部私のせいだと言いたいのか!」
「違うって言うなら言ってみなさいよ!ほらっ!」
「君に非は無いとでも言うつもりか!」
「は、はぁ?子供のちょっかいくらいいなせないんですか!包容力の無い男ですね!」
「なんだと!君が子供なものか!」
「あースイマセン。子供はコンラッド様でしたー」
「わ、私のどこが子供だ!」
「行動思考の全部がですよ!気付いてなかったんですか?こりゃビックリ」
「なっ‼」
ここまで全て、ダンスを踊りながらの会話である。
ブロア前伯爵夫人もあまりの見苦しさに途中から口を挟むのを諦めている。
興奮のあまり、途中からダンスがタンゴみたいになってしまったのはご愛敬だ。この世界にタンゴがあるかないかしらないけど…
「はい、そこまで」
はぁー、はぁー、はぁー、違う意味で息が上がる…
「すまない。途中少々取り乱した。だが君とやり直したいのは本心だ。この後改めて話し合いたい」
「僕も思わず興奮しました…。いいですよ。この際だからトコトン話し合いましょう」
断罪まで我慢…、断罪まで我慢…、僕は握りこぶしの向こうで呪文を唱え続けた。
「シャノン様!」
ドッキー!
しまった!先生に叱られる!
「大変情熱的なダンスでした!こんなダンスを創作なさるなんて…なんと素晴らしいダンスの才能!」
それから暫くして城下の小さなダンスホールで『シャノンのタンゴ』略して『シャンゴ』が流行り始めたと僕が知るのは随分たってからである…
さて、ダンスが終わってしばしの小休止。コンラッドと向かい合わせで飲むお茶は…あれ?普通に美味しいな。さすがお城の高級品。
「シャノン。思えば君とこんな風に思い切り言いたいことを言い合ったのは初めてじゃないか?」
「そうですね。どっかの腑抜けは話し合いもせず僕を避けてましたし」
それに貴族の中の貴族であるシャノンは、第一王子であるコンラッドとこんな頭の悪い言い争いはしなかっただろうし、…って言うか、途中からシャノンが不在だ…。
「辛辣だな…、だが以前よりマシか。その、先ほどの件だが…」
「なんです?包容力が無い…の件ですか?無いですよ?」
「違う!割り切った関係を構築したいと言う件だ」
「あー…、少々お待ちを」
お茶を飲みながらしばし熟考…。
僕のゴールは断罪で、これは絶対変えられない決定事項だ。そのためには現状の婚約が必須で、今の時点でうっかり婚約解消は出来ないしされても困る。この間父親にかまをかけたら、万が一婚約解消を申し入れられたら、腹いせに現王の弟(コンラッドの叔父さん。立太子前の今ならコンラッドより偉い)の後妻にねじ込むと言われた…。いいんだか悪いんだか。
という前提でこの提案は有りなのか無しなのか…………有りよりの…有り?
ここでいったん安心させるだけさせて、ここから地道に嫌がらせをアーロンにしてだんざ…
忘れてたー!アーロンだよアーロン!
コンラッドはアーロンが僕に気があることを知っているのだろうか…?実はアーロンの本命がシャノンだったなんて…ざまあみろって笑いたいところだけど全然笑えない。いやほんとに。
「…コンラッド様、これは嫉妬とかそう言うんじゃなくて素朴な疑問なんですが…、アーロンと意思疎通出来てます?」
「当たり前だ。私とアーロンは分かり合えている」
良く言い切ったな、婚約者の前で。今はあえて突っ込まないけど。
「じゃあ昼食の後とか…、二人っきりになりたいと思わないんですか?毎日ブラッドとロイドが一緒で…」
「ロイドは執行部の仕事で毎日は居ない」
「じゃあ三人…はっ!」
まさか…3、ダメダメそれ以上言っちゃ!
「何だその顔は。まさか不純な事を考えているのか…」
「いいえ」
「だがその目は」
「いいえ」
「はぁ…、いいか、私たちはアーロンの語る理想に耳を傾けているのだ。やましいことなどしていない」
「理想…?」
「愛と平等に満ちた世界。…身分も争いもない全てを受容する世界…、シャノン、君とは相容れない世界だ」
…コンラッドは分っているのだろうか。身分も争いもない国に王子は居ない。争いにまみれ不平等の頂点に立つのが身分の最高峰、王家だろうに。まあ、ルテティアに限り、国民愛はあると信じてる…。
しっかし、身分も争いもないっていうなら民主主義ニッポンに居た僕の方が詳しいっての。ま、まぁ違う形の争いならあるにはあるけど…。しまった脱線した。今はそれより…
「アーロンの理想…それはカマ神のことですか?」
「カ…マシ?なんだそれは?」
おっやぁ…?ご存じない?
この国にはルテティア国教という立派な公式教がある。この国の教会はすべからくルテティア国教会である。この世界に浅く、かつ信仰心の薄い僕はそんなに詳しくないが、てっきり国教の神様かと思ったのに…違うのか…じゃあなんの神様なんだよ…
「彼は私に道を示してくれる。愛を以て人々の心を解放するのが、次期王たる私の使命なのだと、そう言われたよ」
「……コンラッド様もそうお思いで?」
「万人を愛する…、博愛とは実に崇高な考えだ。そう思えないか君は…」
「…んー、あー、うん。分かりました。それじゃあ僕はこれで」ススス…
「シャノン、話はまだ終わってない!」
「えー、あー、割り切った関係でしたっけ。いいですそれで。そうします。ではまた明日。学院でお会いしましょう。あ、交流は不要ですのでおかまいなく」サササッ
博愛、解放…それは危険なキーワード。キミコの注意喚起がどこからか聞こえた気がする…。ここは関わらないのが一番。コンラッドの足先は危険な底なし沼にちょこっと浸かっている…。
僕は慌てて王城を後にした。今度はカイルと二人で…
「母はどこからか先日のダンスの授業で起きた出来事を聞き込んでいてね…、しっかりしろと尻を叩かれたよ。母は君とアレイスターの接近を望んでいない」
「ブラッドも言ってました」
「それにしてもあれはない。いくら私がアーロンと踊ったからと言って…当てつけにも程がある」
「当てつけるほどの気持ちが僕に残っているとでもお思いですか?ありませんよ」
うぬぼれるのも大概にしろ!あ、凹んだ。
「……まあいい。シャノン、いまさら君を愛する振りをしたところでどうせ君は信じないだろう…」
「よくお分かりで」
「いちいち君は…!く…、それでも自分の立場は十分理解した。己の咎も認めよう。シャノン、…王と王妃のように割り切った関係を望むことはもう出来ないだろうか?これから行動は改めると約束しよう。そのうえで君は正妃としてなにもかも好きにすればいい。だからこれ以上おかしなことは考えないでくれ」
おかしなこととは何ぞや?
「それでアーロンは納得しますか?」
「アーロンはこの際関係ない」
「大有りですよ。何言ってるんです」
「アーロンは地位を望むような人ではない…」
「へー?じゃあ誰のせいでここまで拗れたんですかね」
「全部私のせいだと言いたいのか!」
「違うって言うなら言ってみなさいよ!ほらっ!」
「君に非は無いとでも言うつもりか!」
「は、はぁ?子供のちょっかいくらいいなせないんですか!包容力の無い男ですね!」
「なんだと!君が子供なものか!」
「あースイマセン。子供はコンラッド様でしたー」
「わ、私のどこが子供だ!」
「行動思考の全部がですよ!気付いてなかったんですか?こりゃビックリ」
「なっ‼」
ここまで全て、ダンスを踊りながらの会話である。
ブロア前伯爵夫人もあまりの見苦しさに途中から口を挟むのを諦めている。
興奮のあまり、途中からダンスがタンゴみたいになってしまったのはご愛敬だ。この世界にタンゴがあるかないかしらないけど…
「はい、そこまで」
はぁー、はぁー、はぁー、違う意味で息が上がる…
「すまない。途中少々取り乱した。だが君とやり直したいのは本心だ。この後改めて話し合いたい」
「僕も思わず興奮しました…。いいですよ。この際だからトコトン話し合いましょう」
断罪まで我慢…、断罪まで我慢…、僕は握りこぶしの向こうで呪文を唱え続けた。
「シャノン様!」
ドッキー!
しまった!先生に叱られる!
「大変情熱的なダンスでした!こんなダンスを創作なさるなんて…なんと素晴らしいダンスの才能!」
それから暫くして城下の小さなダンスホールで『シャノンのタンゴ』略して『シャンゴ』が流行り始めたと僕が知るのは随分たってからである…
さて、ダンスが終わってしばしの小休止。コンラッドと向かい合わせで飲むお茶は…あれ?普通に美味しいな。さすがお城の高級品。
「シャノン。思えば君とこんな風に思い切り言いたいことを言い合ったのは初めてじゃないか?」
「そうですね。どっかの腑抜けは話し合いもせず僕を避けてましたし」
それに貴族の中の貴族であるシャノンは、第一王子であるコンラッドとこんな頭の悪い言い争いはしなかっただろうし、…って言うか、途中からシャノンが不在だ…。
「辛辣だな…、だが以前よりマシか。その、先ほどの件だが…」
「なんです?包容力が無い…の件ですか?無いですよ?」
「違う!割り切った関係を構築したいと言う件だ」
「あー…、少々お待ちを」
お茶を飲みながらしばし熟考…。
僕のゴールは断罪で、これは絶対変えられない決定事項だ。そのためには現状の婚約が必須で、今の時点でうっかり婚約解消は出来ないしされても困る。この間父親にかまをかけたら、万が一婚約解消を申し入れられたら、腹いせに現王の弟(コンラッドの叔父さん。立太子前の今ならコンラッドより偉い)の後妻にねじ込むと言われた…。いいんだか悪いんだか。
という前提でこの提案は有りなのか無しなのか…………有りよりの…有り?
ここでいったん安心させるだけさせて、ここから地道に嫌がらせをアーロンにしてだんざ…
忘れてたー!アーロンだよアーロン!
コンラッドはアーロンが僕に気があることを知っているのだろうか…?実はアーロンの本命がシャノンだったなんて…ざまあみろって笑いたいところだけど全然笑えない。いやほんとに。
「…コンラッド様、これは嫉妬とかそう言うんじゃなくて素朴な疑問なんですが…、アーロンと意思疎通出来てます?」
「当たり前だ。私とアーロンは分かり合えている」
良く言い切ったな、婚約者の前で。今はあえて突っ込まないけど。
「じゃあ昼食の後とか…、二人っきりになりたいと思わないんですか?毎日ブラッドとロイドが一緒で…」
「ロイドは執行部の仕事で毎日は居ない」
「じゃあ三人…はっ!」
まさか…3、ダメダメそれ以上言っちゃ!
「何だその顔は。まさか不純な事を考えているのか…」
「いいえ」
「だがその目は」
「いいえ」
「はぁ…、いいか、私たちはアーロンの語る理想に耳を傾けているのだ。やましいことなどしていない」
「理想…?」
「愛と平等に満ちた世界。…身分も争いもない全てを受容する世界…、シャノン、君とは相容れない世界だ」
…コンラッドは分っているのだろうか。身分も争いもない国に王子は居ない。争いにまみれ不平等の頂点に立つのが身分の最高峰、王家だろうに。まあ、ルテティアに限り、国民愛はあると信じてる…。
しっかし、身分も争いもないっていうなら民主主義ニッポンに居た僕の方が詳しいっての。ま、まぁ違う形の争いならあるにはあるけど…。しまった脱線した。今はそれより…
「アーロンの理想…それはカマ神のことですか?」
「カ…マシ?なんだそれは?」
おっやぁ…?ご存じない?
この国にはルテティア国教という立派な公式教がある。この国の教会はすべからくルテティア国教会である。この世界に浅く、かつ信仰心の薄い僕はそんなに詳しくないが、てっきり国教の神様かと思ったのに…違うのか…じゃあなんの神様なんだよ…
「彼は私に道を示してくれる。愛を以て人々の心を解放するのが、次期王たる私の使命なのだと、そう言われたよ」
「……コンラッド様もそうお思いで?」
「万人を愛する…、博愛とは実に崇高な考えだ。そう思えないか君は…」
「…んー、あー、うん。分かりました。それじゃあ僕はこれで」ススス…
「シャノン、話はまだ終わってない!」
「えー、あー、割り切った関係でしたっけ。いいですそれで。そうします。ではまた明日。学院でお会いしましょう。あ、交流は不要ですのでおかまいなく」サササッ
博愛、解放…それは危険なキーワード。キミコの注意喚起がどこからか聞こえた気がする…。ここは関わらないのが一番。コンラッドの足先は危険な底なし沼にちょこっと浸かっている…。
僕は慌てて王城を後にした。今度はカイルと二人で…
4,420
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる