イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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決断の時編

ちいさな決意

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明日の合唱にむけて衣装合わせをするなんちゃって3兄弟。明日のマーチングは王城スタートでゴール神殿と言うコース。
その神殿で誕生を祝して歌うのがこの三人。ソプラノのキャンディス君、メゾソプラノのコラート君、アルト担当のガトゥ君だ。
場所が神殿だけに用意したのは真っ白なサープリス。聖歌隊が着るローブの事だよ。
おおっ、厳か~。いいんじゃないかな?すごく礼典っぽい。

そのときふっと考えた。

各地の孤児院から歌の好きな子供を集めて…本格的な合唱団を作ったらどうだろう…。合唱団の子供たちは生活の面倒をみてあげて、出番や歌の練習が無い日は勉強とか?大きくなった時の為に大人の劇団とかも考えて…自活の道をひらいてあげられないだろうか?そうしたらいっそうエンターティナメントも充実して、娯楽を増やしたいっていう僕の野望にもピッタリじゃない?

この国の孤児を全部なくすなんてこと僕だけで出来っこないけど…少しでも減らすお役にたてたなら、その分神殿の施しを他の子供にまわせるだろうか?大きなことは出来ないけれど…みんなのおかずが増えたらいいな。

そんな思い付きを隣にいるグラナダ様に呟いてみる。

「とても良いのではないか?宿舎を用意し一般的な就業訓練もさせてはどうだ。バーガンディの町は開発中だ。様々な選択肢を示すが良いだろう」
「そうか、そうだね。さすがグラナダ様…一緒に考えてくれる?」
「うむ。お前の優しい気持ちを形にしようではないか」




王城からマーチングが出発する。沿道にはこの演奏隊列を一目見ようと大勢の人がひしめいている。
懐かしい、屋外イベントの熱気に近い。いいねいいね。
王都の警備兵が魔法で制御してるからロープを張るより安全だ。バーガンディでも真似しよう。

民衆がマーチングに夢中になってる間に裏道を使って陛下たち王室の関係者は神殿に入る。マーチングバンドを迎えるために。

神殿前の広場に向かって正面には陛下とお兄様の豪華なお席が用意されている。
そしてその横に子供数人乗れる程度の台が置いてあって、かすかに聞こえて来たドラムの音を合図に3兄弟がスタンバイ。
陛下を前にマーチング最後の演奏が終わると歓声が沸きあがる。神官様が手を挙げて観衆を鎮めると静かに…それは静かに美しいボーイソプラノが神殿前広場に響き渡った。
遠くの人にもこの透明感のある歌声が行き渡るようちょっとだけ魔法で拡声してあるよ。団体になったら生音だけでいけるかな?

あっという間の数分だったけどみんなの表情をみてたらわかる。特にワイアットお兄様。
目をウルウルさせて感動してる。わかるー。子供の歌声って特別だよね。


ホッとしてたら陰からマカフィーさんに手招きされる。

「どうしたの?何かあった?」
「いえ、陛下のご厚意で急遽広場に集まった子供たちに施しが行われることになりまして」
「うんうん」
「閣下が準備に少々時間がかかるので奥の控えで待つようにと」
「子供たちは?」
「音楽隊に同行しております」

何かあってはいけないので今日アベニアたちは王城で待機してる。
あれ?もしかして今ってチャンス?

「じゃあグラナダ様に、待ってる間水見の鏡見学に行ったって伝えといてくれる?見たらすぐ戻るから」
「いいですけど…一人で行かれるつもりですか?」
「神殿内だよ?それに今日は陛下たちの護衛で騎士様がいっぱいだし」
「それは、まあ…場所はご存じですか?」
「さっき神官さんに聞いておいたから大丈夫」


どうしても今じゃなきゃって思ってたわけじゃないけど、どうせ時間があるなら今のうちに。
何故だか、…一人で行きたい気分だったのだ…。








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