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王位交代開始編
カマーフィールド伯爵 参画決定
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密度の濃い一日の終わり、たくさんのクッション敷き詰めたベッドのヘッドボードにもたれ、グラナダ様は僕を背中から抱えこみ寝語りを始めた。
「してアデルよ、今後の動きについて…異論を認めぬお前の考えとやらを聞かせてくれぬか?」
「そ、そんなに難しいことはまだ考えてませんよ。できるかどうかわかんないことも多いし。したい事ならべるだけでも良い?」
「うむ」
グラナダ様は僕の腕や顔を優しく撫で、ときおり髪や首筋にキスを降らせながらそんなことを聞いて来た。
そう、僕は…グラナダ様の一ファンでありながら、…専属プロデューサーになることに決めたのだ!
ファンなら一度は考える【自分だったらこうするのに】妄想。
まさか、異世界で叶えられるなんて思わなかったけど。
推しにこんな仕事やらせるなんて勘弁してよ!とか、なんでこのドラマのオーディション受けさせなかったの?推しのためにあるような配役なのにー!とか。
推しの魅力を最大限に生かせるのは自分しかいない、自分がマネージャーならもっと売れるのに!という根拠なき自信。いや、根拠はある!
と、とにかく…マーケティングやプロモーションの大切さをみじんも解ってない、このグラナダ様を筆頭にしたバーガンディの志士たちには任せておけない。
僕は同担有り派だからね。グラナダ様の良さを、王国と王国民を思う真摯な行いをもっとわかってもらいたい!
ひとつ、グラナダ様を魔人扱いした悪い評判を払拭して真実を知らしめたいって事。
ひとつ、魔獣の森の暴走がどれほどの危険をはらんでいて、バーガンディがどれほど抑えているか知ってもらいたいという事。
ひとつ、臣下の労も王国民の税も搾り取るだけの現王様を退位に追い込んでクリフト殿下に戴冠させること。
ひとつ、クリフト殿下が自信をもって王位に立てるよう、お子のことも含めて力になるって事。
ひとつ、クリフト殿下には王国に、文化的で人道的な治世をひいてもらう事。
「グラナダ様のプロモーションと殿下の明るい家族計画については僕がなんとかするとして、王様の退陣計画のことはグラナダ様やグレゴリー隊長にお任せしたいです…僕軍事ってよくわかんない」
「所々、わからぬ物言いがあったようだが…まぁよい、そうであろう…もちろんだ。すでにグレゴリーにはいくつかの指示を与えた。任せておけ」
「あとは殿下の国政についてなんだけど…」
グラナダ様は…なんだろう?今までノータッチだったんだよね?不安しか感じない。
「うむ、その件は良い案がある。」
「良い案ですか?」
「カマーフィールド卿、お義父上にお願いしてはどうだろうか」
「おとうさまっ⁉」
どうだろうかって言われても…知らないよ、わかんない。…てか、領の財政傾けた人じゃない⁉違うの?えっ本当に?大丈夫?
予想だにしなかった名前が出てきて返事も返せないでいるとグラナダ様ってばいきなり僕を押し倒してきた⁉
「アデルをこのように素晴らしく育まれたお義父上であれば、殿下の治世もきっとより良く導かれるであろう」
あー、うんっとー、僕を育てたのは日本の両親だけどね。でもそう言ってもらえるとなんだか嬉しい。あー、このアングルいいなー。あの、首噛まないで。
鷹揚な伯爵と勉強熱心な伯爵夫人。それがアデルのご両親。
アデルの記憶の中の伯爵はいつも穏やかに笑ってる。伯爵夫人は魔法の修練をさぼるアデルに『しっかりなさい』って怒ってて…あ、僕の両親に似てるかも…それなら……ちょっと、釦に手かけないで。
「とっても良い考えだよ。おとうさまなら悪い事なんて絶対しない。『父はセイヒンの誓いをたてた』って言ってたよ。負け惜しみだって笑ってたみたいだけど。」
「清貧の誓いか…なんと気高い……早急に一席を設けよう。遅くなったが婚儀の祝いの席だ」
あっ、ちょっ、直に触っちゃ、あ、だめーーーー!
「してアデルよ、今後の動きについて…異論を認めぬお前の考えとやらを聞かせてくれぬか?」
「そ、そんなに難しいことはまだ考えてませんよ。できるかどうかわかんないことも多いし。したい事ならべるだけでも良い?」
「うむ」
グラナダ様は僕の腕や顔を優しく撫で、ときおり髪や首筋にキスを降らせながらそんなことを聞いて来た。
そう、僕は…グラナダ様の一ファンでありながら、…専属プロデューサーになることに決めたのだ!
ファンなら一度は考える【自分だったらこうするのに】妄想。
まさか、異世界で叶えられるなんて思わなかったけど。
推しにこんな仕事やらせるなんて勘弁してよ!とか、なんでこのドラマのオーディション受けさせなかったの?推しのためにあるような配役なのにー!とか。
推しの魅力を最大限に生かせるのは自分しかいない、自分がマネージャーならもっと売れるのに!という根拠なき自信。いや、根拠はある!
と、とにかく…マーケティングやプロモーションの大切さをみじんも解ってない、このグラナダ様を筆頭にしたバーガンディの志士たちには任せておけない。
僕は同担有り派だからね。グラナダ様の良さを、王国と王国民を思う真摯な行いをもっとわかってもらいたい!
ひとつ、グラナダ様を魔人扱いした悪い評判を払拭して真実を知らしめたいって事。
ひとつ、魔獣の森の暴走がどれほどの危険をはらんでいて、バーガンディがどれほど抑えているか知ってもらいたいという事。
ひとつ、臣下の労も王国民の税も搾り取るだけの現王様を退位に追い込んでクリフト殿下に戴冠させること。
ひとつ、クリフト殿下が自信をもって王位に立てるよう、お子のことも含めて力になるって事。
ひとつ、クリフト殿下には王国に、文化的で人道的な治世をひいてもらう事。
「グラナダ様のプロモーションと殿下の明るい家族計画については僕がなんとかするとして、王様の退陣計画のことはグラナダ様やグレゴリー隊長にお任せしたいです…僕軍事ってよくわかんない」
「所々、わからぬ物言いがあったようだが…まぁよい、そうであろう…もちろんだ。すでにグレゴリーにはいくつかの指示を与えた。任せておけ」
「あとは殿下の国政についてなんだけど…」
グラナダ様は…なんだろう?今までノータッチだったんだよね?不安しか感じない。
「うむ、その件は良い案がある。」
「良い案ですか?」
「カマーフィールド卿、お義父上にお願いしてはどうだろうか」
「おとうさまっ⁉」
どうだろうかって言われても…知らないよ、わかんない。…てか、領の財政傾けた人じゃない⁉違うの?えっ本当に?大丈夫?
予想だにしなかった名前が出てきて返事も返せないでいるとグラナダ様ってばいきなり僕を押し倒してきた⁉
「アデルをこのように素晴らしく育まれたお義父上であれば、殿下の治世もきっとより良く導かれるであろう」
あー、うんっとー、僕を育てたのは日本の両親だけどね。でもそう言ってもらえるとなんだか嬉しい。あー、このアングルいいなー。あの、首噛まないで。
鷹揚な伯爵と勉強熱心な伯爵夫人。それがアデルのご両親。
アデルの記憶の中の伯爵はいつも穏やかに笑ってる。伯爵夫人は魔法の修練をさぼるアデルに『しっかりなさい』って怒ってて…あ、僕の両親に似てるかも…それなら……ちょっと、釦に手かけないで。
「とっても良い考えだよ。おとうさまなら悪い事なんて絶対しない。『父はセイヒンの誓いをたてた』って言ってたよ。負け惜しみだって笑ってたみたいだけど。」
「清貧の誓いか…なんと気高い……早急に一席を設けよう。遅くなったが婚儀の祝いの席だ」
あっ、ちょっ、直に触っちゃ、あ、だめーーーー!
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