イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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エンタメ充実編

捕らぬ狸の皮算用

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「これはこれはバーガンディ辺境伯夫人。ようこそお越しくださいました。おやこれはこれは、随分と可愛らしいお姿ですな」
「やぁ、ラクン殿。無事こうして僕の悲願の人形ドールを手に入れることが出来たよ。君の尽力あってこそだ。なんと礼を申せばいいのかな」
「いやいや、私どもの商会はパーバート様の人脈あってこそですからのう。ましてや今度はこの辺境伯夫人の奇跡の魔道具とやらも独り占め出来る。笑いが止まらぬわい」

「…僕の魔道具は王室の許可がないと販売できないんだよ…」
「何も販路はこの国に限らん。超えてしまえば良いのだ。二国も三国も。がっはっはっはっは」

僕は魔道具製造マシーンにされるらしい…。あのねぇ、僕は企画設計図出しただけで、あれはほとんどオットーさんが作ってるのに。馬鹿だね……。僕が専属で作ってるのは護符とポーションだけだよ?護符とかには興味ないんだ?商人だから小物よりも魔道具のほうが儲かるって思ってるのかな?薄利多売には興味ないらしい。

「ではマイストリーに拠点を移すのだね?私の人形たちも移動させないとね」
「マイストリー?一年かかっていくつもり?」
「マイストリーは空間を操る国。ここにはあるのですわい、完璧な転移の陣が!」

ほらねやっぱり。空間魔法の国が絡んでて転移が出てこないはずがないって思ってたよ!
だけどここは人の出入りが普通に多い商家のお屋敷。子供たちが居るとは思えない…。

「ねぇ、休ませてくれるんじゃなかったの?疲れたって何度も言ったよね?」
「…大人しくここまでついて来たのは褒めてあげるけど…君はもう少し従順さを思い出す必要があるね。ラクン殿、転移は2~3日後で良いのだろう?先に一度私の楽園に連れて行くよ。向こうへ行く前に心を折っておかないと少々面倒だ…」
「食事くらいは先にさせてよ…2日間携帯食しか食べてないんだから…」
「ふん、まぁ良いだろう。食事が済んだら少し移動するよ。休息は…あきらめてもらおうか」



用意されたどーんと派手めな食事。お腹の出っ張ったラクン氏は食道楽のうえ悪食らしい。いつ何時でも食べれるようにと食事がビュッフェスタイルだったのはラッキーだったよ。いちいち警戒しなくて済んだ。
ゆっくりと時間をかけて食事をすませたあと、お風呂も要求しようかと思ったけど…見えない指が背中をつついた。あまりいい考えじゃないんだね。それもそうか…。




陽が沈み始めたのはこちらにとって有利なのか不利なのか。猪突猛進な僕には戦略とかわからない。
だけどきっと今から行く先に子供たちが居る。
その時、移動の馬車に目を向けて気が付いた。汚いマントで隠れてるけど…その手の形は…



「御者さん、酔っちゃうからあまり揺らさないでね」









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