イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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推し活満喫編

本当はね

初めての付与グッズを身に着けていただけた事で僕のプレゼント攻勢はエスカレートした。

あれ以来3日に一度は何かを完成させてる。
無茶苦茶なペースで限界まで魔力を注ぎ込んでたから魔力枯渇っていうのも初体験しちゃった、てへっ。
そんなことしてたらますますレベル上がって今では相当難しい魔法まで使えるようになったよ。棚からぼたもちだね。

離れの台所でJJFの曲を振りコピ付きの大きな声で歌いながら昼食の用意をする。
充実してる~。あぁ毎日楽しいなぁ。
食べ終わったら午後は本邸の庭から少しもらって植え替えたハーブを魔法で成長促進してみよう。

推し活は順調だ。りっぱな住まいにご飯もおいしい。魔法の実験はおもしろいし。

護符用に木皮を剥いだ残りの裸板に炭で推しの絵描いてみる。うん、なかなかの出来。
絶対着ない派手目な洋服解体して推しのマスコットも作ってみる。上手に作れたからそこかしこに飾っておいた。誰も来ないのわかってるから堂々と飾っても恥ずかしくない。でももし誰かに見られたら死ねる。

そしてまたせっせ、せっせと付与グッズを作ってはグラナダ様に進呈する。タッセル以外は薄い木皮の護符だから身に着けてるかどうかは見て確認できないけどきっと使ってくれるよね。

それにしても相変わらず、手渡ししたくて呼び止めようとするけどまともな声が出ない…
この間もてる限りの勇気を出して

「へっ、へんきょう、はく、さま…ッグ、グラナダさまって…よんで…呼んでっ…いいです、か?」

って聞いたけど返事は安定の3文字

「ならぬ」

うぅ~ん、ちょっとまだ早かったかな。辺境伯様って呼びずらいんだけどな。ま、新参扱いのあいだは仕方ないよね。認知してもらえるようもっとがんばろう。
でもそれ以来恐縮してますます声が出なくなっちゃった。

付与グッズ、最初のを護衛さんに渡した後からはいつもトマスさんが代わりに受け取ってくれる。一度も直接手渡しできたことないのが残念…

声が聴きたいなグラナダ様の…ちゃんと顔を見てお話したい。
指先でいいから握りしめたいよ。寂しい…

あれ?おかしいな。僕は接触厨じゃなかったのになんでこんなふうに思うんだろう…




………本当はわかってる。
僕は離宮に捨てられてるんだってこと……
使用人のみんなも部隊の人たちもわざと僕を無視してるってことも…

でも何人かは僕に申し訳なさそうな顔を向けてくるよ。
僕の事かわいそうな子を見るような顔してる人もいる。
何か言いたそうに居心地悪そうにしてる人も。

命令されているんでしょ?誰に?一番偉い人にだよ。ここで一番偉いのは辺境伯ご当主様だよ。

グラナダ様は僕に逃げ出してほしいんでしょ?わかってる。望んだ婚姻じゃないもんね。あったこともないのにある日妻だって言われても困るよね。でもごめんね。

…ここから逃げ出してもこの世界の人じゃない僕には帰るとこがない。
カマーフィールドの家は僕の家じゃない、両親との記憶だって僕のものじゃない。

知らない世界でいきなり嫁入りさせられて、でもいつも追いかけてた坂下クンにそっくりなグラナダ様の顔をみたらすごくすごく、すっごく安心した。

それでもどうしていいかわからなくて泣きそうだった最初の夜、あの執務室のドアの前で…「あ、なんか出待ちみたい…」って思ったら、日本にいる時と同じことしてるって思ったら、なんだか急に地に足が着いた気がした。

それからはますます

推し活してる時だけがちゃんとここに立ててる気がして…、
日本も異世界ここもいっしょだっ、何にも変わらないって思うことが出来て…
…今までと同じ日常が戻った気がして。

…推し活してる間だけはここが異世界だって忘れられてるんだ。



ごめんね、ごめんなさいグラナダ様。迷惑かけないようにするから、そっと見守るだけだから、これからも全力で推し活させて。…ね?

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